公務員の退職届は、法律上の正式名称が「辞職願」であり、実務上は退職届の表記のままでも受理されるケースがほとんどです。とはいえ提出先や時期のルールは民間企業と異なり、任命権者の承認という手続きも関わってきます。この記事では辞職願と退職届の違い、提出先、期限、そのまま使える例文までをまとめて解説します。
結論|公務員の「退職届」は正式には「辞職願」だが、実務上はそのままでも通用する
結論
公務員が提出する退職の書類は、地方公務員法・国家公務員法上「辞職」に当たり、正式名称は「辞職願」です。退職届という表記のまま提出しても、多くの自治体・省庁で問題なく受理されています。重要なのは書類のタイトルよりも、退職希望日・所属・氏名・押印といった必要事項が過不足なく記載されているかどうかです。
良い例文(一般行政職の辞職願)
良い例文
辞職願
私儀
このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
〇〇部〇〇課 〇〇 〇〇 印
〇〇市長 〇〇 〇〇 様
NG例
民間企業用のテンプレートをそのまま使い、宛名を「代表取締役社長」としてしまうケースです。公務員の辞職願は任命権者(市長・知事・大臣など)宛てが原則のため、宛名が民間企業のままだと所属長から差し戻されることがあります。
状況別バリエーション(教員・警察事務・技術職など)
一般行政職以外の公務員でも、書き方の骨格は変わりません。所属や宛名の書き方だけを、勤務先の実情に合わせて調整します。
- 教員:所属を「〇〇県立〇〇高等学校」、宛名を「〇〇県教育委員会教育長」とする
- 警察事務:所属を「〇〇県警察本部〇〇課」、宛名を「〇〇県公安委員会」とするケースが多い
- 技術職・現業職:所属を配属先の部署名で記載し、宛名は一般行政職と同様に首長宛てとする
辞職願(退職届)は誰に出す?提出先と手続きの流れ
辞職願の提出先は、法律上は市長・知事・大臣などの「任命権者」です。ただし実務では、直属の上司へ意思を伝えたうえで、所属長を経由して人事課に提出する流れが一般的です。
- 直属の上司に退職の意思を口頭で伝える
- 所属長(課長・校長など)と退職日を調整する
- 辞職願(退職届)を作成し、所属長経由で人事課に提出する
- 任命権者の承認を経て正式に退職が確定する
人事担当者はここを見ている
- 退職希望日が明確に書かれているか(「〇月末まで」のような曖昧な表現は差し戻しの対象になりやすい)
- 所属・氏名・押印など基本項目に漏れがないか
- 服務規程で定められた提出期限を守っているか

退職が正式に決まったあとは、次の転職活動の準備も並行して進めておくと安心です。一般企業への転職を考えている場合は転職用の履歴書テンプレートを使うと、必要書類を早めに整えられます。
いつまでに提出する?法令上の期限と実務慣行のズレ
服務規程で定める提出期限は、自治体や省庁によって差があります。例えば東京都職員服務規程では、特別な事情がある場合を除き退職希望日の10日前までに退職願を提出することが定められています。
| 区分 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 服務規程上の最低ライン | 10日前後 | 自治体・省庁の規程により異なる |
| 実務慣行として推奨される時期 | 1〜3ヶ月前 | 引き継ぎ・後任調整の時間を確保するため |
| 人事異動シーズンとの兼ね合い | 年度末(3月)に集中しやすい | 人事課の繁忙期を避けると調整がスムーズ |
NG例
服務規程上の最低ライン(10日前後)だけを守って直前に提出してしまうケースです。引き継ぎ資料の作成や後任探しが間に合わず、円満退職どころか職場に迷惑をかける結果になりかねません。

退職後に公共職業安定所(ハローワーク)での求職活動を予定している場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートを使うと窓口相談がスムーズに進みます。
上司に引き止められても辞められる?民法627条が適用されない理由
民間企業の従業員は、民法627条により退職の意思表示から2週間が経過すれば自動的に退職できます。しかし公務員にはこの規定が適用されません。地方公務員法・国家公務員法の枠組みでは、退職には任命権者の承認という行政上の手続きが必要になるためです。
とはいえ、承認が下りないまま強制的に働き続けさせられるわけではありません。実務上、任命権者が正当な理由なく辞職を拒み続けることは通常想定されておらず、引き継ぎ期間の調整を経て承認に至るケースがほとんどです。
人事担当者はここを見ている
- 引き止めの多くは「後任が決まっていない」「繁忙期と重なる」といった業務都合であり、退職そのものを拒否する趣旨ではない
- 退職の意思は早めに、かつ書面(辞職願)で明確に示すことでスムーズに進みやすい
- 承認が長期化する場合は、人事課に直接相談し服務規程上の根拠を確認する

辞職願(退職届)の書式・封筒・押印のマナー
基本的なマナーは民間企業と共通ですが、公務員の場合は所属先ごとに指定様式がある場合があるため、作成前に確認しておくと差し戻しを防げます。
✅ 用意するもの
- 白無地の便箋、または所属先指定の様式
- 白無地の封筒(郵便番号枠なしが望ましい)
- 黒インクの万年筆またはボールペン(シャチハタは避ける)
- 認印(実印は不要)
NG例
シャチハタで押印してしまう、あるいは所属先の指定様式を確認せずに市販の退職届セットで作成してしまうケースです。押印がシャチハタと判断された場合や様式が指定と異なる場合、再提出を求められることがあります。
退職後に一般企業の事務職へ転職を考えている場合は、事務の職務経歴書テンプレートを参考にすると、行政職での経験を整理しやすくなります。
まとめ
- 公務員の退職届は正式には「辞職願」だが、退職届の表記でも実務上は受理されることが多い
- 提出先は任命権者だが、実務では所属長・人事課を経由する
- 提出時期は服務規程上の最低ラインより、1〜3ヶ月前を目安にすると引き継ぎに余裕が持てる
- 民法627条は適用されないが、正当な理由なく辞職が拒まれ続けることは通常想定されていない
書類の呼び方よりも、必要事項の正確さと提出時期の余裕が円満退職の鍵になります。
退職届の公務員に関するよくある質問
- 公務員は退職届と辞職願、どちらを使えばいいですか?
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正式名称は辞職願ですが、退職届の表記でも多くの自治体・省庁で受理されています。所属先に指定様式がある場合は、そちらを優先してください。
- 公務員の退職はいつまでに申し出ればいいですか?
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服務規程上の最低ラインは10日前後が目安ですが、引き継ぎを考えると1〜3ヶ月前までに意思を伝えておくと調整がスムーズです。
- 上司に退職を止められた場合、辞めることはできませんか?
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民法627条は適用されませんが、正当な理由なく辞職が拒まれ続けることは通常想定されていません。書面で意思を明確にしたうえで、必要に応じて人事課に相談してください。
- 公務員の辞職願に決まった様式はありますか?
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全国共通の統一様式はありませんが、自治体・省庁ごとに指定用紙がある場合があります。作成前に所属先の規程を確認してください。

