履歴書は基本情報を証明する書類、職務経歴書は実績をアピールする書類で、役割がまったく異なります。転職では両方を提出するのが基本ですが、志望動機や自己PRを同じ内容でコピペしてしまい、採用担当者に「使い回し」と見抜かれるケースは少なくありません。この記事では採用担当者の視点から、両書類の正しい書き分け方を具体例つきで解説します。
履歴書と職務経歴書は「別物」です|結論と役割の違い
結論:履歴書は証明書類、職務経歴書はプレゼン資料
履歴書は、氏名・住所・学歴・職歴・資格・志望動機など客観的な事実を証明する書類です。JIS規格や市販フォーマットなど決まった書式があり、応募者全員が同じ枠に情報を記入します。一方、職務経歴書はこれまでの業務経験・実績・スキルを自由形式でまとめ、自分の強みを企業に売り込む「プレゼン資料」にあたります。
2つの書類を混同すると、履歴書に職務経歴書のような長文の実績説明を書いてしまったり、逆に職務経歴書を履歴書並みに簡素にしてしまったりと、どちらも中途半端な印象になります。
【一目でわかる】履歴書と職務経歴書の違い比較表
| 履歴書 | 職務経歴書 | |
|---|---|---|
| 役割 | 基本情報の証明 | 実力・実績のアピール |
| 書式 | 決まった形式あり(JIS規格等) | 自由形式(A4用紙1〜3枚) |
| 記載量 | コンパクトに枠内へ収める | 実績・数値を交えて詳細に記載 |
| 主な記載項目 | 氏名・住所・学歴・職歴(概要)・資格・志望動機 | 職務経歴(詳細)・実績・スキル・自己PR |
| 採用担当者の読み方 | 経歴の流れと人物像を確認 | 即戦力として使えるかを判断 |
作成にあたっては、JIS規格に沿った履歴書テンプレートと、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートをあわせて使うと、書式で迷う時間を省けます。
採用担当者はどちらを重視している?
doda調査によると、採用担当者が書類選考で最も重視する項目は次の通りです。
| 書類 | 最重視項目 | 重視割合 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 志望動機 | 約70% |
| 履歴書 | 職歴欄 | 48.6% |
| 職務経歴書 | 仕事内容の詳細 | 62% |
| 職務経歴書 | 職務経歴・職務内容 | 43.4% |
採用担当者はここを見ている
- 履歴書で人物像をつかみ、職務経歴書で採用可否を判断する「2段階審査」が基本
- 履歴書の第一印象が悪いと、職務経歴書をじっくり読んでもらえないこともある
- 両書類は別々ではなく「セット」として戦略的に準備する必要がある
転職では両方提出が基本|例外ケースと注意点
原則:両方セットで提出が基本
転職活動では、応募要項に特別な指定がない限り、履歴書と職務経歴書の両方を提出するのが基本です。2つの書類は目的が異なり、片方だけでは伝えきれない情報があるためです。
採用担当者は「両方セットで揃っていること」を前提に審査するため、片方だけの提出は準備不足と受け取られるリスクがあります。応募前に必ず転職用の履歴書テンプレートで両書類を準備しておきましょう。
例外:履歴書のみでOKなケース
以下のケースでは、職務経歴書が不要な場合があります。
- 求人票に「履歴書のみ」と明記されている
- アルバイト・パート採用の場合
- 新卒採用の場合(社会人経験が少ないため)
採用担当者はここを見ている
「履歴書のみ」と指定されていても、職務経歴書を任意で添付すると差別化になります。頼まれていないのに準備してきたという行動自体が、準備力の高さとして好印象につながることがあります。ただし企業によっては余計な書類と受け取ることもあるため、求人票を事前によく確認してください。
【項目別】履歴書と職務経歴書の書き分け方
採用担当者が最もチェックする「職歴」「資格・スキル」「志望動機」「自己PR」の4項目について、それぞれの書き分け方を具体例つきで解説します。
職歴の書き分け方
職歴は両書類ともに記載しますが、書くべき内容の深さがまったく異なります。
- 履歴書の職歴欄:入社・退社の年月、会社名、部署名を時系列で記載するだけでよい
- 職務経歴書の職歴欄:業務内容・担当規模・実績・身についたスキルを数値を交えて詳細に記載する
良い例文(職務経歴書の職歴記載)
【営業職/在籍3年】月平均20件の新規開拓を担当。3年間で新規顧客100社を獲得し、前年比130%の売上を達成。大手クライアントへのプレゼン経験も豊富で、提案書の作成から成約まで一連の営業フローを一人で担当した。
NG例
営業を担当していました。チームで協力しながら業務に取り組みました。数値も具体的な業務内容もなく、採用担当者にはどんな人なのかがまったく伝わりません。
採用担当者はここを見ている
- 件数・金額・達成率などの数値が入っているだけで印象が大きく変わる
- 職務経歴書の職歴欄は1つの職場につき5〜8行を目安にすると読みやすい
- 「何をしたか」より「どんな成果を出したか」を重視している
職歴欄の書き方をさらに詳しく確認したい場合は、履歴書のスキル欄の書き方もあわせて参考にしてください。

資格・スキルの書き分け方
資格も両書類に記載しますが、書き方の役割が異なります。
- 履歴書の資格欄:取得した資格名と取得年月を正式名称で記載する(例:「普通自動車第一種運転免許」「日商簿記検定2級」)
- 職務経歴書のスキル欄:業務でどう活用したかを具体的に記載する(例:「TOEIC780点。英語でのメール対応・海外取引先との折衝経験あり」)
採用担当者はここを見ている
- 資格を「持っているだけ」ではなく「どう活かしたか」が採用判断のポイントになる
- 応募職種に関係のない資格を大量に列挙しても評価は上がらない
- PCスキルは使用レベルまで書くと具体的で好印象(例:「Excel:ピボットテーブル・VLOOKUP関数を使用した集計業務の経験あり」)
志望動機の書き分け方
志望動機は採用担当者の約70%が重視する最重要項目です。両書類で同じ内容をコピペするのは避けてください。それぞれの役割に合わせて書き分けます。
- 履歴書の志望動機:「なぜこの会社を選んだか」の理由を100〜200文字で簡潔にまとめる
- 職務経歴書の志望動機:「自分の経験がどう活きるか」まで言及し、300〜500文字で具体的に記載する
良い例文(履歴書の志望動機)
貴社の〇〇事業において、前職で培った△△のスキルを直接活かせると考え志望しました。特に、貴社が注力する□□領域は前職でも担当しており、即戦力として貢献できると考えています。
NG例
御社の社風に魅力を感じました。働きながら成長できる環境だと思い志望しました。「社風に魅力」「成長したい」は誰でも書ける言葉です。なぜこの会社でなければいけないのかが伝わらず、採用担当者の記憶に残りません。
志望動機を単体でしっかり練りたい場合は、志望動機なしの履歴書テンプレートを使い、まず書式を整えてから文面を作り込むと進めやすくなります。

自己PRの書き分け方
自己PRも、履歴書と職務経歴書では量と深さがまったく違います。
- 履歴書の自己PR:強みを1つに絞り「結論+具体例」で200〜300文字にまとめる
- 職務経歴書の自己PR:複数の実績を挙げ「貢献できる根拠」を500〜800文字で示す
採用担当者はここを見ている
- 志望動機と自己PRが両書類でまったく同じ「コピペ」は評価が下がりやすい
- 履歴書は「結論」、職務経歴書は「根拠」という役割分担を意識する
- 「〇〇が得意です」だけでなく「〇〇を活かして△△を達成しました」の形で書くと評価が上がる
自己PRの3ステップ構成を詳しく知りたい方は、履歴書の自己PRの書き方で具体例を確認できます。

手書き?パソコン?作成方法の違いと選び方
統一するのが鉄則
企業から指定がなければ、履歴書・職務経歴書ともにパソコン作成で問題ありません。実際に、直近1年で正社員へ転職した人のうち、パソコンやスマートフォンで作成した人は約68%にのぼり、手書きは約32%にとどまります。職務経歴書は情報量が多くなるため、表や箇条書きを活用できるパソコン作成のほうが読みやすく仕上がります。
ただし、片方だけ手書きにするなど作成方法をちぐはぐにするのは避けたいところです。両書類はセットで審査されるため、統一感のなさがそのまま準備不足の印象につながることがあります。
採用担当者はここを見ている
- 手書き・パソコンどちらでも合否への直接的な影響は小さい
- 金融・士業・接客など、手書きの丁寧さを評価する業界も一部存在する
- 作成方法より、記載内容の具体性・一貫性のほうが選考結果を左右する
書類選考を突破する採用担当者目線の5つのチェックポイント
書類の内容が正しく書けていても、思わぬ落とし穴で不合格になるケースは少なくありません。採用担当者がよく指摘する5つのポイントを確認しましょう。
- 誤字・脱字は選考除外の理由になる:提出前に必ず音読でチェックする
- 両書類を連動させてストーリーを作る:「なぜ転職するのか」「なぜこの会社か」「何ができるか」の3点が矛盾しないようにする
- 実績は必ず数値で語る:「売上を伸ばした」より「前年比130%を達成」のほうが印象に残る
- 「なぜこの会社か」を明確にする:どの企業にも使い回せる志望動機は避ける
- 空白期間・転職回数には必ずフォロー説明を入れる:履歴書に簡潔に、職務経歴書で詳細に触れると誠実な印象になる
採用担当者が本音で語る書類選考の実態
1人分の書類を数分で読むのが実情です。その短時間で目に留まるのは、数値が入った実績と「なぜこの会社か」が明確な志望動機です。両書類が一貫したストーリーになっている応募者は、短時間でも強く印象に残ります。
まとめ
- 履歴書=基本情報を証明する書類。書式が決まっており、人物像と経歴の流れを確認するために使われる
- 職務経歴書=実力・実績をアピールする書類。自由書式で、即戦力かどうかの判断材料になる
- 転職では原則として両方セットで提出する(求人票に指定がある場合はそれに従う)
- 志望動機・自己PRのコピペは避け、履歴書は「結論」、職務経歴書は「根拠」という役割分担を意識する
- 採用担当者は履歴書で人物像をつかみ、職務経歴書で採用可否を判断する2段階で書類を読んでいる
両書類の違いと役割を正しく理解し、採用担当者に会ってみたいと思わせる書類を作りましょう。
履歴書・職務経歴書に関するよくある質問
- 履歴書と職務経歴書は必ず両方提出しなければいけませんか?
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求人票に「履歴書のみ」と指定がない限り、両方の提出が基本です。職務経歴書を省略すると準備不足と判断されるリスクがあります。アルバイト・パート採用や新卒採用では、職務経歴書が不要なケースもあります。
- 履歴書の志望動機と職務経歴書の自己PRは同じ内容でいいですか?
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同じ内容のコピペは避けましょう。採用担当者の多くは使い回しを見抜きます。履歴書の志望動機は「なぜこの会社か」を100〜200文字で簡潔に、職務経歴書の自己PRは「自分の経験がどう活きるか」を根拠とともに500〜800文字で書くのが理想です。
- 職歴が短い・転職回数が多い場合、職務経歴書はどう書けばいいですか?
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職歴が短い場合は、業務内容や身についたスキルを丁寧に記載し、短期間でも何を学んだかを示しましょう。転職回数が多い場合は、各職場での経験をつなぐ一貫したキャリアのストーリーを作ることが重要です。空白期間がある場合も、何をしていたかを正直に簡潔に書くほうが印象はよくなります。
- 履歴書は手書きとパソコンどちらがいいですか?
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企業から指定がある場合はそれに従ってください。指定がない場合、現在はパソコン作成でも問題ありません。ただし、金融・士業・接客など手書きを重視する業界では、手書きが好まれることもあります。職務経歴書はパソコン作成が主流です。

