この記事では、転職の履歴書に書く志望動機の例文を、採用担当者が実際に見ているポイントとあわせて紹介します。退職理由との一貫性を保ちながら、状況別に書き分けるコツも解説します。
採用担当者が転職の志望動機で見ている4つのポイント
中途採用の書類選考で、職務経歴と並んで重視されるのが志望動機です。採用担当者が1通の書類にかける時間は5〜10分程度とされ、内容の薄さや矛盾は短時間で見抜かれます。
採用担当者が転職の志望動機で見ている4つのポイント
- 本気度:「この会社でなければならない理由」が明確に書かれているか
- 企業研究の深さ:会社案内に載っている基本情報だけで終わっていないか
- Whyの具体性:何に魅力を感じたかだけでなく、なぜそう感じたかが自分の経験とつながっているか
- 退職理由との一貫性:職務経歴書や面接で深掘りされても崩れない内容になっているか
このうち特に見落とされやすいのが、4つめの退職理由との一貫性です。詳しくは後述します。
志望動機の基本構成|書き出し・エピソード・締めくくり
志望動機は「書き出し」「エピソード」「締めくくり」の3つで構成すると、読み手に伝わりやすくなります。全体の目安は200〜300字です。
書き出しで押さえること
書き出しでは、応募企業に興味を持ったきっかけを一文で示します。抽象的な感想ではなく、事業内容や職種の特徴など、具体的な要素に触れることがポイントです。
エピソードで差がつくポイント
エピソードでは、前職の経験と応募企業の仕事内容を結びつけます。担当した業務内容や成果を数字で示すと、採用担当者が入社後の活躍をイメージしやすくなります。
締めくくりで意欲を伝える
締めくくりでは、入社後にどう貢献したいかを具体的に書きます。「頑張ります」で終える文章は印象に残りにくいため、担当したい業務や役割まで踏み込みます。
良い例
前職では法人営業として、既存顧客への提案とデータ分析による顧客管理を3年間担当してまいりました。貴社が展開する〇〇事業は、これまでの提案営業の経験に加え、データ活用のスキルを直接活かせる分野だと考え、志望いたしました。入社後は既存の顧客管理の仕組みを分析し、提案の精度を高めることで、売上拡大に貢献したいと考えております。
NG例
貴社の経営理念に共感し、成長できる環境だと感じたため志望いたしました。前職で培った経験を活かし、貴社に貢献できるよう精一杯努力してまいります。理由が抽象的で、他の企業にもそのまま使い回せる内容になっている点が、書類選考で見抜かれやすいポイントです。
職務経歴書もあわせて見直したい場合は、職務経歴書の書き方の記事も参考にしてください。

例文をそのまま使うと見抜かれる理由|退職理由とのズレが命取りになる
志望動機の例文をそのまま書き写すと、内容が薄くなりがちです。原因の多くは、退職理由という本音を隠そうとするところにあります。
採用担当者はここで見抜いている
- 志望動機だけが立派で、職務経歴書の退職理由欄と話がかみ合っていない
- 「スキルアップしたい」など、前職での不満を言い換えただけの抽象的な表現になっている
- 面接で深掘りされたときに、志望動機と話す内容が変わってしまう
前職への不満をそのまま書く必要はありませんが、隠そうとするほど文章から具体性が消え、誰にでも当てはまる例文に近づいてしまいます。本音を土台にして、応募企業との接点に変換する意識を持つと、内容に説得力が生まれます。
【状況別】転職の志望動機 例文集
状況によって、志望動機で強調すべき点は変わります。採用担当者は、状況に応じた説明があるかどうかで自己分析の深さを判断しているため、自分に近いケースを参考に書き換えてください。
同業種・同職種への転職(経験を活かす場合)
前職の経験をそのまま活かせる転職では、実績を数字で示すことが説得力につながります。
良い例
前職では医療機器メーカーの法人営業として、年間120件の新規提案を担当し、契約率を3年間で15%から22%まで引き上げてまいりました。貴社は同分野でシェア拡大を進めていると伺い、これまでの提案手法をより大きな市場で試したいと考え、志望いたしました。
未経験の職種に挑戦する場合
未経験の職種では、前職のスキルのうち何がそのまま応用できるかを具体的に示す必要があります。
良い例
前職では店舗スタッフとしてクレーム対応や在庫管理を担当し、限られた人員で業務を回す工夫を重ねてまいりました。貴社が募集する在庫管理の実務でも、店舗運営で培った調整力を活かせると考え、応募いたしました。
離職期間がある場合
離職期間があっても、期間中に何をしていたかを一言添えるだけで印象は変わります。アルバイトを続けながら転職活動をしていた場合の書き方は、フリーターの履歴書の書き方の記事でも詳しく解説しています。
良い例
体調管理のため半年間療養しておりましたが、現在は業務に支障のない状態まで回復しております。療養中は医療事務の通信講座を受講し、貴社の窓口業務にすぐに活かせるよう準備を進めてまいりました。
転職回数が複数回ある場合
転職回数が多い場合は、それぞれの転職に共通する軸を示すと、場当たり的な印象を避けられます。
良い例
これまでの転職はいずれも、経理業務の専門性を高めるという軸で選んでまいりました。貴社では上場準備に伴う経理体制の強化を進めていると伺い、これまで積み上げた決算実務の経験を最も活かせる環境だと考え、志望いたしました。
書類選考で落ちる志望動機のNG例と改善のコツ
ここでは、書類選考で実際に評価が下がりやすい志望動機を、改善版とあわせて紹介します。
NG①:条件面だけを理由にした例文
NG例
残業が少なく、給与水準も高いと伺い志望いたしました。条件面だけの理由は、入社後のミスマッチを懸念され評価が下がります。
改善例
前職では月40時間ほどの残業の中で業務効率化に取り組み、残業時間を月15時間まで削減した経験があります。貴社の生産性向上への取り組みに、この経験を活かしたいと考え志望いたしました。
NG②:どこにでも使える内容(企業独自性ゼロ)
NG例
貴社の理念に共感し、社会に貢献できる仕事がしたいと考え志望いたしました。理念への共感だけでは、なぜ他社ではなく貴社なのかが伝わりません。
改善例
貴社が独自に展開している事業拡大の取り組みに関心を持ちました。前職で培った顧客折衝の経験を、この取り組みに直接活かしたいと考え志望いたしました。
言葉づかいそのものを見直したい場合は、履歴書のNGワードの記事も参考にしてください。

退職理由と志望動機に一貫性を持たせる書き方
退職理由と志望動機がかみ合っていないと、面接で深掘りされたときに答えに詰まりやすくなります。以下の表を参考に、前向きな表現に言い換えてください。
| 退職理由(本音) | 志望動機での言い換え |
|---|---|
| 給与が上がらなかった | 成果が評価に反映される仕組みのもとで働きたい |
| 人間関係に悩んだ | チームで連携しながら成果を出せる環境で働きたい |
| 残業が多く体調を崩した | 業務効率化に取り組みながら成果を出せる環境で働きたい |
| 昇進の機会がなかった | 経験を積んだ分野でより裁量のある仕事に挑戦したい |
| 会社の将来性に不安があった | 成長を続ける分野で長期的にキャリアを築きたい |
言い換える際は、前職への不満そのものではなく、その経験から何を得たいと思うようになったかを書くことがポイントです。退職理由の書き方自体に迷う場合は、短期離職の履歴書の書き方の記事も参考にしてください。

まとめ
- 志望動機は「書き出し・エピソード・締めくくり」の3構成でまとめる
- 例文をそのまま使わず、自分の経験の数値やエピソードを加える
- 退職理由と志望動機に一貫性を持たせ、面接での深掘りに備える
これらを押さえれば、書類選考の通過率を高める志望動機に仕上がります。
転職の志望動機に関するよくある質問
- 志望動機と転職理由は同じ内容で問題ありませんか?
-
同じ内容である必要はありませんが、矛盾しないようにする必要があります。転職理由は退職の背景、志望動機はその企業を選んだ理由として、それぞれ異なる角度から説明すると自然です。
- 志望動機は何文字で書けばいいですか?
-
履歴書の志望動機欄は200〜300字程度が目安です。欄のスペースに応じて調整しつつ、書き出し・エピソード・締めくくりの3要素が入る分量を確保してください。
- 志望動機を複数の企業に使い回してもいいですか?
-
企業名や事業内容に触れる部分は使い回すと矛盾が生じやすいため、応募企業ごとに調整することをおすすめします。基本構成のテンプレートだけを共通にし、エピソードと企業への言及は個別に書き直してください。
- 志望動機に「給与を上げたい」という本音を書いてもいいですか?
-
条件面の希望をそのまま書くと、入社後のミスマッチを懸念されやすくなります。給与を上げたい背景にある「成果を正当に評価されたい」という思いを、企業の評価制度や仕事内容と結びつけて書くと伝わりやすくなります。


コメント