この記事では、役員経験を持つ方が転職活動で使う履歴書の書き方とテンプレートの選び方を解説します。職歴欄の「就任・退任」の正確な記法から、採用担当者が実際に確認するポイント、代表取締役・社外役員の状況別記載例まで網羅しています。
役員の履歴書テンプレートを選ぶ前に知るべきこと
「役員専用の履歴書テンプレート」は存在しません。市販の一般的な履歴書フォーマット(JIS規格様式や厚生労働省推奨様式)を使って構いません。ただし、役員経歴の書き方は一般の会社員とは異なるルールがあるため、同じテンプレートを使っても記入の仕方を誤ると採用担当者に「ビジネス常識がない」と判断されます。
一般的な履歴書テンプレートが役員には使いにくい理由
市販の履歴書テンプレートの職歴欄には「入社」「退社」という印字があらかじめ入っているものがあります。役員経歴の場合はこの印字に合わせてしまうとルール違反になるため注意が必要です。
役員(取締役・監査役・会計参与など)は会社法上、雇用契約ではなく委任契約で会社と結びついています。このため職歴欄の表記は「就任」「退任」とするのが正確です。「入社・退社」と書くと、雇用関係と委任関係の区別ができていないことになります。
採用担当者はここを見ている
- 職歴欄の「就任・退任」の表記が正確かどうか
- 役員在任期間と退任の経緯が矛盾していないか
- 経営者として関わった会社の規模が把握できるか
役員が使える無料の履歴書テンプレート入手先
テンプレートは書式自由のものを選ぶことを推奨します。特に「入社」「退社」の印字がない白紙の職歴欄があるテンプレートが役員経歴を記入しやすいです。
- 厚生労働省推奨様式:職歴欄に定型印字がなく書き込みやすい。官公庁への提出にも対応している
- JIS規格様式(A3・A4):転職全般で最もよく使われるフォーマット。職歴行が多いものを選ぶ
- Web作成サービスのPDF出力:スマートフォンやPCで入力後にPDF出力できるサービスは、役員経歴の表記も自由に入力できる
Webで入手できる無料テンプレートの選び方については、履歴書テンプレートの無料おすすめ選び方で採用担当者視点の詳細を確認できます。

役員経歴の職歴欄は「就任・退任」が絶対ルール
役員経歴を職歴欄に記載するとき、最も重要なルールは「入社・退社」という表現を使わないことです。採用担当者の多くは、この一点だけで応募者のビジネスリテラシーを確認します。
なぜ「入社・退社」ではいけないのか
一般の社員は会社と「雇用契約」を結んでいます。これに対し取締役・監査役などの役員は会社と「委任契約」を結んでいます。2つの関係性は法律上まったく異なります。
| 区分 | 契約形態 | 履歴書の正しい表記 |
|---|---|---|
| 一般社員・パート・アルバイト | 雇用契約 | 入社 / 退社(自己都合・会社都合) |
| 取締役・監査役・会計参与などの役員 | 委任契約 | 就任 / 退任(任期満了・辞任) |
役員として就任した年月と退任した年月を両方記載すると、採用担当者が在任期間をひと目で確認できます。
就任・退任の正確な記載例
良い例文
20XX年 4月 株式会社○○商事 取締役 就任
20XX年 3月 同社 任期満了につき退任
NG例
20XX年 4月 株式会社○○商事 入社(取締役)
20XX年 3月 同社 退社
役員に「入社・退社」は法的な関係性と一致しないためNG。採用担当者は即座に気づきます。
役員就任の前後に一般社員として在籍していた期間がある場合は、「退職」と「就任」を分けて記載します。社員から同じ会社で役員になった場合は、雇用契約の終了(退職)と委任契約の開始(就任)を段を分けて書くのが正確です。
社員→役員への昇格を含む記載例
20XX年 4月 株式会社○○商事 入社(営業部配属)
20XX年 6月 営業部長 就任
20XX年 3月 取締役営業本部長 就任(雇用契約を終了し委任契約に切り替え)
20XX年 3月 任期満了につき退任
20XX年 4月 一身上の都合により退職
役職別・状況別の職歴欄記載パターン
役員といっても「代表取締役」「取締役」「社外役員」「非常勤役員」では記載の仕方やアピールポイントが変わります。自分の状況に合ったパターンを確認してください。
代表取締役の記載例
代表取締役は会社の最高責任者です。在任期間と退任理由に加えて、会社の規模(売上・従業員数)を一言添えることで、採用担当者が経営規模を即座に把握できます。役員経歴の中でも採用担当者が最も注目するのが、この「経営規模」の部分です。
代表取締役の記載例
20XX年 4月 株式会社○○(IT事業・従業員80名・年商12億円)設立
代表取締役 就任
20XX年12月 事業譲渡に伴い代表取締役 退任
会社の規模情報を職歴欄に入れることに抵抗がある場合は、職務経歴書の「事業内容」欄に記載する形でも構いません。ただし履歴書だけを読む採用担当者もいるため、職歴欄への一言記載が確実です。
取締役(社内・専任・兼任)の記載例
取締役が社員と兼任している場合(取締役部長など)は、役員就任と同時に雇用契約が継続しているケースと、雇用契約を委任契約に切り替えているケースがあります。自分がどちらかを確認して記載してください。
取締役兼任(雇用契約継続)の記載例
20XX年 4月 株式会社○○商事 入社
20XX年 6月 取締役(人事部長兼任)就任
20XX年 3月 任期満了につき退任
引き続き人事部長として在籍
20XX年 3月 一身上の都合により退職
社外役員・非常勤役員の記載例
社外取締役や監査役(非常勤)は複数の会社で同時に就任しているケースがあります。この場合は各社ごとに就任年月と退任年月を記載してください。「非常勤」「社外」と明記することで、主業務との関係性を採用担当者が正確に把握できます。
社外監査役の記載例
20XX年 6月 株式会社△△ 社外監査役(非常勤)就任
20XX年 6月 任期満了につき退任
採用担当者が役員経歴の履歴書で確認する5つのポイント
採用担当者は役員経歴を持つ応募者の履歴書を、一般的な転職者と異なる視点で読みます。以下の5点を意識して記載を整えてください。
- ①「就任・退任」の用語が正確か:ここで誤ると書類選考で減点されます。採用担当者が最初に目を止めるポイントです。
- ②在任期間の長さと退任のタイミングが自然か:取締役の任期は原則2年(監査役は4年)です。任期との整合性を確認します。短期退任には理由が必要です。
- ③会社の規模・業種が読み取れるか:役員としてどの規模の組織を動かしていたかが、採用ポジションの適性判断に直結します。
- ④複数の役員就任歴がある場合に時系列が整理されているか:複数社の役員歴がある場合、時系列が混乱しやすいため、各社ごとに就任・退任をセットで書くことが重要です。
- ⑤退任理由が明確か(特に任期途中の場合):「任期満了」以外の退任は採用担当者が「なぜ?」と疑問を持ちます。職歴欄にひと言添えるか、面接での説明準備が必要です。
退任理由の正しい書き方
役員経歴において、退任理由は採用担当者が最も気にするポイントのひとつです。退任の経緯を職歴欄に記載する際は、以下の3パターンを参考にしてください。
任期満了による退任(最もポジティブな退任理由)
取締役の任期は原則2年、監査役は4年です。任期満了で退任した場合は、責任を全うしたことを示す最もクリーンな退任理由です。採用担当者も「問題なく職責を果たした」という評価を持ちやすくなります。
任期満了の書き方
20XX年 3月 任期満了につき退任
再任された後に最終的に退任した場合は、最初の就任年月と最後の退任年月を記載し、その間に「重任(再任)」と記載する方法もあります。在任期間が長くなるほど、採用担当者には継続的な実績として評価されます。
辞任・一身上の都合の場合
任期途中で辞任した場合は「辞任」と記載します。「一身上の都合により辞任」でも問題ありませんが、面接では必ず経緯を問われます。健康上の理由・事業方針の相違・家族の事情など、実際の理由を正確に説明できる準備が必要です。
辞任の書き方
20XX年 9月 一身上の都合により辞任
会社解散・廃業の場合
会社が解散または廃業した場合は「会社解散に伴い退任」と事実をそのまま記載します。これは応募者のコントロール外の事情であり、採用担当者にとって特にネガティブな印象を与えることはありません。むしろ会社清算のプロセスを経験したことが、経営者としての実務経験としてポジティブに評価されるケースもあります。
会社解散の書き方
20XX年12月 会社解散に伴い退任
役員経験を強みに変える自己PR欄の書き方
履歴書の自己PR欄では、役員として担ってきた「意思決定・組織マネジメント・成果」を具体的な数値で表現します。「経営経験があります」という言葉だけでは採用担当者の心は動きません。
採用担当者はここを見ている
- 担当した事業・部門の規模(売上金額・人員数)
- 在任中に達成した具体的な成果(数値で示せるもの)
- その経験が応募先でどう活かせるか(接続性)
良い例文
取締役として人事・総務部門を統括し、採用コストを3年間で30%削減、定着率を78%から91%に改善しました。組織設計と採用戦略の立案経験を活かし、貴社の人材課題の解決に貢献します。
NG例
取締役として幅広く経営に関わってきました。組織を牽引してきた経験を活かしたいと思います。具体的な数値・成果がないため、採用担当者には何も伝わらない典型的なNG例。
職歴が長い場合は、履歴書の自己PR欄を要約に留め、職務経歴書で詳細を補足するとバランスがとれます。履歴書作成の選び方については、採用担当者視点の履歴書作成ツールおすすめも参考にしてください。

まとめ
- 役員の履歴書テンプレートは市販の一般様式でよいが、「就任・退任」の記法が必須
- 役員は委任契約のため「入社・退社」ではなく「就任・退任」が正しい表現
- 代表取締役・社外役員・取締役兼任など役職・状況別に書き方のパターンがある
- 退任理由は「任期満了につき退任」が最もポジティブな表現
- 自己PR欄では具体的な数値と成果を示して経営者としての価値を伝える
役員経歴の書き方を正確に押さえることで、採用担当者に「ビジネスリテラシーが高い人材」という第一印象を与えられます。まずはテンプレートを入手し、この記事の記載例をもとに職歴欄を確認してみてください。
役員の履歴書に関するよくある質問
- 役員の履歴書は一般の市販テンプレートでも使えますか?
-
使えます。ただし「入社」「退社」と印字されているテンプレートは役員経歴の記入に向きません。印字のない書式自由型、または空白の職歴欄があるテンプレートを選ぶと、「就任・退任」を正確に記載しやすくなります。
- 複数の会社で役員を歴任した場合、どう書けばよいですか?
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各社ごとに「就任」「退任」をセットで時系列順に記載します。複数社が重なる期間(兼任)がある場合は、それぞれの行に「非常勤」「兼任」などを明記してください。採用担当者が在任期間と企業ごとの関係を正確に把握できることを最優先に考えて構成します。
- 役員の在任期間が短い(1年未満)でも履歴書に書くべきですか?
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書くべきです。短期間であっても役員就任の事実は重要な経歴です。ただし採用担当者から退任の経緯を問われることはほぼ確実なため、会社解散・事業譲渡・健康上の理由など正確な理由を面接で説明できるよう準備しておいてください。
- 役員に就任する前の一般社員時代の職歴も書く必要がありますか?
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原則として書きます。履歴書は社会に出てからの全経歴を記載するものです。ただし職歴が長い場合は重要な役職・実績に絞って記載し、詳細は職務経歴書に委ねる書き方が採用担当者には読みやすくなります。


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