退職願はメールで送っても法的には有効ですが、退職届と違い会社の承諾があって初めて退職が確定する点に注意が必要です。承諾前のメール送付には、通知型の退職届とは異なる配慮が求められます。状況別の例文や件名の書き方、承諾されない場合の対処法まで解説します。
退職願をメールで送る場合の結論と書き方【例文つき】
結論|法的には有効、ただし退職届より慎重な対応が必要な理由
退職の意思表示は方法を問わず有効なため、退職願をメールで送ること自体に法的な問題はありません。ただし退職願は「退職させてください」というお願いの文書であり、会社側が承諾して初めて退職が確定する性質を持ちます。
- 退職届は会社に到達した時点で効力が生じ、撤回は原則できない
- 退職願は会社が承諾した時点で効力が生じ、承諾前なら撤回できる余地が残る
- この違いがあるため、退職願をメール一本で済ませると「本気度が伝わらない」と受け取られやすい
就業規則に提出方法の定めがある場合は、そちらを先に確認してください。定めがなくても、退職願は上司の判断を仰ぐ書類である以上、メール送付前に一言口頭で伝えておくと話がこじれにくくなります。
【状況別】退職願メールの例文(件名・本文)
退職願をメールで送る場面は、事前に口頭で退職の意向を伝えているかどうかで文面が変わります。代表的な2つのケースを見てみましょう。
良い例文
件名:退職願のご送付のお願い(〇〇部 山田太郎)
〇〇部 〇〇部長
お疲れ様です。〇〇部の山田です。
先日お話しさせていただきました件について、退職願を添付にてお送りいたします。ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
原本は改めて〇月〇日にお渡しいたします。
NG例
件名:退職します
本文:
お疲れ様です。
一身上の都合により、来月末で退職いたします。添付の退職願をご確認ください。
事前の相談が一切なく、退職日も一方的に決めている点がNGです。退職願は「お願い」の書類であるにもかかわらず、通知のような文面になってしまっています。
上司はここを見ている
- メールが「初めての報告」になっていないか(事前の会話があったか)
- 退職日が引き継ぎ期間を考慮した現実的な日付になっているか
- 文面が「通知」ではなく「お願い」の敬語で書かれているか
メールに添付する場合の書き方(PDF化・ファイル名のルール)
退職願をメールに添付する場合は、Wordファイルのまま送らずPDFに変換します。書式が崩れず、内容を編集される心配もありません。
- ファイル名は「退職願_氏名.pdf」のように内容と氏名が分かる形式にする
- スマホで作成した場合は、送信前にレイアウト崩れがないかPDFで確認する
- パスワードを設定する場合は、パスワードを別のメールで送る
パソコンでの作成方法や書式について詳しく確認したい場合は、あわせて次の記事も参考にしてください。

退職願と退職届の違いを理解してから送る(メールだと特に重要な理由)
「お願い」と「通知」で撤回できるかが変わる
退職願と退職届は名前が似ていますが、性質はまったく異なります。退職願は会社に判断を委ねる「お願い」、退職届は退職の意思を一方的に伝える「通知」です。この違いは、承諾前に気持ちが変わった場合に取り消せるかどうかに直結します。
| 項目 | 退職願 | 退職届 |
|---|---|---|
| 性質 | お願い(申し出) | 通知(意思表示) |
| 効力発生 | 会社が承諾した時点 | 会社に到達した時点 |
| 撤回 | 承諾前なら可能な余地がある | 原則として撤回できない |
メールで送った退職願は承諾前なら撤回できるのか
結論として、退職願は会社が正式に承諾する前であれば撤回できる可能性があります。メールという送付手段自体は、この撤回可否には影響しません。ただし「承諾した」と見なされるタイミングは会社の対応によって変わるため、送付後に気持ちが変わった場合はできるだけ早く上司に直接連絡することが重要です。
退職願と退職届のどちらの書式で提出すべきか迷う場合は、次の記事で使い分けを整理しています。

退職願をメールで送ってもよいケース・避けるべきケース
メール送付が現実的な選択肢になる場面と、避けたほうがよい場面は明確に分かれます。
メールでもよいケース
- 体調不良や入院などで出社が難しく、退職の意向はすでに口頭で伝えている
- 在宅勤務や遠隔地勤務で、上司と対面する機会がそもそも設定しづらい
- 退職代行サービスを介して会社側に連絡済みで、書面の送付だけが残っている
避けるべきケース
- 退職の意向を一度も話したことがなく、メールが最初の報告になる
- 「上司が忙しそうだから」という理由だけでメールを選んでいる
- 就業規則で手渡しや郵送が明記されているにもかかわらず確認していない
手渡しが難しく郵送を検討している場合は、封筒の選び方も次の記事で確認できます。

メール送付前に確認すべき3つのポイント
「メールで送っても失礼にならないか」という不安の多くは、以下の3点を押さえるだけで解消できます。
- 就業規則の提出方法・期限を確認する:メール送付が想定されていない規則も多いため、まず就業規則や人事に確認します
- 事前に口頭で伝える機会をつくる:短時間でも直属の上司と話す時間を設け、メールを「お願いの続き」に位置づけます
- お願いの姿勢が伝わる文面にする:退職理由を必要以上に詳しく書かず、感謝と引き継ぎへの協力姿勢を示します
上司はここを見ている
上司が最も気にしているのは「なぜメールなのか」という理由です。冒頭で理由を一言添えるだけで、受け取り方は大きく変わります。「体調面の事情でメールにて失礼いたします」のような一文があるかないかが、心証を左右します。
退職願メールが承諾されない・返信がない時の対処法
退職願は会社の承諾があって初めて退職が確定する書類のため、返信がない状態が続くと不安になりやすいポイントです。次の順序で対応すると話が進みやすくなります。
- 数日待っても返信がなければ、電話や別のメールで着信確認を取る
- それでも応答がない場合は、退職届の形式に切り替えて改めて提出する
- 会社側が明確に拒否する姿勢を示す場合は、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士に相談する
退職願はあくまで「お願い」であるため、会社が承諾しない限り退職願だけでは退職は確定しません。承諾が得られない状況が長引く場合は、無期雇用であれば意思表示から2週間で契約が終了する退職届への切り替えも選択肢になります。
退職願メール送信時の注意点(マナー)
- 送信は業務時間内に行い、深夜・早朝・休日は避ける
- 宛先は直属の上司を基本とし、必要な場合のみ人事担当をCCに入れる
- 誤字脱字や宛名間違いがないか、送信前に一度読み返す
- 退職願と退職届は性質が異なるため、書式や文面のトーンを混同しない
NG例
深夜2時に「もう限界なので辞めさせてください」とだけ送信し、翌朝には返信を催促する。感情的な文面とタイミングの悪さが重なると、話し合いの機会すら得られなくなります。
退職願メール送付後にすべきこと
メールを送って終わりではありません。引き継ぎ資料の整理や、退職証明書・離職票の受け取り方法を人事に確認しておくと、退職後の手続きがスムーズになります。転職を見据えているなら、転職用の履歴書テンプレートを使うと職歴欄の書き方に迷いません。
応募先が指定の書式を求める場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと安心です。
企業によってはJIS規格の書式を求められることもあるため、JIS規格に沿った履歴書テンプレートも用意しておくとスムーズです。
ハローワーク経由での応募を考えている場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートもあわせて準備しておきましょう。
まとめ
- 退職願のメール送付は法的に有効だが、退職届と違い会社の承諾で初めて退職が確定する
- 件名でお願いの用件を明確にし、添付はPDF化してファイル名を分かりやすくする
- 承諾前なら撤回の余地があるため、送付後に気持ちが変わった場合は早めに直接連絡する
メールという手段そのものより、お願いの姿勢が伝わる文面と事前の一言が、円満退職を左右します。
退職願メールに関するよくある質問
- 退職願をメールで送ったらすぐ退職できますか?
-
退職願は会社の承諾があって初めて退職が確定する書類のため、メールで送っただけではすぐに退職が決まるわけではありません。承諾が得られない状態が長引く場合は、意思表示から一定期間で契約が終了する退職届への切り替えも検討します。
- 退職願をLINEで送ってもいいですか?
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意思表示の到達という点では問題ありませんが、ビジネス上のやり取りとしては信頼性に欠けると受け取られやすい方法です。可能であればメールや書面を使い、LINEは事前連絡の補助的な手段にとどめるのが無難です。
- 退職願メールに返信がない場合はどうすればいいですか?
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まずは電話や別のメールで着信確認を取ります。それでも応答がない場合は、退職届の形式に切り替えて改めて提出することで、意思表示を明確にできます。
- 退職願と退職届、メールで送るならどちらがいいですか?
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会社との話し合いの余地を残したい段階では退職願、退職の意思が固く撤回する予定がない段階では退職届が適しています。メールで送る場合も、この使い分けの考え方は変わりません。

