公認会計士の履歴書は、資格欄に試験合格年月と登録年月を分けて正確に記載することが最初の関門です。書類選考では資格の有無より、資格欄の書き方や志望動機・自己PRの具体性が通過率を左右します。登録済み・一部科目免除・受験中の状況別の例文と、監査法人・一般企業・ベンチャーへの転職で採用担当者が実際に確認しているポイントをあわせて解説します。
公認会計士の履歴書 資格欄の書き方【状況別・例文】
公認会計士の資格欄は、現在の状況によって記載内容が異なります。試験合格・登録・一部科目免除のどの段階にいるかで書き方が変わるため、まず自分の状況に合った書き方を確認してください。
公認会計士として登録済みの場合
公認会計士として日本公認会計士協会に登録済みの場合は、試験合格年月と登録年月を別々に記載します。試験合格と登録は別の意味を持つため、両方を書くことが原則です。
良い例文
2018年11月 公認会計士試験合格
2020年3月 公認会計士登録
NG例
2018年 会計士試験合格
「会計士試験」という略称と年度だけの記載はNGです。「公認会計士試験」の正式名称と、月まで正確に記載してください。
採用担当者はここを見ている
- 試験合格と登録は別々に記載する(合格は試験通過、登録は実際に業務可能な状態を示す)
- 登録番号は一般的に記載不要。採用担当者から指示があった場合のみ記載する
試験合格・登録前の場合
試験には合格したが、実務要件(業務補助・実務補習等)を満たしていない、または登録手続き中の場合は、その状況を正直に記載します。
良い例文
2024年8月 公認会計士試験合格(登録手続き中)
「登録手続き中」と添えることで、試験に合格した事実と現在の状況が正確に伝わります。手続き完了の見込み時期がわかる場合は「2025年3月登録予定」のように書き添えると採用担当者に状況が伝わりやすくなります。
論文式の一部科目に合格・受験中の場合
公認会計士試験の論文式には一部科目免除制度があり、合格した科目は2年間の受験が免除されます。全科目に合格していない場合でも、合格済み科目を正確に記載することで学習の進捗と継続意欲が伝わります。
良い例文
2023年8月 公認会計士試験 短答式試験合格
2024年8月 公認会計士試験 論文式試験(財務会計論・管理会計論・監査論)合格
(残科目:企業法・租税法・選択科目 受験準備中)
NG例
公認会計士試験勉強中
「勉強中」だけでは何も伝わりません。どの段階まで合格済みか、何科目が残っているかを具体的に書いてください。採用担当者は「この人がどこまで来ているか」を知りたいと思っています。

採用担当者が公認会計士の履歴書で実際に確認する3つのポイント
公認会計士という資格を持っていれば書類選考は通過できる、と考えている方は少なくありません。しかし現実には、資格保有者であっても書類で落とされることは珍しくありません。採用担当者が履歴書を見る目は「資格の有無」ではなく、もっと具体的な3つのポイントに集中しています。
①資格・学歴の記載の正確さ
採用担当者が最初に確認するのは「事実の正確さ」です。公認会計士試験の合格年月、登録の有無、一部科目免除の状況が正確に書かれているかどうかは、書類全体の信頼性を判断する第一材料になります。
②志望動機と転職先との整合性
採用担当者が選考を進める最大の基準は「なぜここに来るのか」の整合性です。公認会計士という希少資格を持つ候補者であっても、「会計スキルを活かしたい」「成長できる環境を求めて」という抽象表現だけでは書類が通過しないケースが多いのが現実です。
採用担当者は「なぜ他の法人・企業ではなくここを選んだのか」を志望動機から読み取ろうとしています。この問いに答えられていない志望動機は、どれだけ丁寧に書かれていても印象に残りません。
③自己PRで読み取れる経験の言語化力
高度な専門家である公認会計士は、自分の仕事を相手に説明することが得意ではないケースがあります。採用担当者(特に事業会社の人事)は「この人は自分の業務経験を他者に伝えられるか」を自己PRで確認しています。
「監査業務を担当しました」だけでは何もわからない、というのが採用担当者の本音です。担当したクライアントの業種・規模・社数・役割など、具体性のある記述があって初めて「どんなプロか」が伝わります。
学歴・職歴欄で見落としがちなポイント
試験勉強期間のブランクは正直に書くべきか
公認会計士試験の受験勉強のために離職した場合、職歴欄に空白期間が生まれます。この期間をどう書くか悩む方は多いですが、答えは明確です。
採用担当者は空白期間それ自体を否定的に見るのではなく、「その期間の説明ができるか」を確認しています。国家資格取得のための準備期間は、キャリアへの真剣さを示す材料にもなります。
良い例文
2021年4月 ○○監査法人 退職
2021年5月〜2023年7月 公認会計士試験受験専念
2023年8月 公認会計士試験 論文式試験合格
2023年11月 ○○監査法人 入社
採用担当者はここを見ている
- 「○○試験受験専念」の一行だけで空白期間の意図は伝わる。長い説明文は不要
- 病気療養・家族介護など資格取得以外の理由が含まれる場合は「一身上の都合による休養」で問題ない
- ブランク期間中に取得した他資格や学習実績があれば、資格欄に追記するとプラス評価につながる
転職回数が多い場合の書き方
公認会計士は独立・事業会社転籍・Big4間の移動など、転職が多いキャリアパターンも珍しくありません。転職回数の多さは「安定性の欠如」ではなく「キャリアを主体的に設計してきた証」として提示できます。
採用担当者はここを見ている
- 転職回数が3回以上の場合、志望動機欄で「なぜここが次のステップか」を書くと不安を先回りして解消できる
- 各職歴では「どの組織で・どんな規模のクライアントを・何年担当したか」を明確に書く
- 転職ごとに担当業務の幅や責任が広がっている流れを作れると、転職回数が強みに変わる
転職先別・公認会計士の志望動機例文【3パターン】
志望動機は、転職先の種類によって「伝えるべき内容の重心」が変わります。同じ経歴を持つ公認会計士でも、志望先が監査法人・一般企業・ベンチャーでは採用担当者が見たいものがまったく異なります。
監査法人に応募する場合
監査法人に応募する際は、「なぜこの法人か」という選択理由と「専門家としてのキャリア設計」を示すことが重要です。業種・規模・フェーズなど、自分の専門性の方向性を具体的に伝えてください。
良い例文
監査業務を通じて製造業・不動産業を中心とした専門家になりたいと考え、その分野に豊富な実績を持つ貴法人を志望しました。現職では主に小規模クライアントの法定監査を4年間担当しましたが、大手上場企業の監査に携わることで財務報告の品質向上に広く貢献できると考えています。貴法人の業種特化部門で大規模案件を担当しながら、専門性をさらに深めていきたいと考えています。
NG例
監査業務の経験を活かして貴法人でさらなるスキルアップを図りたいと思い志望しました。
「スキルアップを図りたい」は「うちでなくてもよいのでは?」と採用担当者に感じさせる典型的なNG表現です。何の専門家になりたいか(業種・規模・フェーズ)を具体的に示してください。
一般企業(経理・財務部門)に応募する場合
監査法人から一般企業の経理・財務部門への転換は、公認会計士によくある転職パターンです。ただし採用担当者が最初に抱く疑問は「なぜ監査側を離れるのか」です。この問いに答えていない志望動機は、どれだけ丁寧に書かれていても不完全です。
良い例文
監査業務で5年間、50社以上のクライアントの財務報告を確認する立場で業務を行いました。その経験から、数字を「確認する」側から「作る」側に立ち、事業の意思決定に直接関わりたいという志向が強まりました。貴社の財務部門において、監査法人時代に培った財務報告・内部統制の視点を組み込みながら、経理管理体制の高度化に貢献したいと考えています。
NG例
監査業務で培ったスキルを活かし、事業会社で活躍したいと考えています。
「活躍したい」という抽象的な表現は、具体的に何をするかが採用担当者に伝わらないため選考に通りにくい表現です。「監査側を離れる理由」と「この会社で自分が何をするか」をセットで書いてください。
ベンチャー・スタートアップに応募する場合
ベンチャー企業・スタートアップへ応募する場合、採用担当者が見るのは「公認会計士としての能力があること」より「そのフェーズの不確実性に適応できる人物かどうか」です。応募先の成長フェーズと自分の経験の接点を明確に示すことが通過の鍵になります。
良い例文
監査法人でのIPO準備会社への監査経験(3社・延べ5年)を通じて、上場準備から内部統制整備のプロセスを担ってきました。貴社がシリーズBのフェーズにある現時点で、CFO補佐として財務管理体制の構築とIPOに向けた内部統制整備を担いたいと考えています。監査側から外で見てきた「上場前後の会社が犯しやすいミス」を、内側から防ぐ役割を果たしたいと考えています。
採用担当者はここを見ている
- スタートアップの採用担当者は「何でもできるゼネラリスト的な会計士」より「今のフェーズで使える経験を持つ人」を求めている
- 応募先の資金調達ステージ・上場準備状況を調べ、そのフェーズで必要な自分の経験を明示することが選考を大きく左右する
採用担当者が「会いたい」と判断する自己PRの書き方
自己PRは「これまでの経験をまとめた文章」ではありません。採用担当者が「この人と会えば何がわかるのか」を感じる文章です。公認会計士の自己PRで最も多い失敗が、専門用語の羅列と「幅広い経験があります」式の抽象表現です。
監査経験を採用担当者の言葉に翻訳する
監査業務は高度な専門職ですが、採用担当者(特に事業会社の人事担当者)にはその実態が伝わりにくいという現実があります。「監査業務を担当しました」という記述だけでは、何をどのくらいできる人なのかがまったく伝わりません。以下のように「翻訳」する意識が必要です。
| 監査業務での経験 | 採用担当者に伝わる言い方 |
|---|---|
| 上場企業50社の法定監査 | 大手上場企業の財務報告・内部統制の品質審査(5年間・延べ50社) |
| クライアント企業へのヒアリング | 経営層・CFOへのインタビュー調査と報告書作成 |
| 繁忙期の監査チームのチーフ | 5〜8名チームの現場マネジメント(日程管理・品質レビュー) |
| 内部統制の不備指摘 | 業務フロー分析と内部統制改善提案(年間○件の不備指摘実績) |
数字と「何をした人か」で差をつける
自己PRで差がつくのは「何年経験したか」よりも「何のプロフェッショナルか」を1行で示せるかどうかです。採用担当者が自己PRを読むのに使う時間は非常に限られています。その短時間で「この人は○○ができる専門家だ」と伝わる構成を意識してください。
良い例文
監査法人での6年間(うちBig4・4年)を通じて、製造業・小売業を中心とした上場企業約40社の法定監査を担当しました。チーフ経験3年を含み、内部統制の不備指摘と改善提案においてはクライアント企業から高評価をいただいてきました。この経験を活かし、貴社の内部監査部門の整備に即戦力として貢献できると考えています。
NG例
監査法人で幅広い業務を経験し、コミュニケーション能力を活かして様々なクライアントに対応してきました。
「幅広い」「様々な」「コミュニケーション能力」の3点は、採用担当者が「何も伝わらなかった」と感じる典型的なNG表現です。担当業種・社数・役割を具体的に書き換えてください。

写真・基本情報欄・提出マナーの基本
内容が良くても、マナー面のミスで書類全体の信頼性が下がることがあります。採用担当者が「この人はきちんとしているか」を判断する素材として、写真や基本情報欄は想像以上に重要です。
証明写真のポイント(服装・サイズ・期限)
証明写真は書類の「第一印象」を決める要素のひとつです。以下のポイントを満たしているか確認してください。
- 撮影期限:3ヶ月以内に撮影したものを使用する。期限切れの写真は書類全体の誠実さを疑われるリスクがある
- 服装:男女ともスーツ着用が基本。白・薄い青系のシャツ・ブラウスが無難
- 背景:白または薄いグレーの無地背景。スタジオ撮影を強く推奨する
- サイズ:縦4cm×横3cmが標準。応募先に指定がある場合はそちらに従う
採用担当者はここを見ている
- 公認会計士の採用では「信頼感・誠実さ」が重視される。スマートフォン自撮りは選考水準の高い求人では不利に働くことがある
- 複数社に同じ写真を使い回す場合、書類内の記載年代と写真の雰囲気に矛盾が生じないか確認する
手書きかPCかどちらを選ぶべきか
応募先から指定がある場合は、その指定に従うことが絶対原則です。指定がない場合は以下の基準で判断してください。
| 応募先の種類 | 推奨方法 |
|---|---|
| 監査法人・大手会計事務所 | PC作成が一般的。正確さと読みやすさが重視される |
| 事業会社(経理・財務部門) | PC作成が主流。志望動機欄は特に丁寧に記述する |
| 会計事務所(中小規模) | 手書きを指定するケースあり。事前に採用担当者への確認を推奨 |
| 指定がない場合 | PC作成を選択するのが無難 |
フォーマットに迷う場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと、項目の過不足がなく汎用的に使えます。
監査法人など伝統的な書式を重視する応募先には、JIS規格に沿った履歴書テンプレートの方が違和感なく仕上がります。
複数社に同時応募する場合は、転職用の履歴書テンプレートをベースにすると、志望動機欄だけを応募先ごとに書き換える形で効率よく作成できます。
NG例
- 修正液(ホワイト)の使用は厳禁です。書き損じた場合は最初から書き直すこと
- 「同上」「〃」の使用は禁止。すべての項目を正式名称で記載する
- 西暦・和暦の混在は書類全体の信頼性を損なう。書類を通じて統一すること
まとめ
- 採用担当者は「資格の有無」より「経験の言語化力」と「志望先との整合性」を重視する
- 資格欄は状況(登録済み・合格・一部科目免除中)によって書き方が異なる。正式名称と月単位の記載が信頼性の基準になる
- 志望動機は転職先(監査法人・一般企業・ベンチャー)別に「何のプロがここに来るのか」を具体的に示す
- 自己PRはクライアント業種・社数・規模など数字を使い、「どんな経験を持つプロか」を短時間で伝える構成にする
- 写真・マナー面のミスは書類の信頼性全体を損なう。基本を正確に守ることが前提条件
公認会計士の資格は強力な武器ですが、その武器を履歴書でどう見せるかが書類通過を左右します。採用担当者の視点を意識して書いた1枚は、単なる事実の羅列とは明確に差がつきます。
公認会計士の履歴書に関するよくある質問
- 公認会計士試験の一部科目に合格した場合、履歴書の資格欄に書けますか?
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書けます。論文式試験は一部科目免除制度があり、合格した科目は2年間免除されます。「2024年8月 公認会計士試験 論文式試験(財務会計論・管理会計論・監査論)合格」のように合格科目名を具体的に記載するのが効果的です。会計業界では一部科目合格を積極的に評価する文化があるため、記載しないよりも記載した方が有利に働きます。
- 公認会計士試験の勉強のために2年間離職しました。職歴欄はどう書けばよいですか?
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職歴欄に「〇〇年〇月〜〇〇年〇月 公認会計士試験受験専念」と明記してください。それだけで採用担当者に空白期間の意図が伝わります。国家資格取得のための勉強期間を採用担当者は否定的には見ません。試験の進捗(合格済み・一部科目免除中・受験中)も資格欄に必ず記載してください。
- 監査法人から一般企業に転職する際、志望動機で「監査が向いていなかった」という本音を書いてもよいですか?
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避けてください。採用担当者は「前職への不満」より「次の職場で何をしたいか」を読みたいと考えています。「監査側で見てきた課題を事業側から解決したい」「数字を確認する側から作る側で貢献したい」のように、転換動機を前向きな言葉で言い換えてください。
- USCPAと公認会計士(日本)の両方を保有している場合、資格欄はどう書けばよいですか?
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取得順に記載するのが原則です。外資系企業や国際的な業務を志望する場合は、「米国公認会計士(USCPA)合格・登録完了(州名:〇〇州)」と補足を添えると採用担当者に伝わりやすくなります。両資格を保有していること自体が大きな強みになるため、どちらも省略せず正確に記載してください。

