この記事では、市役所の履歴書志望動機の書き方を、採用担当者が必ずチェックする3つのポイントから解説します。新卒・転職・地元以外など状況別の例文9選と、よくあるNG例、例文を自分の言葉に変える方法もあわせて紹介します。
市役所の志望動機で落ちやすいのはどんな人か
採用担当者が志望動機でチェックする3つのポイント
採用担当者が市役所の志望動機を読むとき、必ず確認しているのは次の3点です。
| 確認ポイント | 採用担当者が知りたいこと |
|---|---|
| なぜ公務員か | 民間企業ではなく行政を選ぶ、明確な理由があるか |
| なぜこの市か | 全国にある市役所のなかで、この市を選んだ根拠があるか |
| 入庁後に何をするか | 「貢献したい」という言葉だけでなく、具体的なビジョンを持っているか |
この3点が揃っていない志望動機は、どれだけ文章が上手くても通過しにくくなります。採用担当者が毎年最も多く目にするのが、「なぜこの市なのか」が抜け落ちた志望動機です。
採用担当者はここを見ている
- 「この市でなければいけない理由」が1文でも書かれているか
- 自治体の特定施策や地域課題に具体的に触れているか
- 自分のスキル・経験と、市の行政課題が結びついているか
「例文をそのまま書く」人が落ちる本当の理由
Web上の例文を参考にして志望動機を書くこと自体は問題ありません。落ちる原因は、例文の固有名詞だけ差し替えて、それ以外をほぼそのまま使ってしまうことです。
採用担当者は毎年何百枚もの志望動機を読んでいます。「地元のために貢献したい」「市民サービスの向上に努めたい」という言葉は、使い回しが効く表現として見抜かれやすく、他の候補者との差がつきません。
この差が合否を分ける
NG例:「〇〇市の発展に貢献したいと考え、志望しました。」
OK例:「〇〇市が進める高齢者見守りサービスのDX化を、前職のシステム設計の経験を活かして推進する立場で携わりたいと考え、志望しました。」
具体性の有無が、採用担当者の印象を大きく左右します。
市役所の志望動機を組み立てる3ステップ
市役所の志望動機は、以下の3ステップの順番に組み立てると、採用担当者が求める構成に自然に近づきます。
| ステップ | 書くこと | 文字数の目安 |
|---|---|---|
| STEP1 | なぜ公務員か(民間との違い) | 30〜50文字 |
| STEP2 | なぜこの市か(自治体固有の理由) | 60〜100文字 |
| STEP3 | 入庁後に何をするか(具体的なビジョン) | 60〜100文字 |
STEP1|「なぜ公務員か」を1文で言語化する
公務員を選ぶ理由で採用担当者が納得するのは、「継続性」「公平性」「地域密着性」のいずれかと自分の動機が結びついているケースです。「安定しているから」「福利厚生が良いから」という理由は、書いた本人にとっては正直な動機であっても、採用担当者には「市民のために働く気持ちが薄い」と受け取られます。
公務員を選ぶ理由として伝わる表現の例
- 「地域課題の解決に、短期的な利益よりも長期的な視点で関わりたいから」
- 「すべての市民に公平なサービスを届ける仕事に携わりたいから」
- 「民間では対象外になる人々も含めた支援に関わりたいから」
STEP1は長くなりすぎないことが大切です。1〜2文、30〜50文字程度に収めると、STEP2とSTEP3のスペースを確保できます。
STEP2|「なぜこの市か」の根拠を作る
「なぜこの市か」を書くためには、その自治体の調査が必要です。調べ方を知らないと「市が好き」「子供の頃から親しんでいる」という情緒的な表現に終わりがちです。
自治体研究で調べるべき5つの情報
- 市の総合計画(市HPに公開されている施策の方向性)
- 市長の所信表明・市政方針(今年度の優先課題)
- 市が直面している課題(人口減少・産業構造の変化など)
- 全国的に注目された先進事例(他市にない取り組み)
- 自分との接点(居住歴・通学・勤務・観光など)
調べた内容から1〜2点を選んで、「この市でだからこそやりたい仕事」に結びつけることが、説得力ある志望動機の核心になります。
STEP3|「入庁後に何をするか」まで書き切る
「市民のために貢献したい」で終わる志望動機は、STEP3が書けていない状態です。採用担当者が聞きたいのは、「具体的にどの部署で、何をしたいのか」です。
可能であれば、志望する職種・部署名に触れることで、自治体研究の深さが伝わります。ただし「〇〇課でしか働きたくない」という印象を与えると、配属の柔軟性がないと判断されるリスクもあります。「入庁後はまず〇〇の業務で経験を積み、長期的には△△に貢献したい」という形で書くと、前向きさと柔軟性を同時に示せます。
【状況別例文9選】市役所の志望動機
以下の例文は、履歴書の志望動機欄(150〜250文字程度)を想定して作成しています。固有名詞(市名・施策名・部署名)は必ず応募先に合わせて書き直してください。
①新卒で地元市役所を志望する場合
例文
大学で地域福祉を専攻するなかで、行政と地域住民をつなぐ窓口業務の役割の大きさを実感してきました。生まれ育った〇〇市で、子育て世帯の支援体制をさらに充実させたいと考えています。〇〇市が推進する「保育所待機児童ゼロ」の取り組みに共感しており、入庁後はこども家庭課を志望し、保護者相談の一次対応から政策補助まで幅広く携わることで、地域の子育て環境改善に貢献したいと考えています。
採用担当者はここを見ている
- 専攻・経験と志望職種が結びついているか
- 「〇〇市の具体的な施策名」に言及しているか
- 「どの部署で何をしたいか」まで書いているか
②新卒で地元以外の市役所を志望する場合
例文
大学4年間を〇〇市で過ごしたことで、人口減少と高齢化が進むなかでもコンパクトシティ実現に向けた独自の取り組みが進んでいることを肌で感じてきました。都市工学を専攻した知見を、まちづくりの決定権を持つ行政の内側から活かしたいと考え志望しました。入庁後は都市計画課での業務を通じて中心市街地の再生と住民合意形成に携わり、持続可能なまちの設計に貢献することを目標にしています。
採用担当者はここを見ている
- 「なぜこの市を選んだのか」に、その市との具体的な接点があるか
- 地元でないことへの説明が自然な流れで含まれているか
③民間から転職する場合(地元の市役所)
例文
民間のIT企業で6年間、業務システムの開発と自治体向けシステム導入支援に携わってきました。その経験を通じて、行政内部からDXを推進する職員の必要性を強く実感しました。生まれ育った〇〇市は現在、行政手続きのオンライン化を進めていますが、市民の利便性をさらに高める余地があると感じています。培ったシステム設計の知識を情報政策課で活かし、窓口に来なくてもすむ仕組みづくりに直接貢献したいと考えています。
採用担当者はここを見ている
- 前職のどのスキルを、市のどの課題に活かすかが明確か
- 転職の理由が「安定」ではなく「貢献の方向性の変化」として伝わるか
④民間から転職する場合(地元以外の市役所)
例文
介護施設での5年間の現場経験を経て、個別支援から地域全体の高齢者政策に携わりたいと考えるようになりました。〇〇市は高齢化率が高い一方で、地域包括ケアシステムの構築において全国先進事例として評価されており、その実践の現場で政策立案に携わりたいと志望しました。現場で培った利用者目線の感覚を、介護保険制度の運用や地域支援事業の設計に活かしていきたいと考えています。
採用担当者はここを見ている
- 市を選んだ理由として、その市固有の特徴・先進的な取り組みに触れているか
- 現場経験が行政業務でどう活きるかの具体的なイメージがあるか
⑤Uターンで地元に戻る場合
例文
東京で7年間、消費財メーカーのマーケティング職に従事してきました。両親の高齢化を機に地元〇〇市への帰郷を決意しましたが、単なるUターンで終わらず、都市部で培ったデータ分析と情報発信のスキルを地域課題の解決に活かしたいと考えています。〇〇市が人口減少対策として掲げる「関係人口の拡大」という方針に共感しており、観光・シティプロモーション分野での業務を通じて市外からのファンを増やす施策に貢献したいと考えています。
採用担当者はここを見ている
- 「地元に戻る理由」が個人的な事情だけでなく、市への貢献意欲と結びついているか
- 前職のスキルと志望業務が自然に接続しているか
⑥子育て支援・福祉系の職種を志望する場合
例文
保育士として8年間、保護者相談や地域の子育てひろばの運営に携わってきました。現場で実感したのは、保育の量を増やすだけでなく、困っている家庭が気軽に相談できる窓口体制の整備が必要だということです。〇〇市の子ども・子育て支援事業計画を読み、現場の声を政策に直接反映できる立場への転身を決意しました。入庁後は子ども家庭総合支援拠点での相談体制の充実と、支援が届きにくい家庭へのアウトリーチ強化に取り組みたいと考えています。
⑦IT・DX推進を担いたい場合
例文
Webシステムの開発エンジニアとして5年間勤務し、直近2年間は自治体向けの業務効率化システムの設計に特化してきました。外部ベンダーとして関わるなかで、行政内部にITを理解した職員がいることの重要性を痛感しました。〇〇市が推進するマイナンバーカードを活用した手続きワンストップ化の計画に注目しており、その実現を内側から推進する立場として貢献したいと考え志望しました。
⑧まちづくり・都市整備を志望する場合
例文
建設会社の施工管理として7年間、〇〇市発注のインフラ整備工事に携わってきました。発注側である行政の計画立案の段階から関わりたいという思いが年々強くなり、転職を決意しました。〇〇市が進める立地適正化計画に基づくコンパクトシティ推進を外側から支援した経験を、内側から政策立案に活かすことで、より実効性のある都市整備の実現に貢献したいと考えています。
⑨防災・地域安全分野を志望する場合
例文
建築学科を卒業後、民間の耐震診断会社で3年間、住宅・公共施設の耐震性評価に従事しました。技術的な診断業務を続けるなかで、診断結果を防災政策に結びつける行政側の役割の重要性を強く感じるようになりました。〇〇市が策定した「地域防災力強化計画」はハードとソフトの両面を統合した先進的な計画と評価しており、耐震設計の専門知識を防災担当部署での建物調査や避難計画の策定に活かし、市民の安全確保に直接貢献したいと考えています。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →採用担当者が「落としたくなる」志望動機のNG例3パターン
例文を書く前に、やってしまいがちなNGパターンを確認しておきましょう。自分の志望動機がこれに当てはまっていないか、セルフチェックに活用してください。
NG例1|安定性・給与を志望理由にしてしまう
NG例
「公務員は安定した雇用と充実した福利厚生が整っており、長期的に働ける環境だと考えています。この安定した環境のもとで、市民サービスに誠実に取り組みたいと思い、志望しました。」
安定性は「市民のために働きたい理由」ではなく「自分のために公務員になりたい理由」です。採用担当者は「市民のために何をしてくれる人か」を知りたいため、自分の都合を前面に出した志望動機は評価されません。「長期的に関わりたいから」という方向に言い換えると、ポジティブな表現に変わります。
NG例2|地元愛の連呼で終わってしまう
NG例
「生まれ育ったこの〇〇市が大好きで、地元のために役立ちたいという強い思いがあります。地元を愛する気持ちを仕事に活かし、市民のみなさんの生活を支えていきたいと考えています。」
地元愛は志望動機のきっかけとして有効ですが、「愛している」だけでは採用担当者には何も伝わりません。「〇〇という点が好きで、だからこそ××という仕事に携わりたい」という形で、感情を具体的な行動意欲に変換することが必要です。地元愛は「動機のきっかけ」として最初の1文に留め、その後は具体的な施策・ビジョンへ展開するのが正しい使い方です。
NG例3|「どの市役所にも使える」内容になっている
NG例
「公務員として市民サービスに携わりながら、地域の発展に貢献したいと考えています。行政の一員として責任感を持って働き、市民の方々の日常生活を支えていきます。」
この文章は、日本中どの市役所の採用試験でも使えます。採用担当者はこのことを即座に見抜きます。「〇〇市でなければいけない理由」が1ミリも書かれていない志望動機は、本気の志望とは受け取ってもらえません。市名を変えれば別の市にも使えると気づいたら、STEP2の自治体研究に戻って書き直してください。
市役所の志望動機を仕上げる3つのチェックポイント
例文を参考に書いた後、提出前に以下の3点を確認してください。
自治体研究で「この市ならでは」の根拠を作る
| 情報源 | 確認すること |
|---|---|
| 市の総合計画(HP公開) | 市が10年単位で目指す方向性・重点施策 |
| 市長の所信表明・市政方針 | 今年度の優先課題・新規事業 |
| 地方紙・市の広報誌 | 市が現在直面している具体的な課題 |
| 他市との比較データ | その市ならではの特色・全国注目の先進事例 |
調べた内容から志望動機に盛り込むのは1〜2点に絞ることが大切です。知識を詰め込みすぎると「なんでも書いた」印象になり、かえって薄まります。
例文の骨格を使いながら個人化する方法
例文をそのまま使わないためには、以下の3点を必ず自分の言葉に置き換えてください。
- 固有名詞(市名・施策名・部署名)を実際の応募先に合わせて書き直す
- 自分の経験エピソード(動機のきっかけとなる出来事)を1〜2文追加する
- 「私は」から始まる文を少なくとも1回入れ、主語を明確にする
採用担当者に「この人は本気でうちの市を調べてきた」と思わせることができれば、書類選考を通過する可能性は大きく上がります。
履歴書の文字数に合わせた調整の仕方
履歴書の志望動機欄は、用紙によって書ける文字数が大きく異なります。欄の大きさに合わせて内容を調整するときは、削る優先順位を守ることが大切です。
削る順番(この順番で短くする)
- ① STEP1(なぜ公務員か)を圧縮→最短1文にする
- ② STEP3(入庁後のビジョン)を短縮→部署名のみ言及で締める
- ③ STEP2(なぜこの市か)は最後まで残す(採用担当者に最も刺さる部分のため)
「なぜこの市か」の部分は、どれだけ字数が少なくても削らないことが原則です。この1点だけで、他の候補者との差をつけることができます。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 市役所の志望動機では「なぜ公務員か」「なぜこの市か」「入庁後に何をするか」の3点を揃えることが基本
- 採用担当者が最も重視するのは「なぜこの市なのか」の部分。自治体固有の施策・課題を必ず1つ盛り込む
- 例文はそのまま使わず、自分のエピソードと市の固有名詞に置き換えて個人化する
- 「安定性のアピール」「地元愛の連呼」「どの市にも使える汎用文」の3つは落とされる確率が高いNG表現
市役所の志望動機は、例文を探すより自治体研究に時間をかけることが合格への近道です。
市役所の志望動機に関するよくある質問
- 市役所の志望動機は何文字で書けばいいですか?
-
履歴書の欄に収まる文字数が基準です。一般的な履歴書では150〜250文字程度が目安になります。欄が小さい場合は150文字以内を目指し、「なぜこの市か」の部分を優先して残してください。文字数が少ない場合でも、自治体固有の情報を1つ入れるだけで他の候補者と差がつきます。
- 地元以外の市役所を受ける場合、なぜその市を選んだか説明できません。
-
市との接点がまったくない場合でも、「その市の政策・取り組みに共感した」という形で志望理由を作ることができます。市のHPで総合計画や重点施策を調べ、「この市が○○に取り組んでいることを知り、自分のスキルを活かせると感じた」という構成で書いてください。観光や通過した経験でも「縁」として使えます。
- 転職で市役所を受けるとき、前職を辞めた理由は書くべきですか?
-
履歴書の志望動機欄には原則不要です。退職理由を盛り込もうとすると文字数を圧迫し、「なぜこの市か」「入庁後に何をするか」が薄くなります。前職への言及は「前職で培った○○のスキルを活かして」という形で、ポジティブな切り口だけで盛り込んでください。
- 「安定しているから」という本音を、うまく言い換える方法はありますか?
-
「安定」は直接書かずに、その動機の背景にある「長期的な視点で地域に関わりたい」という気持ちに変換するのがポイントです。「短期的な利益よりも、長期的に市民の生活を支える仕事がしたいと考えるようになりました」という表現に置き換えると、採用担当者に伝わる志望動機になります。


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