この記事では、新卒の履歴書で志望動機欄が「やばい」と判断される6つのNG例を採用担当者の視点から解説します。落とされるパターンと通過する書き方の違い、業種別の例文も紹介します。
新卒の履歴書における「志望動機」とは何か
志望動機欄は、採用担当者が「この学生はなぜうちを選んだのか」を判断する唯一の手がかりです。学歴や資格と違い、数値では評価できないため、記述の質がそのまま選考結果に直結します。
| 採用担当者が確認するポイント | 何を見ているか |
|---|---|
| ①志望理由の具体性 | 「なぜこの会社でなければならないか」が語れるか |
| ②自己との接点 | 自分の経験・強みと会社の事業が結びついているか |
| ③入社後のビジョン | 採用後に何をしたいかが具体的に描けているか |
新卒の志望動機欄 基本情報
- 推奨文字数:200〜300文字(欄に合わせて調整)
- 構成の基本:志望理由 → 根拠となるエピソード → 入社後の貢献イメージ
- 新卒の場合、実務経験は問われない。その分、「なぜここか」の論理が問われる
ESと履歴書の志望動機を同時に提出する場合、内容の書き分けに迷う方も多いです。ESと履歴書を両方提出するときの書き分け方と落とし穴も参考にしてください。

新卒の志望動機が「やばい」と言われる6つのNG例
採用担当者が書類選考で最も落とすのは、志望動機欄です。エントリーが増える時期には1日に数十枚の履歴書を読みます。その中で「これはやばい」と感じる志望動機には、共通したパターンがあります。
「御社の企業理念に共感した」だけで終わる抽象的な志望動機
企業理念への共感を書くこと自体は間違いではありません。問題は、「なぜ共感したのか」「どんな体験がそう感じさせたのか」が一切書かれていない場合です。「御社の〇〇という理念に共感しました」の一文で止まっている志望動機は、採用担当者から見ると「ホームページを読んだだけ」にしか見えません。
採用担当者は「この学生は本当に当社を理解しているのか」を見ています。理念への共感を書くなら、自分のどんな体験がその理念と結びつくのかを具体的に書く必要があります。
どの会社にも使えるコピペ文が採用担当者に一目でバレる
インターネット上の「志望動機 例文」をほぼそのまま使い回した文章は、採用担当者には即座にわかります。特定の会社名だけを入れ替えた汎用文は、「この学生はうちに入りたいのではなく、どこかに入りたいだけ」という印象を与えます。
複数の企業に同じ文を送ることを「使いまわし」と呼びますが、採用担当者はこれを見抜くことができます。業界特有の表現がなかったり、事業内容の説明が公式サイトと一字一句同じだったりすることが多いからです。
「成長したい」「安定している」など自分本位の理由しか書かれていない
「御社で成長したいです」「安定した環境で長く働きたいです」という表現は、読んだ採用担当者が「それはうちに何の関係があるの?」と感じます。志望動機の本質は「自分がどう得をするか」ではなく「自分がその会社に何を提供できるか」を伝えることです。
成長意欲や安定志向を書くこと自体は問題ありません。ただし、それだけで文章を締めると「自分の利益しか考えていない学生」という印象になります。必ず「会社にとってのメリット」まで書き切ることが必要です。
自己PRと内容が完全に同じで志望動機としての独自性がゼロになっている
自己PRと志望動機は異なる質問です。自己PRは「自分の強みや経験」を伝えるもの、志望動機は「なぜこの会社を選んだのか」を伝えるものです。
しかし、実際には両方に同じエピソードをそのまま書いてしまう学生が少なくありません。採用担当者が志望動機欄を読んで「さっきと同じことが書いてある」と感じると、考える力が弱い学生という評価につながります。
自己PRと志望動機の使い分け方
- 自己PR:「私はリーダーシップがあります。ゼミで〇〇を担当し〜」→ 自分の強みの証明
- 志望動機:「リーダーシップを活かして御社の〇〇事業で〜したいと考えています」→ 強みと会社の接点
自己PRで語った強みを「志望動機では会社との接点に結びつける」という構成にすれば、重複を避けながら一貫性も生まれます。
企業研究の浅さが文章から透けて見える
「御社は業界トップクラスの実績を持ち〜」という表現だけが並ぶ志望動機は、採用担当者から見て企業研究の浅さを示しています。ホームページの冒頭に書いてある情報をそのまま引用するだけでは、「この会社の何を好きなのか」が伝わりません。
企業研究を深掘りした志望動機には、特定の製品・サービス・プロジェクト・社員インタビューへの言及が含まれます。説明会で聞いた内容や、OB・OG訪問で得た情報を盛り込むと、他の応募者と明確な差がつきます。
文字数が極端に少なく「書く気がない」と判断される
履歴書の志望動機欄は、多くの場合200〜300文字程度のスペースが設けられています。そこに3行程度の短文しか書かれていない場合、採用担当者は「この会社に入りたいという気持ちが薄い」と判断します。
| 文字数の目安 | 採用担当者の印象 |
|---|---|
| 50文字以下 | 「本気で応募していない」と判断されるリスク大 |
| 100〜150文字 | 「もう少し詳しく話を聞いてみたい」が生まれにくい |
| 200〜250文字 | エピソードと貢献イメージが両立できる適正ライン |
| 300文字以上 | 欄に収まっていれば問題なし。ただし冗長は避ける |
文字数が少ない理由の多くは「何を書けばいいかわからない」です。書き方の型を知っていれば、自然と200文字以上の文章が書けるようになります。
採用担当者が「良い」と感じる新卒志望動機の特徴
NG例の裏返しを書けばよい、というほど単純ではありません。採用担当者が「この学生は面接に呼びたい」と感じる志望動機には、共通した3つの特徴があります。
具体的な体験・エピソードが盛り込まれている
「大学でのゼミ活動を通じて〇〇に関心を持ちました」「アルバイトで〇〇の課題を体験し〜」のように、自分だけの体験が1つでも書いてある志望動機は、採用担当者の記憶に残ります。体験は短くてもかまいません。「なぜその体験が会社選びにつながったのか」という論理の流れさえあれば、具体性が説得力を生みます。
インターン・ゼミ・部活・アルバイト・家族の仕事を見て感じたことなど、どんな些細なエピソードでも、自分の言葉で書ければ武器になります。
「なぜこの会社でなければならないか」が明確に伝わる
同業他社ではなく、その会社でなければならない理由を書けることが、志望動機の核心です。「業界トップだから」「大手だから」ではなく、その会社固有の事業・文化・製品・取り組みに言及できるかどうかが合否を分けます。
競合他社との比較を書く必要はありません。「〇〇事業に力を入れている点」「△△の社風」「□□という製品を通じて感じた会社の姿勢」など、リサーチで得た固有の情報を1つ盛り込むだけで十分です。
入社後のビジョンが具体的に描けている
志望動機の締め方として最も採用担当者に刺さるのは、入社後に何をやりたいかが書いてある文章です。「入社後は〇〇の部署で〜に携わりたいと考えています」という一文があるだけで、採用担当者は「この学生は入社後のイメージを持っている」と判断します。
入社後ビジョンの書き方のコツ
- 「営業職として〇〇のお客様に〜」のように職種・業務を具体化する
- 「3年後には〜、将来的には〜」という段階的なキャリアイメージを入れると深みが出る
- 会社の事業領域と自分のやりたいことが重なる点を明示する
【例文付き】新卒の履歴書 志望動機の書き方(4ステップ)
良い志望動機には共通した骨格があります。以下の4ステップで書けば、文字数も自然と200〜250文字に収まります。
4ステップで書く志望動機の骨格
| ステップ | 書くべき内容 | 目安文字数 |
|---|---|---|
| ①志望理由 | なぜこの会社・業界を選んだのか(結論から書く) | 30〜40文字 |
| ②根拠となる体験 | その理由の背景にある体験・気づき(自分固有のエピソード) | 60〜80文字 |
| ③強みとの接点 | 自分の強みがどう活かせるか(自己PRと接続する) | 40〜60文字 |
| ④入社後の貢献イメージ | 入社後にやりたいこと・目指すキャリア | 40〜60文字 |
業種別の例文(商社系・IT系・メーカー系)
同じ4ステップの構成でも、業種によって表現の重点が変わります。以下の例文はそのまま使わず、自分のエピソードに置き換えて活用してください。
【商社系】例文
御社が手がける農業資材の海外展開事業に関心を持ったことが応募のきっかけです。大学のゼミで食料問題を研究するなかで、一次産業のサプライチェーン改革に強い関心を持ちました。御社のASEAN向け事業は、現地農家との直接取引を重視している点で他社と明確に異なります。入社後は海外営業職として、現地のパートナー企業との関係構築に携わりたいと考えています。
【IT系】例文
御社のSaaSプロダクト「〇〇」をアルバイト先で導入し、業務効率が大きく改善された体験が応募のきっかけです。使う側として感じた課題を開発側から解決したいという気持ちが、エンジニア志望の原点になりました。大学ではPythonを用いたデータ分析を3年間続けており、入社後はプロダクト開発チームでバックエンドの設計に携わりたいと考えています。
【メーカー系】例文
幼い頃から御社の〇〇シリーズを使い続けており、設計の緻密さに対する興味が製造業への関心の出発点です。材料工学を専攻したゼミでは、軽量化素材の研究に3年間取り組み、量産ラインへの応用を卒業論文のテーマにしました。入社後は品質管理部門で現場の問題を数値で解析するエンジニアとして働きながら、将来は製品設計への異動も視野に入れています。
職種別の志望動機の書き分けについては、市役所の志望動機|採用担当者が落とす3つの理由と例文9選も参考になります。

医療・福祉系の職種を志望する場合は、臨床検査技師 新卒の履歴書の書き方も参考にしてください。

この書き方が向いている人・向いていない人
4ステップの構成は多くの学生に有効ですが、全員に同じように機能するわけではありません。自分がどちらのタイプかを確認してから取り組んでください。
この書き方が向いている人
- 応募先の企業研究をある程度済ませている(説明会・HP・社員インタビューを読んだ)
- 大学時代に語れる体験が1つ以上ある(ゼミ・部活・アルバイト・インターン)
- 「この会社に入りたい理由」が自分のなかで言語化できている
- 複数の会社に使いまわすのではなく、1社ずつ丁寧に書く意志がある
- 「書き方はわかるが何を書けばいいかわからない」という状態の人
この書き方だけでは足りない人
- 応募先の企業研究がまだほとんどできていない(企業名と業種しか知らない)
- 志望業界・職種がまだ決まっておらず、どこに応募すべきか自体に迷っている
- 「語れる体験が何もない」という感覚が強く、書き始めるとすぐ手が止まる
「向いていない人」に当てはまる場合、志望動機の書き方だけを学んでも解決しません。企業研究や自己分析の段階に戻るか、就職支援サービスの力を借りて整理するのが現実的な近道です。
新卒の志望動機でつまずいているならプロへの相談を
書き方の型は理解できても、「自分のエピソードをどう言語化するか」で手が止まる学生は少なくありません。そういった場合は、就活エージェントや新卒向けの転職支援サービスに相談することで、志望動機の言語化を一緒に進めてもらえます。
まとめ
この記事のまとめ
- 採用担当者が最も落とすのは「抽象的な共感」「コピペ文」「自分本位の理由」「企業研究の浅さ」「文字数の少なさ」の5パターン
- 良い志望動機には「体験・エピソード」「なぜここか」「入社後ビジョン」の3つが含まれる
- 書き方の基本は4ステップ:①志望理由 → ②根拠体験 → ③強みの接点 → ④貢献イメージ
- 業種によって重点が変わるが、構成の骨格は共通して使える
- 企業研究と自己分析が不十分な場合は、書き方の前にその段階を整理することが先決
新卒の履歴書の志望動機に関するよくある質問
使いまわしは採用担当者に見抜かれます。特定の会社名だけを変えた汎用文は、読んでいる側に「どこでもいいのでは」という印象を与えます。4ステップの骨格は共通して使えますが、「なぜこの会社か」の部分は必ず会社ごとに書き替えてください。
「思い浮かばない」の多くは企業研究の不足が原因です。まずその会社の採用ページ・会社説明会資料・社員インタビューを読み、気になった点を1つ書き出してください。それが志望動機の核になります。自己分析と企業研究の両方が進んでいないと感じる場合は、就活エージェントへの相談が最短ルートです。
採用担当者の声から最も多く聞かれるのは「どこの会社にも使えるコピペ文」と「企業名を変えれば成立してしまう内容」です。次いで「文字数が少なすぎる(50〜100文字以下)」も落とされる理由として挙がります。この3つを避けるだけで、通過率は大きく変わります。
自己PRで語った強みを志望動機で「会社との接点」として使う構成は問題ありません。ただし、同じエピソードを同じ切り口でそのまま転記するのは避けてください。自己PR=「私の強みの証明」、志望動機=「その強みをこの会社でどう活かすか」という使い分けが基本です。

