SaaS営業の志望動機は、「モノ売りからコト売りへの転換理由」を自分の経験で語れるかどうかが評価の分かれ目です。未経験からの転職か、営業経験を活かした転職かで書き方は変わります。それぞれの例文と、採用担当者が本気度を判断しているポイント、避けたいNG例をあわせて紹介します。
SaaS営業の志望動機の書き方と例文【結論】
結論:「モノ売りからコト売りへの転換理由」を軸に書く
SaaS営業の志望動機で評価されるのは、①なぜ「売り切り型」ではなく「継続提供型」のビジネスに関心を持ったか、②その関心の背景にある自分の経験、③入社後どう成果につなげたいか、という3点をつなげた文章です。SaaSは契約後も顧客に使われ続けなければ解約されるため、営業のゴールが「契約」ではなく「顧客の成功」に置き換わります。この違いを理解したうえで書けているかどうかが、書類選考の通過を分けます。
未経験からSaaS営業を目指す場合の例文
未経験の場合は、これまでの仕事の中で「相手の課題を聞き出し、解決策を提案した経験」をSaaS営業の仕事に置き換えて伝えます。
良い例文
人材サービスの営業として3年間、担当企業の採用課題をヒアリングし、求人票の見直しから提案してきました。単発の契約で終わらせず、入社後の定着状況まで確認しながら関係を続けてきた経験は、契約後も顧客の利用状況に向き合うSaaS営業の仕事の進め方と重なると考えています。まずは既存のお客様との関係構築から貢献していきたいです。
NG例
SaaS業界は将来性があり、スキルも身につくと思い志望しました。IT業界に興味があり、ぜひ挑戦してみたいです。「将来性がある」「興味がある」だけでは、数あるSaaS企業の中でなぜこの会社なのかが伝わりません。
採用担当者はここを見ている
- 「興味がある」ではなく、契約後も顧客と関わり続けたい具体的な理由があるか
- その理由の裏付けとなる経験(継続的な顧客対応・課題解決)を語れているか
他業界の営業経験者がSaaS営業へ転職する場合の例文
営業経験がある場合は、前職の実績を数字で示したうえで、その実績が単発の契約だけでなく、継続的な関係構築にも再現できる力であることを伝えます。
良い例文
前職では法人向けオフィス機器の営業として、新規開拓と既存顧客のフォローを担当し、3年間で担当エリアの契約継続率を92%まで高めました。導入後の使われ方を定期的に確認し、課題が出る前に提案を重ねてきた経験は、解約を防ぎながら利用範囲を広げていくSaaS営業のスタイルでも活かせると考え、志望いたしました。
NG例
前職では営業として数字を達成し、評価されてきました。この実績を活かして、御社でも成果を出したいです。「実績を活かしたい」だけでは、継続提供型のSaaSビジネスのどこで再現できるのかが伝わりません。
採用担当者はここを見ている
- 実績が「契約数」なのか「契約継続率」なのか、SaaSで重視される指標に近い数字で語れているか
- 前職の営業スタイルとSaaS営業の違いを理解したうえで志望動機を書いているか
採用担当者がSaaS営業の志望動機で本当に見ているポイント
「成長業界だから」だけで終わる志望動機が落ちる理由
SaaS市場は成長を続けていますが、採用担当者は「成長業界だから」という理由だけの志望動機を数多く目にしています。この表現は応募先の企業名を別のSaaS企業に差し替えても通用する内容になりやすく、「この会社でなければならない理由」が伝わりません。志望動機には、応募先が扱うプロダクトの顧客層や解決している課題のいずれかに触れる必要があります。
ARR・MRR・解約率への関心度で本気度を判断されている
SaaS企業の多くは、契約件数だけでなくARR(年間経常収益)やMRR(月次経常収益)、解約率といった継続的な収益を表す指標を重視しています。志望動機や面接でこれらの言葉に触れる必要はありませんが、単発の売上ではなく「顧客が使い続けること」に価値がある仕事だと理解しているかどうかは、話の端々から伝わります。
採用担当者はここを見ている
- 契約を取ることではなく、契約後の利用継続を成果と捉えているか
- 数字の話をするときに「売った金額」ではなく「顧客にとっての効果」を語れているか
SaaS営業の志望動機でよくあるNG例と改善のコツ
SaaS営業の志望動機で書類選考が通らないケースには、共通したパターンがあります。自分の文章に当てはまっていないか確認してください。
| NGパターン | なぜ落ちるか | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 待遇や条件だけを理由にしている | インセンティブや働き方の魅力だけでは、この会社を選ぶ理由にならない | 制度に触れる場合は、成長意欲とセットで書く |
| 「IT業界に興味がある」で終わる | 継続提供型ビジネスへの理解が伝わらない | 契約後も顧客と関わり続ける仕事のスタイルへの共感を添える |
| 実績を数字なしで語る | 何を達成した人なのか判断できない | 契約数だけでなく継続率や紹介率など再現性のある数字を使う |
| 他社との比較で差別化しようとする | 主観的な比較は根拠が弱い | 応募先が扱うプロダクトや顧客層そのものを根拠にする |
実績を数字で語る自信がない場合は、職務経歴書側で具体的な行動や成果を整理してから志望動機に反映すると書きやすくなります。営業の職務経歴書テンプレートを使うと、実績を整理しながら書き進められます。
職種別(インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセス)で変わる志望動機のポイント
SaaS営業と一口にいっても、担当する職種によって求められる強みは異なります。応募先の職種に合わせて、志望動機で強調するポイントを変える必要があります。
| 職種 | 主な仕事内容 | 志望動機で強調したい経験 |
|---|---|---|
| インサイドセールス(IS) | 電話やメールで見込み顧客と接点を作り、商談につなげる | 効率的に情報を整理する力、粘り強く関係を築く力 |
| フィールドセールス(FS) | 商談から契約までを担当する | 課題をヒアリングし提案にまとめる力 |
| カスタマーサクセス(CS) | 契約後の顧客の活用状況を支援し、解約を防ぐ | 顧客との関係を継続的に支援する姿勢、数字への感度 |
営業職全般の志望動機の型を先に確認しておきたい場合は、以下の記事もあわせて参考にしてください。

志望動機を書く前に整理しておきたい3つのこと
例文をそのまま使うと、他の応募者と似た内容になりやすくなります。書き始める前に、以下の3点を自分の言葉で整理しておくと、例文を自分用にアレンジしやすくなります。
- 応募先の商材・顧客層:どんな企業のどんな課題を解決しているプロダクトか
- 自分の経験の棚卸し:継続的に顧客と関わった経験、課題解決の場面がないか
- 入社後にやりたいこと:どの職種で、3年後にどんな成果を出していたいか
履歴書の様式に迷う場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと様式面で迷わずに済みます。
中途採用向けの応募であれば、転職用の履歴書テンプレートも参考になります。
志望動機欄でうまく言葉がまとまらない場合は、志望動機なしの履歴書テンプレートを使い、職務経歴書側で意欲を伝える方法もあります。
営業としての実績を職務経歴書でどう見せるか迷う場合や、未経験からの志望動機をもっと具体的にイメージしたい場合は、以下もあわせてご覧ください。


まとめ
- SaaS営業の志望動機は「モノ売りからコト売りへの転換理由」を自分の経験で語ることが軸になる
- 未経験は経験の翻訳を、営業経験者は実績の再現性を伝える
- 「成長業界だから」だけの動機やIT業界への漠然とした興味はNG、契約後も顧客と関わり続ける仕事への理解を示す
- 職種(IS/FS/CS)ごとに強調するポイントを変える
書き終えたら、応募先のプロダクト名や顧客層を、他のSaaS企業に差し替えても成立する文章になっていないか確認してください。
SaaS営業の志望動機に関するよくある質問
- SaaS営業が未経験でも、ITの知識がないと不利になりますか?
-
選考の初期段階では、専門的なIT知識よりも、契約後も顧客と関わり続ける仕事のスタイルへの理解や、これまでの経験を営業の場面に置き換えて語れるかどうかが重視されます。入社後に学ぶ姿勢を示すことも有効です。
- インサイドセールスとフィールドセールスで志望動機を分けるべきですか?
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分けることをおすすめします。インサイドセールスでは効率的に情報を整理し関係を築く力を、フィールドセールスでは課題をヒアリングして提案にまとめる力を中心に書くと、応募先の職種と合致した内容になります。
- ARR・MRRなどの専門用語は志望動機に入れたほうがいいですか?
-
無理に専門用語を使う必要はありません。それよりも、契約時点の売上だけでなく、契約後も顧客に使われ続けることに価値がある仕事だと理解している姿勢を、自分の言葉で示すほうが伝わりやすくなります。
- 前職がSaaSと関係のない業界でも、転職理由として説得力を持たせられますか?
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持たせられます。前職の業界名ではなく、その仕事で培った「相手の課題を聞き出す力」や「契約後も関係を続けてきた経験」を取り出し、SaaS営業の仕事にどうつながるかを説明することが重要です。

