この記事では、居酒屋の職務経歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。ホールスタッフ・キッチンスタッフ・店長のポジション別の書き方、アルバイト経験のみでも使える例文、実績を数値化するコツまで紹介します。
「接客業務を担当しました」だけでは書類を通過できない
居酒屋での転職活動で書類選考が通らない場合、職務経歴書の「書き方の問題」であることが多くあります。採用担当者は30秒以内に職務経歴書の合否をある程度判断します。その短時間で印象を残せるかどうかが、書類通過の分かれ目です。
採用担当者が職務経歴書で最初に確認する3つの場所
書類審査で最初に目が向くのは、冒頭の「職務要約」・中段の「業務内容の詳細」・末尾の「自己PR」の3箇所です。居酒屋経験者の場合、この3箇所すべてに「どこの誰が書いても同じ内容」が並んでいるケースがほとんどです。
採用担当者はここを見ている
- 職務要約:どの規模の環境で、どんな立場で働いていたか(数字・役職で確認)
- 業務内容:「何をやっていたか」だけでなく「どんな成果を出したか」が記載されているか
- 自己PR:居酒屋での経験が、応募先でどう活きるかを説明できているか
この3点が「具体性のある内容」で埋まっていると、採用担当者の記憶に残る書類になります。逆に一点でも抽象的なままだと、他の候補者と区別がつかなくなります。
居酒屋経験者の職務経歴書で多いNG例
実際に採用担当者が目にする居酒屋経験者の職務経歴書には、次のような共通点があります。
NG例(よくある書き方)
○○株式会社(居酒屋)勤務。接客業務全般を担当しました。お客様へのご案内・料理の配膳・ドリンクの提供・会計業務を行っていました。お客様に丁寧な対応を心がけていました。
上記の書き方では、採用担当者に「どのくらいの規模の店か」「何年間働いたか」「どんな環境でどんな責任があったか」が一切伝わりません。「接客業務を担当しました」という表現は、居酒屋以外のあらゆる接客業の職務経歴書にも書けてしまう文章です。採用担当者が書類を判断する根拠がなくなるため、消去法で落とされるケースが多くなります。
居酒屋の職務経歴書の基本構成と各項目の書き方
職務経歴書の記載項目は「事業内容・店舗情報」「職務要約」「業務内容」「自己PR・スキル」の4つで構成するのが基本です。各項目で何を書くべきかを順番に解説します。
①店舗情報・事業内容の書き方(規模を数字で表す)
最初に書く「事業内容・店舗情報」は、採用担当者が「この人がどんな環境で働いていたか」を把握するための基盤情報です。ここが曖昧だと、以降の業務内容や実績の信頼性も下がります。
| 項目 | 書くべき内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| 会社名・業態 | 正式名称と業態 | 株式会社〇〇(居酒屋チェーン「△△」) |
| 店舗規模 | 客席数・スタッフ数 | 客席60席、スタッフ15名(うち正社員5名) |
| 売上・客単価 | 月商または客単価 | 月商500万円規模、客単価2,500〜3,000円 |
| 客層・立地 | メイン顧客と立地 | 20〜40代会社員中心、駅前商業エリア |
| 在職期間 | 年月を明記 | 20XX年〇月〜20XX年〇月(〇年〇ヶ月) |
月商や客単価がわからない場合は、「客席〇席・1日最大来客〇名規模」という表現でも構いません。「規模を示す数字」が1つでもあるだけで、採用担当者の判断材料が大幅に増えます。
②職務要約の書き方(200字で採用担当者を引き込む)
職務要約は200字前後が目安で、「どこで・何年・どんな役割で・どんな成果を出したか」を1段落にまとめます。採用担当者が最初に読む部分なので、ここで興味を持ってもらえるかどうかが大きな分岐点です。
良い例文(職務要約)
居酒屋チェーン(客席60席・月商500万円規模)にてホールスタッフとして3年間勤務しました。週末ピーク時は2名でフロア全体を担当するなど、マルチタスク処理と臨機応変な判断を日常的に求められる環境で業務を遂行してきました。入社1年半後にサブリーダーへ昇格し、新人スタッフ5名の育成を担当。常連客との関係構築を意識した接客で、月10名以上のリピーター獲得に貢献しました。
この例文のポイントは、「規模(客席60席・月商500万円)」「在職期間(3年間)」「ピーク時の体制(2名でフロア全体)」「昇格実績(サブリーダー)」「具体的成果(リピーター月10名以上)」の5つがすべて含まれている点です。
③業務内容欄の書き方(ホールとキッチンで違うポイント)
業務内容欄は、ホールスタッフとキッチンスタッフで採用担当者がチェックするポイントが異なります。職種ごとに何をアピールすべきかを事前に把握しておくと、書き方が整理されます。
| ホールスタッフ | キッチンスタッフ | |
|---|---|---|
| 主なスキル | 接客力・クレーム対応・回転率管理 | 調理技術・提供スピード・衛生管理 |
| 数値化できる実績 | 担当テーブル数・リピーター数 | 仕込み品数・提供時間短縮実績 |
| 昇格・役割 | サブリーダー・シフトリーダー | 調理リーダー・仕込み担当責任者 |
居酒屋ホールスタッフの職務経歴書|書き方と例文
ホールスタッフの職務経歴書で差をつけるには、「笑顔で接客しました」という印象論を捨て、実際の業務の規模と成果を数字で語ることです。
ホール経験を数値化する考え方
「自分の業務には実績がない」と感じる方が多くいますが、実は数値化できることは意外と多くあります。以下を参考に、当時の業務を振り返ってください。
- 担当テーブル数:ピーク時に1人で担当していたテーブル数(例:「金曜夜は1人で8テーブルを担当」)
- 育成人数:在籍中に指導した後輩スタッフ数(例:「新人アルバイト6名のOJTを担当」)
- リピーター:常連として認識していた顧客数(例:「氏名を把握している常連客20名」)
- クレーム対応:月平均件数と解決実績(例:「月平均3〜5件の提供遅延への対応を担当、全件即日解決」)
- 在籍期間・昇格:何ヶ月後に昇格したか(例:「入社10ヶ月でサブリーダーへ昇格」)
ホールスタッフの良い例文・NG例
良い例文(ホールスタッフ・正社員経験)
【在籍期間】20XX年〇月〜20XX年〇月(2年3ヶ月)
【店舗概要】居酒屋(客席50席・月商420万円・駅前立地・主力客層:20〜30代会社員)
【業務内容】
・ホールスタッフとして入客案内・注文・配膳・会計・閉店業務を担当
・週末ピーク時(金土18〜22時)は2名で全50席を担当し、回転率の維持と接客品質を両立
・入社1年半後にサブリーダーへ昇格。新人アルバイト3名へのマナー教育と接客マニュアルの作成を担当
・常連客との関係構築を意識した接客で、月10名以上のリピーター獲得に貢献
NG例(採用担当者が通さない書き方)
居酒屋でホールスタッフを担当しました。接客、配膳、会計などの業務を担当しました。お客様に笑顔で接客することを意識していました。
採用担当者はここを見ている
- NG例は「どこの誰が書いても同じ内容」。在籍期間・規模・成果・役割がすべて不明
- 「お客様に笑顔で」は当然の行動であり、強みのアピールにはならない
- 良い例文は「ピーク時の体制」「昇格実績」「育成人数」で、書類だけで人物のレベルを判断できる
居酒屋キッチンスタッフの職務経歴書|書き方と例文
キッチンスタッフの職務経歴書は、「調理をしていました」という漠然とした記述から、「どんな規模でどんな調理を担当していたか」の具体性に切り替えることが重要です。
「料理を作っていました」から脱却するポイント
採用担当者がキッチンスタッフの職務経歴書で確認したいのは、「調理スキルがどの程度あるか」と「チームの中でどんな役割を果たしていたか」の2点です。
採用担当者はここを見ている
- 担当メニュー数と仕込み量:何品目を担当し、1日何人前の仕込みをこなしていたか
- 提供スピードへの貢献:ピーク時に何食を何分以内に提供できていたか
- 衛生・品質管理:食材保管・温度管理・廃棄管理への関与
- チームへの貢献:後輩指導・工程改善への提案実績
キッチンスタッフの良い例文・NG例
良い例文(キッチンスタッフ)
【在籍期間】20XX年〇月〜20XX年〇月(2年8ヶ月)
【店舗概要】居酒屋(客席80席・1日最大来客200名規模・客単価2,800円)
【業務内容】
・担当メニューは前菜・揚げ物・焼き物など25品目。ピーク時は1時間あたり100食以上の調理を担当
・仕込み工程の見直しを提案・実施し、仕込み所要時間を従来比1時間短縮
・食材保管・温度管理・ロス管理を担当。食材廃棄量を前月比20%削減
・後輩スタッフ2名への調理指導(基本技術・衛生管理)を担当
NG例(採用担当者が通さない書き方)
居酒屋のキッチンで料理の仕込みや調理を担当しました。衛生管理に気を配りながら作業していました。チームで協力して業務をこなしていました。
アルバイト経験だけでも書類選考を通過できる理由
「アルバイトは職務経歴書に書けない」という思い込みを持っている人がいますが、これは誤りです。採用担当者が重視するのは雇用形態ではなく、「どんな環境でどんな責任を持っていたか」です。
アルバイトを職務経歴として書いていい条件
以下のいずれかに当てはまる場合は、積極的に職務経歴書に記載してください。
- 6ヶ月以上の継続勤務がある
- シフトリーダー・教育係・発注担当など、一定の役割を担っていた
- 正社員と同等の業務量・責任範囲で働いていた
- 転職活動における実務経験として位置づけられる唯一の経験である
記載する際は「(アルバイト)」と明記した上で、業務内容と成果を具体的に書きます。雇用形態を正直に開示した上で中身を充実させる方が、曖昧に隠すよりも採用担当者の信頼を得やすくなります。
数値がなくても実績を伝える言語化の技術
「売上を〇〇円上げた」「表彰された」といった目立つ実績がなくても、業務の実態を言語化する方法はあります。
| 状況 | 言語化の方法 |
|---|---|
| 常連客がいた | 「週3〜4回ご来店の常連客の名前を把握し、指名をいただく関係を構築しました」 |
| 繁忙期を乗り越えた | 「年末年始の繁忙期(1日最大300名来客)を3名でカバーし、無遅延で運営しました」 |
| 後輩を教えた | 「新人アルバイト2名の初期研修(接客マナー・シフト管理)を担当しました」 |
| クレームを解決した | 「提供遅延に関するご申し出を月平均〇件担当し、全件その場でご納得いただきました」 |
異業種転職で居酒屋経験をどう翻訳するか
居酒屋での経験は、サービス・販売・営業・事務など幅広い業種への転職に活用できます。重要なのは「居酒屋でやっていたこと」を、応募先で価値として認識される言葉に置き換えることです。
| 居酒屋での経験 | 異業種での言い換え |
|---|---|
| ピーク時の接客・マルチタスク | 高ストレス環境での優先順位管理・同時並行処理能力 |
| クレーム対応 | 顧客折衝・問題解決能力・即断即決のコミュニケーション力 |
| 後輩育成・OJT | チームマネジメント・指導力・育成スキル |
| レジ・会計管理 | 数値管理・正確な処理能力 |
| シフト調整・段取り | スケジュール管理・人員配置・段取り力 |
接客業種からの転職事例として、スーパーの職務経歴書の書き方も参考になります。

店長・シフトリーダー経験がある場合の書き方
店長・副店長・シフトリーダーの経験があれば、一般スタッフと明確に差別化できる書類になります。マネジメント実績は多くの職種で評価されるため、具体的な数値とともに必ず記載してください。
マネジメント実績の見せ方と例文
マネジメント経験を記載するときに押さえるべき情報は次の4つです。
- 管理していたスタッフ数(正社員・アルバイト別)
- 担当店舗の売上目標と達成状況
- 採用・育成への関与(面接担当・OJT実施など)
- コスト管理への関与(在庫・廃棄・原価管理)
良い例文(副店長・シフトリーダー)
【在籍期間】20XX年〇月〜20XX年〇月(3年2ヶ月)
【店舗概要】居酒屋(客席80席・月商600万円・正社員3名・アルバイト18名体制)
【業務内容(副店長として)】
・正社員2名・アルバイト18名のシフト管理および週次ミーティングの運営を担当
・月次在庫管理・食材発注・廃棄ロス管理を実施。食材廃棄率を前年比15%改善
・アルバイト採用面接(月2〜3名)の一次面接を担当し、定着率向上に貢献
・売上目標達成率:副店長就任後の12ヶ月で平均104%を維持
職務経歴書の仕上がりに不安がある場合は、職務経歴書の有料添削サービスを利用するのも選択肢の一つです。転職エージェントであれば無料でフィードバックを受けられる場合もあります。

居酒屋経験者の自己PRの作り方
自己PRは「居酒屋での経験が応募先でどう役立つか」を1段落で説明するパートです。転職先の職種によって、アピールの方向性を変える必要があります。
飲食業界内への転職
同業界への転職では、「どのくらいの規模で何の役割を担っていたか」と「なぜこの店・企業を選んだのか」の具体性が評価のポイントになります。「飲食が好きだから」ではなく、過去の経験と応募先の方向性がどう結びつくかを示すことが重要です。
自己PR例文(飲食業界内転職)
居酒屋での3年間で身につけた接客スキルと、シフトリーダーとしての育成経験を活かし、より規模の大きい環境でスキルをさらに広げていきたいと考えています。特に、ピーク時の対応力と後輩スタッフの早期戦力化への取り組みは、多店舗展開をされている貴社の体制においても即戦力として活かせる経験だと確信しています。
異業種(サービス・営業・販売)への転職
異業種転職では、居酒屋での経験を「汎用スキル」として言語化し直すことが欠かせません。
自己PR例文(営業・サービス系への転職)
居酒屋での4年間で、ピーク時対応・クレーム処理・後輩育成の3点を経験してきました。特に、複数のお客様の状況を同時に把握し、次のニーズを先読みして動く習慣は、営業や接客職において「提案タイミング」と「顧客満足」の両立に直接活かせると考えています。ストレスの高い環境でも成果を出し続けてきた経験を、貴社での業務においても発揮していきたいと思います。
書き方に迷う場合や一から作成したい場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用する方法もあります。

まとめ
- 職務経歴書には店舗情報(客席数・月商・在籍期間)を必ず数字で記載する
- 「接客業務を担当しました」だけでは採用担当者に何も伝わらない。担当テーブル数・育成人数・昇格実績などで具体化する
- ホールは接客力と回転率管理、キッチンは調理スキルの汎用性とチームへの貢献を中心に書く
- アルバイト経験でも、6ヶ月以上の継続勤務があれば職務経歴書に記載してよい
- 異業種転職では「居酒屋経験=接客力+マルチタスク+対人適応力」として言語化し直す
居酒屋での経験は、書き方次第で採用担当者の印象を大きく変えます。今一度、自分の経験を数字と具体的なエピソードで書き直してみてください。
居酒屋の職務経歴書に関するよくある質問
- 居酒屋のアルバイト経験は職務経歴書に書けますか?
-
書けます。特に6ヶ月以上の継続勤務がある場合は積極的に記載してください。「(アルバイト)」と雇用形態を明記した上で、担当業務の具体的な内容と成果を記述することで、採用担当者に実力をアピールできます。採用担当者が重視するのは雇用形態よりも「どんな環境でどんな責任を担っていたか」です。
- 職務経歴書に書く実績が特にないのですが、どうすればいいですか?
-
実績がないと感じる場合でも、「担当テーブル数」「指導した後輩の数」「ピーク時の最大来客数」「継続勤務期間」など、業務の規模を示す数字を探してみてください。昇格・表彰がなくても「どれだけの規模の業務を担当したか」を伝えるだけで説得力が大幅に増します。
- ホールとキッチンの両方を経験しています。どちらを書くべきですか?
-
両方経験していれば、両方記載するのが基本です。「ホール担当:〇ヶ月、キッチン担当:〇ヶ月」と区分して書くと読みやすくなります。転職先の職種に近い方を詳しく書き、もう一方は業務内容を簡潔に添えると採用担当者に伝わりやすい職務経歴書になります。
- 居酒屋経験のみで異業種転職は可能ですか?
-
可能です。居酒屋での接客・クレーム対応・マルチタスク・後輩育成といった経験は、サービス・販売・営業・事務など幅広い職種に応用できます。職務経歴書では「居酒屋での経験が応募先でどう役立つか」を具体的に言語化することが書類通過の鍵になります。

