調理師の履歴書は、職歴欄に「業態・席数・提供食数」を数字で添え、志望動機を応募先の業態に合わせて書き分けるだけで通過率が変わります。「調理全般を担当」とだけ書いてしまうと、腕があっても採用担当者にスキルが伝わりません。この記事では欄別の記入例、応募先別の志望動機と自己PRの例文、落とされるNGパターンまでまとめました。
調理師の履歴書の書き方|4つの欄の記入例
結論:合否を分けるのは「職歴欄」と「志望動機」
調理師の履歴書で採用担当者が最初に見るのは、資格欄でも趣味欄でもありません。職歴欄と志望動機の2つです。理由は単純で、調理師の仕事内容は業態と店舗規模によってまったく違うからです。
50席のイタリアンで前菜とパスタを担当していた人と、1日800食を回す病院の給食調理を担当していた人では、必要なスキルも働き方も別物です。ところが多くの応募者は職歴欄に店名と「調理業務」としか書きません。これでは書類だけで判断できず、面接に呼ぶ理由が作れないまま次の応募者に進まれてしまいます。
調理師の履歴書|欄別の書き方早見表
| 欄 | 書き方の要点 | やりがちな失敗 |
|---|---|---|
| 学歴・職歴欄 | 店舗名のあとに(業態/席数/客単価)を括弧書きで添え、担当セクションと役職を書く | 「調理全般」で済ませる |
| 免許・資格欄 | 「調理師免許 取得」と正式表記。取得年月は免許証の名簿登録年月日 | 「調理師資格取得」と書く |
| 志望動機欄 | 応募先の業態に触れ、自分の経験がどう活きるかを1文で結ぶ | 「料理が好きだから」で終わる |
| 本人希望記入欄 | 勤務地や勤務時間に制約がある場合のみ簡潔に。なければ「貴社規定に従います」 | 希望条件を並べすぎる |
用紙が手元にない場合は、転職用の履歴書テンプレートを使うと職歴欄が広く取られているため、業態や規模の情報を書き込みやすくなります。
職歴欄の書き方と記入例
職歴欄は「どこにいたか」ではなく「どんな現場で何を任されていたか」を伝える欄です。店舗名の直後に規模がわかる情報を括弧で添えるだけで、読み手の理解度が大きく変わります。
良い例文
令和3年4月 株式会社〇〇フーズ 入社
イタリア料理店「△△」配属(客席60席/客単価4,500円)
前菜・パスタ部門を担当、ディナー平均70食を調理
令和5年10月 同店 スーシェフに昇格 調理スタッフ5名の指導と発注管理を兼任
令和8年7月 一身上の都合により退社
NG例
令和3年4月 株式会社〇〇フーズ 入社
調理全般を担当
令和8年7月 一身上の都合により退社
「調理全般」は情報量がゼロに等しい表現です。洋食か和食か、何席の店か、1人で回していたのか10人のチームだったのかが一切わからず、採用担当者は自店で通用する人材かを判断できません。
採用担当者はここを見ている
- 担当セクションが明記されているか(前菜・ストーブ・焼き場・仕込みなど)
- 席数・提供食数・客単価など、調理規模を推定できる数字があるか
- 役職経験や後輩指導の記載があるか(人手不足の現場ほど重視されます)
- 複数店舗の経験がある場合、時系列で漏れなく並んでいるか
厚生労働省の様式に沿った用紙は職歴欄の行数が限られています。書ききれない場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートで全体量を確認し、詳細は職務経歴書に回す方法が確実です。
【応募先別】調理師の履歴書に書く志望動機の例文
志望動機は、同じ文章を使い回した瞬間に見抜かれます。飲食店とホテル、給食施設では求められる力がまったく違うからです。応募先の業態に触れたうえで、自分の経験がどう活きるかを結ぶ。この形を守れば、文章力に自信がなくても伝わります。
飲食店・レストランに応募する場合
良い例文
前職では客席60席のイタリア料理店で前菜とパスタ部門を5年間担当し、ディナータイムに平均70食を提供してまいりました。貴店が地元農家との直接取引で旬の野菜を活かした一皿を打ち出している点に強く惹かれております。素材の状態に合わせて火入れと味付けを調整してきた経験を、貴店の前菜づくりに活かしたいと考えております。
NG例
昔から料理が好きで、人に喜んでもらえる仕事がしたいと思い調理師を志しました。貴店の料理はどれもおいしそうで、ぜひここで働きたいと思い応募いたしました。
どの店に出しても成立する文章は、応募先を調べていない証拠として受け取られます。「料理が好き」は調理師なら全員が当てはまる前提であり、選ぶ理由にはなりません。
ホテル・旅館に応募する場合
良い例文
前職の宴会場では最大200名分のコース料理を6名体制で仕上げており、仕込みの段取りと提供タイミングの管理を任されてまいりました。貴ホテルは婚礼と宿泊の両方を扱っておられるため、日によって求められる調理量の幅が大きいと理解しております。大量調理と一品ごとの仕上げを両立してきた経験は、そうした現場で活かせるものと考えております。
給食施設・病院・介護施設に応募する場合
この分野では、料理の華やかさより衛生管理と時間厳守が評価されます。2021年6月からHACCPに沿った衛生管理が原則すべての食品等事業者に義務づけられたため、衛生面の実務経験に触れられる応募者は書類の段階で有利になります。
良い例文
前職の特別養護老人ホームでは1日180食の調理を担当し、常食のほかに刻み食・ミキサー食など4種類の形態調整食を提供してまいりました。HACCPに基づく温度記録と食材の受け入れ確認も日常業務として担当しております。食べる方の状態に合わせた調理を丁寧に続けたいと考え、栄養科と調理が密に連携されている貴院を志望いたしました。
保育園・学校給食に応募する場合
良い例文
飲食店で7年間調理を担当したのち、子どもの食に関わりたいと考え保育園給食に転じました。現在は卵・乳・小麦の3品目の除去食を毎日15名分、専用の器具と動線を分けて調理しております。誤配を防ぐダブルチェックを徹底してきた経験を、貴園でも継続してまいります。
採用担当者はここを見ている
- 応募先の業態・メニュー・立地に触れた一文があるか
- 「入社後に何ができるか」まで書かれているか(意欲表明だけで終わっていないか)
- 給食・福祉分野では衛生管理とアレルギー対応の記載があるか
- 待遇や勤務時間の希望が志望動機欄に混ざっていないか
応募先から志望動機の記入を求められていない場合や、欄そのものがない用紙を使いたい場合は志望動機なしの履歴書テンプレートという選択肢もあります。
調理師の自己PRの書き方と例文【状況別】
志望動機が「なぜこの店か」を答える欄なら、自己PRは「なぜあなたか」を答える欄です。書き分けができていないと、同じ内容を2回読まされた印象になります。自己PRでは具体的な行動と、その結果として起きた変化をセットで書いてください。
実務経験が長い調理師の場合
良い例文
調理の現場で12年間働くなかで、原価管理を強みとしてまいりました。前職では仕入れ先を3社比較したうえで発注量を週単位に切り替え、廃棄ロスを削減して食材原価率を34%から30%まで改善いたしました。味を落とさずにコストを抑える判断は、日々の仕込みの積み重ねでしか身につかないものだと考えております。
ブランクがある場合
ブランクそのものが不利になるわけではありません。採用担当者が気にするのは「今の体力とスピードで現場に戻れるか」の一点です。空白期間を隠すのではなく、復帰の準備状況を添えてください。
良い例文
育児のため3年間現場を離れておりましたが、昨年より週3日、給食施設で調理補助として復帰し、立ち仕事と時間内提供の感覚を取り戻しております。ブランク中も食品衛生に関する情報は継続して確認しており、現在は1日120食の盛り付けまで一連の工程を担当しております。
NG例
しばらく現場を離れておりましたが、体力には自信がありますので問題なく働けると思います。ブランクを感じさせないよう頑張ります。
「頑張ります」は根拠ではありません。復帰に向けて実際に何をしているかを1つでも書けば、同じブランクでも印象は逆転します。
未経験・調理師免許なしから目指す場合
調理師免許がなくても、調理業務そのものに就くことは可能です。免許が必須なのは「調理師」という名称を名乗る場合であり、求人の多くは無資格でも応募できます。資格欄が空欄になる不安から手が止まっている方は、飲食のアルバイト経験を職歴として書き切るほうが効果的です。
良い例文
学生時代から4年間、居酒屋のキッチンで揚げ場と焼き場を担当し、繁忙時には1時間に40品前後を仕上げてまいりました。現在は調理師免許の受験資格となる実務経験2年を満たし、来年度の受験を予定しております。段取りと衛生管理の基本は現場で身につけておりますので、入社後は下処理から一日も早く戦力になれるよう努めてまいります。
アルバイトやパートとして応募する場合は、正社員用とは別にアルバイト用の履歴書テンプレートやパート用の履歴書テンプレートを使うと、勤務可能な曜日や時間帯を書く欄がそろっていて扱いやすくなります。
調理師の免許・資格欄の書き方
「調理師免許 取得」が正しい表記
資格欄には「調理師免許 取得」と書きます。調理師法上は「資格」ではなく都道府県知事が与える「免許」であるため、「調理師資格取得」は誤りです。「調理師検定合格」という書き方も見かけますが、調理師検定という名称の試験は存在しません。
もうひとつ間違えやすいのが取得年月です。書くべきなのは免許証に記載された調理師名簿への登録年月日であり、試験の合格日や専門学校の卒業日ではありません。手元の免許証を必ず確認してから記入してください。

一緒に書くと評価が上がる資格
| 資格名(正式名称) | 評価されやすい応募先 |
|---|---|
| 食品衛生責任者 | 飲食店全般(店舗ごとに設置が義務) |
| 専門調理師・調理技能士 | ホテル・料亭・高単価業態 |
| 栄養士/管理栄養士 | 病院・介護施設・保育園 |
| 製菓衛生師 | 製菓部門を持つホテル・カフェ |
| ふぐ調理師(都道府県により名称が異なる) | 和食店・割烹 |
調理師免許を持っていれば、食品衛生責任者の養成講習会は免除され、免許証の提示で選任してもらえます。新店の立ち上げを控えた店舗にとっては採用の決め手になり得るため、志望動機や自己PRのなかで触れておく価値があります。

調理師の履歴書で落とされる5つのNGパターン
書き方そのものは合っていても、次の5点でつまずいて面接に進めないケースが目立ちます。
- 職歴が店名の羅列だけ:業態・規模・担当セクションがないとスキルが伝わりません
- 待遇の希望を志望動機に混ぜる:「土日休みを希望するため」は本人希望記入欄に書く内容です
- 資格欄の誤表記:「調理師資格取得」「調理師検定合格」は確認不足と受け取られます
- 証明写真が不清潔に見える:飲食業では清潔感が第一印象を決めます
- 空欄が多い:趣味・特技欄まで空白だと、応募先への関心が薄いと判断されます
転職回数が多い場合はどう書くか
飲食業界は業態の移動が多く、転職回数だけで落とす企業はそれほど多くありません。問題になるのは回数ではなく一貫性が見えないことです。居酒屋からホテル、給食へと移っていても、「大量調理の規模を段階的に上げてきた」「和食の技術を軸に業態を広げてきた」といった軸が読み取れれば納得材料になります。
職歴が多くて履歴書に収まらない場合は、履歴書には会社名と在籍期間のみを並べ、業務内容は職務経歴書に詳しく書く分担にしてください。給食や施設調理の経験がある方は、書き方の実例をまとめた記事も参考になります。

手書きとパソコン作成はどちらを選ぶか
個人経営の飲食店や年配の料理長が採用に関わる現場では、手書きが好意的に受け取られる場面が残っています。一方、チェーン展開する企業やホテル、給食受託会社ではパソコン作成が一般的です。判断がつかないときは、求人票に指定がなければパソコン作成で問題ありません。手書きを選ぶ場合、文字の上手さは評価対象ではなく、丁寧に書かれているかだけが見られます。
まとめ
- 職歴欄は店舗名に(業態/席数/客単価)を添え、担当セクションと役職まで書く
- 志望動機は応募先の業態に触れ、自分の経験がどう活きるかで結ぶ
- 自己PRは行動と結果をセットにする。ブランクは復帰の準備状況を添える
- 資格欄は「調理師免許 取得」。年月は免許証の名簿登録年月日を写す
- 転職回数が多くても、キャリアの軸が読み取れれば不利にはならない
まず手元の免許証と過去の勤務先の席数・提供食数を書き出すところから始めてください。素材がそろえば、文章は後から整います。
調理師の履歴書に関するよくある質問
- 飲食店のアルバイト経験は職歴として書いてよいですか?
-
調理に関わる内容であれば書いて問題ありません。むしろ実務経験の裏づけになるため、店舗名のあとに「アルバイトとして勤務」と添えたうえで、担当した工程を記載してください。短期間の掛け持ちが多い場合は、調理と関係のないものは省いて構いません。
- 調理師免許の取得年月がわからないときはどうすればよいですか?
-
免許証に記載された調理師名簿の登録年月日を確認してください。免許証を紛失している場合は、免許を交付した都道府県の担当窓口で再交付の手続きができます。あいまいな年月を推測で書くと、入社手続きの際に食い違いが生じるため避けてください。
- 調理師免許がなくても調理の仕事に応募できますか?
-
応募できます。免許が必要になるのは「調理師」の名称を用いる場合で、調理業務そのものは無資格でも従事可能です。求人票に「資格不問」「未経験可」とある場合は、飲食店での勤務経験や衛生管理への理解を職歴・自己PRで具体的に示してください。
- 履歴書とは別に職務経歴書も必要ですか?
-
中途採用で応募する場合は用意することをおすすめします。履歴書の職歴欄は行数が限られており、担当した業態や提供食数まで書き切れないためです。求人票で指定がなくても添付して不利になることはありません。
- 証明写真はコックコートで撮るべきですか?
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スーツまたは襟付きのシャツが基本です。コックコートでの撮影は求人票で指定がない限り必要ありません。飲食業では清潔感が第一印象を左右するため、髪をまとめる、ひげを整えるといった身だしなみのほうが重視されます。

