この記事では、在留資格(ビザ)の申請・変更・更新にあたって出入国在留管理庁(入管)に提出する履歴書のテンプレートと書き方を解説します。就職活動用との違い、審査で落とされやすい記載ミス、空白期間の正しい扱い方もあわせて紹介します。
ビザ申請(在留資格)で提出する履歴書とは
在留資格の申請・変更・更新では、入管が申請者の経歴を把握するために履歴書の提出を求めることがあります。就職活動で使う履歴書と形式は似ていますが、求められる内容と記載のルールは大きく異なります。
入管に提出する書類は半永久的に保存されます。過去に提出した内容と今回の記載に矛盾が生じると、虚偽申告を疑われる原因になります。最初から正確に書くことが、審査を通過するための第一条件です。
就職活動用の履歴書との3つの違い
入管提出用の履歴書には、就活用にはない特徴的な要件があります。違いを整理すると以下のとおりです。
| 比較項目 | 就職活動用 | 入管提出用 |
|---|---|---|
| 目的 | 採用担当者へのアピール | 在留資格の適合性の証明 |
| 学歴の記載範囲 | 一般的に中学卒業以降 | 帰化申請は小学校から、就労・永住は来日後の経歴全体 |
| 空白期間の扱い | 工夫次第でカバーできる | 原則として全期間を記載し、空白を作らない |
| 出入国歴 | 不要 | 永住許可等では過去5年程度の出入国記録を記載 |
| 賞罰・犯歴 | 通常記載しない | 帰化申請等では交通違反・犯罪歴を記載 |
| 志望動機 | 必須 | 原則不要(申請理由書として別紙作成) |
履歴書の提出が必要になる主なケース
入管への履歴書提出が求められる主なシーンは以下のとおりです。履歴書は必須書類ではないケースもありますが、申請書の経歴欄のスペースが限られているため、「別紙参照」として別途添付することが実務的な対応になります。
- 在留資格変更許可申請:留学→就労ビザへの変更など、在留資格の種類を変える場合
- 在留期間更新許可申請:就労ビザの期限を延長する際に職歴確認のため求められることがある
- 永住許可申請:10年以上の在留歴などの要件を満たした場合の永住権申請
- 帰化申請:日本国籍を取得する際に法務局に提出(小学校からの経歴を詳細に記載)
ビザ申請用履歴書の基本テンプレートと書き方
入管専用の規定フォーマットはなく、通常の履歴書様式(JIS規格の厚生労働省推奨様式など)を使用できます。重要なのはフォームの種類ではなく、記載内容の正確さと一貫性です。
テンプレートの入手先
ビザ申請に使う履歴書テンプレートは以下から入手できます。特別なフォームは不要で、一般的な履歴書様式で対応可能です。
- 厚生労働省の推奨様式:JIS規格に準拠した標準フォーマット。最もオーソドックスで信頼性が高い
- 履歴書作成ウェブサービス:PCから入力してPDF出力できる無料ツール。誤字の修正が容易で、何度でも更新できる
- 行政書士事務所の公開テンプレート:入管申請に特化した項目付きのフォームを公開しているケースもある
無料テンプレートを複数比較して選びたい場合は、下記の記事も参考にしてください。

入管審査官が必ずチェックする4つの項目
入管審査で履歴書が精査されるのは、申請する在留資格の種類と申請者の経歴が一致するかを確認するためです。特に以下の4項目は、審査結果を左右する重要ポイントです。
入管審査官はここを見ている
- 学歴と申請資格の整合性:就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)では、大学・専門学校での専攻と就業内容が一致するかが審査の焦点になる
- 職歴の空白の有無:無職期間がある場合、その期間に何をしていたかを求められることがある。空白のまま提出すると審査が遅延する原因になる
- 過去の提出書類との一致:以前の申請書類に記載した経歴と矛盾があると虚偽申告を疑われるリスクがある
- 出入国歴の正確さ:永住許可申請では過去5年間(申請によっては全期間)の出入国記録が必要。パスポートのスタンプで確認できる
日付表記(西暦・和暦)のルール
入管に提出する書類では、日付表記を西暦か和暦のいずれかに統一してください。帰化申請の場合は「令和・平成・昭和」の和暦が慣例です。書類によって表記を混在させると、記載の正確性に疑問を持たれることがあります。
良い例(年月日の記載)
2018年4月 ○○大学 工学部 情報工学科 入学
2022年3月 同上 卒業
2022年4月 株式会社○○ 入社(システムエンジニアとして勤務)
2024年6月 退社
2024年7月 現在に至る
NG例(西暦・和暦の混在)
2018年4月 ○○大学 入学
令和4年3月 ○○大学 卒業(西暦と和暦が混在している)
→記載の一貫性がなく、書類の信頼性が下がる原因になる
在留資格別の書き方ポイント
申請する在留資格によって、履歴書で特に強調すべき内容が異なります。以下に主なケースを解説します。
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)の場合
就労ビザの申請で最も重要なのは、申請する業務内容と大学・専門学校での専攻分野の一致です。これを「専攻との関連性」と呼び、審査の可否を大きく左右します。
- 学歴欄:大学・専門学校は学部・学科・専攻まで具体的に記載する。「○○大学卒」だけでは不十分
- 職歴欄:勤務先の事業内容と自分の担当業務を明記する。「事務職」ではなく「ITシステムの設計・開発業務に従事」のように具体的に書く
- 記載の単位:職歴は月単位で正確に記載する。「2022年〜2024年」のような年単位では審査が長引くことがある
就労ビザ審査で落とされやすいケース
- 専攻が「文学部・教育学部」なのに申請業務が「ITエンジニア」(関連性の説明が不十分)
- 技能実習から就労ビザへの変更時に、実習中の学歴詐称が発覚した事例(不許可処分後、将来の申請にも影響が出る)
- 職歴欄に入退社の日付のみ記載し、担当業務の内容が書かれていないために審査が長引いたケース
永住許可申請の場合
永住許可申請では、来日後の全経歴を時系列で漏れなく記載することが求められます。就労ビザのような「専攻との関連性」ではなく、安定した在留歴と生活基盤があることを示すことが目的です。
| 記載項目 | 永住許可申請での記載ルール |
|---|---|
| 学歴 | 来日後に通った学校を入学・卒業の年月で記載。来日前の学歴は省略可 |
| 職歴 | アルバイトを含む全ての勤務先を記載。無職期間があれば理由を付記する |
| 出入国歴 | 過去5年間の出入国記録を年月日で記載。パスポートのスタンプで確認できる |
| 在留資格の変遷 | 留学→技術・人文・国際業務のようにビザの種類が変わっている場合は経緯を記載 |
審査を通過できない記載ミスとその対処法
ビザ申請の履歴書で最も問題になるのは「書き忘れ」と「矛盾」です。両者は結果として審査の遅延や不許可につながります。
空白期間の正しい扱い方
就活用の履歴書では「空白期間の書き方を工夫して印象をカバーする」という発想がありますが、入管提出用では考え方が異なります。空白期間はそのまま放置せず、その期間に何をしていたかを正直に記載してください。証明書類と矛盾しない限り、空白期間があること自体で審査が不許可になることはありません。
良い例(空白期間がある場合)
2023年3月 株式会社△△ 退社
2023年4月〜2023年9月 求職活動・日本語学習
2023年10月 株式会社○○ 入社(現在に至る)
NG例(空白期間を無記載)
2023年3月 株式会社△△ 退社
2023年10月 株式会社○○ 入社(7か月の空白を一切記載しない)
→期間の空白は不法就労や他のビザ違反を疑われる原因になりうる
求職活動中の期間は「求職活動」、語学学校に通っていた場合は「○○日本語学校に通学」のように、事実に即した記載で構いません。
学歴・職歴の詐称が与えるリスク
入管提出書類への虚偽記載は、在留資格の取得・更新に関する法令に抵触する行為です。発覚した場合は単なる不許可処分にとどまらず、将来にわたって就労ビザの取得が困難になるリスクがあります。
- 学歴詐称の具体例:技能実習から就労ビザへの変更申請時に、記載した学歴が実際のものと異なっていた場合、入管の審査過程で発覚し不許可。以降の申請でも疑いを持たれる記録が残る
- 職歴の意図的省略:短期離職を意図的に省略した場合も虚偽申告と見なされることがある。原則として全ての就業経歴を記載する
- 修正液の使用禁止:手書き履歴書で誤字があった場合、修正液・修正テープの使用は不可。取消線を引いた上で正しい内容に書き直すか、最初から書き直すことが求められる
履歴書作成の実務ポイント
入管提出用の履歴書を作成する際に迷いやすいポイントを解説します。
手書きとPC作成の選び方
入管はPC作成と手書きのどちらも受け付けています。ただしPC作成の方が修正しやすく、読みやすい書類に仕上がるため、実務的にはPC作成が推奨されます。
| 手書き | PC作成 | |
|---|---|---|
| 修正方法 | 取消線のみ可(修正液不可) | データ修正後に印刷し直すだけ |
| 読みやすさ | 筆跡により差がある | 一定のフォントで均一 |
| 時間・手間 | 記載量が多いと負担大 | 一度作れば更新も容易 |
| 入管の評価 | 特に優劣なし | 特に優劣なし |
PC作成で履歴書を作成する場合は、無料の作成ツールを活用すると効率的です。下記の記事で主なツールを比較しています。

外国語の学歴・職歴を日本語で書く方法
海外の学校名や職場名を記載する際は、正式名称のカタカナ表記または日本語訳を使います。原語(英語・中国語等)のみでの記載は避け、必ず日本語表記にしてください。
海外学歴・職歴の記載例
2015年9月 ソウル大学校 工科大学 電気工学科 入学(韓国)
2019年2月 同上 卒業
2019年4月 サムスン電子株式会社 入社(半導体部門・品質管理業務に従事)
2022年3月 退社
学校名は公式の日本語訳がある場合はそれを使用し、ない場合はカタカナ表記と国名を括弧書きで補足します。卒業証明書や成績証明書の写しを添付することで、記載内容の証明になります。
まとめ
- 入管提出用の履歴書は就活用と基本フォームは同じだが、空白期間の扱いや記載範囲などのルールが異なる
- 就労ビザでは専攻と業務内容の一致が、永住許可では在留歴の一貫した証明が主な審査ポイント
- 空白期間は「求職活動」「語学学習」など実態に即した記載をする。無記載は審査遅延の原因になる
- 虚偽記載は不許可処分にとどまらず将来の申請にも影響するため、正確な事実のみを記載する
- PC作成が実務的に推奨されるが、入管の評価に手書きとの差はない。修正液の使用は不可
ビザ申請の履歴書は一度作成したら更新・流用できます。申請の種類が変わっても基本の経歴は共通なので、最初から正確な内容で作成しておくことが、長期的な在留管理をスムーズにする一歩です。
ビザ申請用の履歴書についてよくある質問
- ビザ申請の履歴書はどこで入手できますか?
-
特定のフォーマットは定められておらず、厚生労働省推奨のJIS規格様式や市販の履歴書用紙、無料の履歴書作成ウェブサービスなどを使用できます。行政書士事務所が入管申請向けのテンプレートを公開している場合もあります。
- 空白期間がある場合、どう書けばいいですか?
-
空白のままにせず、「求職活動」「語学学習」「帰国・家族の介護」など、その期間に行っていたことを正直に記載してください。証明書類と矛盾しない限り、空白期間の存在自体で審査が不許可になることはありません。
- 就労ビザと永住許可で履歴書の内容は変えるべきですか?
-
申請の目的が異なるため、強調すべき点が変わります。就労ビザでは専攻と業務の一致を詳しく記載し、永住許可では在留期間を通じた安定した職歴と生活歴を漏れなく示すことが重要です。基本の経歴は共通ですが、申請に合わせて記載の内容を調整してください。
- ビザ申請用の履歴書に写真は必要ですか?
-
通常の履歴書フォームには写真欄がありますが、入管への申請では別途証明写真の添付が求められます。履歴書本体の写真欄は貼付しても省略しても問題ないケースが多いですが、フォームに写真欄がある場合は貼付しておくのが無難です。
- 手書き履歴書で誤字があった場合、修正液を使えますか?
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入管に提出する書類への修正液・修正テープの使用は原則不可です。誤字の箇所に取消線を引いて正しい内容を書き直すか、最初から書き直してください。PC作成の場合は修正後に再印刷すれば問題ありません。


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