パートの退職届は、正社員と同じ基本フォーマットで書けば十分です。ただし契約更新のある働き方の場合、契約期間の途中で辞めるときは会社の同意が欠かせません。「これで店長に渡して大丈夫か」「更新のタイミングを逃したら辞められないのでは」と迷う方に向けて、状況別の例文と、契約更新のタイミングを踏まえた提出までの流れを、法律上のルールとあわせて解説します。
パートの退職届は必要?結論と基本の書き方・例文
結論:書き方は正社員と同じ。ただし契約途中は会社の同意が前提
パートの退職届も、書く項目は正社員と変わりません。「提出日」「退職理由(一身上の都合)」「退職日」「所属・氏名・押印」「宛先(店長名や会社名)」の5項目がそろっていれば、便箋やコピー用紙1枚で体裁は整います。
- 用紙は無地の白い便箋またはコピー用紙でよい
- 退職理由は「一身上の都合」で統一するのが一般的
- 退職日は最終出勤日を基準に記載する
ここで押さえておきたいのは、書式が同じでも、辞められるタイミングは雇用契約の種類によって異なるという点です。シフトの契約更新があるパートは、更新月をまたぐかどうかで話が変わってきます。詳しいルールは後述しますが、まずは基本の例文から確認しましょう。
【状況別】パートの退職届の例文
退職理由の欄は「一身上の都合」で統一しつつ、書き出しや添える一言は状況に合わせて調整すると自然です。
良い例文(契約更新のタイミングで辞める場合)
退職届
私儀
この度、一身上の都合により、令和8年〇月〇日をもって契約満了と同時に退職いたします。
在職中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
令和8年〇月〇日
〇〇株式会社 〇〇店 店長 〇〇様
氏名 〇〇 〇〇 印
良い例文(契約期間の途中・家庭の事情で辞める場合)
退職届
私儀
この度、一身上の都合により、令和8年〇月〇日をもって退職いたします。
ご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
令和8年〇月〇日
〇〇株式会社 〇〇店 店長 〇〇様
氏名 〇〇 〇〇 印
NG例
「シフトがつらいので辞めます」のように不満をそのまま書くのはNGです。退職届は事実だけを簡潔に記す書類のため、詳しい事情は口頭で伝え、書面は「一身上の都合」で統一します。契約期間の途中なのに退職日だけを一方的に書いて提出するのも、後のトラブルにつながりやすい書き方です。
提出前に確認したい3つのポイント
職場の担当者はここを見ている
- 就業規則の届出期限:「退職の1ヶ月前」など社内ルールがないか
- 契約書との整合性:契約更新月・満了日と退職日がずれていないか
- 提出先:パートリーダーではなく店長・雇用主に直接渡しているか
パートに退職届は「不要」と言われる理由
「パートに退職届は不要」という情報を目にして混乱した方もいるはずです。これは、雇用契約の種類によって法律上の扱いが変わるために起きる誤解です。
契約期間の定めがないパートなら、口頭でも2週間で退職できる
雇用期間の定めがないパートであれば、民法627条により退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、口頭だけでも退職は成立します。書面の退職届は法律上の必須書類ではありません。
それでも書面を用意したほうがよいケース
- 就業規則で「退職届の提出」が定められている
- 口頭だけでは「言った・言わない」のトラブルが不安
- 退職日を書面で明確にし、引き継ぎの目安にしたい
まずは口頭で退職の意思を伝え、指示があれば書面を用意するのが現実的な進め方です。職場としても、口頭だけより書面が残っているほうが引き継ぎ計画を立てやすいという声は少なくありません。ただし、ここまでの話は契約期間の定めがないパートが前提になります。多くのパートはシフトの契約更新がある有期契約のため、次の章のルールを確認しておく必要があります。
契約更新ありのパートが知っておきたい退職のルール
実は、多くのパートは「契約期間3ヶ月」「6ヶ月ごとに更新」のような有期雇用契約を結んでいます。この場合、退職届を出せばすぐに辞められるわけではない点に注意が必要です。
有期契約の途中退職は、原則「会社の同意」が必要
民法628条では、契約期間の途中で一方的に辞められるのは「やむを得ない事由」がある場合に限られると定めています。急な体調不良や家族の介護など正当な理由がなく、かつ職場との合意もないまま契約期間中に辞めると、理論上は損害賠償を請求される可能性も出てきます。
もっとも、実務上トラブルになるケースは多くありません。本人が退職届を提出し、職場側がそれを受理すれば「合意退職」となり、契約期間の途中であっても円満に辞められます。退職届は、この「同意を得るための意思表示」としての役割も持っています。
契約更新のタイミングを逃すとどうなるか
契約更新の話し合いが行われる前に退職の意思を伝えられれば、次の契約を結ばずに「契約満了」というかたちで自然に退職できます。逆に、更新後に「やっぱり辞めたい」と伝えると、あらためて契約期間の途中退職として会社の同意を得る手続きが必要になります。
| 退職のタイミング | 必要な手続き |
|---|---|
| 契約更新前に伝える | 更新せず契約満了で退職(同意は不要) |
| 契約期間の途中で伝える | 職場の同意を得た合意退職が基本 |
職場の担当者はここを見ている
- 契約更新のタイミングを踏まえて相談してきたか(急な申し出は調整が難しい)
- 退職日が明確な書類なら、シフト再編や求人準備をすぐ始められる

退職届を書く前に準備するもの
特別な道具は必要ありません。以下の4点があれば、その場で退職届を仕上げられます。
- 便箋またはコピー用紙:無地・白色のもの
- 白無地の封筒:便箋のサイズに合ったもの
- 黒ボールペンまたは万年筆:消せるボールペンは避ける
- 印鑑:認印でよいが、シャチハタは避けるのが無難
NG例
シフト表の余白やメモ用紙に走り書きしたものを退職届として提出するのはNGです。書類として体裁が整っていないと、正式な意思表示として扱われないことがあります。便箋か白紙のコピー用紙に、あらためて清書しましょう。
便箋や封筒の体裁が整っていると、職場側も退職の意思を正式な申し出として受け止めやすくなります。
店長・上司への伝え方と提出のタイミング
退職届は、いきなり封筒を渡すのではなく、先に口頭で退職の意向を伝えてから提出するのが基本の流れです。伝える相手は、一緒にシフトに入る先輩ではなく、店長やオーナーなど雇用の決定権を持つ責任者にします。
- 忙しい時間帯を避け、落ち着いて話せるタイミングを選ぶ
- 契約更新の時期を踏まえ、できるだけ早めに口頭で伝える
- 退職届の提出を求められたら、あらためて封筒に入れて手渡しする
職場の担当者はここを見ている
- 引き継ぎやシフト調整に使える猶予があるか(急すぎる申し出は印象を下げる)
- 直接顔を見て伝えているか(人づて・メモだけの報告は誠実さに欠ける)
パートだからこそ注意したいNG行動
パートは正社員に比べて手続きが簡略化されがちな分、かえってマナー違反に気づきにくい落とし穴があります。
NG例
- LINEやメールだけで退職の連絡を済ませる
- 契約更新の面談で何も言わず、あとから「やっぱり辞めたい」と伝える
- 退職日を明記せず「近いうちに辞めます」とだけ伝える
- 扶養の都合など家庭の事情を、事務的な文面だけで済ませてしまう
体調不良などやむを得ない事情でどうしても直接会えない場合を除き、最初の意思表示は対面か電話で行うのが基本です。文字だけのやり取りは真意が伝わりにくく、後々のトラブルにもつながります。曖昧な伝え方は、職場側からすると退職日を特定できず、シフトの調整が後手に回る原因にもなります。

退職届を出したあとにやるべきこと
退職届を提出したら終わりではありません。最終出勤日までに、次の3点を済ませておくと円満退職につながります。引き継ぎ内容が整理されていると、職場側も後任のシフト調整をスムーズに進められます。
- 担当業務・シフトの引き継ぎ内容をまとめておく
- 制服・名札・ロッカーの鍵などの貸与品を返却する
- 給与明細や源泉徴収票の受け取り方法を確認しておく
次のパート先を探す予定がある場合は、応募書類の準備も早めに始めておくと安心です。パート用の履歴書テンプレートを使えば、職歴欄の書き方に迷わず短時間で仕上げられます。
これまでの勤務経験を職務経歴書としてまとめたい場合はパート用の職務経歴書テンプレートが役立ちます。応募先が指定のフォーマットを求めている場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートも参考になります。志望動機がまだ固まっていない段階なら志望動機なしの履歴書テンプレートから手をつけると準備が進めやすくなります。

まとめ
- パートの退職届は正社員と同じフォーマットで、便箋1枚あれば十分
- 契約期間の定めがなければ口頭でも退職できるが、有期契約は原則「会社の同意」が前提
- 契約更新のタイミングを踏まえて早めに口頭で伝え、店長・オーナーに直接手渡しする
雇用契約の種類さえ押さえておけば、パートの退職届は難しい書類ではありません。契約更新の時期を確認したうえで、落ち着いて準備を進めてください。
パートの退職届に関するよくある質問
- パートの退職届は手書きでないとダメですか?
-
手書きが必須というルールはなく、パソコンで作成しても問題ありません。ただし氏名の署名欄だけは自筆にしておくと、より好印象になります。職場の慣習が分からない場合は、事前に確認しておくと安心です。
- 契約期間の途中でも退職届を出せば必ず辞められますか?
-
退職届を提出し職場側が受理すれば、契約期間の途中でも合意退職として辞められるケースがほとんどです。ただし法律上は「やむを得ない事由」がない一方的な途中退職は認められていないため、まずは口頭で相談し、同意を得たうえで書面を提出するのが確実です。
- 短期のパートでも退職届は必要ですか?
-
契約期間が決まっている短期パートで、契約満了に合わせて辞める場合は退職届自体が不要なケースがほとんどです。契約途中で辞める場合や、就業規則で書面提出が定められている場合は、期間の長さにかかわらず用意しておくと確実です。
- 退職理由は「一身上の都合」以外で書いてもいいですか?
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会社都合退職に該当する場合を除き、「一身上の都合」で統一するのが一般的です。扶養や家庭の事情など具体的な背景は書面ではなく口頭で伝える範囲にとどめると、書類としての体裁を保ちながらトラブルも避けられます。

