この記事では、履歴書の本人希望欄(希望記入欄)の書き方を採用担当者の視点から解説します。「空欄にすべきかどうか」「書いていい内容と書いてはいけない内容の線引き」「在職中・育児中・扶養内など状況別の例文」まで、書類選考を通過するために必要な情報をまとめています。
履歴書の希望欄とは|採用担当者が何のために確認しているか
本人希望欄(正式名称:本人希望記入欄)は、希望する職種・勤務地・勤務時間・入社可能日など、採用条件に関わる事項を記入する欄です。多くの転職者が「何を書けばいいかわからない」と感じる箇所ですが、ここの書き方次第で採用担当者の印象が変わります。
採用担当者は希望欄を「応募者のスクリーニング材料」として使っています。書かれた内容が自社の条件と合わないと判断した場合、書類選考の段階で候補者から外すことがあります。「希望欄に何を書いても採用には関係ない」という認識は誤りです。
採用担当者が希望欄で確認していること
- 自社の条件と合致するかどうか:勤務地・雇用形態・職種などが募集要件と大きくずれている場合は早期に判断する
- 事前に共有すべき事情があるかどうか:育児・通院・在職中の連絡制限など、選考を進める上で知っておくべき情報を把握する
- 条件が先行していないかどうか:「給与○○万以上」「残業なし希望」など条件ばかりが並んでいると、志望動機より条件を優先する応募者と判断される
| 書いていいこと | 書かない方がいいこと |
|---|---|
| 希望職種・配属先(複数募集がある場合) | 希望年収・給与の具体的な金額 |
| 勤務地の限定・転勤の可否 | 「残業なし」「転勤なし」などのネガティブ条件 |
| 育児・介護・通院に関する勤務条件 | 条件の列挙(3つ以上) |
| 在職中の連絡可能時間帯 | 志望動機や自己PR的な内容 |
| 入社可能日 | 空欄・「特になし」・「なし」 |
希望欄の基本の書き方|「特に希望がない場合」の正解
最もよくある誤りは、希望欄を空欄のままにすることです。「書くことがない」と思っても、空欄は「記入漏れ」と判断される可能性があります。同様に「特になし」「なし」という記入も、採用担当者によっては丁寧さに欠けると受け取られる場合があります。
特に伝えたい希望がない場合の正解は、「貴社の規定に従います。」の一文のみです。この表現は、特定の条件を持ち込まず、企業側の判断を尊重する意思を示します。多くの採用担当者が「問題なし」と判断する、もっとも無難な記載です。
良い例文(希望がない場合)
貴社の規定に従います。
NG例
「特になし」「なし」「空欄のまま」→ これらはすべて避けてください。採用担当者によっては記入忘れやマナー不足と受け取られることがあります。
入社可能日のみを記載したい場合は、「貴社の規定に従います。入社可能日は○年○月以降を予定しています。」のように組み合わせると、必要な情報を過不足なく伝えられます。入社可能日の詳しい書き方は以下の記事で解説しています。

希望欄に書いていいこと|採用担当者が評価するケースと例文
希望欄に書いていい内容は、「入社後の働き方に直結する情報」かつ「早い段階で企業側が把握しておくべき事情」に限られます。希望というより、選考を円滑に進めるための情報共有という位置づけで書くと、採用担当者への印象が変わります。
希望職種・配属先の希望がある場合
企業が複数の職種・部署を同時に募集している場合、どの職種を希望するかを明示することは有効です。「どの職種でも構わない」よりも、明確に希望を示す方が志望度の高さとして伝わることがあります。「希望職種以外は絶対に嫌」というニュアンスにならないよう、表現に注意が必要です。
良い例文
営業職を第一希望としますが、貴社のご判断に従います。
勤務地・転勤の条件がある場合
家庭の事情や住宅ローンの関係などで、特定エリア以外への転勤が難しい場合は、希望欄に記載しておくことで早期のミスマッチを防げます。「転勤できません」とネガティブに書くのではなく、理由をセットにしてポジティブに表現するのが原則です。
良い例文
家庭の事情により、現在は○○県内での勤務を希望しています。詳細は面接の際にご相談させてください。
NG例
転勤は絶対にできません。○○以外の配属は不可です。→ ネガティブな断定表現は「柔軟性がない」と判断されやすいです。
育児・介護・通院などの制約がある場合
子育て中で保育園のお迎えがある場合や、介護・通院のために特定の曜日に早退・休みが必要な場合は、希望欄に記載しておくことが推奨されます。面接で初めて伝えるより、書類段階で把握してもらう方が、企業側も対応を事前に検討できます。
良い例文(育児の場合)
育児のため、平日17時台に退社できる勤務時間を希望します。業務そのものは全力で取り組みます。
良い例文(通院の場合)
月1回の通院のため、午前休をいただければ幸いです。業務への支障は最小限にとどめます。
休み希望の書き方と例文は、以下の記事を参考にしてください。

在職中で連絡時間に制限がある場合
転職活動中に現職を続けている場合、日中に企業からの電話に出られないことがほとんどです。希望欄に連絡可能時間を記入しておくと、企業側が選考日程を調整しやすくなります。
良い例文(在職中)
在職中のため、ご連絡は平日18時以降または土日にいただけますと幸いです。
連絡可能時間帯の詳しい書き方は以下の記事で解説しています。

採用担当者が落とす希望欄のNG例と改善方法
希望欄でもっとも多いミスは、「書いていいこと」と「書いてはいけないこと」の線引きを誤ることです。以下のNG例は、採用担当者がもっとも頻繁に目にするパターンです。
給与・年収希望を書くのはNG
採用担当者はここを見ている
- 書類選考の段階で給与希望を提示すると「条件交渉を有利に進めようとしている」と捉えられる場合がある
- 記載した金額が社内の給与レンジを大きく超えていると、「ミスマッチ候補」として早々に除外される
- 給与交渉は内定後または面接の終盤が適切なタイミング。書類では「仕事内容への関心」を前面に出した方が有利
NG例
年収450万円以上を希望します。前職の給与水準を維持したいと考えています。
改善例
給与については、面接の際にご相談させていただければ幸いです。貴社の規定に従います。
条件を列挙しすぎるのはNG
「転勤なし」「残業月20時間以内」「土日祝休み」「在宅勤務希望」「フレックス希望」のように複数の条件を並べると、採用担当者に「条件ばかりを優先する人」という印象を与えます。本当に譲れない条件が1〜2点あれば、それだけを書くのが原則です。
NG例
残業は月20時間以内希望。転勤なし希望。土日は出勤不可。在宅勤務を希望します。フレックス対応をお願いします。
ネガティブな断定表現はNG
「○○はできません」「○○以外は不可」「残業は一切できません」など、できないことを断定する表現は「融通が利かない」という印象を与えることがあります。制約がある場合でも、理由を添えてポジティブに言い換えると印象が変わります。
NG例
転勤は絶対にできません。残業は不可です。
改善例
家庭の事情により、現在は○○県内での勤務を希望しています。状況が変わった場合は柔軟に対応いたします。
【状況別】履歴書の希望欄|ケース別の書き方と例文
ここでは、よくある状況別に希望欄の具体的な例文を紹介します。自分の状況に近いケースを参考にしながら、言葉を調整して使ってください。
転職者(在職中)の書き方
在職中の転職活動では、連絡可能な時間帯と入社可能日の見通しを1つの文にまとめるのが最も使いやすい形です。
例文
在職中のため、ご連絡は平日18時以降または土日にお願いできますと幸いです。入社可能日については調整の上ご相談させてください。貴社の規定に従います。
主婦・パート希望・扶養内で働きたい場合
主婦やパートとして扶養範囲内での勤務を希望する場合、その旨を希望欄に記入しておくと企業側がシフト調整をしやすくなります。年収の壁(2026年現在:年収106万円・130万円など複数)のどれに該当するかを明確にしておくと、入社後のトラブルを防げます。
例文(扶養内希望の場合)
扶養範囲内(年収130万円未満)での勤務を希望します。週3〜4日のシフト希望ですが、詳細は貴社のご都合に合わせて調整いたします。
パートの履歴書作成全体で迷っている場合は、パートの志望動機の書き方と例文集も参考になります。
扶養内希望の詳しい書き方は以下の記事で解説しています。


育児・子育て中で時間や曜日に制約がある場合
例文
保育園のお迎えのため、平日17時30分には退社できる勤務時間を希望します。子どもの体調不良時は急遽お休みをいただく場合があります。詳細は面接でご相談させてください。
休み希望の書き方(バイト・パート向けの例文を含む)は以下の記事で詳しく解説しています。

入社可能日を希望欄に書く場合
在職中で退職手続きに時間がかかる場合、入社可能日を希望欄に記入しておくことで企業側が採用スケジュールを立てやすくなります。「すぐに入社できる」場合は「相談の上決定いたします」で問題ありません。
例文
入社可能日は2026年○月○日以降を予定しています。詳細は貴社のご都合に合わせて調整いたします。

社会保険加入を希望する場合(パート・アルバイト)
一定時間以上働くことで社会保険への加入を希望する場合、希望欄に明記しておくと企業側の雇用形態の検討が早まります。特に2026年の制度改正(短時間労働者の社会保険適用拡大)以降、このニーズは増えています。
例文
社会保険加入を希望します。勤務時間・日数については貴社の規定に合わせて調整いたします。

採用担当者が「問題ない」と判断する希望欄の3つの条件
採用担当者が書類選考の際に希望欄を見て「この候補者を選考に進めよう」と判断するケースには、共通したパターンがあります。
- 条件は1〜2点に絞られている:複数の条件を列挙せず、本当に伝えるべきことだけを記載している。「他の条件は貴社の規定に従います」という余白があると、柔軟性が伝わる
- 理由が一言添えてある:「育児のため」「在職中のため」など、条件の背景が書かれていると、採用担当者は「この人を選考に進めると何が変わるか」を判断しやすくなる
- ポジティブな姿勢が伝わる表現になっている:「○○はできません」という否定形より、「○○を希望しますが、詳細は面接でご相談させてください」という前向きな表現の方が、採用担当者の印象が良い
この3点を満たした希望欄は、採用担当者が「この条件なら対応できそう」と判断しやすく、書類選考の通過率に影響します。
まとめ
- 希望欄は空欄にせず、希望がない場合は「貴社の規定に従います」と記入する
- 書いていい内容は「希望職種・勤務地の制約・育児介護通院の事情・在職中の連絡時間・入社可能日」に限られる
- 給与希望・条件の列挙・ネガティブな断定表現は採用担当者の印象を下げるNG
- 条件は1〜2点に絞り、理由を添えてポジティブな表現にまとめる
- 「貴社の規定に従います」を基本にし、本当に必要な情報だけを付け加える構成が、採用担当者に最も好印象を与える
勤務時間の希望の具体的な書き方については、以下の記事も参考にしてください。

履歴書の希望欄に関するよくある質問
- 希望欄に「特になし」と書いてもいいですか?
-
「特になし」は避けた方が無難です。希望がない場合でも「貴社の規定に従います。」と書くのが正解です。「特になし」や空欄は、採用担当者によっては記入が雑という印象を持たれることがあります。
- 希望欄に給与の希望を書いてもいいですか?
-
書かない方が無難です。給与希望を書類に記載すると「条件先行」と判断されることがあります。給与交渉は面接の終盤か内定後が適切なタイミングです。どうしても触れる場合は「面接でご相談できればと思います」という表現に留めてください。
- 転勤できない場合、希望欄にどう書けばいいですか?
-
「転勤はできません」という断定は避け、「家庭の事情により、現在は○○エリアでの勤務を希望しています。詳細は面接でご相談させてください。」のように、理由を添えてポジティブに表現するのが基本です。
- 在職中の場合、希望欄に何を書けばいいですか?
-
連絡可能な時間帯と入社可能日の見通しを記載するのが有効です。「在職中のため、ご連絡は平日18時以降または土日にお願いできますと幸いです。入社可能日は相談の上決定いたします。」という形が一般的です。
- 希望欄には何文字くらい書けばいいですか?
-
伝えたい内容がない場合は「貴社の規定に従います。」の15文字程度で問題ありません。条件がある場合でも50〜100文字を目安に簡潔にまとめるのが適切です。長すぎると「条件が多い」という印象を与えます。


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