薬剤師の履歴書は、免許・資格欄に「薬剤師免許 取得」と正式名称で書き、日付は国家試験の合格日ではなく薬剤師名簿への登録年月日を記載するのが正解です。この2点を外すと、それだけで書類作成に不慣れな印象を与えます。この記事では免許欄・学歴職歴欄・志望動機の書き方を、職場別の例文とNG例つきで整理しました。
薬剤師の履歴書の書き方【項目別の記入例】
差がつくのは「免許・資格欄」と「志望動機」の2か所
氏名や住所の書き方で落ちる応募者はいません。薬剤師の書類選考で評価が分かれるのは、免許・資格欄と志望動機です。前者は正確性、後者は「なぜこの職場か」を見られています。
医師・薬剤師の有効求人倍率は2023年時点で2.15倍。2019年の3.77倍から大きく下がっており、とくに関東エリアは応募者が集まるぶん採用基準が上がっています。資格さえあれば通る時代ではなくなった、という前提で書類を作る必要があります。
薬剤師の履歴書|項目別の書き方早見表
| 項目 | 薬剤師ならではの注意点 |
|---|---|
| 日付 | 提出日(郵送なら投函日、持参なら持参日)を記入。西暦か和暦のどちらかに統一する |
| 写真 | 縦40mm×横30mm。白衣ではなくスーツで撮影する |
| 学歴 | 薬学部薬学科(6年制)と薬科学科(4年制)を区別して正式名称で書く |
| 職歴 | 「入社・退社」ではなく「入職・退職」で統一。業務内容に処方箋枚数や診療科を添える |
| 免許・資格 | 「薬剤師免許 取得」。日付は薬剤師名簿の登録年月日 |
| 志望動機 | 調剤薬局は「貴局」、病院は「貴院」、企業は「貴社」を使い分ける |
| 本人希望 | 勤務地・勤務日数など譲れない条件のみ簡潔に。給与額は書かない |
用紙そのものに指定がない場合は、職歴欄が広めのものを選ぶと業務内容を書き込みやすくなります。転職用の履歴書テンプレートはスマートフォンからも作成できます。
薬剤師免許の正式名称と免許・資格欄の書き方
正式名称は「薬剤師免許」。日付は合格日ではなく登録年月日
薬剤師の国家資格の正式名称は「薬剤師免許」です。「薬剤師資格」「薬剤師免許証」「薬剤師国家資格」はいずれも正式名称ではありません。
もうひとつ間違いが多いのが日付です。薬剤師は国家試験に合格しただけでは業務ができず、厚生労働省へ申請して薬剤師名簿に登録された時点で免許が発生します。履歴書に書くのは、この薬剤師名簿の登録年月日です。合格発表の日を書いてしまうと、実際の免許証と1〜2か月ずれます。
良い例文
2020年5月 薬剤師免許 取得
2022年9月 研修認定薬剤師(公益財団法人日本薬剤師研修センター) 認定
2018年3月 普通自動車第一種運転免許 取得
薬剤師免許を最上段に置き、関連する認定資格、その他の免許の順に並べています。認定資格は認定団体名まで書くと、どの制度の認定かが採用担当者に一目で伝わります。
NG例
2020年3月 薬剤師資格 取得
→「資格」は正式名称ではありません。さらに3月は国家試験の合格発表月であり、登録年月日とずれています。
2020年3月 第105回薬剤師国家試験 合格
→試験合格と免許取得は別の手続きです。合格の記載だけでは、免許を保有しているかが書類上わかりません。
2020年5月 薬剤師免許証 取得
→免許証は交付される「紙」の名前です。資格そのものを指す場合は「薬剤師免許」と書きます。
登録年月日がわからないときの確認方法
免許証をしまい込んでいて日付が思い出せない、というケースは珍しくありません。確認手段は限られているため、履歴書を書き始める前に押さえておくと安心です。
- 薬剤師免許証の原本を見る:「薬剤師名簿登録年月日」「薬剤師名簿登録番号」として明記されています。これが最も確実です
- 登録済証明書を確認する:免許申請時に交付手続きをしていれば、免許証到着前でも登録年月日がわかります
- 厚生労働省の薬剤師資格確認検索システム:氏名から登録の有無と登録年までは確認できます。ただし月日までは公開されていません
- 電話照会はできない:名簿を管理する厚生労働省は、本人であっても電話や来庁による登録番号・登録年月日の照会に応じていません
免許証を紛失している場合は再交付申請が必要で、手元に届くまで時間がかかります。応募期限が迫っているなら、まず登録年だけでも確認し、月まで不確かなまま推測で書くことは避けてください。入職時に免許証の原本確認が行われるため、そこでズレが発覚します。
免許取得前・申請中の書き方(薬学生の就職活動)
6年制薬学科の学生が就職活動をする時期は、まだ国家試験を受けていない段階です。状況に応じて書き分けます。
| 状況 | 記載例 |
|---|---|
| 国家試験受験前 | 2027年2月 第113回薬剤師国家試験 受験予定 |
| 合格後・免許申請中 | 2027年3月 第113回薬剤師国家試験 合格(薬剤師免許 申請中) |
| 免許交付済み | 2027年5月 薬剤師免許 取得 |
受験予定の場合は回次と実施月を添えると、採用担当者が入職までのスケジュールを組み立てやすくなります。新卒向けの書式は新卒用の履歴書テンプレートから用意できます。

認定薬剤師・専門薬剤師の書き方
認定資格は、応募先が求める専門性と重なると強い材料になります。在宅医療やがん化学療法に力を入れている職場では、免許欄の情報だけで面接に進む判断がされることもあります。
- 研修認定薬剤師:公益財団法人日本薬剤師研修センターの認定。生涯研修を継続している証明として広く認知されています
- 漢方薬・生薬認定薬剤師:ドラッグストアや漢方を扱う薬局への応募で評価されます
- がん薬物療法認定薬剤師:がん診療連携拠点病院や外来化学療法を行う施設への応募で効きます
- 認定期限が切れている場合:現在有効なものだけを書きます。失効した認定を有効であるかのように書くのは経歴詐称にあたります
採用担当者はここを見ている
- 免許欄の表記ミスは、調剤過誤への警戒感に直結する。薬を扱う職種だからこそ「文字の正確さ」を人物評価の材料にしている
- 登録番号の記載は義務ではない。入職手続き時に免許証の原本で確認するため、履歴書段階では任意でよい
- 認定資格が空欄でも減点はされない。ただし応募先の専門領域と一致する認定があるのに書き漏らすと、単純に機会損失になる
薬剤師の学歴・職歴欄の書き方
学歴欄は6年制・4年制を区別して書く
薬学部には薬剤師国家試験の受験資格が得られる6年制の薬学科と、研究職を主な進路とする4年制の薬科学科があります。採用担当者はここで受験資格の有無を確認するため、学科名は省略せず正式名称で書きます。
良い例文
2014年4月 ○○大学 薬学部 薬学科(6年制) 入学
2020年3月 ○○大学 薬学部 薬学科(6年制) 卒業
NG例
2014年4月 ○○大薬学部 入学
→大学名の略記と学科名の省略は避けます。「○○大」ではなく「○○大学」、学科まで書くのが基本です。
職歴欄は「入職・退職」で統一し、業務内容を数字で書く
医療業界では「入社・退社」ではなく「入職・退職」を使うのが一般的です。調剤薬局やドラッグストアは企業でもあるため入社表記が誤りというわけではありませんが、病院歴と混在すると読みにくくなります。全体をどちらかに統一してください。
より重要なのは業務内容です。「調剤業務に従事」だけでは、何ができる薬剤師なのかが伝わりません。規模や領域を示す数字をひとつ入れるだけで印象が変わります。
良い例文
2020年5月 株式会社○○(○○薬局△△店) 入職
1日平均処方箋80枚の内科・整形外科門前薬局にて調剤および服薬指導を担当
2023年4月より管理薬剤師として在籍薬剤師4名をマネジメント
2025年8月 一身上の都合により退職
NG例
2020年5月 ○○薬局 入社
2025年8月 退社
→業務内容が空白で、退職理由の記載もありません。職歴欄の締めくくりには「一身上の都合により退職」と明記します。理由のない空欄は、聞かれたくない事情があるのではという見方につながります。
職歴欄に書ききれない実績は職務経歴書に回します。薬剤師の職務経歴書テンプレートには調剤・服薬指導・在庫管理の記入欄が用意されています。
店舗異動・派遣・転職回数が多い場合の整理
| 状況 | 書き方 |
|---|---|
| 同一法人内の店舗異動 | 入職・退職は法人単位で1回。異動は業務内容欄に「2022年4月 △△店へ異動」と補足する |
| 派遣薬剤師 | 雇用主である派遣会社名を職歴に書き、派遣先は業務内容欄で「調剤薬局にて勤務」と記す |
| 短期・単発が多い | 期間ごとに羅列せず「2023年4月〜2024年3月 派遣薬剤師として調剤薬局5施設に勤務」とまとめる |
| ブランクがある | 空白のままにせず、育児・介護・研修など事由を1行添える |

【職場別】薬剤師の志望動機の例文
志望動機は「転職の背景」「この職場を選んだ理由」「入職後にやりたいこと」の3つで組み立てます。抜けやすいのは2つ目です。ここが薄いと、どこにでも出せる文章として処理されます。
調剤薬局へ転職する場合
良い例文
病院で急性期患者さまの薬剤管理に携わるなかで、退院後の服薬状況まで継続して関わりたいという思いが強くなりました。貴局は近隣3医院と連携した在宅訪問を月100件規模で行っており、退院時カンファレンスにも薬剤師が参加されていると伺っています。病棟で培った薬物療法の知識を、在宅患者さまの服薬管理に活かしたいと考え応募いたしました。
NG例
患者さまに寄り添える薬剤師になりたいと考えています。貴局の地域密着型の姿勢に共感しました。これまでの経験を活かして貢献したいと思い応募いたしました。
→「地域密着」はどの薬局にも当てはまります。共感した具体的な取り組みと、自分の経験のどこが噛み合うのかが書かれていません。
病院薬剤師へ転職する場合
良い例文
調剤薬局で5年間、精神科の処方箋を中心に月1,600枚を応需してきました。疑義照会を重ねるなかで、処方設計の段階から関わる立場で薬物療法に貢献したいと考えるようになりました。貴院は緩和ケアチームに薬剤師が常時参加されており、薬剤師が治療方針の議論に加わる体制が整っています。向精神薬の用量調整で培った知識を、チーム医療の場で活かしたく応募いたしました。
ドラッグストアへ転職する場合
良い例文
調剤薬局で勤務するなかで、処方箋を持たずに体調の相談に来られる方が想像以上に多いことを実感してきました。貴社は調剤併設店舗でOTCと処方薬を横断した相談対応を進められており、受診勧奨の基準を社内で明文化されている点に関心を持ちました。受診が必要な方を見極めて医療機関につなぐ役割を、店頭で担いたいと考えています。
製薬企業・DI職へ転職する場合
良い例文
薬局薬剤師として、医薬品情報を照会する側の立場で5年間業務にあたってきました。現場が本当に必要としている情報の粒度を体感してきたことが、DI業務における自分の強みになると考えています。貴社の製品群は在宅医療で使用頻度が高く、問い合わせの背景にある臨床上の困りごとを推測しながら回答できる点で貢献できると考え応募いたしました。
ブランクあり・パート勤務を希望する場合
良い例文
出産を機に3年間現場を離れておりましたが、その間も研修認定薬剤師の単位取得を継続し、昨年更新いたしました。子どもが就学したため、平日9時から15時の勤務で復帰したいと考えています。前職では小児科門前で年間を通じて散剤調剤を担当しており、粉薬を嫌がるお子さまへの服薬指導と保護者対応には自信があります。
採用担当者はここを見ている
- ブランクそのものは減点材料ではない。空白期間に何をしていたかが書かれているかを見ている
- 認定資格の更新継続は「離れていた間も専門性を維持していた」証拠として機能する
- パート応募では、勤務可能な曜日・時間を志望動機か本人希望欄で必ず示す。ここが不明だとシフトが組めず見送りになりやすい
志望動機で書ききれない経験の棚卸しには、医療業界の職務経歴書テンプレートが使えます。
薬剤師の本人希望記入欄の書き方
正社員応募で条件が特にないなら「貴社(貴局・貴院)の規定に従います」で問題ありません。空欄にすると書き忘れと見なされるため、必ず何かを記入します。
一方で、勤務地や勤務日数に譲れない条件があるなら、面接ではなく履歴書の段階で書いておくほうが結果的に早く決まります。入職直前に条件が食い違うと、双方の時間が無駄になるためです。
| 書いてよい条件 | 履歴書には書かない条件 |
|---|---|
| 勤務可能な曜日・時間帯 | 希望年収・時給の具体額 |
| 転居を伴う異動の可否 | 残業を避けたいという要望のみの記載 |
| 扶養内勤務の希望 | 有給休暇の取得しやすさへの質問 |
| 在宅訪問への同行可否(車の運転可否) | 特定の同僚・上司に関する要望 |
給与額を履歴書に書くと、条件面から入る応募者という印象が先に立ちます。年収の希望は面接や、エージェント経由なら担当者を通じて伝えるほうが調整の余地が残ります。パート応募で条件欄の記入量が多くなる場合は、パート用の履歴書テンプレートのように本人希望欄が広い書式を選んでください。
採用担当者が落とす薬剤師の履歴書NGパターン
書類選考で見送りになる理由は、能力不足よりも「書類の作り方」であることが少なくありません。頻出するものを挙げます。
- 誤字脱字・修正液の使用:調剤過誤への警戒感と結びつけて見られます。手書きで書き損じたら書き直してください
- 西暦と和暦の混在:学歴は和暦、職歴は西暦といった混在は事務処理の雑さと受け取られます
- 敬称の誤り:病院に「貴社」、調剤薬局に「貴院」を使うミス。応募先の業態を確認していない印象になります
- 志望動機の使い回し:施設名を差し替えただけの文章は、多数の応募書類を読む担当者にはほぼ見抜かれます
- 免許が旧姓のまま:結婚後に書換えをしていないと、履歴書の氏名と免許証が一致せず入職手続きで止まります
旧姓の免許証は、住所地の保健所を通じて厚生労働省へ書換え交付を申請します。手続きには時間がかかるため、応募と並行して進めてください。

まとめ
- 免許・資格欄は「薬剤師免許 取得」。「薬剤師資格」「薬剤師免許証」「国家試験合格」は誤り
- 日付は国家試験の合格日ではなく、薬剤師名簿への登録年月日を書く
- 登録年月日は免許証で確認する。厚生労働省は本人でも電話照会に応じていない
- 職歴欄は「入職・退職」で統一し、処方箋枚数・診療科・病床数など数字をひとつ添える
- 志望動機は「転職の背景」「この職場を選んだ理由」「入職後にやりたいこと」の3点で組む
薬剤師の求人倍率は依然として高い水準にありますが、応募が集まる職場ほど書類の精度で差がつきます。免許欄と志望動機の2か所を整えるだけで、通過率は目に見えて変わります。
薬剤師の履歴書に関するよくある質問
- 薬剤師免許の登録番号は履歴書に書くべきですか?
-
記載は義務ではなく、書かなくても減点にはなりません。入職手続きの際に免許証の原本で確認されるためです。応募先から指定がある場合のみ、免許証に記載された薬剤師名簿登録番号をそのまま転記してください。
- 薬剤師の履歴書は手書きとパソコンのどちらがよいですか?
-
どちらでも選考上の有利不利はほとんどありません。応募先から指定があればそれに従います。手書きの場合は修正液・修正テープが使えず書き直しになるため、記入前に下書きを用意しておくと安全です。パソコン作成なら西暦・和暦とフォントの統一を確認してください。
- 免許証を紛失していて登録年月日がわかりません。どうすればよいですか?
-
厚生労働省の薬剤師資格確認検索システムで登録年までは確認できますが、月日は公開されていません。正確な日付が必要な場合は住所地の保健所を通じて免許証の再交付を申請します。厚生労働省は本人からの電話照会にも応じていないため、推測で記入することは避けてください。
- 調剤薬局と病院の職歴が混在する場合、表記は統一すべきですか?
-
統一してください。病院は「入職・退職」、調剤薬局は「入社・退社」でも誤りではありませんが、1枚の履歴書で混在すると読みにくくなります。医療機関への応募であれば、すべて「入職・退職」でそろえるのが最もすっきりします。

