一般社員が退職時に出す書類は「退職願」から「退職届」の順で、「辞表」は原則使いません。3つの言葉は似ていますが、性質も提出のタイミングも異なります。この記事では、それぞれの違いを一覧表で整理したうえで、状況別にどれを出すべきか、間違えた場合にどう見られるかまで解説します。
辞表・退職届・退職願の違い【結論】一般社員はどれを出す?
結論:一般社員が出すのは「退職願」→「退職届」、辞表は使わない
正社員・契約社員・パート・アルバイトを問わず、一般の会社員が退職時に用意する書類は「退職願」と「退職届」の2つです。「辞表」は会社の役員や公務員が地位を辞す際の書類であり、雇用契約を結んでいる一般社員が正式に提出する場面はありません。
会話の中で「明日、辞表出してくるよ」と言う人は多いですが、これは慣用的な言い回しであり、実際に会社へ提出するのは「退職願」または「退職届」です。まずはこの前提を押さえたうえで、3つの違いを見ていきます。
【比較表】辞表・退職届・退職願の違い一覧
| 書類名 | 性質 | 提出する人 | 撤回 |
|---|---|---|---|
| 退職願 | 退職を願い出る(お願い) | 一般社員(最初に提出) | 会社の承認前なら可能 |
| 退職届 | 退職日を通告する(一方的) | 一般社員(願いが通った後) | 原則不可 |
| 辞表 | 役職・地位を辞任する | 役員・公務員 | 原則不可 |
3つの書類は「誰が」「どのタイミングで」出すかがそれぞれ異なります。次の見出しでは、多くの人が「辞表」という言葉を使ってしまう理由と、それが人事担当者にどう映るかを説明します。
なぜ「辞表」と言ってしまうのか|言葉の意味と誤用の理由
辞表は本来、役員・公務員が「地位」を辞すときの書類
「辞表」の「表」は、目上の相手に自分の考えを申し述べる文書を指す言葉です。取締役や監査役など会社と雇用関係にない立場の人、あるいは公務員が役職や地位を辞任する際に提出するのが本来の使い方です。
一般の会社員は雇用契約に基づいて働いているため、辞めるときに辞任するような「地位」はありません。テレビドラマや小説で「辞表を叩きつける」という表現が繰り返し使われてきたことで、退職=辞表というイメージが広く定着してしまったと考えられます。
会社員が「辞表」を使うとどう見られるか(採用担当者視点ボックス)
採用担当者はここを見ている
- 書類の表題に「辞表」と書いて提出すると、人事担当者はビジネスマナーの理解度を疑う
- 口頭で「辞表を出します」と言うだけなら大きな問題にはならないが、実際の書類は退職願・退職届で用意する必要がある
- 前職の退職手続きを正しく踏めた人は、転職先でも社内手続きへの理解が早いと評価されやすい
言葉の使い方だけで評価が大きく下がることはありませんが、退職の意思表示は最後の印象を左右する場面です。正しい書類名を理解しておくだけで、余計な誤解を避けられます。
退職願と退職届の違い|撤回できるかどうかが最大の分かれ目
一般社員が実際に用意する「退職願」と「退職届」は似た書類に見えますが、法的な性質が大きく異なります。ここを取り違えると、撤回したいときに撤回できず後悔するケースがあります。
退職願=お願い(承認前なら撤回可能)
退職願は「退職いたしたく、お願い申し上げます」という表現のとおり、会社に退職の許可を求める書類です。会社が正式に承認するまでの間は、話し合いによって撤回できる余地があります。
退職届=通告(原則撤回不可)
退職届は「〇月〇日をもって退職いたします」という一方的な通告です。退職日がすでに確定した後に提出するもので、会社の同意を得る必要がなく、提出した時点で効力が生じるため原則として撤回できません。
良い例文
一身上の都合により、まずは退職願を提出して上司に相談し、承諾を得たうえで退職日を確定させてから退職届を提出した。
NG例
上司との相談前にいきなり退職届を提出してしまい、後から気持ちが変わっても撤回できなくなった。円満退職を目指すなら、最初の一手は退職願にするのが安全です。
【状況別】どの書類を出すべきかチェックリスト
正社員・契約社員・パート・アルバイトの場合
雇用形態にかかわらず、会社と雇用契約を結んでいる人はすべて「退職願」からのスタートが基本です。パートやアルバイトでも、契約途中で辞める場合は書面で意思表示をしておくとトラブルを避けやすくなります。
管理職・役員の場合
取締役や監査役など、会社と委任契約の関係にある役員が地位を退く場合は「辞表」を提出します。一方で、管理職であっても雇用契約に基づく従業員(部長・課長など)であれば、一般社員と同じく退職願・退職届を用意します。
公務員の場合(正式名称は「辞職願」)
公務員が退職する際に提出する書類の正式名称は「辞職願」です。日常会話では「辞表」と呼ばれることも多いですが、書類上の名称は辞職願であるケースが一般的なので、提出先の規定を確認しておきましょう。
提出のタイミングと順番|円満退職のための出し方
- 退職の意思が固まったら、まず直属の上司に口頭で伝える
- 退職希望日の1〜3か月前を目安に「退職願」を提出する
- 上司と退職日・引き継ぎ方法を話し合い、正式に承諾を得る
- 退職日が確定した段階で「退職届」を提出する
採用担当者はここを見ている
相談もなくいきなり退職届を出す人は、会社側からすると「一方的に通告された」という印象になりやすく、引き継ぎ交渉が難航する原因になります。退職願から順に出すことで、最後まで協力的な姿勢を示せます。
退職届・退職願の書き方の違い(文言だけ比較)
宛名や日付など基本的なフォーマットは共通していますが、本文の結びの一文だけ表現が変わります。ここでは文言の違いだけを取り上げます。書き方全体の詳しい例文やテンプレートは、以下の記事で確認できます。
良い例文(退職願の場合)
私事、一身上の都合により、来る〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
良い例文(退職届の場合)
私事、一身上の都合により、来る〇月〇日をもって退職いたします。
「お願い申し上げます」と「退職いたします」、この結びの違いこそが、お願いと通告という2つの書類の性質の差をそのまま表しています。それぞれの書類の詳しい解説は、退職届と退職願の違いで撤回可否を含めて詳しく確認できます。

また、辞表という言葉を使ってしまいがちなケースを一般社員の目線でさらに掘り下げた辞表と退職願の違いもあわせて確認しておくと、言葉選びで恥をかくリスクをさらに減らせます。

書き方の全項目・封筒への入れ方までまとめて確認したい場合は、退職届テンプレートも参考にしてください。

転職準備のついでに|退職後に必要な書類も確認しておこう
退職願・退職届の準備と並行して、転職活動に使う応募書類も早めに整えておくと後々スムーズです。まだ手元にない場合は、転職用の履歴書テンプレートから作成を始めるとよいでしょう。
提出先によっては書式が指定されている場合もあるため、応募先の規定に合わせて厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートも用意しておくと安心です。
ハローワーク経由での転職活動を考えている場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートもあわせて確認しておくと準備の抜け漏れを防げます。
まとめ
- 一般社員が出す書類は「退職願」→「退職届」の順で、辞表は使わない
- 退職願は撤回できる余地があり、退職届は原則撤回できない
- 辞表は役員・公務員が「地位」を辞すときの書類であり、公務員の正式名称は辞職願
- 相談なしにいきなり退職届を出すと、円満退職から遠のきやすい
言葉の使い分けを理解しておくだけで、退職の意思表示から最後まで落ち着いて進められます。
- 一般社員が「辞表」と書いて提出しても大丈夫ですか?
-
受理はされますが、本来は役員・公務員が使う言葉のため、一般社員は「退職願」または「退職届」という表題で提出するのが正式です。
- 退職願を出したら撤回できますか?
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会社が正式に承諾する前であれば、話し合いによって撤回できる可能性があります。一方、退職届は提出時点で通告となるため原則撤回できません。
- 退職届はいきなり出しても問題ありませんか?
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法律上は認められていますが、上司への相談なしに提出すると角が立ちやすく、円満退職を目指すなら先に退職願を出す流れが安心です。
- 公務員は辞表と辞職願、どちらが正しいのですか?
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公務員が退職する際の書類の正式名称は「辞職願」です。日常会話で「辞表」と呼ばれることもありますが、提出書類としては辞職願が一般的です。

