人事・労務の職務経歴書は、業務の羅列ではなく「規模感・数値・システム名」を書けば通過率が上がります。採用担当者は書類を平均30秒で確認するといわれ、即戦力かどうかを判断できる材料が入っているかで合否が分かれます。採用・給与計算・社会保険の業務別に、良い例文とNG例をセットで紹介します。
人事・労務の職務経歴書の書き方|規模感・数値・システム名が通過のカギ
結論:業務の羅列ではなく「規模感・数値・システム名」を入れる
「給与計算、社会保険手続き、勤怠管理を担当」という記述だけでは、採用担当者は評価のしようがありません。何人分を・どのシステムで・何年担当したかまで書いて初めて、書類選考を通過する材料になります。
人事の職務経歴書テンプレートを使えば、必要な項目の抜け漏れを防ぎながら書き進められます。人事・労務の場合は「対応規模」「担当業務の幅」「使用システム」の3点をテンプレートの各欄に必ず埋めることを意識してください。
まずは人事の職務経歴書テンプレートで全体の型を確認し、次の見出しで示す例文をあてはめていく順番が効率的です。
職務要約の良い例文とNG例
職務要約は採用担当者が最初に読む部分です。200〜300文字程度で、在籍企業の規模・担当業務の幅・実績の概要を伝えます。
NG例
「人事・労務担当として、採用から給与計算、社会保険手続きまで幅広く経験しました。」
企業規模も対応件数も書かれておらず、どの程度の業務量をこなせるのか判断できません。
良い例文
「メーカー(従業員450名)にて5年間、人事・労務業務全般を担当。採用業務(年間新卒10名・中途20名)から月次給与計算(400名分)、社会保険手続き、就業規則の整備まで幅広く経験。2025年施行の育児・介護休業法改正では、社内規程の改定と説明資料の作成を主担当として完遂。SmartHR・KING OF TIME・PCA給与を日常的に使用。」
担当業務欄の良い例文とNG例
担当業務欄は【人事系】【労務系】のように業務カテゴリを分けて記載すると、採用担当者が読みやすくなります。各業務には規模感・対応件数・使用ツールを一言添えましょう。
NG例
「採用業務全般、給与計算全般、社会保険手続き全般を担当していました。」
「全般」という言葉だけでは、業務のどこまでを自分一人で完結できたのかが伝わりません。
良い例文
【人事系業務】
・中途採用(年間20〜30名):求人票作成・媒体管理・書類選考・面接・内定〜入社対応まで一貫担当
・新卒採用(年間10名):会社説明会・グループ面接・内定者フォロー
【労務系業務】
・月次給与計算(正社員200名・契約50名・パート30名):PCA給与クラウド使用
・社会保険・雇用保険の入退社手続き:年間80〜100件
・36協定の締結・届出管理(e-Gov電子申請)
事務職からの転換で職務要約の書き方に迷う場合は、事務の職務経歴書テンプレートの構成もあわせて参考にしてください。

採用担当者が人事・労務の職務経歴書で見ている5つのポイント
採用担当者が人事・労務の職務経歴書を読む際、具体的に何を確認しているのかを整理します。
採用担当者はここを見ている
- 人事・労務は資格より実務経験が採否を大きく左右する職種
- 「何人規模の組織で」「どの業務範囲を」「どのレベルまで担当したか」が最大の判断軸
- 法改正対応の経験がある場合は必ず記載する(他候補者との差がつく)
①対応規模(社員数・拠点数)
50名の会社と3,000名の会社では、給与計算の複雑さも法令対応の量も大きく異なります。職務経歴書に必ず入れるべき規模感の情報を表にまとめました。
| 情報の種類 | 記載例 |
|---|---|
| 社員数 | 従業員300名(正社員200名・契約・パート100名) |
| 拠点数 | 本社+全国7拠点の給与計算・社保手続きを担当 |
| 担当人数 | 給与計算対象者:250名 |
| 業種 | 製造業・IT・医療など(業界知識の証明になる) |
②担当業務の幅
担当業務の幅を明示することで、採用担当者は「どの業務はすぐ任せられるか」を判断できます。経験した範囲を業務カテゴリごとに整理してください。
- 採用・教育系:求人票作成・媒体管理・面接・内定〜入社対応・研修企画など
- 給与・勤怠管理系:給与計算・賞与計算・年末調整・勤怠システム管理など
- 社会保険系:入退社手続き・産育休給付申請・健康診断管理など
- 制度・規程系:就業規則改定・36協定管理・評価制度設計への関与など
③法改正・制度変更への対応経験
採用担当者が人事・労務の職務経歴書で差を感じるのが、法改正対応の記載です。2025年4月・10月に施行された育児・介護休業法改正のように、法改正に主体的に関わった経験は高く評価されます。
「〇〇法の改正に対応しました」ではなく、「改正内容を整理し、社内規程の改定と全社説明会を担当」のように、具体的な行動まで書くのがポイントです。
④数値で見える改善実績
人事・労務は成果が数値化しにくい職種という先入観がありますが、実際には数値で書ける実績が複数あります。
- 給与計算の処理時間:〇時間→〇時間に短縮
- 採用コスト:エージェント経由比率を〇%削減
- 内定承諾率:〇%→〇%に改善
- 育休取得率:〇%→〇%に向上(制度整備・周知の結果)
⑤使用システム・ツール
採用担当者は「自社が使っているシステムを使ったことがあるか」を確認しています。使用経験のあるシステムは積極的に記載しましょう。
| カテゴリ | 代表的なシステム例 |
|---|---|
| 給与計算 | PCA給与、奉行クラウド、freee人事労務、MFクラウド給与 |
| 勤怠管理 | KING OF TIME、ジョブカン、TimeValue |
| 人事・採用管理 | SmartHR、カオナビ、HRMOS |
| 社会保険電子申請 | e-Gov、社労夢 |
社会保険労務士の資格を保有している場合、実務経験と資格をどう組み合わせて書くかで印象が変わります。詳しい書き方は関連記事も参考にしてください。

業務別の例文【採用担当・給与計算・社会保険手続き】
業務別に良い例文とNG例を対比して紹介します。自分の経験に近いものを参考に書き直してみてください。
採用担当の書き方と例文
NG例
「採用業務全般を担当。新卒・中途採用を行っていました。」
年間採用人数・使用媒体・面接段階への関与など、判断材料がありません。
良い例文
【採用業務】
・新卒採用:年間15名(理系技術職8名、営業職7名)
・中途採用:年間25名(カジュアル面談〜最終面接まで一貫担当)
・採用媒体:マイナビ、リクナビNEXT、ダイレクトリクルーティング(ビズリーチ)
・中途採用の内定承諾率を65%から82%に改善(条件提示タイミングの見直しとフォロー面談の導入)
給与計算・労務管理の書き方と例文
NG例
「給与計算担当。毎月社員の給与を計算していました。」
何名分を・どのソフトで・どの範囲まで担当したかが不明です。
良い例文
【給与計算・労務管理】
・月次給与計算(対象:正社員200名+パート80名):PCA給与クラウド使用
・賞与計算(年2回)、年末調整処理(全従業員対象)
・タイムカードから勤怠システム(KING OF TIME)へ移行し、月次集計工数を8時間から1.5時間に短縮
社会保険手続きの書き方と例文
NG例
「社会保険の手続きをしていました。」
年間何件・どの種類の手続き・何のシステムを使ったかが不明です。
良い例文
【社会保険手続き】
・入退社に伴う社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き:年間60〜80件
・産休・育休取得者の給付申請(年5〜10件):e-Gov電子申請
・育児・介護休業法改正に対応し、社内規程の改定と全従業員向け説明資料を作成・配布
ハローワーク経由での応募で職務経歴書の様式が指定されている場合は、あわせて確認しておくと安心です。
ハローワーク用の職務経歴書テンプレートは書式の指定がある応募先にも対応しやすい形式です。
こんな場合はどう書く?よくある3つの疑問
人事と労務を兼務していた場合
「人事・労務全般」とまとめずに、【採用・教育系】【給与・労務管理系】のようにカテゴリを分けて記載します。兼務の場合でも、どちらの業務に比重が高かったかが伝わるように書くと、採用担当者の判断がしやすくなります。
たとえば「採用6割・労務4割」という実態であれば、採用業務を先に・多めに記載し、労務をその後に続けるのが自然な書き方です。業務比率を(例:採用業務60%・給与労務40%)と明記する方法もあります。
未経験から人事・労務を目指す場合
未経験転換の場合は、現職での経験の中から人事・労務に関連するスキルを掘り起こす作業が必要です。
- 経理職からの転換:給与計算・社保との親和性が高い。Excelスキルと数値処理への慣れが強みになる
- 総務職からの転換:社会保険手続き・入退社対応の経験があれば積極的に記載する
- 営業職からの転換:採用担当への転換が比較的スムーズ。「面談力」「情報収集力」「数値目標の管理経験」をアピールポイントにできる
在籍期間が短い(2年以内)場合
在籍期間が短い場合でも、担当業務と習得スキルを丁寧に記載することで短期在籍の印象を薄めることができます。退職理由は職務経歴書に書く必要はありません(面接で問われたときに答えます)。
「1年間在籍したが、月次給与計算・社会保険手続き・新卒採用を一通り担当した」という経験の濃さを伝えることが重要です。期間の短さよりも担当範囲の広さ・深さを見せましょう。
提出前セルフチェックリスト
職務経歴書を完成させたら、提出前に以下の項目を確認してください。
- 対応した社員数・規模感が明記されているか
- 担当業務が【人事系】【労務系】に分けて整理されているか
- 各業務に規模・件数・使用システムが書かれているか
- 数値化できる実績・改善事例が最低1つ以上あるか
- 法改正・制度変更への対応経験(あれば)が記載されているか
- 誤字・脱字がないか(特に社名・日付・法令名)
職務経歴書とあわせて履歴書も準備が必要な場合は、転職用の履歴書テンプレートも同時に用意しておくと提出直前で慌てずに済みます。
自己チェックに自信がない場合は、第三者にチェックしてもらう方法もあります。

まとめ
- 人事・労務の職務経歴書は「業務の羅列」ではなく、規模感・数値・システム名を入れて即戦力を示すことが最重要
- 採用担当者は対応規模・業務の幅・法改正対応経験・数値実績・使用システムの5点を確認している
- 担当業務は【人事系】【労務系】に分けて記載し、各業務に対応件数・使用ツールを添えると読みやすくなる
- 未経験転換・短期在籍の場合も、担当業務の濃さと習得スキルを丁寧に書けば書類選考で不利にはなりにくい
職務経歴書は「経験を正確に伝える書類」ではなく、「採用担当者が判断するための材料」と考えて書くと、通過率が変わります。
人事・労務の職務経歴書に関するよくある質問
- 社会保険労務士の資格は勉強中でも職務経歴書に書けますか?
-
取得見込みや受験中の場合は「〇年〇月受験予定」と記載できます。学習意欲の高さとして評価される場合があります。ただし合格前に「取得」とは書かないよう注意が必要です。
- 給与計算しか経験がない場合、人事・労務全般の求人に応募できますか?
-
給与計算は労務の中核スキルであり、経験者として即戦力評価されます。職務経歴書には担当規模(何名分)と使用システムを明記することが重要です。社会保険手続きへの関与や勤怠管理など関連業務の経験があれば合わせて記載しましょう。
- 採用担当しか経験がない場合、労務職への転換は難しいですか?
-
採用担当経験は労務への転換に不利とはいえません。雇用契約書の作成・入社手続き・勤怠管理など、採用業務の中に労務に繋がる経験が含まれていることが多いです。職務経歴書でその経験を丁寧に記載することが大切です。

