退職願の日付欄は、本文中に退職希望日、署名の前に提出日を書き分けるのが基本です。この2つを混同すると、有給消化や引き継ぎのスケジュールが書類上ずれてしまいます。書く位置の見本から、提出日・退職希望日それぞれの決め方、和暦西暦・漢数字と算用数字の使い分け、書き間違えたときの直し方、退職届との違いまで、状況別の記載例とあわせて解説します。
退職願の日付の書き方|結論は「本文に退職希望日、署名前に提出日」
結論
退職願には性質の異なる2つの日付があります。1つは本文中の「この度、一身上の都合により、来る〇年〇月〇日をもって退職いたしたく」の部分に書く退職希望日、もう1つは署名の前に書く提出日です。
退職希望日は「いつ会社を辞めたいか」の意思表示、提出日は「いつ会社に願い出たか」の記録です。どちらも同じ「日付」ですが役割が違うと覚えておくと、書く場所を取り違えにくくなります。
【見本】日付の書き方
実際の記載例で、2つの日付がどの位置に入るかを確認しておきましょう。
良い例文
退職願
株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇〇〇様
私儀 この度一身上の都合により、来る令和8年9月30日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
令和8年8月20日(ここが提出日)
〇〇部〇〇課 〇〇〇〇 印
NG例
本文中の「〇年〇月〇日をもって退職いたしたく」に、うっかり今日の日付(提出日)を書いてしまう。あるいは署名前の日付欄に、本来本文に書くべき退職希望日をそのまま書いてしまう。2つの日付を逆にすると、いつ願い出て、いつ辞めたいのかが書類上わからなくなります。
人事・上司はここを見ている
- 提出日より前の退職希望日になっていないか
- 就業規則の申出期限や引き継ぎに必要な期間が退職希望日までに確保されているか
- 日付・元号・数字の表記が書類全体で統一されているか
退職願に書く「提出日」の決め方|手渡し・郵送で変わる
提出日は「退職願を会社に願い出た日」です。渡し方によって、書くべき日付が変わります。
手渡しの場合
直属の上司に手渡しする場合は、実際に手渡す当日の日付を書きます。あらかじめ日付を書いた退職願を用意しておくと、提出のタイミングと日付がずれてしまうことがあります。渡す直前に日付欄を確認してから手渡すと、書き直しの手間を防げます。
郵送の場合
郵送する場合は、投函する日(発送日)を提出日として書きます。到着日や会社が受け取った日ではありません。土日を挟むと到着まで数日かかるため、就業規則の申出期限から逆算し、余裕を持って投函する必要があります。
上司によっては、消印の日付と退職願の提出日欄が離れすぎていないかを確認することもあります。書類一式を整える段階なら、退職願の書き方と例文で本文全体の書式もあわせて確認しておくと安心です。

退職願に書く「退職希望日」の決め方|法律と就業規則から逆算する
民法上のルール(2週間ルールと有期雇用の違い)
期間の定めのない雇用契約(正社員など)の場合、退職の申し入れから2週間が経過すれば、会社の承諾がなくても雇用契約は終了します(民法627条1項)。2017年の民法改正前は月給制に限り「当期の前半に申し入れる」という特例がありましたが、この特例は廃止され、現在は月給制でも一律で2週間ルールが適用されます。
一方、契約期間が定められている有期雇用契約(契約社員・パートなど)は、原則として契約期間中の一方的な退職ができません。次の契約更新時からの退職か、病気やケガなどやむを得ない事情がある場合の即時解除に限られます。自分がどちらの契約形態か、まず確認しておく必要があります。
就業規則・有給消化・引き継ぎ期間から逆算する手順
法律上は2週間で退職が可能でも、実務上はもっと早く動くのが一般的です。次の手順で退職希望日を逆算すると、日付選びで迷いにくくなります。
- 就業規則で退職の申出期限(1〜3カ月前が多い)を確認する
- 残っている有給休暇の日数を確認する
- 引き継ぎに必要な期間を見積もる
- 最終出社日を仮決めし、有給消化分を足して退職希望日を確定する
転職先が決まっている場合は入社日から逆算し、決まっていない場合は引き継ぎと有給消化を優先して退職希望日を決めるのが現実的です。
良い例文(有給消化20日ありのケース)
最終出社日:令和8年9月1日/有給消化20日/退職希望日:令和8年9月30日
本文:「私儀 この度一身上の都合により、来る令和8年9月30日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」
NG例
有給消化を考えずに最終出社日をそのまま退職希望日として書いてしまう。有給休暇が消化しきれないまま退職日を迎えると、後から交渉し直すことになりかねません。提出前に有給残日数を必ず確認しましょう。
退職願を出したあと、実際にいつから効力が生じるのか気になる場合は退職届の効力はいつから?到達日基準の2週間計算も参考になります。

和暦・西暦、漢数字・算用数字はどちらが正解か
元号の指定や数字の書き方に法律上の決まりはありませんが、書式によって自然な組み合わせがあります。縦書きなら和暦・漢数字、横書きなら西暦・算用数字が一般的です。
| 書式 | 年号 | 数字 | 記載例 |
|---|---|---|---|
| 縦書き | 和暦 | 漢数字 | 令和八年九月三十日 |
| 横書き | 西暦 | 算用数字 | 2026年9月30日 |
| 横書き(社内様式指定) | 和暦 | 算用数字 | 令和8年9月30日 |
会社から指定の様式がある場合はそれに従い、指定がない場合は書類内で表記を統一することが最も重要です。提出日は西暦、退職希望日は和暦のように混在させると、雑な印象を与えてしまいます。
退職願と同時に転職活動の応募書類も整えておきたい場合、様式にこだわらず整えたい人は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと、日付欄の書き方に迷わず済みます。
退職願の日付を書き間違えたときの対処法
提出前に気づいた場合は書き直すのが原則です。退職願は1枚で完結する重要書類のため、修正テープでの訂正は避けてください。
NG例
日付の書き間違いを修正テープで消して上から書き直す。シャチハタ(浸透印)で訂正印を代用する。
良い例文(訂正する場合)
手元に用紙がなくすぐに書き直せない場合は、間違えた箇所に定規で二重線を引き、その上に認印(シャチハタ以外)で訂正印を押したうえで、正しい日付を書き添えます。ただし退職願は書き直しがきく書類なので、時間が許す限り新しい用紙で書き直すほうが印象は良くなります。
すでに提出してしまってから日付の誤りに気づいた場合は、自己判断で処理せず、上司や人事担当者に事情を伝えて再提出が必要かを確認しましょう。
退職願と退職届で日付の扱いは違う?撤回できるかが最大の分かれ目
提出日・退職希望日の書き方自体は、退職願でも退職届でも同じです。違うのは日付を書いたあとに撤回できるかどうかです。
退職願は会社の承認前であれば、退職希望日の変更や撤回を相談できる余地があります。一方で退職届は会社に受理された時点で効力が確定し、原則として撤回できません。
- 退職願:承認前なら退職希望日の変更・撤回を相談できる余地がある
- 退職届:受理された時点で効力が確定し、原則として撤回できない
- 「まだ日付を確定させる自信がない」「引き止められた場合に相談の余地を残したい」なら退職願を選ぶほうが安全
ただし撤回の余地があるからといって、退職希望日をあいまいに書いてよいわけではありません。上司から見ても、退職願に書かれた退職希望日は今後の人員配置や引き継ぎ計画の起点になるため、変更の可能性が低い日付を書くことが信頼につながります。書類の使い分け自体をまだ迷っている場合は退職届の日付の書き方もあわせて確認しておくと、退職願との違いがより明確になります。

退職願の提出と並行して転職活動の書類を準備する場合は、応募先に合わせて形式を選ぶと効率的です。転職活動全般には転職用の履歴書テンプレート、ハローワーク経由での応募にはハローワーク用の職務経歴書テンプレートが使いやすい形式です。
まとめ
- 退職願の日付は「本文中が退職希望日」「署名前が提出日」の2箇所を書き分ける
- 提出日は手渡しなら渡した日、郵送なら投函した日を書く
- 退職希望日は民法の2週間ルールと就業規則の申出期限、有給消化・引き継ぎ期間から逆算する
- 元号・数字の表記は書式に合わせて選び、書類内で統一する
- 書き間違えた場合は書き直しが原則。退職願は退職届と違い撤回の余地がある
2つの日付の役割を分けて考えれば、退職願の日付欄で迷うことはなくなります。
退職願の日付に関するよくある質問
- 退職願の日付を空欄にして提出してもいいですか?
-
おすすめできません。日付が空欄だと提出日・退職希望日のどちらも証明できず、後から都合よく記入される可能性があります。必ず自分で記入してから提出してください。
- 提出日と退職希望日が同じ日になっても問題ありませんか?
-
法律上は問題ありませんが、就業規則の申出期限(多くは1〜3カ月前)を満たしていないと、上司との調整が必要になる場合があります。事前に就業規則を確認したうえで日付を決めてください。
- 退職希望日は最終出社日と同じですか?
-
異なる場合があります。退職希望日は雇用契約が終了する日で、有給休暇をまとめて消化してから退職する場合は、最終出社日より後の日付になります。
- パソコンで作成した退職願の日付も手書きにすべきですか?
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本文をパソコンで作成した場合でも、日付は本文と同じ形式で入力して問題ありません。会社によっては日付・署名のみ手書きを求める場合もあるため、指定があれば従ってください。

