契約社員の退職届は、契約満了のタイミングで辞めるなら提出不要なケースが多く、契約期間の途中で辞めるなら会社の同意を得ることが前提になります。「損害賠償を請求されないか」「今の契約が終わる前に言い出していいのか」と迷う方に向けて、状況別の例文と、労働基準法137条・民法628条を踏まえた退職ルールをあわせて解説します。
退職届は契約社員も必要?結論と状況別の書き方・例文
結論:契約満了なら不要なことが多い、契約途中は会社の同意が前提
契約期間の満了に合わせて退職する場合、法律上は退職届も退職願も必須ではありません。就業規則で提出が義務付けられていなければ、口頭の意思表示だけで手続きが完了することもあります。一方、契約期間の途中で辞める場合は事情が変わります。
- 契約満了で辞める:会社の指示があれば提出、なければ不要なことが多い
- 契約途中で辞める:原則として会社の同意が必要で、退職届はその同意を得る意思表示になる
- 提出する場合の項目は「提出日」「退職理由」「退職日」「所属・氏名・押印」「宛先」の5点
書式そのものは正社員と同じで構いませんが、辞められるタイミングは雇用契約の残り期間によって変わります。詳しいルールは次の見出しで解説するので、まずは状況別の例文から確認してください。
【状況別】契約社員の退職届の例文
退職理由の欄は自己都合であれば「一身上の都合」で統一し、契約満了かどうかで文面を調整します。
良い例文(契約満了のタイミングで辞める場合)
退職届
私儀
この度、契約期間満了につき、令和8年〇月〇日をもって退職いたします。
在職中は格別のご配慮を賜り、誠にありがとうございました。
令和8年〇月〇日
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様
氏名 〇〇 〇〇 印
良い例文(契約期間の途中・家庭の事情などで辞める場合)
退職届
私儀
この度、一身上の都合により、令和8年〇月〇日をもって退職いたします。
ご多忙のところ恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
令和8年〇月〇日
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様
氏名 〇〇 〇〇 印
NG例
「契約が更新されなさそうなので辞めます」のように会社都合か自己都合か曖昧な書き方はNGです。会社都合であれば失業手当の給付条件が変わるため、実態と異なる理由で提出すると後で不利益を受けることがあります。契約途中なのに退職日だけを一方的に書いて提出するのも避けましょう。
提出前に確認したい3つのポイント
人事・上司はここを見ている
- 就業規則の提出期限:「退職の1ヶ月前」など社内ルールがないか
- 契約書との整合性:契約更新月・満了日と退職日がずれていないか
- 提出先:直属の上司ではなく人事権を持つ責任者に届いているか
契約社員が知っておきたい退職のルール(労基法137条・民法628条)
契約社員は「期間の定めのある雇用契約」を結んでいるため、正社員と違っていつでも自由に辞められるわけではありません。ただし、条件次第で自由に退職できるケースもあります。
契約期間が1年を超えるなら、1年経過後はいつでも退職できる
労働基準法137条により、契約期間が1年を超える契約社員は、契約初日から1年を経過した日以降であれば、申し出るだけでいつでも退職できます。会社の同意や「やむを得ない事由」は不要です。
- 対象:契約期間が1年を超える有期労働契約を結ぶ契約社員
- 適用外:契約期間が1年以内の契約、高度専門職(年収おおむね1,075万円以上等)、60歳以上の労働者
- 1年契約を更新している場合は、直近の契約が1年を超えるかどうかで判断が分かれるため、契約書の期間を確認する
契約途中の退職は原則「会社の同意」が必要
民法628条では、契約期間の途中で一方的に辞められるのは「やむを得ない事由」がある場合に限られると定めています。急な体調不良や家族の介護など正当な理由がなく、職場との合意もないまま辞めると、理論上は損害賠償を請求される可能性も出てきます。
もっとも、実務でここまで揉めるケースは多くありません。本人が退職届を提出し、会社側がそれを受理すれば「合意退職」となり、契約期間の途中でも円満に辞められます。損害賠償が実際に認められるには、会社側が具体的な損害の発生と因果関係を立証する必要があり、ハードルは高いのが実情です。
| 退職のタイミング | 必要な手続き |
|---|---|
| 契約更新前に伝える | 更新せず契約満了で退職(同意は不要) |
| 契約期間の途中で伝える(1年以内の契約) | 会社の同意を得た合意退職が基本 |
| 1年を超える契約で1年経過後 | 労基法137条により申し出るだけで退職可能 |

契約更新のタイミングと退職届提出の逆算スケジュール
契約社員特有の悩みとして多いのが、次の契約更新が近いのに、まだ結論を伝えられていないという状況です。特に「正社員登用の話が出ていたのに辞める」場合、言い出しにくさから先延ばしにしてしまう人が少なくありません。
更新前に伝える場合と契約途中で伝える場合の違い
契約更新の話し合いが行われる前に退職の意思を伝えられれば、次の契約を結ばずに「契約満了」というかたちで自然に退職できます。逆に、更新に同意したあとで「やっぱり辞めたい」と伝えると、あらためて契約途中退職として会社の同意を得る手続きが必要になります。
更新の意思確認は契約満了の1〜2ヶ月前に行われることが多いため、迷っている段階でも早めに上司へ相談しておくと、後から慌てずに済みます。
退職届を書く前に準備するもの
特別な道具は必要ありません。以下の4点があれば、その場で退職届を仕上げられます。
- 便箋またはコピー用紙:無地・白色のもの
- 白無地の封筒:便箋のサイズに合ったもの
- 黒ボールペンまたは万年筆:消せるボールペンは避ける
- 印鑑:認印でよいが、シャチハタは避けるのが無難
NG例
業務用のメモ用紙や社内共有の付箋に走り書きしたものを退職届として提出するのはNGです。書類として体裁が整っていないと、正式な意思表示として扱われないことがあります。便箋か白紙のコピー用紙に、あらためて清書しましょう。
上司への伝え方と提出のタイミング
退職届は、いきなり封筒を渡すのではなく、先に口頭で退職の意向を伝えてから提出するのが基本の流れです。伝える相手は、同じ現場の先輩社員ではなく、契約更新の権限を持つ上司や人事担当者にします。
- 忙しい時間帯を避け、落ち着いて話せる面談の場を設けてもらう
- 契約更新の時期を踏まえ、できるだけ早めに口頭で伝える
- 退職届の提出を求められたら、あらためて封筒に入れて手渡しする
人事・上司はここを見ている
- 引き継ぎや後任採用に使える猶予があるか(急すぎる申し出は調整が難しい)
- 直接顔を見て伝えているか(人づて・チャットだけの報告は誠実さに欠ける)
契約社員だからこそ注意したいNG行動
契約社員は正社員よりも手続きが簡略化されがちな分、かえってトラブルの芽に気づきにくい落とし穴があります。
NG例
- チャットやメールだけで退職の連絡を済ませる
- 契約更新の面談で何も言わず、あとから「やっぱり辞めたい」と伝える
- 正社員登用の話が出ていたことに触れず、経緯を説明しないまま辞退する
- 退職日を明記せず「近いうちに辞めます」とだけ伝える
正社員登用を打診されていた場合は、断る理由まで詳しく書面に残す必要はありませんが、口頭で一言経緯を伝えておくと関係がこじれにくくなります。体調不良などやむを得ない事情を除き、最初の意思表示は対面か電話で行うのが基本です。

退職届を出したあとにやるべきこと
退職届を提出したら終わりではありません。最終出勤日までに、次の3点を済ませておくと円満退職につながります。
- 担当業務の引き継ぎ資料をまとめておく
- 社員証・PC・貸与品を返却する
- 離職票や源泉徴収票の受け取り方法を確認しておく
次の転職先を探す予定がある場合は、応募書類の準備も早めに始めておくと安心です。転職用の履歴書テンプレートを使えば、職歴欄の書き方に迷わず短時間で仕上げられます。
応募先が指定のフォーマットを求めている場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートが参考になります。
会社指定の様式がJIS規格の場合はJIS規格に沿った履歴書テンプレートを選ぶと迷いません。
志望動機がまだ固まっていない段階なら志望動機なしの履歴書テンプレートから手をつけると準備が進めやすくなります。

まとめ
- 契約満了で辞めるなら退職届は不要なことが多いが、契約途中は会社の同意が前提
- 契約期間が1年を超え、1年経過後であれば労基法137条によりいつでも退職を申し出られる
- 契約更新のタイミングを踏まえて早めに口頭で伝え、書面はそのあと手渡しする
契約期間と更新のタイミングさえ押さえておけば、契約社員の退職届は難しい書類ではありません。落ち着いて準備を進めてください。
契約社員の退職届に関するよくある質問
- 契約社員の退職届は手書きでないとダメですか?
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手書きが必須というルールはなく、パソコンで作成しても問題ありません。ただし氏名の署名欄だけは自筆にしておくと、より好印象になります。職場の慣習が分からない場合は、事前に確認しておくと安心です。
- 契約期間の途中でも退職届を出せば必ず辞められますか?
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退職届を提出し会社側が受理すれば、契約期間の途中でも合意退職として辞められるケースがほとんどです。ただし法律上は「やむを得ない事由」がない一方的な途中退職は認められていないため、まずは口頭で相談し、同意を得たうえで書面を提出するのが確実です。
- 契約途中で辞めると、本当に損害賠償を請求されますか?
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理論上は請求される可能性がゼロではありませんが、実際に認められるには会社側が具体的な損害の発生と因果関係を立証する必要があり、ハードルは高いのが実情です。円満に進めたい場合は、退職届の提出と受理による合意退職の形をとるのが現実的です。
- 退職理由は「一身上の都合」以外で書いてもいいですか?
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会社都合退職に該当する場合や契約満了の場合を除き、「一身上の都合」で統一するのが一般的です。契約満了で辞めるときは「契約期間満了につき」と明記すると、失業手当の給付条件が正しく反映されやすくなります。

