退職願は直属の上司に、就業時間中の人目のない場所で直接手渡しするのが原則です。机の上に置いたり、メールだけで済ませたりすると、責任感のなさや不誠実な印象を与えかねません。渡す相手やタイミングの見極め方から、切り出すときに添える言葉、上司が受け取ってくれない場合の対処法まで、状況別に具体的な手順を一つずつ解説していきます。
退職願の渡し方【結論】|直属の上司に就業時間中「二人きり」で手渡す
結論:直属の上司に、アポを取って対面で手渡す
退職願を渡す相手は、役職の上下にかかわらず自分の直属の上司です。部長や社長が身近にいても、いきなりその人に渡すのは順番を飛ばした行為と見なされます。渡す前に「少しお時間よろしいでしょうか」と一声かけてアポイントを取り、会議室や応接スペースなど人目につかない場所で二人きりになってから切り出すのが基本の流れです。
退職願は会社が承諾した時点で効力が生じる書類です。民法627条1項により、期間の定めのない雇用契約は解約の申し入れから2週間が経過すれば退職の効力が生じますが、この規定はあくまで最終手段であり、まずは直属の上司に誠実に伝えるところから始めるのが円満退職への近道です。
基本の3ステップ
- ①アポを取る:「ご相談したいことがあります」と個別に時間を確保してもらう
- ②就業時間中に伝える:始業直後か昼休憩前など、上司の作業が落ち着いているタイミングを選ぶ
- ③直接手渡す:口頭で退職の意思を伝えたうえで、両手で退職願を差し出す
渡すときに添える言葉
退職願を渡すこと自体に決まった言い回しは必要ありませんが、感謝の一言を添えるだけで印象は大きく変わります。長々と理由を説明する必要はなく、簡潔に伝えることを意識してください。
良い例文
「突然のご相談で恐縮ですが、一身上の都合により退職させていただきたく、本日はそのご相談に参りました。こちらが退職願です。これまで大変お世話になり、ありがとうございました」
NG例
「もう限界なので辞めます」とだけ告げて退職願をデスクに置いて立ち去る。理由も感謝もなく一方的に告げる渡し方は、その後の引き継ぎ交渉を難しくします。
上司はここを見ている
- アポを取ってから話を切り出しているか(唐突さがないか)
- 感謝や引き継ぎへの意欲が伝わる言葉が添えられているか
メールや置き手紙では渡したことにならない理由
退職願をメールで送ったり、デスクに置いて済ませたりする方法は、緊急でやむを得ない事情がない限りおすすめできません。対面で伝えることが前提とされているのは、退職という重大な意思表示を上司が直接受け止め、引き継ぎのスケジュールをその場ですり合わせられるからです。
体調不良や出社困難などでどうしても対面が難しい場合の例外的な対応については、以下の記事で詳しく確認できます。

シーン別|相手やタイミングに迷ったときの渡し方
直属の上司に渡すのが原則とはいえ、実際の職場では思い通りのタイミングが取れないことも多いものです。状況別の対応方法を確認しておきましょう。
直属の上司が忙しい・話しかけにくい場合
忙しそうな上司にいきなり声をかけるのは気が引けるものですが、「本日か明日、10分ほどお時間をいただけますか」とメールやチャットで先にアポを取っておけば、上司側も心構えができます。直接話しかけにくい場合こそ、事前のひと言が有効です。
直属の上司が不在がち・出張が多い場合
出張や外勤が多い上司の場合は、出社日をあらかじめ確認し、その日に合わせてアポを取ります。どうしても対面のタイミングが取れないまま日数が経ってしまう場合は、電話で「折り入ってご相談したいことがあります」と伝え、面談の約束を取り付ける方法もあります。
リモートワークで対面できない場合
リモートワーク中心の職場では、まずオンライン面談で退職の意思を口頭で伝え、そのうえで退職願を郵送するか、次の出社日にあわせて手渡しするかを上司と相談して決めます。意思表示自体はオンライン面談の時点で完了させ、書類は後から届けるという順序を意識してください。
アルバイト・パートでシフト制の店長に渡す場合
シフト制の職場では、自分と店長のシフトが重なる日を狙って声をかけます。忙しい時間帯の勤務中に切り出すのではなく、休憩時間や開店前・閉店後の落ち着いた時間を選ぶと、店長も話をじっくり聞ける状態で受け取ってもらえます。
渡すタイミング自体の詳しい考え方は、以下の記事で早すぎ・遅すぎのケースも含めて解説しています。

渡す前に準備しておきたいこと
渡し方そのものと同じくらい、渡す直前の準備も円満退職の印象を左右します。当日になって慌てないよう、以下の3点は事前に確認しておきましょう。
| 準備項目 | 確認すること |
|---|---|
| 書類の折り方・封筒 | 三つ折りにして封筒に入れるのが基本。封筒がない場合の代用手段も事前に把握しておく |
| 渡すタイミングの候補 | 始業直後・昼休憩前など、複数の候補時間を用意しておく |
| 伝える理由の一言 | 「一身上の都合により」で十分。詳細な理由まで話す必要はない |
封筒を用意すべきかどうかで迷う場合は、手渡しと郵送で扱いが異なります。詳しい判断基準は以下の記事にまとめています。

受け取ってもらえない・引き止められたときの対処法
上司が受け取りを拒否した場合
まれに、上司が退職願そのものを受け取ろうとしないケースがあります。この場合は無理にその場で押し切ろうとせず、直属の上司よりさらに上の役職者や人事部に相談してください。会社が受け取りを拒んでも、内容証明郵便で退職の意思表示を郵送すれば、申し入れの事実そのものは記録として残せます。
強い引き止めにあった場合の切り返し方
「考え直してほしい」と強く引き止められることもありますが、条件面の話し合いに応じつつも、退職の意思そのものは曖昧にしないことが大切です。
良い例文
「お気にかけていただきありがとうございます。ただ、十分に考えたうえでの決断ですので、退職の意思は変わりません。引き継ぎには責任を持って対応させていただきます」
NG例
引き止められた勢いに押されて「少し考え直します」とその場で答えてしまう。一度撤回すると、次に切り出すハードルがさらに上がります。
退職後の転職活動に向けて
退職願を渡し終えたら、引き継ぎと並行して次の職場探しの準備も進めておくと、退職後の空白期間を短くできます。応募先の雇用形態に合わせてテンプレートを活用してください。
正社員として転職する場合は転職用の履歴書テンプレートが使えます。
アルバイトでの再就職を検討している場合はアルバイト用の履歴書テンプレートが対応しています。
提出先の形式に迷ったときはJIS規格に沿った履歴書テンプレートを選べば失敗しません。
まとめ
- 退職願は直属の上司に、アポを取ったうえで対面で手渡すのが原則
- 渡すタイミングは始業直後や昼休憩前など、上司が落ち着いている時間帯を選ぶ
- 受け取りを拒否された場合は上位の役職者や人事部への相談、内容証明郵便での郵送も選択肢になる
渡し方の形式にとらわれすぎず、感謝の一言を添えて誠実に伝える姿勢が、円満退職への一番の近道です。
退職願の渡し方に関するよくある質問
- 退職願は直属の上司以外に渡してもいいですか?
-
基本的には直属の上司に渡します。上司を飛び越えてさらに上の役職者に先に渡すのはマナー違反とされ、後の人間関係にも影響しかねません。よほどの事情がない限り、まずは直属の上司に相談してください。
- 退職願を渡すタイミングはいつがベストですか?
-
始業直後や昼休憩前など、上司がまだ立て込んでいない時間帯が適しています。事前にアポを取り、会議室など二人きりになれる場所で伝えると落ち着いて話せます。
- 上司が退職願を受け取ってくれない場合はどうすればいいですか?
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直属の上司よりさらに上の役職者や人事部に相談してください。それでも進まない場合は、内容証明郵便で退職の意思表示を郵送する方法があります。
- 退職願を渡すときに封筒は必要ですか?
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直属の上司へ直接手渡しする場合に限り、封筒を省略しても意思表示自体は成立します。ただし機密性の高い書類のため、クリアファイルに挟むなど内容が見えない工夫をすると丁寧な印象になります。

