60歳以上の履歴書は、職歴をすべて書かず、応募先に関係する経歴だけを残してまとめるのが正解です。40年分の経歴を1枚に詰め込むほど読みにくくなり、通過率は下がります。この記事では職歴のまとめ方、定年退職の表記、健康状態欄と志望動機の例文を記入例つきで紹介します。
60歳以上の履歴書は「職歴をまとめて書く」のが正解
結論:40年分の職歴をすべて書く必要はありません
履歴書は「略歴」を伝える書類です。1社ごとの業務内容まで書き切るための用紙ではありません。60歳以上の方が最初につまずくのは、転職歴や社内異動を全部書こうとして行数が足りなくなる場面です。
ここで無理に小さな字で詰め込むと、採用担当者はどの経験が応募職種に活きるのか判断できなくなります。省略は経歴を隠す行為ではなく、読みやすさを優先する編集作業です。
職歴のまとめ方3パターンと記入例
職歴が入り切らないときの整理方法は次の3つです。応募先が求める経験がどれかによって使い分けます。
| まとめ方 | 向いているケース |
|---|---|
| 古い経歴を年代でまとめる | 20〜30代の職歴が応募先と関係が薄い |
| 応募職種に関係する経歴だけ詳しく書く | 経験を活かした仕事に応募する |
| 別紙(職務経歴書)に回す | 転職回数が多く、実績を具体的に伝えたい |
良い例文(古い経歴を年代でまとめる)
昭和60年4月〜平成10年3月 製造業3社にて品質管理業務に従事
平成10年4月 株式会社〇〇 入社
生産管理部にて工程管理および外注先対応を担当
令和4年3月 同社 定年により退職
令和4年4月 同社 嘱託社員として再雇用
令和8年3月 同社 契約期間満了により退職
直近の勤務先だけ担当業務を2行程度で補足し、古い職歴は1行に集約しています。これで20年以上の経歴が5行に収まります。
NG例
昭和60年4月 株式会社△△ 入社
昭和63年4月 同社 第二工場へ異動
平成2年10月 同社 係長昇進
平成4年4月 同社 本社購買部へ異動
(以下、異動履歴が15行続く)
社内異動を1件ずつ書いた結果、直近の経験にたどり着く前に欄が埋まっています。同一企業内の異動は「主な配属部署」として1〜2行にまとめるのが基本です。
採用担当者はここを見ている
- 直近5年で何をしていたか。40年前の経歴より、退職前後の働き方を確認しています
- まとめ方に一貫性があるか。年代でまとめた行と1社ずつ書いた行が混在していると読みづらくなります
- 在籍期間の改ざんがないか。読みやすさのための要約は問題ありませんが、短期離職を隠す目的の省略は経歴詐称にあたります
派遣や単発の仕事を挟んでいる場合は、まとめ方のルールが少し変わります。

60歳以上の履歴書で採用担当者が本当に見ている3つのこと
シニア採用の書類選考では、評価の軸が現役世代とはっきり変わります。過去の役職や実績は「参考情報」に後退し、代わりに次の3点が見られます。
| 見られている点 | 履歴書のどこに表れるか |
|---|---|
| 健康と勤怠の安定 | 健康状態欄・本人希望記入欄 |
| 役割を選ばない柔軟性 | 志望動機・自己PR欄 |
| 今すぐ何ができるか | 職歴欄の直近部分・免許資格欄 |
とくに管理職経験のある方は注意が必要です。部長・工場長といった肩書を前面に出すと、現場の担当者からは「指示を受ける立場になじめるだろうか」と受け取られることがあります。肩書ではなく、その立場で身につけた具体的な作業スキルに書き換えると印象が変わります。
肩書をスキルに書き換える例
- 「営業部長として20名を統括」→「新人の同行指導と顧客クレームの一次対応を担当」
- 「工場長を10年経験」→「安全点検と月次の在庫棚卸しを主導」
- 「経理課長」→「月次決算と請求処理を、繁忙期も含めて期日どおりに完了」
項目別|60歳以上の履歴書の書き方
用紙とフォーマットの選び方
企業から様式の指定がなければ、自分の強みが書ける欄が大きいものを選びます。志望動機や特技の欄が広い厚生労働省の様式に沿った履歴書テンプレートは、経験を言葉で伝えたい60歳以上の応募者と相性が良い形式です。
この様式では性別欄が任意記載に変更され、通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の4項目が削除されています。長年見慣れた用紙と欄の構成が違うため、市販の用紙を買う前に一度確認しておくと迷いません。かつて主流だったJIS規格に沿った履歴書テンプレートを使う場合も、記載内容そのものは変わりません。
パート・アルバイトへの応募ならパート用の履歴書テンプレート、正社員・契約社員への応募なら転職用の履歴書テンプレートが使いやすい構成です。手書きとパソコン作成はどちらでも構いませんが、字に自信がない場合は無理をせずパソコンで作成してください。
学歴欄はどこから書くか
学歴は高校入学から書けば十分です。60歳以上の場合、義務教育まで遡ると行数を消費するだけで評価には影響しません。職歴の行を確保したいときは、最終学歴のみを1行で記載する形でも問題ありません。
校名は当時の正式名称で書き、統廃合で名前が変わっている場合は現在の名称を括弧で補足します。年号は和暦か西暦のどちらかに統一してください。
定年退職・再雇用の書き方
定年退職は経歴のマイナス要素ではありません。定年まで勤め上げた事実は、勤怠の安定を示す材料として読まれます。書き方を曖昧にすると、かえって自己都合退職と区別がつかなくなります。
良い例文
令和3年3月 株式会社〇〇 定年により退職
令和3年4月 株式会社〇〇 嘱託社員として再雇用
令和8年3月 株式会社〇〇 契約期間満了により退職
再雇用は同じ会社であっても雇用契約が切り替わっているため、行を分けて書きます。終了理由まで書くことで、退職の経緯を面接で確認する手間が省けます。
NG例
令和8年3月 株式会社〇〇 一身上の都合により退職
定年や契約満了を「一身上の都合」と書くと、自分から辞めた人という誤解を招きます。会社都合で区切りがついた退職は、そのまま事実を書いたほうが有利です。
定年退職後に間が空いた場合も、隠す必要はありません。6か月から1年程度のブランクは「退職後の整理期間」として受け止められるのが一般的です。1年を超えるときは、本人希望記入欄や志望動機に「体調管理を続けながら再就職の準備をしていた」と一言添えておくと、空白の理由が伝わります。
免許・資格欄は「今も使えるもの」だけ
資格は数ではなく、応募先で使えるかどうかで選びます。40年前に取得して以降まったく使っていない資格や、応募職種と無関係な資格は省いて構いません。
- 優先して書く:普通自動車第一種運転免許、フォークリフト運転技能講習修了、危険物取扱者、簿記など応募業務に直結するもの
- 書き方に注意:制度改正で名称が変わった資格は現在の正式名称を書く
- 省いてよい:業務と関係がなく、取得後に一度も使っていない資格
運転免許は返納や条件変更があれば、現在の状態を正確に書いてください。送迎や配送を含む求人では、免許の有無が採否を直接左右します。
健康状態欄は「良好」で終わらせない
60歳以上の応募でもっとも読まれる欄が健康状態です。ここが空欄だったり「良好」の2文字だけだったりすると、判断材料がないまま年齢だけで推測されます。持病があっても、業務に支障がなければ「良好」と書いて構いません。
良い例文
- 良好(直近5年間、無遅刻・無欠勤)
- 良好。週3回の散歩を継続しており、立ち仕事にも支障ありません
- 業務に支障はありませんが、持病の定期検診のため3か月に一度の通院があります
NG例
年齢の割には健康なほうだと思います
主観だけの表現は判断材料になりません。通院が必要で定期的に休む状態を隠して「良好」と書くのも避けてください。内定後の健康診断書と食い違うと、内定取り消しの理由になります。
本人希望記入欄で勤務条件を先に伝える
60歳以上の応募では、この欄が面接に進めるかどうかを分けることがあります。企業側は「週何日、何時間働けるのか」を早く知りたいためです。「貴社規定に従います」だけで済ませると、条件の確認に一往復かかり、後回しにされることがあります。
良い例文
週4日(月・火・木・金)、9時から16時までの勤務を希望します。繁忙期の土曜出勤は対応可能です。その他の条件は貴社規定に従います。
希望を書くことは、わがままとは受け取られません。譲れない条件と対応できる範囲をセットで示すことで、シフトを組む側が採用後の姿を具体的に描けるようになります。

60歳以上の志望動機の書き方と例文
志望動機で差がつくのは、応募理由に「働き続けられる根拠」が入っているかどうかです。動機だけを書くと、体力面の不安が消えないまま読み終わってしまいます。次の3要素を1文ずつ組み合わせると、短くてもまとまります。
- 応募先を選んだ理由(業務内容・地域・働き方のどれか)
- 活かせる経験、または未経験でも支えになる習慣
- 継続して勤務できる根拠(体調管理・通勤距離・家庭の状況)
未経験のパート・軽作業に応募する場合
良い例文
自宅から自転車で10分という通いやすさと、未経験者にも段階を追って教えていただける体制に魅力を感じ応募しました。前職の生産管理では、数量の確認と記録を毎日欠かさず行ってきたため、数を数え違えない確認の習慣は身についています。現在も週3回の散歩を続けており、立ち仕事も問題なく続けられます。
経験を活かして事務・管理業務に応募する場合
良い例文
38年間、製造業の経理部門で月次決算と請求処理を担当してきました。少人数で処理する体制の貴社であれば、仕訳から支払処理まで一人で完結できる経験がそのまま役立つと考えています。役職にはこだわらず、担当者として実務を進める形を希望します。
接客・販売に応募する場合
良い例文
長年の営業経験で、初対面の方と話すことに抵抗がありません。貴店は年配のお客様が多いと伺っており、ゆっくり話を聞いて要望を確認する接客で力になれると考えています。平日の午前を中心に、長く勤めさせていただきたいと考えております。
NG例
年金だけでは生活が厳しく、少しでも収入を得たいと考え応募しました。体を動かす仕事なら何でも構いません。
生活のために働くこと自体は当然ですが、応募先でなければならない理由がひとつも入っていません。「何でも構いません」も、柔軟さではなく職場への関心の薄さとして読まれます。

60歳以上の履歴書でやりがちな失敗と落とし穴
書き方そのものは正しくても、細部で損をしているケースが少なくありません。書き上げたあとに次の点を見直してください。
| やりがちな失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 証明写真が10年以上前のもの | 3か月以内に撮影し直す。実物と印象が違うと面接で不信感につながる |
| 職歴欄を埋めるために異動を全部書く | 主な配属部署として1〜2行に集約する |
| 自己PRが過去の実績の列挙で終わる | その経験を応募先の業務にどう使うかを1文足す |
| 空欄が多く用紙が白い | 担当業務や体調管理の習慣を書き足して余白を埋める |
| 和暦と西暦が混在 | どちらかに統一する |
用紙の余白が多いと、経験が少ない人という印象を与えます。転職歴や異動が少ない方ほど、担当してきた業務を3〜4個ほど書き足して欄を埋めてください。
採用担当者はここを見ている
- 写真の印象と職歴の内容がかみ合っているか
- 自分から書いた情報があるか。指定欄を埋めただけの履歴書は意欲が読み取れません
- 職務経歴書が添えられているか。職歴が多い方ほど、履歴書だけでは経験が伝わりません
まとめ
- 職歴は全部書かず、古い経歴は年代でまとめ、応募先に関係する経験を残す
- 定年退職・再雇用・契約満了は事実どおりに書き分ける
- 健康状態欄は「良好」に一言添え、勤怠が安定していることを示す
- 本人希望記入欄に勤務可能な曜日と時間を書く
- 志望動機には応募理由・活かせる経験・働き続けられる根拠の3点を入れる
年齢そのものは変えられませんが、読み手が判断に迷う余白は書き方で埋められます。まずは職歴欄を1行ずつ削るところから始めてください。
60歳以上の履歴書に関するよくある質問
- 職歴が多すぎて履歴書に入りません。別紙にしてもよいですか?
-
問題ありません。履歴書には「詳細は職務経歴書に記載」と書き、A4用紙に経歴をまとめて添付します。ただし直近の勤務先と退職時期だけは履歴書本体に必ず記載してください。
- 60歳以上でも職務経歴書は必要ですか?
-
パート・アルバイトへの応募で指定がなければ必須ではありません。職歴が10社近くある場合や、経験を活かす職種に応募する場合は、添えたほうが履歴書をすっきりまとめられます。
- 履歴書は手書きとパソコンのどちらがよいですか?
-
企業からの指定がなければどちらでも構いません。応募数が多い場合や字に自信がない場合はパソコン作成が現実的です。手書きの場合は黒のボールペンを使い、修正液は使わずに書き直してください。
- 定年後に1年以上のブランクがあります。どう書けばよいですか?
-
職歴欄では退職の行で止めて構いません。そのうえで志望動機か本人希望記入欄に、体調管理や家族の介護など期間の過ごし方を一言添えると、空白の理由が伝わります。
- 年齢を理由に落とされている気がします。書き方で変わりますか?
-
年齢だけで判断されている場合もありますが、健康状態欄と本人希望記入欄が空欄に近いと、判断材料がないまま見送られていることがあります。勤務可能な曜日・時間と体調管理の習慣を書き足すだけで、面接に呼ばれる確率は変わります。

