人事(採用・教育)の職務経歴書は、採用実績を人数や採用率で示すだけでなく、教育・研修の成果を数字で語れるかどうかで通過率が変わります。「採用は書けるが教育はうまく言語化できない」「両方の経験があるぶん、逆にまとまりがなく見えないか不安」という方に向けて、記入例と採用担当者が実際に見ているポイントを解説します。
人事(採用・教育)の職務経歴書の書き方と記入例【結論】
結論:採用は人数と定着率、教育は数値化した成果で語る
採用業務は「何名の採用計画に対して何名充足したか」「入社後の定着率」を軸にまとめます。教育業務は「研修を実施した」で終わらせず、受講後の変化を数字で示すことが通過のカギです。独り立ちまでの期間短縮、研修後アンケートの満足度、対象者の早期離職率の改善など、成果に置き換えられる指標は複数あります。
採用と教育の両方を担当してきた場合は、どちらか一方に絞らず「採用した人材を育成まで一貫して見てきた」という強みとして記載する方が、人事ゼネラリストとしての評価につながります。
記入例①:採用中心のケース
新卒・中途採用を中心に担当してきた方の記入例です。採用計画への関与度と実績数値を明記します。
良い例文
新卒採用における母集団形成から内定者フォローまでを担当。年間採用計画30名に対し32名を充足(充足率106%)。合同説明会・逆求人イベントの企画運営、面接官トレーニングの実施により、入社1年後の定着率を78%から91%へ改善した。
NG例
採用業務全般を担当し、多くの学生と面談を行いました。採用活動に貢献できたと思います。人数・比率・改善幅がなく、何をどこまで担当したのかが読み取れない点がNGです。
採用担当者はここを見ている
- 採用計画への関与度:立案側か、実行側だけかで評価が変わる
- 充足率・定着率:数字がないと「頑張った」で終わってしまう
- 採用手法の幅:媒体・エージェント・リファラルなど複数チャネルの経験は強み
記入例②:教育・研修中心のケース
新入社員研修やOJT制度の設計・運用を担当してきた方の記入例です。研修の「実施」ではなく「効果」を書きます。
良い例文
新入社員研修(年2回、対象約40名)の企画・運営を担当。OJTシートを新規導入し、現場配属後の独り立ちまでの期間を平均4.5ヶ月から3ヶ月へ短縮。研修後アンケートの満足度は導入前の72点から89点へ向上した。
NG例
新入社員研修の企画・運営に携わり、社員教育の重要性を実感しました。「重要性を実感した」は感想であり実績ではないため、採用担当者には何も伝わりません。
採用担当者はここを見ている
- 設計に関わったか:既存プログラムの運用だけか、改善・新規構築まで行ったか
- 効果測定の視点:満足度・定着率・習熟スピードなど数値で語れているか
採用担当者は人事(採用・教育)の職務経歴書のどこを見ているか
人事職の職務経歴書は、他の職種以上に「誰が読むか」を意識する必要があります。読み手も同じ人事の実務経験者であり、抽象的な表現はすぐに見抜かれます。
採用担当者はここを見ている
- 組織規模と体制:何名の人事部で、採用・教育をどの立場(担当者・リーダー・企画)で担ったか
- 再現性のある成果か:会社の知名度に頼った実績なのか、自分の施策で生まれた成果なのかが伝わるか
- 他部署との連携経験:現場マネージャーや経営層と調整しながら進めた経験は評価が高い
- 制度・仕組みへの関与:採用フローや研修体系そのものを変えた経験は特に注目される
とくに「制度・仕組みへの関与」は見落とされがちです。日々の運用業務だけでなく、フローの改善や新しい取り組みを提案・実行した経験があれば、規模の大小にかかわらず必ず盛り込みましょう。
職務経歴書に書くべき人事(採用・教育)の実務項目
採用と教育では、記載すべき項目の切り口が異なります。担当していた業務に応じて、以下の表を参考に自分の経験を棚卸ししてください。
| 区分 | 記載すべき項目 |
|---|---|
| 採用業務 | 採用計画の立案有無、対象(新卒・中途・アルバイト等)、採用人数と充足率、使用媒体・エージェント数、面接担当回数、内定辞退率、定着率 |
| 教育・研修業務 | 研修の種類(新人研修・階層別研修・OJT等)、対象人数と頻度、企画・運営どちらまで担ったか、効果測定の指標、教材・制度の新規構築有無 |
| 共通項目 | 所属人事部の人数規模、担当年数、他部署・経営層との調整経験、使用ツール(採用管理システム・LMS等) |
これらの項目をすべて詰め込む必要はありません。応募先が採用強化中の企業なら採用実績を厚く、教育体制の整備を求めている企業なら教育実績を厚く書くなど、求人票から求められている経験に合わせて配分を変えるのが通過率を上げるコツです。
教育・研修実績を数字で伝える書き方
教育・研修は成果が見えにくい業務ですが、数値化できる指標は複数あります。以下の切り口から、自分の担当業務に当てはまるものを探してみてください。
- 研修後アンケートの満足度スコア(実施前後の比較)
- 現場配属後、独り立ちするまでの期間の変化
- 研修対象者の入社1年目・3年目の離職率
- OJT担当者・メンターの育成人数
- 資格取得率や社内試験の合格率の変化
正確な数値が手元に残っていない場合は、上長や人事システムに残る資料を確認するか、「前年比」「体感でおおむね」など幅を持たせた表現でも構いません。数字がまったくない状態より、目安を示した方が説得力は上がります。
良い例文(数値化が難しい場合)
新人フォロー面談を月1回、入社半年間実施。担当した新入社員12名のうち、半年以内の早期離職者は0名(実施前の同期間は3名離職)。正確な満足度データはないが、面談後のヒアリングでは「相談しやすくなった」との声を複数受けている。
採用と教育、両方の経験をどう一本にまとめるか
採用と教育の両方を担当してきた方は、「どちらの経験も中途半端に見えるのでは」と不安に感じやすいものです。しかし採用担当者から見ると、入口(採用)から入社後の育成まで一貫して見てきた人材は、単一業務の担当者より評価されるケースが多くあります。状況別に書き方のポイントを見ていきましょう。
新卒採用と研修担当を兼務してきた場合
「採用した人材をどう育てたか」まで書けるのが強みです。職務要約で「新卒採用から入社後研修までを一貫して担当」と明記し、採用実績と定着率をセットで示すと、一貫性のあるストーリーになります。
中途採用とOJT設計を兼務してきた場合
中途採用は即戦力の見極め、OJTは早期立ち上げの支援という役割の違いを意識して分けて書きます。「採用時の見極め基準を、入社後のOJT設計にも反映させた」といった連携の経験があれば、他の候補者との差別化ポイントになります。
人事経験が浅い・アシスタント業務中心の場合
採用イベントの運営補助や研修資料の作成など、企画そのものに携わっていない場合でも、「何人規模の業務を、どの範囲まで正確に回したか」を具体的に書けば実務力は伝わります。応募書類の一次チェック件数、日程調整した候補者数など、地道な業務量も立派な実績です。
人事(採用・教育)の職務経歴書 提出前チェックリスト
提出前に、以下の項目を最終確認してください。
提出前チェックリスト
- 採用・教育それぞれの実績に、数字または具体的な変化が入っているか
- 採用計画への関与度(立案側か実行側か)が明確か
- 「重要性を実感した」など感想で終わっている表現が残っていないか
- 応募先が求める経験(採用強化か教育体制整備か)に合わせて記載の比重を調整したか
- 使用した採用管理システムやLMSなどのツール名を記載したか
職務経歴書のフォーマットに迷う場合は、人事の職務経歴書テンプレートを使うと、記入項目に沿って経験を整理しやすくなります。
ハローワーク経由での応募を検討している場合はハローワーク用の職務経歴書テンプレートもあわせて確認してください。
人事アシスタントや採用事務としての経験が中心の場合は、事務の職務経歴書テンプレートの書き方も参考になります。
また職務経歴書とあわせて提出する履歴書は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと書式の不備で減点されるリスクを避けられます。



まとめ
- 採用実績は「人数・充足率・定着率」、教育実績は「独り立ち期間・満足度・離職率」など数字で語る
- 採用担当者は制度・仕組みへの関与度や、他部署との調整経験も見ている
- 採用と教育の両方の経験は、入口から育成までを一貫して見てきた強みとしてまとめる
- 応募先が求める経験に合わせて、採用・教育の記載比重を調整する
数字が出にくい業務でも、変化の幅や具体的な人数を示せば実績として伝わります。テンプレートを活用しながら、自分の担当範囲を一つずつ書き出してみてください。
人事(採用・教育)の職務経歴書に関するよくある質問
- 採用実績の数字が残っていない場合はどうすればいいですか?
-
正確な数字が手元にない場合は、上長や採用管理システムの過去データを確認してみてください。それでも確認できない場合は「前年比」「〇割程度」など、幅を持たせた表現で構いません。実績を一切書かないより、目安を示した方が伝わります。
- 教育・研修の担当が浅く、実績と呼べるものがありません。どう書けばいいですか?
-
企画そのものに携わっていなくても、担当した研修の対象人数や頻度、運営で工夫した点を具体的に書けば実務力は伝わります。「〇名規模の研修を月〇回運営」のように、業務量を数字で示すことから始めてみてください。
- 採用と教育、どちらの経験を厚く書けばいいか迷っています。
-
応募先の求人票を確認し、採用強化を求めているのか、教育体制の整備を求めているのかに合わせて記載の比重を調整してください。どちらも同程度に求められている場合は、入口から育成までを一貫して担当してきた強みとして両方をバランスよく記載しましょう。
- 人事未経験に近く、採用アシスタント業務が中心でした。応募しても評価されますか?
-
評価されます。応募書類のチェック件数や日程調整した候補者数など、地道な業務量を具体的な数字で示すことで、正確に業務を回せる実務力として伝わります。企画経験がない分、担当範囲の広さと正確さを強みとして記載してください。

