履歴書や送付状、応募メールに書くのは「貴社」、面接や電話で話すのは「御社」が正解です。書き言葉と話し言葉というルールを押さえれば、使い分けに迷うことはありません。本人希望欄や志望動機欄での書き方、銀行や学校など特殊業種での呼び方、提出後に間違いに気づいたときの対処法までまとめました。
履歴書は「貴社」、面接は「御社」が正解です【結論】
相手の会社を敬って呼ぶとき、書類では「貴社」、会話では「御社」を使います。まずは結論と、実際にどう書けばいいのかを例文で確認しましょう。
結論をひと言でいうと
「貴社」は書類・メールなど書き言葉で使う敬称、「御社」は面接や電話など話し言葉で使う敬称です。履歴書・送付状・応募メールはすべて書面として扱われるため、本文中は「貴社」で統一します。面接で話すときだけ「御社」に切り替えれば失敗しません。
- 履歴書・職務経歴書:貴社
- 送付状・応募メール:貴社
- 面接・電話でのやり取り:御社
「貴社」を使った例文(志望動機欄・本人希望欄)
良い例文
- 志望動機欄:貴社の〇〇という事業内容に強く共感し、これまでの経験を生かして貢献したいと考え、志望いたしました。
- 本人希望欄:貴社の規定に従います。
「御社」を使った例文(面接での回答)
良い例文(面接)
御社を志望した理由は3つございます。
NG例(書類に御社と書いてしまうケース)
御社の求人を拝見し、応募いたします。→ 書類では「貴社の求人を拝見し」が正解です。
採用担当者はここを見ている
- 書類全体で「貴社」に統一されているか。1箇所でも「御社」が混ざっていると見直し不足の印象になる
- 敬語の使い分けができているかを、基本的なビジネスマナーの理解度として見ている
なぜ書き言葉は「貴社」、話し言葉は「御社」なのか
書き言葉と話し言葉という敬語のルール
「貴」と「御」はどちらも相手を敬う接頭語ですが、文字として残る書き言葉には「貴」を、その場で消える話し言葉には「御」を使う慣習があります。履歴書は採用担当者の手元に残り、後から読み返される書類です。だからこそ「貴社」を使うのが正解になります。
メールはどちらに分類される?迷ったときの判断基準
応募メールや履歴書に添えるメール本文も、文字として残るため書き言葉に分類されます。したがって「貴社」を使います。判断に迷ったときは、文字として保存されるかどうかを基準にすると間違いません。
- 履歴書・送付状・応募メール:文字として残る=貴社
- 面接・電話・オンライン面談での発言:その場で消える=御社
採用担当者はここを見ている
送付状・履歴書・応募メールの3点で表記が揃っているかを見ています。使い回した文面のまま提出していないか、送付前に3点セットで見直す習慣が差になります。
「貴社様」は二重敬語|見落としがちな貴社の落とし穴
「貴社」自体にすでに敬意が含まれているため、丁寧にしようとして言葉を重ねるとかえって二重敬語になります。特に多い2つのミスを確認しておきましょう。
「貴社様」「御社様」がNGな理由
NG例
貴社様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
良い例文
貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。「貴社」だけで十分に丁寧な表現です。
「拝見させていただき」も二重敬語
NG例
貴社の求人を拝見させていただき、応募いたします。
良い例文
貴社の求人を拝見し、応募いたします。「拝見」自体が謙譲語のため、「させていただく」を重ねる必要はありません。
採用担当者はここを見ている
二重敬語は丁寧にしようとした結果のミスであるため、本人は気づきにくい傾向があります。だからこそ見つけたときに、言葉遣いへの注意力の差として印象に残りやすい部分です。
一般企業以外(銀行・学校・病院など)の正しい呼び方
「貴社」は一般企業(株式会社・合同会社など)への呼び方です。応募先が銀行や学校、官公庁などの場合は、専用の呼び方に変える必要があります。
| 応募先の種類 | 書き言葉 | 話し言葉 |
|---|---|---|
| 一般企業 | 貴社 | 御社 |
| 銀行 | 貴行 | 御行 |
| 信用金庫 | 貴庫 | 御庫 |
| 信用組合 | 貴組合 | 御組合 |
| 学校 | 貴校 | 御校 |
| 幼稚園・保育園 | 貴園 | 貴園(御園は使わない) |
| 病院 | 貴院 | 御院 |
| 官公庁 | 貴庁 | 御庁 |
| 財団法人・社団法人 | 貴法人 | 御法人 |
| 税理士事務所・会計事務所 | 貴事務所 | 御事務所 |
幼稚園・保育園は例外で、書き言葉でも話し言葉でも「貴園」に統一し、「御園」は使いません。応募先の正式名称が「株式会社」なのか「学校法人」なのかによっても呼び方が変わるため、求人票や公式サイトで組織形態を確認してから書き始めると安全です。
採用担当者はここを見ている
業種特有の呼び方を使えているかどうかで、その業界への関心の高さが伝わります。一般企業向けの「貴社」をそのまま使い回していると、使い回しの応募書類だと見抜かれることがあります。

「弊社」「当社」「現職」「前職」との違いも押さえておく
「貴社」「御社」が相手の会社を指す言葉なのに対し、自分の会社や自分が勤めていた会社を指す言葉も存在します。まとめて整理しておきましょう。
| 言葉 | 指すもの | 使う場面 |
|---|---|---|
| 弊社・当社 | 自分(自社)が所属する会社 | 書類・会話どちらも可(へりくだる場合は弊社) |
| 現職 | 在職中の勤務先 | 職務経歴書・面接での言及 |
| 前職 | 退職済みの勤務先 | 職務経歴書・面接での言及 |
転職活動で自分の勤務先について書くときは「弊社」ではなく「現職」「前職」を使います。「弊社」「当社」は自社の社員として名乗るときの表現で、応募者の立場で使う言葉ではありません。
採用担当者はここを見ている
職務経歴書で在職中の会社を「弊社」と書いてしまう人は少なくありません。立場を混同していないかという、基本的な読解力の指標として見られています。
提出後に「貴社」を間違えた場合の対処法
書き終えた後に「御社」と書いてしまった箇所を見つけることがあります。気づいたタイミングによって対応は変わります。
提出前に気づいた場合
- 手書きの場合は修正液・二重線を使わず、その用紙ごと書き直す
- パソコン作成の場合は該当箇所を修正し、印刷前に全文検索で「御社」が残っていないか確認する
- 送付状・履歴書・応募メールの3点を通しで見直し、表記が揃っているか最終確認する
投函後・送信後に気づいた場合
すでに郵送・送信が済んでいる場合、その場で書類を差し替えることはできません。「御社」の表記が1箇所ある程度で不採用になることはほとんどありませんが、気になる場合は面接で「先日お送りした書類に誤った表記がございました」と一言添えると、丁寧な印象を保てます。
採用担当者はここを見ている
些細な表記ミスそのものより、ミスに気づいたときに投げ出さず対応できるかどうかを見ています。次の1枚を落ち着いて仕上げる姿勢のほうが評価につながります。
履歴書全体で敬語の一貫性を保つチェックリスト
「貴社」の使い方が分かったら、履歴書の他の欄でも同じ意識で書き進めましょう。採用担当者は一部の欄だけでなく、書類全体の一貫性を見ています。
提出前チェックリスト
- 本人希望欄:特に希望がなければ「貴社の規定に従います」で統一しているか
- 志望動機欄:「貴社」「御社」が混在していないか
- 送付状:宛名の敬称(御中・様)と本文の「貴社」がどちらも正しく書けているか
- 二重敬語:「貴社様」「拝見させていただき」のような重複表現が残っていないか
本人希望欄の書き方をさらに詳しく確認したい場合は、以下の記事もあわせて参考にしてください。

封筒の宛名に迷う場合は、御中と様の使い分けをまとめた記事も参考になります。

使用する履歴書のフォーマットによって記入欄の位置は変わります。転職活動中の方は転職用の履歴書テンプレート、就職活動中の方は新卒用の履歴書テンプレートを使うと、本人希望欄や志望動機欄の位置が確認しやすくなります。
公的な様式で提出したい場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレート、従来の様式を使いたい場合はJIS規格に沿った履歴書テンプレートから選ぶと安心です。
まとめ
- 履歴書・送付状・応募メールは「貴社」、面接・電話は「御社」
- 「貴社様」「拝見させていただき」は二重敬語のためNG
- 銀行は貴行、学校は貴校など、業種ごとに専用の呼び方がある
- 提出後に間違いに気づいた場合は、次に生かせば問題ない
書き言葉と話し言葉の違いを押さえれば、貴社と御社の使い分けで迷うことはなくなります。
履歴書の「貴社」に関するよくある質問
- 履歴書に「御社」と書いてしまったら、書き直す必要がありますか?
-
提出前であれば書き直すのが基本です。すでに投函・送信済みの場合、その一箇所だけを理由に不採用になることは多くありません。次に書類を出す機会があれば、書き言葉と話し言葉の違いを意識して見直しましょう。
- メールで「貴社」「御社」どちらを使えばいいですか?
-
メールは文字として残る書き言葉として扱われるため「貴社」を使います。電話でのやり取りのみ「御社」に切り替えます。
- 「貴社様」は本当に間違いですか?
-
間違いです。「貴社」自体にすでに敬意が含まれているため、「様」を重ねると二重敬語になります。「貴社」だけで十分丁寧な表現になります。
- 銀行や学校に応募する場合も「貴社」でいいですか?
-
いいえ。銀行は「貴行」、信用金庫は「貴庫」、学校は「貴校」など、業種ごとに専用の呼び方があります。一般企業向けの「貴社」をそのまま使うと、業種への理解不足という印象を与えることがあるため注意しましょう。

