この記事では、経理職への転職活動で提出する職務経歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。担当業務の書き方・会計ソフトの記載・自己PRの構成まで、書類選考を通過するポイントと状況別の例文を紹介します。
経理の職務経歴書と履歴書の違いを整理する
経理職の転職では、履歴書と職務経歴書の両方を求める企業がほとんどです。2つの書類は役割が異なり、採用担当者の読み方も変わります。
| 書類 | 主な役割 | 採用担当者が見るポイント |
|---|---|---|
| 履歴書 | 基本プロフィールの確認 | 学歴・資格・転職回数・ブランクの有無 |
| 職務経歴書 | 業務スキルの詳細確認 | 経理業務の範囲・実績・会計ソフト経験・企業規模 |
経理は専門性が求められる職種です。履歴書の資格欄に「日商簿記2級」と書いても、職務経歴書でどの業務を担当していたかを伝えなければ評価につながりません。採用担当者は職務経歴書を通じて「この方は自社の経理業務のどの範囲を即戦力として任せられるか」を判断しています。
履歴書は「会えるか・会えないか」を判断するための書類、職務経歴書は「採用できるか・できないか」を判断するための書類と考えると分かりやすいです。経理職の転職では特に職務経歴書の質が選考結果を左右します。
採用担当者が経理の職務経歴書で最初に確認する3つのポイント
採用担当者が経理の職務経歴書を受け取ったとき、最初の30秒で確認するポイントは3つに絞られます。この3つを意識して書くだけで、書類の印象は大きく変わります。
担当していた経理業務の範囲と深さ
経理業務は「日常的な記帳・伝票処理」から「連結決算・開示書類作成」まで、難易度に大きな幅があります。採用担当者が真っ先に確認するのは、「この方はどこまでの業務を経験しているか」という点です。
| 業務レベル | 主な業務内容 |
|---|---|
| 入門 | 伝票入力・経費精算・請求書処理・ファイリング |
| 基礎 | 月次試算表の作成補助・売掛金・買掛金管理・資金繰り管理 |
| 中級 | 月次決算(単独対応)・固定資産管理・原価計算 |
| 上級 | 年次決算・税務申告書作成・連結決算・有価証券報告書作成 |
採用担当者はここを見ている
- 「月次決算」「年次決算」を単独で対応できるのか、補助なのかを区別している
- 決算業務の有無が、経理担当者としての「即戦力レベル」を判断する最大の指標
- 業務範囲があいまいな書き方(「経理全般」「決算補助」)は評価しにくい
会計ソフト・ITツールの使用経験
会計ソフトのスキルは、採用後すぐに業務が開始できるかどうかを左右します。自社が使用しているソフトと経験があれば、教育コストが下がるため採用担当者の評価は上がります。
- 中小企業でよく使われるソフト:弥生会計・freee・マネーフォワードクラウド会計
- 中堅〜大企業でよく使われるソフト:OBC奉行・勘定奉行・PCA会計
- 大企業・グローバル企業で使われるソフト:SAP・Oracle・Workday
会計ソフトに加え、ExcelスキルはすべてのレベルのExcelで評価対象です。「VLOOKUP」「ピボットテーブル」「マクロ」など、使える機能を具体的に記載してください。「Excelが使える」という表現は採用担当者には何も伝わりません。
在籍企業の規模と業種
同じ「月次決算担当」でも、売上高10億円・従業員50名の中小企業と売上高500億円・従業員2,000名の中堅企業では、業務の複雑さがまったく異なります。採用担当者は在籍企業の規模を見て、業務経験のレベルを推測しています。
特に記載すべき企業情報は以下の通りです。
- 売上高(例:売上高約150億円)
- 従業員数(例:従業員数300名)
- 業種(例:製造業・小売業・IT・不動産)
- 連結子会社の有無(例:連結子会社3社の会計担当)
経理の職務経歴書で書くべき項目と書き方
職務経歴書には決まった書式はありませんが、経理職の採用で評価される職務経歴書には共通した構成があります。各項目の書き方のポイントを解説します。
職務要約の書き方
職務要約は職務経歴書の冒頭に置く、全体を200〜300文字で要約したセクションです。採用担当者が最初に読む部分であり、書類全体の印象を決めます。
職務要約には以下の3つの情報を必ず盛り込んでください。
- 在籍企業の規模・業種:「製造業メーカー(売上高150億円・従業員300名)」
- 担当した業務の最高レベル:「月次・年次決算業務を単独で対応」
- 具体的な実績や強み:「月次決算作業期間を4営業日から3営業日に短縮」
担当業務(業務内容欄)の書き方
担当業務の欄は、「■大分類」→「・小分類」の2段階構造で書くと採用担当者が読みやすくなります。業務を羅列するだけでなく、業務の量感(月何件・年何回など)や担当範囲(単独対応・チーム対応)も一緒に書くのがポイントです。
良い書き方の例
■ 決算業務
・月次決算(仕訳入力〜試算表確認まで単独対応・月15日完了)
・年次決算(BS/PL作成・固定資産管理・棚卸立会)
・法人税申告書作成補助(税理士法人と連携)
■ 日常業務
・仕訳入力・伝票処理(月500件程度)
・経費精算・請求書処理
・資金繰り表作成・銀行対応
NG例
・月次決算業務
・伝票入力
・経費精算
業務名だけの羅列では、採用担当者は業務の深さ・量・担当範囲を何も読み取れません。「月次決算業務」と書いても、単独対応なのか補助なのか、どの工程まで関与していたのかが分からないため、評価できない書類になります。
スキル・資格欄の書き方
スキル・資格欄では、会計ソフトの経験と資格情報を整理して記載します。会計ソフトは「ソフト名+使用年数(目安)」をセットで書くと、採用担当者が経験レベルを判断しやすくなります。
| カテゴリ | 記載例 |
|---|---|
| 会計ソフト | 弥生会計(5年)・freee会計(2年) |
| Excelスキル | VLOOKUP・ピボットテーブル・条件付き書式・IF関数 |
| 資格 | 日商簿記検定2級(2020年11月取得) |
日商簿記2級は経理転職の場面でもっとも評価される資格の一つです。転職先で求められる業務レベルによっては、1級や税理士科目合格も記載することで差別化になります。
自己PR欄の書き方
自己PR欄は「強み→具体的な根拠(数値・エピソード)→転職先での活かし方」の順に書くと採用担当者に伝わりやすくなります。「正確性・几帳面さ・数字に強い」という内容は多くの応募者が書くため、同じ内容でも具体的な数値やエピソードを添えることで説得力が生まれます。
自己PR の書き方フレーム
【強み】月次決算の効率化と正確性の両立
【根拠】前職では月次決算を一人で担当する中、決算作業のチェックリストを自作してExcelで管理することで、転記ミスをゼロに抑えながら決算完了を従来の4営業日から3営業日に短縮しました。
【活かし方】貴社でも同様のアプローチで経理業務の精度向上と効率化に貢献できると考えています。
採用担当者に落とされるNGパターン4選
採用担当者が書類を見て「評価できない」と判断するNG書き方には、繰り返し見られるパターンがあります。次のいずれかに当てはまっている場合は、書き直しを検討してください。
NG1:業務を羅列しただけで成果・数値がない
「月次決算担当」「伝票入力」のように業務名だけを並べても、採用担当者は具体的な担当レベルを判断できません。「月次決算を単独で担当(月15日クローズ・年12回)」のように量感と責任範囲を添えることが必須です。
NG2:在籍企業の規模を記載していない
会社名だけでは採用担当者は企業の規模を知らない場合がほとんどです。売上高・従業員数・業種を記載しないと、経験レベルの推測ができず評価が下がります。中小企業の一人経理と大企業の経理部での業務では求められるスキルが大きく異なり、採用担当者はその文脈で経験を評価します。
NG3:会計ソフトを「各種ソフト」と曖昧に書く
「各種会計ソフト対応可能」という表現は何も伝わりません。採用先が弥生会計を使っているのにSAPの経験しかない場合は教育コストが発生するため、具体的なソフト名を書かないと採用担当者は判断できません。使ったことのあるソフトはすべて名前を出し、使用期間の目安も添えてください。
NG4:「補助」「一部担当」のような曖昧な表現
「月次決算補助」という表現は避けてください。採用担当者は「どの工程を担当したのか」を知りたいのです。「月次決算の仕訳入力・試算表確認工程を担当(最終チェックは上長確認)」のように、担当した範囲を具体的に示すことで正当な評価につながります。経験が浅くても正直に書くことが重要です。
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ここでは状況別に職務経歴書の例文を紹介します。自分の状況に合ったパターンを参考に、数値や業務内容を自分の経験に置き換えてください。
経理経験3年以上の場合(月次・年次決算対応)
職務要約の例文
製造業メーカー(売上高150億円・従業員300名)にて5年間にわたり経理業務を担当。月次・年次決算を一人で対応し、法人税申告書の作成補助まで経験しています。Excelによる業務改善に積極的に取り組み、月次決算の作業期間を4営業日から3営業日に短縮した実績があります。使用ソフトは弥生会計(5年)・Excel(ピボットテーブル・VLOOKUP・IF関数活用)。
担当業務欄の例文
■ 決算業務
・月次決算(仕訳入力〜試算表確認まで単独対応・毎月15日完了)
・年次決算(BS/PL作成・固定資産管理・棚卸立会)
・法人税申告書作成補助(顧問税理士と連携)
・消費税申告書作成補助
■ 日常業務
・仕訳入力・伝票処理(月500件程度)
・経費精算・請求書処理・振込手続き
・売掛金・買掛金の管理・残高確認
・資金繰り表の作成・銀行対応
■ その他
・決算資料のExcel管理表整備(月次締め作業を1日短縮)
・経理部内の新人教育補助(1名)
経理経験が浅い(1〜2年)場合
経理経験が1〜2年の場合、担当業務が「日常経理中心」であることは避けられません。ただし、書き方を工夫することで採用担当者に「成長意欲と基礎力がある人材」と伝えられます。
職務要約の例文
小売業(売上高10億円・従業員50名)にて2年間、経理業務を担当。入社後は伝票入力・経費精算処理を中心に担当し、日商簿記2級取得後は月次試算表の作成補助まで担当範囲が広がりました。現在は月次仕訳入力から試算表確認(上長確認あり)まで対応しています。使用ソフトは弥生会計(2年)。
担当業務欄の例文
■ 担当業務
・仕訳入力・伝票処理(月300件程度)
・経費精算処理・領収書管理
・請求書の発行・受取処理・ファイリング
・月次試算表の作成補助(入力〜確認工程を担当、最終確認は経理担当者)
・振込手続き・残高確認
■ 資格・スキル
・日商簿記検定2級(2024年6月取得)
・弥生会計(2年)・Excel(VLOOKUP・SUM関数)
未経験から経理職を目指す場合
経理未経験で転職を目指す場合は、現職での「経理に近い業務経験」と「資格・学習実績」が勝負になります。採用担当者は未経験応募者に即戦力を求めません。「経理の基礎知識があり、業務習得への意欲がある人材」であることを伝えることがゴールです。
職務要約の例文(一般事務経験者)
一般事務として4年間勤務しながら、日商簿記2級を独学で取得(2024年6月)。現職では経費精算・請求書処理・伝票整理等の経理周辺業務を担当しており、経理の基本的な流れを実務で習得しています。簿記学習を通じて月次決算の仕組みも理解しており、経理業務全般への習得意欲を強く持っています。
担当業務欄の例文
■ 現職での経理周辺業務
・経費精算処理・領収書管理(月200件程度)
・請求書の発行・受取処理・ファイリング
・Excel管理表の作成・更新(VLOOKUP・ピボットテーブル活用)
・社内システムへのデータ入力・照合作業
■ 資格・自己研鑽
・日商簿記検定2級(2024年6月取得)
・MOS Excel(2023年10月取得)
なお、職務経歴書の作成をスムーズに進めたい場合は、自動作成ツールを活用する方法もあります。

書類選考通過率を上げる3つの仕上げポイント
職務経歴書の内容を書き終えたら、提出前に以下の3点を確認してください。この仕上げをするかどうかで、書類の完成度は大きく変わります。
① 成果や業務量を数値で表現しているか確認する
職務経歴書全体を見渡したとき、数値が入っていない業務記述は要注意です。「月〇件」「年〇回」「〇名チーム」「〇日で完了」など、業務の規模感を伝える数値を最低3〜5か所は入れることを目標にしてください。
実績がない場合でも「伝票入力(月300件程度)」のように業務量を入れるだけで、採用担当者が業務規模を把握しやすくなります。
② 応募先の企業規模・業種に合わせて記述を調整する
中小企業への応募と大企業への応募では、採用担当者が期待するスキルレベルが異なります。たとえば、中小企業では「一人で幅広く対応できること」が評価される一方、大企業では「特定業務の専門性と深さ」が重視される傾向があります。
一つの職務経歴書をすべての応募先に使いまわすのではなく、応募先の特性に応じて強調する内容を微調整することで通過率が上がります。
③ 第三者に添削してもらう
自分で書いた職務経歴書は、内容が「自分だけに分かる表現」になっているケースが多くあります。転職エージェントや有料の添削サービスを活用することで、採用担当者の視点からフィードバックを受けることができます。
職務経歴書の添削を依頼する方法は複数あります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者が経理の職務経歴書で最初に確認するのは「業務の範囲と深さ」「会計ソフト経験」「企業規模・業種」の3点
- 業務名の羅列・企業規模の未記載・会計ソフトの曖昧表現は書類落ちの主な原因
- 職務要約には企業規模・業務の最高レベル・具体的な実績を200〜300文字で盛り込む
- 経験が浅い場合でも「担当した工程の範囲を正確に伝える」ことで適切な評価が得られる
- 提出前に数値の挿入・応募先に合わせた調整・第三者への添削依頼の3ステップで完成度を高める
経理職の職務経歴書は「何を担当したか」より「どのレベルでどれだけ担当したか」を伝える書類です。採用担当者の視点を意識した一枚を作成することが、書類選考通過への近道になります。
経理転職の職務経歴書によくある質問
- 経理の職務経歴書は何ページにまとめるのが適切ですか?
-
A4用紙2枚以内が目安です。経験が浅い場合は1枚でもかまいません。それ以上になる場合は、採用担当者が読む際に重要情報を見落とすリスクがあるため、業務内容を精査して絞り込むようにしてください。職務要約・担当業務・スキル資格・自己PRの4セクションを明確に分けて構成すると読みやすくなります。
- 日商簿記2級を持っていると経理転職で有利になりますか?
-
経理転職において日商簿記2級は基本資格として多くの企業で評価されます。ただし、資格があるだけでは不十分で、職務経歴書に実際の業務経験を具体的に記載することが求められます。経験が浅い場合でも日商簿記2級があることで「基礎知識がある」と判断され、未経験歓迎の経理求人では選考に進みやすくなります。
- 使用経験の浅い会計ソフトも職務経歴書に書いてよいですか?
-
使用経験があれば記載して問題ありません。ただし、使用年数の目安(「〇年使用」「業務で数か月使用」等)を添えることで、採用担当者が経験レベルを正確に把握できます。短期間の使用経験であれば、「基本操作経験あり」といった表現で正直に伝えることがトラブル防止にもつながります。


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