この記事では、臨時的任用教員として採用を目指す方向けに、履歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。職歴欄で使うべき用語、教員免許の正式名称、志望動機・自己PRの例文まで、書類選考を通過するために必要な情報をまとめています。
臨時的任用教員の履歴書が「一般転職」と違う3つのポイント
臨時的任用教員とは、都道府県・指定都市の教育委員会が、正規教員の産育休代替や欠員補充のために任用する教員です。地方公務員法第22条に基づく「任用」であるため、一般企業の採用とは使う用語や書き方が大きく異なります。まずはその違いを整理しておきましょう。
職歴欄の用語が異なる(「入社」「退社」は使えない)
民間企業への転職では「〇〇株式会社 入社」「一身上の都合により退社」と書きますが、臨時的任用教員の場合はこれらの用語は使えません。「入社」「退社」の代わりに「任用」「任期満了により退職」を使うのが正しい書き方です。
これは、臨時的任用教員が地方公務員としての「任用」関係にあるためです。採用担当者(教育委員会の担当者)は、この用語の使い分けを書類の段階で確認しています。「入社」と書いてある履歴書は、教育現場の慣例を理解していないと判断されるリスクがあります。
| 場面 | 民間企業(NG) | 臨時的任用教員(正解) |
|---|---|---|
| 採用された | 入社 | 任用(奉職) |
| 辞めた(任期終了) | 退社 | 任期満了により退職 |
| 自分の都合で辞めた | 一身上の都合により退社 | 一身上の都合により退職 |
採用担当者(教育委員会)が最初に確認する2項目
教育委員会の採用担当者が履歴書を開いて最初に確認するのは、次の2点です。
採用担当者はここを見ている
- 教員免許の種類と有効性:応募する校種に対応した普通免許状を持っているか。免許の記載が「正式名称」になっているかどうか
- 担当可能な校種・教科:小学校なのか中学校なのか、教科は何か。過去の任用経験があればその科目・学年まで確認する
この2点が満たされていなければ、それ以降のページを読まれない可能性があります。志望動機や自己PRをどれほど丁寧に書いても、前提条件が読み取れなければ意味をなしません。
市販履歴書か自治体様式かの選び方
臨時的任用教員の登録・応募には、教育委員会が用意する「採用志願書(登録票)」を使うケースと、市販の履歴書を使うケースの2種類があります。
都道府県の教育委員会が独自の様式を指定している場合は、必ずその様式に従ってください。指定がない、または市販の履歴書でよいと案内されている場合は、JIS規格様式(A4サイズ)が一般的です。どちらの場合でも、記載すべき内容(教員免許・職歴・志望動機)は共通です。
職歴欄の書き方【最重要】
職歴欄は採用担当者が最も時間をかけて読む欄です。どのような学校で、どの校種・教科を、どれくらいの規模で担当してきたかを正確に伝えることが求められます。
基本の記載形式と例文
職歴欄の1行目に学校名と雇用形態、2行目以降に担当科目・学年・クラス数を書くのが基本形式です。学校の正式名称(「〇〇市立〇〇中学校」など)を使い、略称は避けてください。
良い例文
○○年○月 ○○県立△△高等学校 臨時的任用教員として任用
(担当:国語 / 1〜3年生・6クラス / 週22時間担当)
○○年○月 任期満了により退職
NG例
○○年○月 ○○県立△△高校 入社
○○年○月 退社
→ 「高校」「入社」「退社」はすべてNG。採用担当者は教育現場を知らないと判断します。
担当コマ数や学年・クラス数を記載することで、業務の規模感が伝わります。「週22時間担当」「学年主任補佐」「3年生担任代行」など、具体的な情報を1〜2行で補足するのが効果的です。
複数の学校・複数回の任用がある場合
臨時的任用教員の任期は原則6ヶ月以内(更新1回)です。複数の学校で働いた経験がある場合や、同じ学校で複数回任用されたケースでは、それぞれを時系列で記載します。
注意すべき点は、すべての任用歴を省略せず記載することです。「短期間なので省いてもいいか」と考える方もいますが、任用歴は教育現場でのキャリアの証明になります。逆に省略すると経歴に空白が生じ、採用担当者が不審に感じることがあります。
複数任用の記載例
○○年4月 ○○市立△△小学校 臨時的任用教員として任用
(担当:4年生 学級担任代行 / 全科目)
○○年9月 任期満了により退職
○○年10月 ○○市立□□小学校 臨時的任用教員として任用
(担当:2年生 学級担任代行 / 全科目)
○○年3月 任期満了により退職
なお、公立学校への臨時的任用と私立学校の非常勤講師を並行して経験している方は、それぞれを別の職歴として明確に分けて記載してください。採用担当者が雇用形態を混同しないよう、括弧内に「臨時的任用」「非常勤講師(時間講師)」などの区別を入れると親切です。
公立学校への就職・転職で履歴書の職歴欄の書き方に悩む方は、同じ公務員雇用形態である会計年度任用職員の履歴書の書き方も参考になります。

産育休代替・特定期間の任用の場合の書き方
産育休代替として任用された場合も、記載方法は基本と同じです。「産育休代替」「欠員補充」などの任用理由を括弧内に明記すると、採用担当者が経緯を理解しやすくなります。
産育休代替の記載例
○○年4月 ○○市立△△中学校 臨時的任用教員として任用
(担当:理科 / 1・2年生 / 産育休代替として勤務)
○○年○月 代替対象者の復職に伴い退職
「代替対象者の復職に伴い退職」と書くことで、短期間で退職した理由が明確になります。「一身上の都合」よりも、採用担当者が状況を正確に把握できる書き方です。
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学歴欄のポイント
学歴欄では、大学・学部・学科の正式名称を使います。略称は使わず、「教育学部 初等教育学科」「文学部 国文学科」のように正確に記載してください。
- 大学名:「〇〇大学」(正式名称。「〇〇大」は略称のため不可)
- 学部・学科:「教育学部 教育学科」のようにフルで記載
- 大学院の場合:「〇〇大学大学院 教育学研究科 教科教育専攻 修士課程 修了」
- 卒業・修了の区別:4年制大学は「卒業」、大学院は「修了」が正しい
校種別・教科別の教員免許正式名称一覧
資格欄には教員免許状の正式名称を記載します。略称や通称は使わず、免許状に記載されている名称をそのまま写すのが原則です。取得日は「〇〇年〇月 取得」と書きます(「合格」ではなく「取得」)。
| 校種・区分 | 正式名称の例 |
|---|---|
| 小学校(一種) | 小学校教諭一種免許状 |
| 小学校(二種) | 小学校教諭二種免許状 |
| 中学校(一種・国語) | 中学校教諭一種免許状(国語) |
| 高等学校(一種・数学) | 高等学校教諭一種免許状(数学) |
| 特別支援学校(一種) | 特別支援学校教諭一種免許状 |
| 幼稚園(一種) | 幼稚園教諭一種免許状 |
採用担当者はここを見ている
- 中学校・高等学校の免許は教科名が括弧内に記載されているかを確認する(「中学校教諭一種免許状」だけでは教科が不明)
- 小学校と中学校の両方を持っている場合は、2行に分けてすべて記載する
- 「教員免許取得予定」の場合は「〇〇年〇月 取得見込み」と記載する
2022年7月の更新制廃止後の記載ルール
教員免許の更新制は2022年7月1日に廃止されました。現在では更新講習を受講しなくても免許状は失効しません。ただし、更新制が廃止される前(2022年7月以前)に更新期限が切れてしまった方は、状況に応じて対応が必要です。
- 2022年7月以降に免許取得:そのまま「〇〇年〇月 取得」と記載
- 2022年7月以前に更新済みの場合:そのまま記載(更新の旨は記載不要)
- 更新期限切れで失効した場合:都道府県教育委員会へ「再授与申請」を行うことで復活可能。再授与後は通常通り記載できる
免許の有効性に不安がある場合は、採用活動と並行して都道府県教育委員会の担当窓口に確認することをお勧めします。
志望動機の書き方
臨時的任用教員の志望動機には、一般的な「教育への情熱」だけでなく、この雇用形態で働くことへの具体的な理由と地域・学校への貢献意識が求められます。
採用担当者に響く志望動機の3要素
教育委員会の採用担当者が志望動機を読むときに確認しているのは、次の3点です。
- ①なぜ教員として働きたいのか:「子どもが好き」だけでなく、自分の経験や専門性がどう活かせるかを具体的に
- ②なぜ臨時的任用(常勤講師)という形を選ぶのか:教員採用試験に向けた準備期間として、または地域の教育現場への貢献として説明できるか
- ③どんな教師像を目指しているか:「子どもにとって〇〇な教師でありたい」という具体的なビジョン
「教員採用試験合格に向けて実践経験を積みたい」という動機は正直に書いて問題ありません。むしろ、その意欲と現場での貢献への姿勢を同時に伝えることで、採用担当者の信頼を得やすくなります。
志望動機例文
以下に、状況別の志望動機例文を示します。自分の状況に合わせてアレンジしてください。
例文①:新規登録(教員採用試験を目指している場合)
大学在学中の教育実習を経て、実際に子どもたちと関わる中で「授業の面白さを体で伝えられる教師になりたい」という気持ちが強くなりました。現在は教員採用試験の合格に向けて勉強を続けていますが、試験合格を待つだけでなく、実際の教育現場で経験を積みながら成長したいと考えています。担当科目である理科を通じて、生徒が「なぜ?」と感じる瞬間を大切にした授業を行い、○○県の教育現場に貢献したいと思い志願いたしました。
例文②:継続任用(複数回の任用経験がある場合)
これまで○○市内の小学校で計3年間、臨時的任用教員として学級担任代行を経験してきました。その中で、一人ひとりの学習ペースに合わせた個別指導の大切さを学ぶとともに、保護者との信頼関係の築き方についても実践を通じて身につけることができました。これまでの経験と、培ったコミュニケーション力を活かして、引き続き○○市の教育現場に貢献したいと考えています。
NG例(採用担当者が見て困る書き方)
「教員になりたいと思ったため志願しました。子どもが好きで、教えることが得意です。」
→ なぜこの学校・地域なのか、何を提供できるのかが一切伝わらない。採用担当者は「誰でもいい」という印象を受けます。
公務員・準公務員の志望動機は、目的意識の明確さが採用担当者への印象を左右します。会計年度任用職員の志望動機の書き方も構成の参考になります。

自己PRの書き方
採用担当者が評価する自己PRのポイント
自己PRでは、「教師として現場に出たとき即戦力になれるか」を採用担当者に伝えることが目的です。抽象的な「熱意」「誠実さ」だけでは不十分で、具体的なエピソードと、そこから得た能力を明示することが差をつけるポイントです。
採用担当者はここを見ている
- 過去の任用経験や教育実習で「何を工夫し、どんな成果が出たか」
- 保護者・同僚との関係構築ができるか(トラブル対応の経験があればなおよい)
- 採用後に学校の即戦力として動けるか(校務分掌・部活動対応などへの意識)
自己PR例文
例文①:経験者(任用歴あり)
前任校では2年間、中学2・3年生の数学を担当しました。特に苦手意識を持つ生徒への個別対応に力を入れ、週1回の朝学習の時間を活用した少人数指導を提案・実施した結果、担当クラスの定期テスト平均点が前年比8点向上しました。また、学年会議や保護者面談にも積極的に参加し、担任教員の補佐として信頼関係の構築に努めました。これらの経験を活かし、貴校の生徒一人ひとりの学力向上に貢献したいと考えています。
例文②:新規登録(教育実習・塾講師経験ベース)
大学での教育実習では4週間にわたり小学5年生を担当しました。算数の授業では図や具体物を使った視覚的なアプローチを積極的に取り入れ、「面積の求め方が初めて理解できた」という感想をもらえたことが印象に残っています。また、学習塾での2年間の指導経験を通じて、一人ひとりの躓きを早期に発見し対応する観察力を養いました。この経験を基盤に、現場でさらに成長しながら貢献できる教員を目指しています。
公務員系の自己PRは、民間企業と異なり「組織への貢献」や「チームワーク」が評価されやすいです。市役所の自己PRの書き方も、構成の参考にしてください。

提出時のマナー
手書きかPC作成か
教育委員会への提出書類については、特に指定がない限りどちらでも問題ありません。ただし、自治体が専用様式を用意している場合は手書きが前提になることが多いです。
市販履歴書を使う場合はPCで作成しても問題ありませんが、フォントは明朝体(游明朝・ヒラギノ明朝)、文字サイズは10.5〜11ptが基本です。手書きの場合は黒または濃紺のボールペンで楷書体を使い、修正液は使用しないのがマナーです。
写真・日付のルール
証明写真は原則として3ヶ月以内に撮影したものを使用します。スーツ着用・清潔感のある服装が基本で、教員という立場柄、派手なアクセサリーや過度なメイクは避けてください。
- サイズ:縦4cm×横3cm(JIS規格の標準サイズ)
- 写真の裏面:氏名・撮影日を記入しておくと安心
- 日付の書き方:郵送の場合は投函日、持参の場合は提出日を記入。和暦・西暦は書類全体で統一する
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 職歴欄は「任用」「任期満了により退職」を使い、「入社・退社」は使わない
- 担当科目・学年・クラス数など具体的な情報を職歴欄に必ず記載する
- 教員免許は校種・教科・免許の種別を正式名称で記載し、「取得」と書く
- 2022年7月の更新制廃止後、免許が失効した場合は再授与申請で復活可能
- 志望動機には「教員を目指す理由・なぜ臨時的任用か・どんな教師を目指すか」の3要素を盛り込む
- 自己PRは具体的なエピソードと成果を使い、即戦力としての姿勢を伝える
書類の完成度は採用担当者の第一印象を決めます。提出前に必ず読み直し、用語・正式名称・誤字がないか確認してから提出してください。
臨時的任用教員の履歴書に関するよくある質問
- 臨時的任用教員の職歴は「非常勤講師」と同じように書いていいですか?
-
書き方は異なります。臨時的任用教員は常勤(フルタイム)の任用であり、非常勤講師(時間講師)とは雇用形態が異なります。職歴欄には「臨時的任用教員として任用」と明記し、非常勤講師の経験と混同しないよう分けて記載してください。採用担当者は両者の違いをよく知っており、同一に扱うと経歴の理解が不正確になります。
- 教員免許を持っていない科目への任用を希望してもいいですか?
-
臨時的任用教員として採用されるには、勤務する校種の普通免許状(または特別免許状)を持っていることが原則です。免許を持っていない校種・教科への応募は基本的にできません。ただし、特別支援学校に隣接する通常学級での任用など、例外的なケースもあるため、各都道府県の教育委員会に直接確認するのが確実です。
- 複数の都道府県に同時に登録してもいいですか?
-
基本的には可能です。教育委員会ごとに独立した登録・選考が行われるため、複数の都道府県や市区町村に同時登録する方は少なくありません。ただし、採用が決まった場合は他の登録先にも速やかに連絡するのがマナーです。通勤可能な地域を明確にしたうえで登録することで、採用担当者が調整しやすくなります。
- 履歴書に「教員採用試験を受験中」と書いてもいいですか?
-
記載しても問題ありません。本人希望欄や志望動機欄に「教員採用試験合格を目指しながら現場経験を積みたい」と書く方は多く、採用担当者もそれを承知のうえで選考しています。ただし、「採用試験に合格次第すぐに退職する」という書き方は避け、「任期中は全力を尽くす」という姿勢を前面に出すのが適切です。


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