この記事では、経理未経験の方が職務経歴書を書くうえで採用担当者が実際に見るポイントと、他職種での経験を経理の強みに変える書き方・例文を解説します。「経歴欄に何を書けばいいかわからない」という状態でも、ここで紹介する順序で整理するだけで書類の印象は大きく変わります。
採用担当者が経理未経験者の職務経歴書に求めているもの
書類の判断は30秒、未経験でも通過できる書類の条件
採用担当者が1通の書類に費やす時間は、多くの場合30秒前後です。職務要約の読みやすさと、数字の有無でほぼ第一印象が決まります。「未経験だから詳しく書けない」という発想は、実は採用担当者が期待していないことへの遠慮です。
経理求人に「未経験歓迎」とある場合、採用側は即戦力を求めていません。確認しているのは「育てられる人材かどうか」、そして「数字の仕事に向いているかどうか」の2点です。この視点を押さえたうえで書類を設計するだけで、通過率は大きく変わります。
求めているのはスキルより「数字への誠実さ」
経理は正確性が最優先される業務です。採用担当者が未経験者の職務経歴書を読むとき、「今すぐ決算ができるか」は見ていません。代わりに確認しているのは、過去の仕事で数字を正確に扱えていたか、期日を守れていたか、ミスに対してどう対処していたか、の3点です。
採用担当者が未経験者の書類を通過させるときの共通点
- 月〇件・〇人分といった業務量を示す数字が必ず入っている
- 日商簿記の取得・勉強中など、経理への本気度が一言でわかる記載がある
- 「なぜ事務職から経理なのか」の転職理由が職歴と一致している
- Excelスキルが「使える」ではなく関数レベルで具体的に書かれている
「書くことがない」は思い込み—他職種の経験を経理視点で整理する
経理未経験者から最も多く聞かれるのが「職務経歴書に何を書けばいいかわからない」という声です。しかし実際には、一般事務・営業事務・総務・人事など、多くの業務に経理に直結するスキルが含まれています。問題は書くことがないのではなく、経理の視点で見直していないことがほとんどです。
数字を扱う業務をすべてリストアップする
まず、過去の職歴で「数字が関わっていた業務」をすべて書き出してください。経理に直結しない業務でも、数字が絡んでいれば十分なアピール材料になります。
| 他職種での業務経験 | 経理で活かせるポイント | 職務経歴書での書き方 |
|---|---|---|
| 請求書の受領・整理 | 書類の正確な処理能力、勘定科目への理解 | 月平均〇件の請求書受領・仕分け処理を担当 |
| 経費精算の確認・申請 | 社内規定の理解、照合作業の正確性 | 〇名分の経費精算書を月次で処理(期限内完了率100%) |
| 売上・在庫データの集計 | 数値管理、Excelによる集計・分析 | Excelで月次売上集計を作成(VLOOKUP・ピボットテーブル使用) |
| 支払い業務の補助 | 入金・出金管理の基礎、振込作業 | 月〇件の支払処理補助(振込伝票の作成・照合) |
業務量を件数・金額・割合で表現する
採用担当者が「これは判断できない」と感じる書類の典型は、業務量がまったくわからない記述です。「請求書処理を担当していた」と書いても、月1件なのか200件なのか読み手には伝わりません。数字を加えるだけで書類の説得力は大きく変わります。
- 件数で表現:「月平均150件の請求書処理を担当」「1日〇件の問い合わせ対応」
- 人数で表現:「40名分の給与計算補助を担当」「部署〇名分の経費精算を処理」
- 達成率で表現:「期限内処理率100%を3年間維持」「ミス件数0件(〇ヶ月連続)」
- 金額で表現:「月次の支払処理総額〇〇万円を担当」(概算でも可)
ExcelスキルとETD(経理関連資格)を明示する
経理職では、Excelの操作スキルが実務で直接使われます。「Excel使用可」という記載では採用担当者には何もわかりません。関数名・機能名を具体的に書くことが採用担当者への伝わり方を変えます。日商簿記を学習中の場合も、必ず状況を一言記載してください。
- Excelスキルの書き方例:「Excel:VLOOKUP・SUMIF・INDEX/MATCH・ピボットテーブル・条件付き書式 使用可能」
- 日商簿記取得済みの場合:「日商簿記3級(〇〇〇〇年〇月取得)」
- 勉強中の場合:「日商簿記3級 取得に向けて学習中(〇〇〇〇年〇月受験予定)」
- 会計ソフト経験がある場合:「弥生会計・freee 操作経験あり」
経理未経験者の職務経歴書の基本構成と書き方
職務経歴書は大きく「職務要約・職務経歴・保有スキル・自己PR」の4つで構成されます。経理未経験者の場合は、このうち「職務要約」と「保有スキル」の充実度が書類通過率に最も影響します。
職務要約(冒頭150〜200文字が書類通過の鍵)
職務要約は職務経歴書の冒頭に置く、自分のキャリアをまとめた150〜200文字程度の文章です。採用担当者はここを最初に読み、書類全体を読むかどうか判断します。
未経験者の職務要約でやってはいけないのは、「経理の経験はありませんが〜」という書き出しです。最初に「ない」を宣言すると、読み続けてもらえません。代わりに、「自分が経理に活かせる経験が何か」から書き始めることが原則です。
以下の3要素を150〜200文字に収めることを意識してください。
- ①経歴の要約:「一般事務として〇年間〜を担当」「営業事務で数値管理・請求書処理を経験」
- ②経理に活かせる実績:「月〇件の請求処理・Excel集計の実務経験あり」
- ③経理への意欲・資格:「日商簿記3級取得済み(または取得に向けて学習中)」
職務経歴(他職種の業務を経理視点で再整理する)
会社概要は簡潔に、業種・従業員数・事業内容を1〜2行で書きます。業務内容の記載は、経理に近い業務を冒頭に持ってくるのがポイントです。「売上集計・請求書処理・経費精算の補助」を先に書き、「電話対応・来客応対」などの一般業務を後に続ける順序にすると、採用担当者の印象が変わります。
実績欄には必ず数字を入れます。「売上集計をExcelで担当」ではなく「月次売上集計表の作成(VLOOKUP・ピボットテーブル使用)、集計データの経営会議資料への反映を担当」のように、何のためにどう使ったかまで書くと伝わりやすくなります。
保有スキル・資格欄
経理未経験者が特に意識すべき欄です。PCスキル・資格・会計ソフト経験を分けて記載します。
- PCスキル:Excel(VLOOKUP・SUMIF・ピボットテーブル・条件付き書式)、Word(文書作成)、PowerPoint(資料作成)
- 資格:日商簿記3級(取得年月を記載)、MOS Excel(取得済みの場合)
- 会計ソフト:弥生会計・freee(操作経験がある場合のみ)
自己PR(経理への意欲と過去実績を結びつける)
自己PRは「過去の実績(何をどう達成したか)」と「それが経理でどう活きるか」を結びつける形で書きます。「経理に興味があります」「数字が好きです」のような感情だけで終わらせると、採用担当者は判断材料を得られません。
構成のひな形として、「実績の具体例(数字あり)→そこから得たスキルや習慣→経理でどう活かすか」という順序で書くと、話の流れが整理されます。職務経歴書の全体的な構成と書き方の基本は、職務経歴書の書き方も参考にしてください。

採用担当者が通したくなる例文とNG例
具体的な例文を通して、採用担当者の視点でどう読まれるかを確認してください。良い例とNG例をセットで比較することで、自分の書類のどこを修正すべきかが明確になります。
職務要約の良い例とNG例
良い例文(採用担当者が読み続けたくなる)
一般事務として3年間、月間150件の請求書処理と40名分の経費精算を担当してきました。Excelを用いた月次売上集計(VLOOKUP・ピボットテーブル)や、経費データの照合作業も経験しており、数字の処理・管理業務において高い正確性を培っています。日商簿記3級を2024年6月に取得し、現在は2級の取得に向けて学習中です。数字を正確に扱う業務への適性を活かして、経理として専門的に成長できる環境で貢献したいと考えています。
NG例(採用担当者が読むのをやめるパターン)
事務職として様々な業務を経験してきました。→「様々な」は具体性がなく、内容が全く伝わりません責任感を持って仕事に取り組んでおり、コミュニケーション能力には自信があります。→どの職種でも言えることで差別化になりません経理の仕事に興味があり、スキルアップのために転職を考えています。
業務内容欄の書き方(数値化の実例)
業務内容欄は「NG記述(数字なし)」から「OK記述(数字あり)」への変換が、書類通過の最大のポイントです。
| NG記述(採用担当者が判断できない) | OK記述(採用担当者が評価できる) |
|---|---|
| 請求書処理を担当 | 月平均150件の請求書処理を担当(処理期限内完了率100%) |
| 経費精算の補助 | 40名分の経費精算書を月次で確認・申請処理(ミス件数0件/月) |
| Excelで集計を実施 | 月次売上集計表の作成・更新(VLOOKUP・ピボットテーブル使用) |
| 電話対応・来客応対 | 1日平均50件の電話対応(営業部・取引先からの問い合わせ対応) |
自己PRの良い例とNG例
良い例文(実績と経理への紐づけが明確)
前職の一般事務では、月間150件の請求書処理と40名分の経費精算を3年間担当し、期限内完了率100%・ミス件数0件を維持してきました。数字を扱う業務において正確さと期日管理を徹底する習慣は、経理の実務に直結する強みだと考えています。また、月次売上集計をExcelで作成した経験から、関数(VLOOKUP・SUMIF)を活用したデータ処理にも慣れています。日商簿記3級を取得後、現在は2級の取得に向けて毎日1.5時間の学習を続けており、早期に経理業務に貢献できる水準まで引き上げるつもりです。
NG例(意欲だけで根拠がない)
経理の仕事に以前から興味を持っており、数字を扱う業務が好きです。→「好き」だけでは採用担当者は適性を判断できません前職ではさまざまな事務業務を経験しましたが、これまでの経験を活かして貢献できると確信しています。→「さまざまな」「確信しています」は中身の薄さを隠す典型表現です
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →採用担当者が書類選考で必ずチェックする5つのポイント
経理採用担当者が書類選考で確認している具体的なチェックポイントを整理します。書き終えた後のセルフチェックに使ってください。
採用担当者が経理未経験者の書類で見る5点
- ①数字の具体性:業務量が件数・金額・達成率で書かれているか
- ②Excelスキルのレベル:関数名が具体的に明示されているか
- ③日商簿記の状況:未取得でも「取得に向けて学習中」の記載があるか
- ④転職理由の一貫性:「なぜ経理なのか」が職歴と自己PRで矛盾していないか
- ⑤読みやすさ:A4用紙1枚に収まっているか、箇条書きで見やすいか
① 数字の具体性—採用担当者が最初に見る箇所
数字がない書類は、採用担当者には「業務量も質も不明」な状態に見えます。「請求書処理を担当」よりも「月150件の請求書処理を担当(ミス0件)」のほうが、業務の規模と正確性を一文で伝えられます。
過去の業務で「どのくらいの量をこなしていたか」を思い出し、概算でも数字を入れることを意識してください。「150件前後」「約50名分」のような表現でも、全く書かないよりはるかに印象が変わります。
② Excelスキルのレベル—「使える」では判断できない
「Excel使用可」という記載は、採用担当者には文字を打てる程度と受け取られることがあります。VLOOKUPやSUMIF、ピボットテーブルを使った業務経験があれば、関数名・機能名を明示して記載してください。それだけで採用担当者の評価が変わります。
MOSの資格を持っている場合はスキル欄に記載します。「MOS Excel 2019 Expert(〇〇〇〇年〇月取得)」のように、バージョンとレベルまで書くと信頼度が上がります。
③ 日商簿記の状況—勉強中でも必ず記載する
日商簿記の取得が経理転職の必須条件ではありません。ただし、「取得を目指して学習中」という一文が書類に入っているだけで、採用担当者の印象は大きく変わります。「この人は経理への転職を本気で考えている」という意欲のシグナルとして機能するためです。
受験予定日が決まっていれば「〇〇〇〇年〇月受験予定」と具体的に書くことで信頼度が上がります。まだ学習を始めていない場合でも、書類提出前に開始して「取得に向けて学習中」と書くのが現実的な対策です。
④ 転職理由の一貫性—「なぜ経理なのか」が軸になる
職務経歴書に書く内容と転職理由が矛盾していると、採用担当者に「本当に経理をやりたいのか」と疑念を持たれます。「前職で数字を扱う業務を担当してきた→経理業務に近い実績がある→経理として専門的に成長したい」という流れが、職務要約・職務経歴・自己PRを通じて一貫していることが、未経験でも通過する書類の条件のひとつです。
⑤ 読みやすさ—A4用紙1枚で必要情報を収める
経理未経験者の職務経歴書はA4用紙1枚が基本です。2枚になると「経験が少ないのに文字数が多い」「余白が目立つ」という印象を与えやすくなります。要点を絞り、適切な箇条書きと余白を使ってレイアウトを整えることも、採用担当者への見せ方の一部です。
書き上げた職務経歴書を第三者にチェックしてもらいたい場合は、職務経歴書の添削サービスの活用も選択肢です。転職エージェントを利用すれば、無料で書類の添削を受けられます。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 経理未経験者の職務経歴書に求められているのはスキルより「数字への誠実さ」と「学習姿勢」
- 「書くことがない」は思い込み。他職種の業務を経理視点で整理することで必ずアピール材料が出てくる
- 職務要約・職務経歴・自己PRのすべてに業務量を示す数字を入れることが通過書類の基本条件
- 日商簿記は取得中でも「学習中・受験予定」と書くだけで採用担当者の評価が変わる
- Excelスキルは「使える」ではなく関数名まで具体的に明示することで採用担当者に伝わる
書類が完成したら、必ず転職エージェントや第三者に読んでもらうことを検討してください。自分では気づきにくいNG表現や数字の不足を指摘してもらうことで、書類の完成度が大きく上がります。
経理未経験の職務経歴書に関するよくある質問
- 経理未経験でも職務経歴書は必要ですか?
-
転職の場合、職務経歴書は原則として必要です。経理未経験でも、他職種での数値処理経験・Excelスキル・取得済みまたは勉強中の資格を記載することで、採用担当者に適性をアピールできます。「書けることがない」と感じる場合でも、過去の業務を経理視点で整理すれば必ずアピール材料が見つかります。
- 日商簿記3級がなくても経理への転職はできますか?
-
可能ですが、「取得を目指して勉強中」と職務経歴書に記載するだけで採用担当者の評価が大きく変わります。経理採用担当者は資格の有無より学習への姿勢を重視することが多いです。受験予定日が決まっていれば「〇〇〇〇年〇月受験予定」と具体的に記載してください。
- 職務経歴書はA4何枚が適切ですか?
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経理未経験者の場合はA4用紙1枚が基本です。経験が少ない状態で2枚になると、内容が薄いか余白が目立つかのどちらかになりやすく、採用担当者に「整理できていない人」という印象を与えることがあります。要点を絞り、箇条書きと適切な余白でA4 1枚にまとめることを意識してください。
- 事務職から経理への転職は難しいですか?
-
一般事務・営業事務・総務などの経験がある場合、経理に隣接するスキルを持っていることが多く、未経験の中では有利な部類です。ただし、職務経歴書で「どの業務が経理に活かせるか」を採用担当者が即理解できる形で整理できていることが前提です。数字の具体化とExcelスキルの明示を徹底することで、書類通過率は大きく変わります。


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