退職届の理由欄は、病気やケガであっても「一身上の都合により」の一文で足り、病名や症状を書く義務はありません。とはいえ体調を崩しての退職では、詳しく書くべきか迷いますし、診断書の要否や失業保険への影響も気になるところです。状況別の例文と、退職後の手続きで損をしないための注意点をあわせて詳しくまとめました。
退職届の病気の書き方|結論は「一身上の都合」で病名は不要
結論:病名や症状を書く義務はない
退職理由が病気やケガであっても、退職届の理由欄には「一身上の都合により」とだけ書けば十分です。診断名や治療内容、通院頻度などを詳しく記載する必要はありません。
退職届は「退職する」という意思を会社に残すための書類であり、理由の正当性を証明するものではないためです。事情を伝えたい場合は、上司との面談や退職の申し出の場で口頭で補足すれば足ります。
【状況別】病気を理由にした退職届の例文
病名を伏せたいか、体調不良である事実だけ伝えたいかで、使う一文が変わります。状況に合わせて選んでください。
良い例文(一身上の都合で通す場合)
この度、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
病気であることを社内に広く知られたくない場合や、詳細を伏せたまま円満に退職したい場合に使える基本形です。
良い例文(体調不良を一言添える場合)
この度、体調不良のため療養が必要となり、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
引き継ぎが十分にできないことへの理解を得たい場合や、退職後に傷病手当金・特定理由離職者としての手続きを予定している場合に、事実として書いておくと後の説明がしやすくなります。病名までは不要です。
NG例
この度、うつ病と診断され通院治療が必要となったため、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
具体的な病名や治療内容を書き込むと、退職届は書面として長期間保管されるため、必要以上に個人の医療情報を会社側に残すことになります。伝える必要があるなら口頭で十分です。
採用担当者はここを見ている
- 理由欄の詳しさではなく、退職の意思がはっきり示されているかを確認している
- 日付・所属・氏名・宛名など、書類として不備がないかを先にチェックする
- 「一身上の都合」の一文があれば、病状について追加の説明を求めることはほとんどない
メンタル不調(うつ病・適応障害等)の場合の書き方
精神的な不調による退職でも、書き方の原則は変わりません。「一身上の都合により」または「体調不良のため療養が必要となり」のいずれかで問題なく受理されます。
- 病名(うつ病・適応障害など)は退職届に書かなくてよい
- 職場に起因する不調(パワハラ・過重労働等)でも、理由欄には会社批判を書かない
- 経緯を証拠として残したい場合は、退職届とは別に記録・相談窓口を活用する
なぜ病名を書かない方がいいのか|詳しく書いた場合のリスク
「病気だから正直に詳しく伝えたい」という気持ちから、症状や通院状況まで書き込みたくなる方もいます。しかし実務上は、詳しく書くほど不利に働く場面があります。
- 退職届は会社に書面として保管されるため、病名や症状が記録として残り続ける
- 「本当にそれだけが理由か」と引き止め交渉の材料にされることがある
- ハローワークへの申告内容と退職届の記載にずれがあると、手続きが煩雑になりやすい
- 症状の経過によって表現が変わると、後から辻褄が合わなくなりやすい
後から内容を訂正するより、最初から簡潔に書くほうがトラブルを避けられます。詳しい事情は、必要な範囲で口頭や診断書を通じて伝えれば十分です。
診断書は必要?提出した方がいいケースとしなくていいケース
退職届そのものに診断書の添付は必須ではありません。ただし、退職後の手続きによっては提出したほうが有利になる場合があります。
| ケース | 診断書の要否 |
|---|---|
| 退職届の提出自体 | 不要(会社側から求められない限り添付しなくてよい) |
| ハローワークで特定理由離職者の認定を受けたい | 提出が有利。病状・治療期間・労働能力の有無の記載が求められる |
| 退職後も傷病手当金の継続給付を受けたい | 継続受給の要件確認のため事実上必要になることが多い |
| 会社が「一身上の都合」以外を理由に記載してほしいと求めてきた | 客観的な証明として提出を検討 |
提出するかどうか迷う場合は、退職届には病名を書かず、診断書は別途、失業保険や傷病手当金の手続きで使う書類として用意しておく進め方が無難です。
病気による退職届と失業保険|特定理由離職者になれば給付制限なし
退職届の理由欄を「一身上の都合」としても、実際の退職理由が病気であれば、ハローワークの判断で「特定理由離職者」として扱われる可能性があります。
- 通常の自己都合退職では給付制限期間が設けられるが、特定理由離職者には給付制限がない
- 受給に必要な雇用保険の加入期間が、通常より緩和される
- 認定には、退職時点で仕事の継続が「不可」または「困難」だったことを示す診断書が重要な材料になる
NG例
会社が退職届に「一身上の都合」と記載しているからと、そのまま自己都合退職として処理を諦めてしまう。
病気が実際の退職理由であれば、ハローワークに診断書を添えて異議申し立てをすることで、特定理由離職者として認定される可能性があります。退職届の文言と失業保険の区分は別の手続きと考えてください。
退職後も傷病手当金を継続して受け取りたい場合は、さらに条件が加わります。
- 退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していること
- 退職日の前日までに連続3日以上欠勤し、退職日も休業していること
- 退職日に出勤してしまうと、その時点で継続給付の条件を失う点に注意
退職日を決める際は、有給消化中や欠勤扱いのまま迎えられるよう、上司や人事とスケジュールをすり合わせておくと安心です。
円満退職のために|伝えるタイミングと引き継ぎで配慮すべきこと
体調が万全でない中での退職は、伝え方と引き継ぎの進め方次第で、会社側との関係が大きく変わります。
採用担当者はここを見ている
- 退職の意向は、就業規則で定められた期日(多くは1ヶ月前)までに直属の上司へ伝えられているか
- 引き継ぎが難しい場合、代替案(資料化・後任への簡単なメモ等)を提示しているか
- 体調を理由にした急な欠勤・退職日変更でも、連絡が途絶えていないか
体調上、対面での引き継ぎが難しい場合は、担当業務の要点をメモやメールにまとめて渡すだけでも印象は大きく変わります。無理に出社して悪化させる必要はありません。
- 宛名は代表取締役社長など会社の最高責任者にする
- 封筒は無地の白封筒を使うのが基本
- 手元に用意がない場合は、コンビニで代用できるものがないか確認しておく
体調が落ち着き、次の転職活動を始める際は転職用の履歴書テンプレートを使うと、書式で悩む手間を省けます。
無理のない働き方から再スタートしたい場合はパート用の履歴書テンプレートも選択肢になります。応募書類の様式に迷う場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートやJIS規格に沿った履歴書テンプレートを使うと、採用担当者に見慣れた形式で提出できます。



退職届の病気の書き方 まとめ
- 退職理由が病気やケガでも、退職届には「一身上の都合により」で十分
- 病名や症状を詳しく書くほど、書面として保管されるリスクが増える
- 診断書は退職届自体には不要だが、特定理由離職者の認定や傷病手当金の継続給付では重要になる
- 退職日に出勤しないことなど、退職後の給付条件も事前に確認しておく
理由欄を簡潔にまとめ、必要な事実だけを添えれば、体調に負担をかけずに退職届を提出できます。
退職届の病気の書き方に関するよくある質問
- 退職届に病名を書かないと失礼になりませんか?
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失礼にはあたりません。「一身上の都合により」は退職届で広く使われる表現で、会社側もこの前提で手続きを進めます。詳しい事情は面談などの場で口頭で伝えれば十分です。
- 診断書は必ず提出しないといけませんか?
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退職届の提出自体には診断書は不要です。ただし、失業保険で特定理由離職者の認定を受けたい場合や、傷病手当金の継続給付を受けたい場合は、診断書があると手続きが有利に進みます。
- 病気で退職すると失業保険の給付制限はかかりますか?
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ハローワークで特定理由離職者として認定されれば、通常の自己都合退職と異なり給付制限がかかりません。診断書などをもとに、退職時点で就業継続が困難だったことを示す必要があります。
- うつ病など精神的な理由の場合も書き方は同じですか?
-
同じです。「一身上の都合により」または「体調不良のため療養が必要となり」で問題ありません。パワハラなど職場側に原因がある場合でも、退職届の理由欄に会社への不満は書かず、必要な記録は別の窓口に相談してください。

