病院で退職願を出す際は、宛名を院長、提出先は直属の師長にするのが基本です。一般企業向けのテンプレートをそのまま使うと、敬称や提出の流れが合わず戸惑う場面もあります。この記事では、病院・クリニックならではの退職願の書き方と例文を、看護師・医療事務・医師の職種別に紹介します。
病院で出す退職願の書き方と例文
結論:宛名は院長、書き出しは「私儀」
病院に提出する退職願は、書き出しを「私儀」とし、退職理由は「一身上の都合」と書くのが基本です。用紙は白無地の便箋、筆記用具は黒の油性ボールペンか万年筆を使います。一般企業の退職願と大きな違いはありませんが、宛名に法人名・病院名・院長名を正式名称でフルネーム記載する点が病院ならではの注意点です。
病院の退職願 記載例
良い例文
退職願
私儀
この度、一身上の都合により、来る令和七年十二月三十一日をもちまして退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
令和七年十一月十日
看護部 〇〇〇〇(フルネーム)
医療法人〇〇会 〇〇病院
院長 〇〇〇〇 殿
一般企業テンプレートとの違い
NG例
〇〇株式会社 御中
のように、一般企業向けの宛名表記をそのまま使うのはNGです。病院・クリニックの場合、宛先は会社ではなく院長個人になるため、「御中」ではなく院長のフルネームに「殿」を付けます。法人名・病院名を略さず正式名称で書くことも忘れないようにしましょう。
宛名は院長?提出先は師長?病院ならではの使い分け
病院やクリニックの退職願は、書類上の宛名と、実際に手渡す相手が異なることが多く、ここで迷う人が少なくありません。
提出先は直属の上司(師長・部署長)
実際に退職願を手渡す相手は、看護師なら師長、医療事務なら事務長など、日常的に指示を受けている直属の上司です。いきなり院長に直接渡すのではなく、まず上司に退職の意思を口頭で伝え、そのうえで退職願を提出する流れが一般的です。
宛名は院長・理事長のフルネーム
書類上の宛名は、実際の提出相手とは別に、施設のトップである院長や理事長のフルネームを記載します。「医療法人〇〇会 〇〇病院 院長 〇〇〇〇 殿」のように、法人名から書き始め、略称を使わないことがポイントです。宛名を誤ると書類の差し戻しにつながることもあるため、病院のホームページや職員名簿で正式な役職名を確認しておくと安心です。
クリニックで院長が直属の上司の場合
小規模なクリニックでは、院長がそのまま直属の上司にあたるケースもあります。その場合は提出先と宛名がどちらも院長になるため、迷わずに口頭での相談と書類提出をあわせて進められます。判断に迷ったときは、就業規則や先輩スタッフに確認しておくと安全です。
受け取る側はここを見ている
- 宛名の法人名・病院名・役職名が正式名称になっているか
- 提出前に直属の上司へ口頭で相談を済ませているか
- 「退職願」と「退職届」を混同せずに使い分けられているか

退職願と退職届の違い|病院ではどちらを出すべきか
退職願と退職届は名前が似ていますが、性質がまったく異なります。病院に勤めているなら、まず退職願で意思を伝えるのが基本の流れです。
| 比較項目 | 退職願 | 退職届 |
|---|---|---|
| 性質 | 退職をお願いする書類 | 退職を通知する書類 |
| 提出のタイミング | 退職の意思を伝える最初の段階 | 退職が承認された後 |
| 撤回 | 受理前であれば可能な場合がある | 原則として撤回できない |
NG例
上司との相談前にいきなり退職届を提出してしまうと、撤回できない一方的な通告と受け取られ、円満な引き継ぎの相談がしづらくなることがあります。特に人間関係が長く続きやすい病院では、まず退職願で意思を伝え、合意を得たうえで退職届に進む順序を守りましょう。

病院で退職願を出すタイミングと伝え方
民法上は退職の意思表示から2週間で退職が成立しますが、病院は人員配置や引き継ぎに時間がかかりやすい職場です。就業規則を確認したうえで、余裕をもったタイミングで伝えることが円満退職につながります。
- 就業規則の「退職の申し出は〇ヶ月前まで」という規定を確認する
- 人員が手薄になりやすい繁忙期・年末年始・人事異動の時期を避ける
- 退職願を渡す前に、まず口頭で師長や上司に相談の時間をもらう
- 担当患者の引き継ぎに必要な期間を見込んで日程を逆算する
受け取る側はここを見ている
師長や院長が退職願を受け取ったときにまず気にするのは、後任やシフトの調整がどこまで現実的かという点です。「〇月末までに引き継ぎを終える予定です」のように、引き継ぎへの配慮を一言添えると、話し合いがスムーズに進みやすくなります。

【職種別】病院の退職願の例文
職種によって、退職願を出すまでの相談相手や配慮すべき点が異なります。ここでは看護師・医療事務・医師の3パターンで例文とポイントを紹介します。
看護師の場合
良い例文
私儀
この度、一身上の都合により、来る令和七年十二月三十一日をもちまして退職いたしたく、お願い申し上げます。在職中は大変お世話になりました。退職までの間、担当患者様の引き継ぎに全力を尽くす所存です。
NG例
「人手不足で疲れたため」のように職場への不満をそのまま書くのは避けましょう。事実であっても、書面には「一身上の都合」とだけ記載し、詳しい事情は口頭で伝えるのがマナーです。
医療事務の場合
良い例文
私儀
この度、一身上の都合により、来る令和七年十二月三十一日をもちまして退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。担当業務のマニュアル整理を進め、後任の方が困らないよう引き継ぎいたします。
医師の場合
医局に所属している場合は、退職願を書く前にまず医局長へ相談するのが一般的な流れです。医師は後任確保に時間がかかりやすいため、一般職より早めに、半年前を目安に相談を始めると引き継ぎの調整がしやすくなります。
退職後に新しい職場を探す場合は、応募書類の準備も並行して進めておくと安心です。医療機関への転職なら、医療業界の職務経歴書テンプレートを使うと、実績の整理から取りかかりやすくなります。
看護師として転職する場合は、看護師の職務経歴書テンプレートも参考になります。
履歴書を新しく作成する場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと、書式で迷う手間を減らせます。
転職先を医療業界に限定しない場合は、転職用の履歴書テンプレートも参考になります。
まとめ
- 病院の退職願は、宛名を院長のフルネーム、提出先は直属の師長にするのが基本
- 書き出しは「私儀」、理由は「一身上の都合」で統一する
- 退職届と混同せず、まずは退職願で意思を伝える
- 就業規則と引き継ぎ期間を踏まえ、余裕をもったタイミングで相談する
正しい宛名と提出先を押さえておけば、病院での退職願も落ち着いて準備できます。
- 病院の退職願はパソコンで作成してもいいですか
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就業規則で手書き指定がなければ、パソコンで作成しても問題ありません。ただし提出先によっては手書きを重視する慣習が残っている場合もあるため、迷ったときは師長や先輩スタッフに確認すると安心です。
- 退職願の宛名を間違えて出してしまった場合はどうすればいいですか
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気づいた時点で速やかに上司に申し出て、書き直したうえで再提出するのが基本です。宛名の間違いは差し戻しの原因になりやすいため、提出前に法人名・病院名・役職名を職員名簿などで確認しておくと防げます。
- クリニック勤務でも退職願は必要ですか
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就業規則で提出が定められていなくても、円満退職のために退職願を出しておくと、意思表示の記録が残り、後々のトラブルを避けやすくなります。院長が直属の上司を兼ねる場合は、宛名も提出先も院長になります。

