職務経歴書の自営業経験は、「事業内容→業務内容→成果」の順で書けば職歴として十分に評価されます。個人事業主やフリーランスとして事業を営んできた方は、「組織で働いた経験がないから不利では」と不安になりがちですが、書き方のルールさえ押さえれば通過率は大きく変わります。この記事では、個人事業主・フリーランス・法人代表それぞれの用語ルールと、廃業・休業した場合の伝え方まで、採用担当者目線で解説します。
職務経歴書の自営業の書き方【結論】個人事業主・フリーランスの記載例
結論:自営業経験は「事業内容→業務内容→成果」の順で書けば職歴として通用する
自営業の経験を職務経歴書に書く際、多くの方が「何をどこまで書けばいいのか」で手が止まります。結論として、事業内容(何の事業をどんな規模で)→業務内容(自分が具体的に何をしたか)→成果(数字でわかる結果)の3ステップで書けば、採用担当者に正しく伝わります。
「自営業をしていました」だけで終える書き方は、採用担当者にとって最も評価しづらいパターンです。事業の規模も自分の役割も伝わらないため、書類選考の段階でマイナス評価につながります。事業形態が個人事業主かフリーランスか、あるいは法人代表かによって使う用語が変わる点にも注意が必要です。
個人事業主として事業を営んでいた場合の例文
良い例文
【屋号・事業内容】○○デザイン事務所(個人事業主・開業届提出済み)
【事業概要】飲食店・美容室を中心とした販促用グラフィックデザインの制作(法人・個人事業主あわせて年間約40件受注)
【開業】20XX年4月
【廃業】20XX年3月(一身上の都合により廃業)
【業務内容】
・チラシ・ロゴ・SNS用バナーの企画から納品までを一貫して担当
・取引先とのヒアリング、見積書・請求書の作成、納期管理を単独で遂行
・既存クライアントからの紹介経由の受注が全体の約6割を占め、リピート率は約70%を維持
NG例
【業務内容】個人事業主としてデザインの仕事をしていました。→ 事業規模も担当業務も伝わらず、採用担当者は評価のしようがありません。「デザインの仕事」だけでは、どんな案件を、どの程度の裁量でこなしていたのかが一切わからないためです。
フリーランスとして活動していた場合の例文
良い例文
【活動内容】フリーランスWebライター(開業届なし・業務委託契約ベース)
【活動期間】20XX年6月〜現在
【主な取引先】法人3社(ITメディア2社・不動産メディア1社)
【業務内容】
・SEO記事の企画・執筆・入稿(月間平均12本、1本あたり3,000〜5,000字)
・クライアントとの構成案すり合わせ、修正対応、納期管理
・執筆した記事のうち3本が検索順位1位を獲得し、担当メディアの月間PVに貢献
採用担当者はここを見ている
- 取引先の数と継続期間(単発の仕事ばかりでないか)
- 納期・品質を守るためにどんな工夫をしていたか
- 成果が具体的な数字で語られているか
自営業の職歴表記ルール|「入社・退社」ではなく開業・廃業を使う
自営業の経験を職務経歴書に書く際、最初につまずきやすいのが「入社・退社」という言葉が使えるかどうかです。個人事業主やフリーランスは会社に雇用されているわけではないため、「入社・退社」ではなく「開業・廃業」を使うのが正しい表記です。自分が代表を務める法人を設立していた場合は、一般の転職と同じ「入社・退社」が使えます。
| 事業形態 | 開始の表現 | 終了の表現 |
|---|---|---|
| 個人事業主(開業届あり) | ○○事業を開業 | 一身上の都合により廃業/廃業のため終了 |
| フリーランス(開業届なし) | フリーランスとして活動開始 | 活動終了/会社員転職のため活動終了 |
| 法人代表(株式会社・合同会社等) | ○○株式会社設立・入社 | 代表退任・退社 |
採用担当者はここを見ている
- 事業形態と用語が一致しているか(法的な正確さ)
- 開業日・廃業日が具体的に書かれているか
- 屋号や事業内容を隠さず明記しているか
実態に合わない用語を使うと、面接で「入社とはどういう意味ですか」と質問された際に説明が崩れます。正確な用語を使うことは、些細に見えて信頼を左右する重要なポイントです。
採用担当者が自営業経験者に抱く期待と不安
自営業経験者の職務経歴書を見たとき、採用担当者はプラスの期待とマイナスの懸念を同時に抱きます。この両方を理解しておくことが、通過率を上げる近道です。
採用担当者はここを見ている
- 期待①:指示を待たずに動く自律性・実行力があるのではないか
- 期待②:数字や損益を自分事として考える経営者視点を持っているのではないか
- 懸念①:組織のルールや上下関係に馴染めるか
- 懸念②:チームでの報連相・連携ができるか
- 懸念③:なぜ自営業をやめて会社員に戻るのか、理由に一貫性があるか
とくに懸念③は、職務経歴書の中で最も見落とされやすいポイントです。「なぜ会社員に戻るのか」を自己PRや職務要約で一言添えておくだけで、採用担当者の懸念は大きく和らぎます。「収入の波をなくし、チームで成果を出す働き方に軸足を移したい」のように、前向きな言葉で伝えることが基本です。
廃業・休業して転職する場合の書き方と伝え方
「廃業した」という事実を職務経歴書に書くことに、抵抗を感じる方は少なくありません。しかし、廃業理由を隠さず簡潔に書くほうが、面接での印象は良くなります。採用担当者が知りたいのは「失敗したかどうか」ではなく、「その経験から何を学び、次にどう活かすか」だからです。
良い例文(廃業理由の伝え方)
【廃業理由】感染症拡大に伴う来客数の減少により、20XX年3月をもって事業を廃業。個人での事業運営には限界を感じ、組織の中で仲間と協力しながら成果を出す働き方へ軸足を移すため、会社員としての転職を決意しました。
NG例
【廃業理由】特になし(空欄のまま)→ 廃業理由を書かないと、採用担当者は不都合な事実を隠していると受け取ります。面接で必ず聞かれる項目のため、職務経歴書の段階で簡潔に触れておくほうが印象は良くなります。
廃業後に期間が空いている場合は、空白期間としての説明も欠かせません。理由別の書き方を以下の記事で詳しく解説しています。

自営業の経験を「組織で通用するスキル」に翻訳する方法
自営業で培ったスキルは、そのままでは会社員の経験と比較しにくいものです。採用担当者に伝わる言葉に「翻訳」することで、応募先企業での再現性がぐっと伝わりやすくなります。
| 自営業での経験 | 組織で通用するスキルへの翻訳 |
|---|---|
| 見積もり・請求書を自分で作成していた | 数字管理力・事務処理能力 |
| 取引先との価格交渉をしていた | 交渉力・関係構築力 |
| SNSやチラシで集客施策を考えていた | マーケティング・企画提案力 |
| 繁忙期に応じて仕入れ量を調整していた | 需要予測・在庫管理力 |
| クレーム対応を自分1人で行っていた | 課題解決力・顧客対応力 |
職種によって評価されやすいスキルは異なります。営業職への転職を考えている場合は、営業の職務経歴書テンプレートを参考にすると、交渉力や成果の見せ方がより整理しやすくなります。事務職を目指す場合は事務の職務経歴書テンプレートも活用してください。
業種別の職務経歴書例文
自営業と一口にいっても、店舗経営・コンサルティング・制作系など業種によって書き方のコツが異なります。ここでは代表的な2つのパターンを紹介します。
店舗経営者だった場合の例文
良い例文
【屋号・事業内容】○○珈琲(個人事業主・カフェ経営)
【事業概要】座席数15席の地域密着型カフェを個人で運営(1日平均来客数約35名)
【開業】20XX年5月/【廃業】20XX年2月(一身上の都合により廃業)
【業務内容】
・仕入れ・在庫管理、シフト調整(アルバイト2名を採用・指導)
・SNS運用によりフォロワーを1年半で約800名に増加させ、新規客の来店動機の約2割を占めるまで拡大
・会計ソフトを用いた売上・経費管理を毎月自ら実施
個人コンサルタントだった場合の例文
良い例文
【活動内容】中小企業向け業務改善コンサルタント(個人事業主)
【活動期間】20XX年1月〜20XX年12月
【主な取引先】製造業・小売業を中心に法人8社
【業務内容】
・現状分析、課題ヒアリング、改善提案書の作成を一貫して担当
・提案先企業のうち6社で業務工数を平均15%削減する改善案を実行支援
・報告資料の作成、月次の進捗確認ミーティングを主催
NG例
【業務内容】いろいろな会社のコンサルをしていました。→ 採用担当者はこの一文だけでは実績の規模も種類も判断できません。取引先の数・業種・具体的な成果を必ずセットで書くことが通過率を左右します。
雇用形態の記載に迷う場合は、以下の記事もあわせて確認すると誤解を招かない表記が整理できます。

まとめ
- 自営業経験は「事業内容→業務内容→成果」の順で書けば職歴として評価される
- 個人事業主・フリーランスは「開業・廃業」、法人代表は「入社・退社」を使う
- 採用担当者は自律性・実行力に期待する一方、組織適応力に懸念を持つ
- 廃業理由は隠さず簡潔に、前向きな言葉で伝えることが信頼につながる
- 自営業での経験は「組織で通用するスキル」に翻訳して書くと伝わりやすい
ハローワークでの応募を予定している方は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレート、フォーマットに迷う方は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートもあわせてご活用ください。

職務経歴書の自営業に関するよくある質問
- 自営業の期間は職歴なしとして扱われますか?
-
扱われません。継続して事業に従事していた事実があれば、開業・廃業日を明記したうえで職歴として記載できます。単発の副業程度であれば、無理に書かず空白期間として説明する方が信頼を得やすいケースもあります。
- 開業届を出していない場合はどう書けばいいですか?
-
開業届の有無に関わらず、実際に活動していた事実を書いて問題ありません。「フリーランスとして活動」「個人で受注し業務委託契約により活動」のように、実態に沿った表現を使いましょう。開業届の提出有無を職務経歴書に明記する必要はありません。
- 実績の数字が手元にない場合はどうすればいいですか?
-
正確な数値が残っていなくても、「約」を付けて概算を書けば問題ありません。「取引先は約10社」「月平均受注件数は約15件」のように、期間・頻度・規模で表現するだけでも具体性が大きく増します。
- 自営業経験は未経験の職種への転職でも評価されますか?
-
評価されます。業種は違っても、数字管理力・交渉力・課題解決力といった自営業で培ったスキルは職種を問わず求められるものです。自営業での経験を応募先の職種に合わせて言い換えて伝えることが重要です。

