翻訳の職務経歴書は、対応できる言語ペアと専門分野をセットで数値化して書くのが正解です。TOEICスコアや資格の羅列だけでは、採用担当者は実務レベルを判断できません。この記事では、正社員応募・フリーランス登録・未経験からの転職という3つの状況別に、そのまま使える記載例と採用担当者が実際に見ているポイントを解説します。
翻訳の職務経歴書の書き方と記載例
結論:言語ペア・専門分野・翻訳量をセットで数値化して書く
翻訳の職務経歴書で最初に確認されるのは、資格の有無より「どの言語をどの分野でどれだけ訳してきたか」という実務の中身です。英日・日英といった言語ペア、医療・法律・ITなどの専門分野、1日あたりの翻訳量(ワード数)の3点をセットで書くと、採用担当者は応募先の業務に当てはめて評価できます。
- 言語ペア:英日・日英・中日など、対応方向を明記する
- 専門分野:医療・法律・IT・特許など、得意領域を1〜2つに絞る
- 翻訳量の目安:1日あたりのワード数や月間の対応件数
【正社員応募の場合】良い例文とNG例
翻訳会社や事業会社の翻訳部門に正社員として応募する場合は、所属していた会社での実績を時系列で整理し、担当分野の広さと専門性の深さの両方が伝わるように書きます。
良い例文
20XX年4月〜現在 〇〇翻訳株式会社 翻訳部
担当業務:英日・日英翻訳(医療機器の取扱説明書、治験関連文書)を担当。月間平均40,000ワードを処理し、納期遵守率100%を維持。校正フェーズではネイティブチェッカーとの用語統一作業も担当。
NG例
20XX年4月〜現在 〇〇翻訳株式会社 翻訳部
担当業務:翻訳業務全般を担当。さまざまな分野の翻訳を経験。
【フリーランス登録の場合】良い例文とNG例
フリーランス翻訳者として翻訳会社に登録応募する場合、正社員時代とフリーランス期間の両方を職歴として記載し、継続して活動してきたことを示します。空白期間に見えないよう、フリーランス期間も必ず一行として明記してください。
良い例文
20XX年6月〜現在 フリーランス翻訳者として独立
主な実績:英日翻訳(IT・ソフトウェアマニュアル、UI文言)を中心に受注。クラウドソーシング経由で年間案件数約60件、リピート率8割。Trados Studioを使用した用語集管理を担当。
NG例
20XX年6月〜現在 フリーランス翻訳者
個人で翻訳の仕事を受けています。案件数や分野の記載なし。
【未経験・異業種からの転職の場合】良い例文とNG例
翻訳の実務経験がなくても、前職の専門知識と語学学習の実績を組み合わせれば書類は成立します。「翻訳経験なし」で終わらせず、前職の経験がどの分野の翻訳に応用できるかまで書くのがポイントです。
良い例文
20XX年4月〜現在 〇〇製薬株式会社 MR
担当業務:医薬品の添付文書・製品資料の内容を医師・薬剤師向けに説明。専門用語の理解と正確な情報伝達を5年間実践。個人学習でTOEIC920点を取得し、医薬翻訳の通信講座を修了。
NG例
翻訳の実務経験はありませんが、英語が好きなので頑張りたいです。
翻訳の職務経歴書に入れる基本項目とフォーマット
翻訳の職務経歴書は、一般的な職種と同じく職務要約・職務経歴・活かせる知識/スキル・自己PRの4構成で組み立てます。それぞれの欄に何を書くべきか、翻訳職特有のポイントを含めて整理します。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 職務要約 | 対応言語ペア・専門分野・通算の翻訳量を3〜4行で要約 |
| 職務経歴 | 会社・案件ごとの担当業務、言語ペア、専門分野、翻訳量を時系列で記載 |
| 活かせる知識・スキル | 語学資格のスコア、CATツールの使用歴、専門分野の周辺知識 |
| 自己PR | 専門分野との一致、実績、応募先を選んだ理由を3〜5行で |
採用担当者はここを見ている
- 言語ペアが「翻訳業務全般」のような曖昧な表現でごまかされていないか
- 職務要約と職務経歴の内容に矛盾がないか(要約だけ実績を盛っていないか)
- 自己PRが応募先の専門分野に合わせて書き分けられているか
職務経歴書と履歴書で書く内容が重複しないか気になる方は、履歴書と職務経歴書の役割の違いも参考にしてください。

採用担当者が翻訳の職務経歴書で必ず確認する3つのポイント
翻訳職の求人は応募が集中しやすく、書類選考の段階で多くの応募者がふるいにかけられます。採用担当者が短時間でチェックしている3つの視点を押さえておくと、書類の通過率が変わります。
専門分野の一貫性があるか
翻訳の品質は語学力だけでなく専門知識に左右されるため、職務経歴書全体を通して専門分野が一貫しているかが見られています。医療・法律・IT・特許など複数分野の経験がある場合も、応募先の主力分野に合わせて職務要約と自己PRの軸を1つに絞ると伝わりやすくなります。
語学力を数値で証明しているか
「英語力に自信があります」という自己申告だけでは判断材料になりません。TOEICなら900点以上、英検なら1級が一つの目安とされますが、スコアが低くても「受験済み」で濁さず点数をそのまま書くほうが信頼されます。スコアを隠していると受け取られる方がマイナスです。
CATツール・翻訳支援ツールの使用歴があるか
Trados・memoQ・Wordfastなどの翻訳支援ツール(CATツール)は、現在多くの翻訳会社で使用が前提になっています。使用経験がある場合は「活かせる知識・スキル」欄にツール名と使用年数を明記してください。実務経験の厚みが伝わり、即戦力として評価されやすくなります。
厚生労働省の規格に沿ったフォーマットで職歴を整理したい場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを、JIS規格の様式で揃えたい場合はJIS規格に沿った履歴書テンプレートを活用すると、書式で迷う時間を省けます。
未経験・異業種から翻訳職を目指す人の職務経歴書の書き方
翻訳の実務経験がないと、職務経歴書に書くことがないと感じる方が多いようです。しかし採用担当者が見ているのは「翻訳の経験」そのものより、前職の経験を翻訳業界の評価軸に置き換えられているかという一点です。
翻訳という仕事の本質は、ある言葉を別の言葉に置き換えて伝えることです。それは職務経歴書の書き方そのものにも当てはまります。前職での実績を「翻訳業界が評価する言葉」に翻訳し直す作業が、未経験からの転職では最初のステップになります。
- 営業職の経験→「顧客の要望を正確に把握し、社内外に橋渡しする力」として言い換える
- 技術職の経験→「専門用語を非専門家にも伝わる言葉に変換してきた実績」として言い換える
- 接客・事務職の経験→「細部への正確さとダブルチェックの習慣」として言い換える
良い例文(自己PR)
前職ではシステムエンジニアとして8年間、仕様書の作成と海外拠点とのやり取りを担当しました。専門用語を正確に、かつ読み手に伝わる形で言語化する業務を重ねる中で、翻訳という仕事への関心が高まりました。IT分野の専門知識と英日翻訳の学習実績を活かし、貴社のIT分野の翻訳業務に貢献します。
職務経歴書・履歴書・翻訳実績表の使い分け
翻訳の求人では、応募形態によって用意する書類の組み合わせが変わります。何をどこまで用意すればよいか迷う方のために、書類ごとの役割を整理しました。採用担当者は履歴書と職務経歴書の内容に矛盾がないかも突き合わせて確認しているため、両方の書類で書いた実績や年数を一致させておくことが大切です。
| 書類 | 役割 | 提出のタイミング |
|---|---|---|
| 履歴書 | 氏名・学歴・職歴などの基本情報 | 正社員・派遣・フリーランス登録のほとんどで必須 |
| 職務経歴書 | 言語ペア・専門分野・翻訳量など実務の詳細 | 正社員・派遣で必須、フリーランスでも求められるケースが多い |
| 翻訳実績表 | これまでの翻訳案件を一覧化した実績リスト | フリーランス登録時、翻訳会社の指定がある場合 |
履歴書のテンプレート選びから見直したい場合は、資格欄・志望動機欄の書き方も含めて確認できる記事があります。英語で書類を求められる海外系の求人であれば、英語版の履歴書テンプレートもあわせて準備しておくと安心です。


ハローワーク経由での応募を検討している場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートを、フリーランス登録で志望動機欄が不要な様式を探している場合は志望動機なしの履歴書テンプレートを使うと、フォーマット選びの手間が省けます。
まとめ
- 言語ペア・専門分野・翻訳量をセットで数値化して書く
- 職務要約・職務経歴・活かせる知識/スキル・自己PRの4構成で整理する
- 未経験なら前職の経験を翻訳業界の評価軸に言い換えて書く
職務経歴書は、翻訳という仕事そのものと同じく「伝わる言葉に置き換える」作業です。状況別の例文を参考に、自分の経験を採用担当者に伝わる形で整理してください。
翻訳の職務経歴書に関するよくある質問
- 翻訳の職務経歴書は英語版も用意すべきですか?
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応募先から指定がなくても、外資系企業や海外拠点の翻訳会社に応募する場合は日本語版と対象言語版の両方を用意しておくと安心です。対象言語の文章力も選考対象になるため、誤字脱字やビジネス文書としての体裁を整えてから提出してください。
- 翻訳の実務経験がゼロでも職務経歴書は書けますか?
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書けます。前職の専門知識や語学学習の実績、翻訳スクールでの学習歴を組み合わせて記載してください。「なぜその分野の翻訳を目指しているか」が伝わる自己PRと組み合わせることで、未経験でも書類選考を通過できる可能性があります。
- 言語ペアはどこまで細かく書くべきですか?
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「英日・日英」のように翻訳の方向まで明記してください。方向によって求められるスキルが異なるため、方向を書かずに「英語翻訳」とだけ記載すると、採用担当者は実務レベルを判断しづらくなります。
- TOEICスコアが低い場合はどう書けばよいですか?
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スコアが低くても、受験した点数はそのまま記載してください。「受験済み」とだけ書くと、採用担当者には低スコアを隠していると受け取られやすくなります。専門分野の実務経験やCATツールの使用歴で補うことも可能です。

