この記事では、大学講師・准教授・教授への採用を目指す方向けに、履歴書の書き方を採用委員の視点から解説します。一般の転職履歴書との違い、学歴・職歴の正しい記載方法、志望動機・自己PRの例文、よくある記載ミスの対策も紹介します。
大学教員の履歴書が一般の転職履歴書と異なる3つの前提
大学教員の採用では、企業への転職で使う一般的な履歴書フォーマットをそのまま提出しても問題になるケースが多くあります。採用担当部署が独自の「教員任用履歴書」様式を用意していたり、文部科学省の大学教員用書式の提出を求めるケースが一般的だからです。
大学教員向け履歴書が一般のものと異なる主な点は、①大学指定フォーマットの有無、②担当可能科目・研究分野の記載が求められること、③評価が加点方式ではなく減点方式で進む点の3つです。それぞれの前提を正確に理解してから書き始めることが、書類選考を通過するための出発点になります。
大学指定のフォーマットを最優先にする
大学教員の公募では、求人要項に「本学所定の様式で提出してください」と記載されていることがほとんどです。まず応募先大学の求人ページを確認し、指定フォーマットをダウンロードして使用します。フォーマットが指定されていない場合は、JREC-IN Portal(大学教員専門の求人サイト)の応募書類作成ツールで作成したものか、厚生労働省の標準的な様式を使用するのが一般的です。
採用委員が書類確認の最初の段階で気づきやすいのが、「他の大学で使った履歴書を流用した」ことがわかるミスです。様式の右上に「○○大学 教員任用 様式第○号」と記載された欄が残ったまま別の大学へ提出するケースが実際に起きており、この段階で書類選考を通過しない可能性があります。
大学教員の公募で使われるフォーマットについてより詳しく知りたい場合は、履歴書テンプレートの選び方も参考にしてください。

「教育研究業績書」との役割分担を理解する
大学教員の採用書類は通常、「履歴書」と「教育研究業績書」のセットで提出します。両者の役割はまったく異なり、混同すると採用委員が確認しにくい書類になります。
| 書類 | 主な記載内容 | 採用委員の確認目的 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 学歴・職歴・免許・志望動機・自己PR | 経歴の正確性確認 |
| 教育研究業績書 | 査読付き論文・学会発表・担当科目実績・科研費 | 研究力・教育力の評価 |
業績書があるからといって履歴書の記載を省略してよいわけではありません。一方で、業績書に詳しく記載する内容を履歴書で繰り返す必要もなく、役割を明確に分けることが採用委員の書類確認をスムーズにする基本です。
採用委員会が書類選考で見る3つのポイント
大学教員の書類選考は「加点方式」ではなく「減点方式」で進むと理解しておく必要があります。派手なアピール文より、正確で採用委員が確認しやすい書類が評価されます。
採用委員はここを見ている
- 担当可能科目の適合性:公募で求められている科目を担当できる根拠が示されているか
- 学歴・職歴の正確性:学位記や証明書と矛盾がなく、空白期間が説明されているか
- 志望動機の具体性:「なぜこの大学か」が具体的に示されているか
採用委員が最初に確認するのは「担当可能科目が求人ポストと合っているか」という適合性です。研究業績が豊富でも、公募で求められている科目を担当できる根拠が示されていなければ書類選考を通過しません。また、大学のウェブサイトやResearchmap・学会公式サイトで確認できない情報は、記載しても評価の対象になりにくいとされています。
大学によっては業績を点数化し、公募ポストの基準点に満たない応募者は機械的に書類選考で落とされることもあります。書類を提出する前に、求人要項に記載された「応募資格」「担当予定科目」と自分の経歴が合致しているかを必ず確認してください。
学歴・職歴欄の書き方
学歴は大学院まで正式名称で記載する
学歴は高等学校卒業から記載します。大学名・学部名・学科名・専攻名はすべて正式名称を使い、学位記に記載された表記と完全に一致させることが必須です。採用委員は学位授与書類と照合して確認を行うため、省略記載は確認作業の妨げになり、採用担当者の心証に影響します。
良い例(正しい学歴記載)
〇〇大学工学部機械工学科 卒業
〇〇大学大学院工学研究科機械工学専攻 博士前期課程 修了
〇〇大学大学院工学研究科機械工学専攻 博士後期課程 修了
博士(工学)取得
NG例
〇〇大学大学院 工学部 修了 ← 研究科名・専攻名が省略されている
博士号取得 ← 「博士(〇〇)」の専門分野が不明で採用委員が確認できない
なお、西暦と和暦は一方に統一します。大学教員の書類では西暦表記が確認作業のしやすさから選ばれることが多く、迷う場合は応募先大学の指示に従ってください。学歴欄の書き方の詳細については、履歴書の大学の書き方も参考になります。
職歴は「研究職」と「教育職」を区別して記載する
職歴欄は役職・所属・在籍期間を明確にして記載します。「非常勤」「任期付き」「専任」の区別がわかるように明記することも重要です。研究機関への勤務と教育機関への勤務は、採用委員が判断する能力の軸が異なるため、混在させずに整理してください。
良い例(正しい職歴記載)
〇〇研究所 研究員(20〇〇年4月〜20〇〇年3月)
〇〇大学法学部 非常勤講師(20〇〇年4月〜20〇〇年3月) 担当科目:民法、契約法
△△大学文学部 専任講師(20〇〇年4月〜現在)
NG例
〇〇大学 非常勤(20〇〇年〜) ← 学部名・担当科目・終了年が不明
〇〇研究所 勤務 ← 役職・業務内容が不明で採用委員が実態を確認できない
非常勤講師の複数掛け持ちはまとめず個別に記載する
非常勤講師の経歴が複数ある場合、「〇〇大学・△△大学 非常勤講師(20〇〇年〜20〇〇年)」のようにまとめて書くのは避けます。各大学・各担当期間を個別に1行ずつ記載する方が採用委員が確認しやすく、教育経験の実績も正確に伝わります。担当科目名も各行に添えて記載するのが大学教員の履歴書では基本です。
免許・資格欄と担当可能科目の書き方
教員免許状は正式名称を省略しない
教員免許状は資格欄に記載しますが、正式名称の表記が採用委員の確認ポイントになります。
| NG例(省略・誤記) | 正しい表記 |
|---|---|
| 高校数学教員免許 | 高等学校教諭一種免許状(数学) |
| 中学理科免許 | 中学校教諭一種免許状(理科) |
| 特別支援学校免許 | 特別支援学校教諭二種免許状 |
文部科学省の免許管理データで確認できる正式名称を使用してください。免許の有効期限更新が必要な場合は、更新済みの旨も明記します。免許更新制度の廃止(2022年7月)以降に発行された免許状には有効期限の記載がないため、旧様式の免許状を保有している場合は「更新講習修了」の記載が必要かどうかを確認してください。
「担当可能科目」を明記することが大学教員履歴書の特徴
大学教員向けの履歴書には「担当可能科目」欄が設けられていることが多く、この欄の記載内容が書類選考の合否を左右します。
採用委員はここを見ている
- 担当可能科目が公募の「求める科目」と合致しているか
- 担当経験がある科目と経験のない科目を区別して記載しているか
- 科目名が応募先大学のシラバス表記に準じているか
「関連科目全般」のように曖昧にまとめると、採用委員が具体的な教育能力を判断できません。大学教員の採用では「担当できる科目の具体的な根拠(過去の担当実績・専門知識)」を示すことが、研究業績と同等の評価要素になります。担当経験のある科目とそうでない科目を分けて記載するフォーマットを採用している大学も多く、指定様式の指示に従って書き分けてください。
志望動機の書き方と例文
採用委員が「会いたい」と思う志望動機の3要素
大学教員の採用における志望動機は、一般企業の志望動機と設計の考え方が異なります。採用委員が無意識に確認している要素は次の3点です。
- なぜこの大学か(研究室・カリキュラム・地域的背景・大学の理念との接点)
- 何を担当できるか(具体的な科目名と実績・経験)
- 大学にどう貢献できるか(学生への教育・地域連携・共同研究の可能性)
この3要素が欠けた志望動機は、採用委員から「どこの大学にも送っている汎用的な書類」と判断されます。書類選考の段階では、採用委員の心証は「印象ベース」で動くことが多く、「この人は本当にうちの大学で働きたいのか」と感じさせられるかどうかが通過を左右します。
志望動機の例文(良い例・NG例)
NG例
「大学教員として教育・研究活動に従事したいと考えております。これまでの研究経験を活かし、学生の育成に貢献できると確信しています。」
← 「なぜこの大学か」がまったく示されていない。どの大学にも使い回せる内容で、採用委員に「まとめて送った書類」と判断されやすい。
良い例
「貴学○○学部は、○○地域の産業振興を軸にした実践的カリキュラムを展開されており、私がこれまで△△大学で担当してきた「□□論」「□□演習」との接続性が高いと考えます。また、貴学○○研究室が取り組まれている□□の研究領域は私の専門と近く、共同研究の可能性についても探らせていただきたく、応募いたしました。担当可能科目として〇〇・〇〇・〇〇を想定しており、学部生の専門基礎教育を担当できます。」
← 「この大学でなければならない理由」と「自分が何をもたらせるか」が具体的に示されており、採用委員が照合しやすい情報が含まれている。
完全無料の履歴書・職務経歴書作成ツール
「サクレキ」質問に答えるだけで、選考書類がカンタンに完成
- 自己PR・志望動機も例文付きで安心
- スマホからでもOK。たった3分で履歴書・職務経歴書が完成
- 自動フォーマットで書き間違いゼロ
\ 完全無料・簡単3分で完成! /
無料で履歴書・職務経歴書を作成する →自己PRの書き方と例文
研究実績と教育実績、どちらを先に書くか
自己PRで研究実績と教育実績のどちらを前に出すかは、応募先大学のポストの性格によって変えます。採用委員が何を優先して評価するかを求人要項から読み取り、それに合わせて順序を調整することが有効です。
| ポストの性格 | 先に書くべき内容 |
|---|---|
| 研究大学・科研費獲得重視 | 研究実績(論文数・科研費獲得・学会活動) |
| 教育重視の4年制大学・短大 | 教育実績(担当科目・授業評価・FD活動) |
| 実務家枠・産学連携重視 | 業界経験・プロジェクト実績・社会実装 |
採用委員はここを見ている
- 自己PRが教育研究業績書の内容と矛盾していないか
- 「教育への情熱」「研究に真摯に向き合う」のような抽象表現だけで終わっていないか
- Researchmapや学会サイトで確認できる具体的な数値・実績が含まれているか
自己PR例文(良い例・NG例)
NG例
「私は教育と研究の両立を常に意識してきました。学生に寄り添った指導を心がけており、研究においては真摯に取り組む姿勢を大切にしています。」
← 具体性がゼロ。「寄り添った指導」「真摯に取り組む」はすべての応募者が書ける抽象表現で、採用委員が確認できる事実がひとつもない。
良い例
「担当科目「〇〇論」では受講生100名を対象に反転授業を導入し、毎学期の授業評価スコアを平均4.2(5点満点)に維持しています。研究面では、査読付き学術誌に筆頭著者として○本の論文を発表しており、うち〇本は○○学会誌への掲載です。また、○○年度に科研費○○万円を獲得し、現在「○○○○」のテーマで研究を継続中です。」
← 具体的な数値と事実に基づいており、採用委員がResearchmapや学会サイトで照合できる情報を含んでいる。
提出前に確認すべきNG例と対策
大学教員の履歴書で採用委員が確認するのは「加点」より「減点がないか」です。以下のNG例は実際の公募選考で起きやすいミスです。
NG① 他大学のフォーマットをそのまま流用する
教員任用履歴書のフォーマットには、大学名・様式番号・提出先の宛名などが記載されている場合があります。別の大学への応募時にこれを修正せず残したまま提出すると、採用委員が最初の確認段階で気づきます。
提出前に必ず「大学名・宛名・様式番号」の部分を確認し、応募先の大学名に正確に書き換えられているかを最終チェックしてください。複数の大学に同時出願している場合は、書類の管理を応募先ごとにフォルダで分けることが有効です。
NG② 「御校」と「貴学」を混在させる
文書内で大学を指す敬称は「貴学」が正しい表記です。一般企業向け転職書類で使う「御社」「御校」の書き方をそのまま使うと、大学の文書作法を知らないと判断されることがあります。
| 状況 | 正しい表現 | NG表現 |
|---|---|---|
| 書面(志望動機・自己PR) | 貴学 | 御校・御学・貴校 |
| 面接など口頭の場面 | 御校 | 貴学(読みにくい) |
書面では「貴学」を一貫して使い、口頭では「御校」を使うのが大学関係者の一般的なマナーです。「大学院」を指す場合は「貴研究科」と表記することもあります。
NG③ 学位の正式名称を省略・誤記する
「博士(理学)」「博士(工学)」「修士(文学)」のように、学位の種類は括弧内の分野名まで正確に記載します。
- 「博士号取得」→ NG(分野が不明)
- 「PhD修了」→ NG(和文書類では日本語表記が基本)
- 「博士課程修了」→ 学位取得なのか単位取得退学なのかが不明
博士課程を満期退学(単位取得退学)している場合は「単位取得退学」と記載し、後日博士号を取得した場合はその旨も添えます。また、履歴書のフォントには明朝体を選択するのが一般的です。フォント選びについては履歴書のフォント選び方も参考にしてください。

完全無料の履歴書・職務経歴書作成ツール
「サクレキ」質問に答えるだけで、選考書類がカンタンに完成
- 自己PR・志望動機も例文付きで安心
- スマホからでもOK。たった3分で履歴書・職務経歴書が完成
- 自動フォーマットで書き間違いゼロ
\ 完全無料・簡単3分で完成! /
無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 大学教員の履歴書は各大学が指定するフォーマットを最優先で使用する(フォーマット未指定時はJREC-IN Portalの様式が一般的)
- 学歴・職歴は学位記・証明書と完全に一致する正式名称で記載し、空白期間がないように整理する
- 非常勤講師の経歴は個別に担当科目・期間を明記し、まとめて記載しない
- 志望動機には「なぜこの大学か」の具体性(カリキュラム・研究室・地域との接点)を必ず含める
- 書類選考は「加点」より「減点がないか」の確認で進む。正確さとわかりやすさが最優先
履歴書の完成度は、採用委員が「この人にさらに詳しく話を聞きたい」と判断するための最低条件です。フォーマットを守り、正確に記載することが書類選考通過への最短ルートです。
大学教員の履歴書に関するよくある質問
- 指定フォーマットがない場合、どの履歴書を使えばよいですか?
-
フォーマットが指定されていない場合は、JREC-IN Portalの応募書類作成ツールで作成した履歴書を使用するのが最も一般的です。Researchmapのデータを引き込んで作成できます。厚生労働省の標準様式を使う方法もありますが、大学教員特有の「担当可能科目」欄が含まれていないため、別途欄を設けて記載する必要があります。
- 非常勤講師の経験は職歴に書けますか?
-
書けます。非常勤講師は立派な職歴です。「○○大学○○学部 非常勤講師」と記載し、担当科目・担当期間も合わせて明記してください。複数の大学で非常勤を掛け持ちしている場合も、まとめずに個別に記載する方が採用委員には正確に伝わります。
- 「教育研究業績書」と「履歴書」は何を書き分けますか?
-
履歴書は「経歴の正確性確認」のための書類で、学歴・職歴・免許・志望動機・自己PRを記載します。教育研究業績書は「研究力・教育力の評価」のための書類で、査読付き論文・学会発表・科研費獲得実績・担当科目一覧などを詳しく記載します。業績書に詳しく書く内容を履歴書でも繰り返す必要はありませんが、役割を混同して一方を省略することは避けてください。
- 証明写真の注意点はありますか?
-
大学教員の採用で提出する証明写真は、一般企業の就職活動と同様「スーツ着用・白または薄色の背景・3か月以内に撮影したもの」が基本です。スマホのセルフィーや証明写真機での過剰な加工は、採用委員の心証に影響することがあります。フォーマルな印象を与える服装・表情を選んでください。


コメント