この記事では、保育士が転職活動で提出する職務経歴書の書き方を解説します。履歴書との違いから各項目の記載方法、採用担当者が書類選考でチェックする3つのポイント、状況別の自己PR例文まで順を追って紹介します。
保育士の職務経歴書と履歴書の違い
保育士の転職では、履歴書と職務経歴書の両方を求められることがほとんどです。この2つは似ているようで、採用担当者の視点では大きく役割が異なります。
履歴書は「事実の記録」です。氏名・学歴・職歴・資格など基本情報を確認するための書類です。一方、職務経歴書は「実力の証明書」。保育士としての経験をどんな環境で積み、どんな業務を担当してきたかを具体的に伝えるのが目的です。
採用担当者が職務経歴書で確認すること
採用担当者が職務経歴書でチェックしているのは、主に以下の3点です。
- 担当してきた施設の種別・規模・年齢クラス
- 保育業務以外の経験(行事企画・保護者対応・新人指導など)
- 自己PRを通じた保育観・職場への適性
保育士の実務スキルは施設タイプ(認可・認可外・企業内・小規模)や担当年齢によって大きく異なります。「認可保育所で5年・3〜5歳担任」と「企業内保育所で2年・0〜2歳担任」では、採用担当者が受け取る情報量がまるで違います。施設の種別と担当クラスを明記することが、書類選考の第一関門です。
職務経歴書が必要なケース・不要なケース
| ケース | 職務経歴書 |
|---|---|
| 転職エージェント経由での応募 | 必要(ほぼ必須) |
| 求人票に「職務経歴書要」の記載あり | 必要 |
| 直接応募(正社員・契約社員) | 用意しておくことを推奨 |
| 直接応募(パート・アルバイト) | 求人票で確認する |
| 新卒の就職活動 | 不要(エントリーシートが代替) |
求人票に記載がない場合でも、職務経歴書を添付しておくことで他の応募者と差がつくケースがあります。保育士に近い職種である子育て支援員として転職する場合も、子育て支援員の履歴書の書き方が参考になります。

保育士の職務経歴書の基本構成
書式・枚数・形式
- 用紙サイズ:A4サイズが基本
- 枚数:1〜2枚が一般的(多くても3枚以内)
- 作成方法:PC作成が基本。手書きは禁止ではないが求人票で確認する
- 日付:提出する当日の日付を記入する
- 提出形式:持参の場合は印刷・メール提出の場合はPDFが一般的
記載する5つの項目
| 項目 | 内容 | 目安文字数 |
|---|---|---|
| 職務要約 | キャリア全体を簡潔にまとめる | 150〜200文字 |
| 職務経歴 | 勤務施設・担当クラス・業務内容を時系列で記載 | 施設ごとに整理 |
| 活かせるスキル | 業務で培ったスキルを箇条書きで整理 | 5〜8項目程度 |
| 保有資格 | 保育士免許・幼稚園教諭など正式名称で記載 | 全件記載 |
| 自己PR | 強みと入職後の貢献を具体的に記述 | 300〜400文字 |
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職務要約(キャリア全体の要約)
職務要約は採用担当者が最初に目を通す部分です。「施設タイプ・担当年齢・経験年数」の3要素を150〜200文字程度でまとめます。業務内容の詳細はこの後の「職務経歴」で書くため、ここでは全体像の把握に徹します。
良い例文
認可保育所にて0〜5歳児クラスの担任を通算8年間担当してきました。乳児クラス(0〜2歳)では個別の発達計画に基づいた関わりを実践しながら、保護者との日常的なコミュニケーションを大切にしてきました。2021年度からは新入職員の指導担当も経験し、OJTと業務マニュアル整備に取り組んでいます。
NG例
保育士として長年勤務し、さまざまなクラスを担当してきました。子どもたちのために一生懸命取り組んできましたので、これまでの経験を活かして働きたいと考えています。→ 施設規模・担当クラス・具体的業務が何も記載されていないため、採用担当者には情報がほぼ伝わらない
職務経歴(施設情報・担当クラス・業務内容)
職務経歴の記載は「施設の基本情報 → 担当クラス・期間 → 業務内容」の順で書くのが基本です。古い経歴から時系列順に整理します。
採用担当者はここを見ている
- 施設の種別(認可/認可外/企業内保育所/小規模保育所/病院内など)
- 施設の定員数と実際の在籍児童数(規模感の判断材料)
- 担当クラスの年齢と在籍人数
- 行事・保護者対応・会議・新人指導など「担任業務以外」の実績
良い例文(職務経歴の記載例)
在籍期間:2018年4月〜現在
施設名:○○認可保育所(定員90名・職員20名)
担当クラスと期間:
・0〜2歳児(乳児クラス)担任 2018年4月〜2022年3月
・3〜5歳児(幼児クラス)担任 2022年4月〜現在(在籍15名)
主な業務内容:
・乳児クラスにて月齢別の発達経過記録を作成し、連絡ノートによる保護者への日常的な情報共有を実施
・年1回の運動会・発表会では準備委員として企画立案から当日運営まで担当
・2021年度より新入職員(3名)のOJT指導担当として業務引き継ぎと育成に従事
・年2回の個人面談・年3回の懇談会を担当
NG例
在籍期間:2018年4月〜現在
施設名:○○保育園
業務内容:保育業務全般を担当。子どもたちの生活支援を行いました。→ 施設規模・担当クラス・年齢・具体的業務が全て抜けており、採用担当者には何も判断できない
活かせるスキル・保有資格
活かせるスキルは「どんな場面でどんな能力を発揮してきたか」を箇条書きで整理します。「子どもが好き」「コミュニケーション力がある」という抽象的な表現は避け、業務に紐づいた具体的なスキルを書きます。
- 0〜6歳児の発達段階に応じた保育計画(日案・週案・指導計画)の立案・実施
- 保護者面談・連絡ノートによる日常的な家庭との連携
- 行事(運動会・発表会・遠足)の企画・準備・当日運営
- 個別発達記録・児童票・日誌の作成と管理
- 新入職員へのOJT・業務引き継ぎ(経験がある場合)
資格欄は正式名称で記載します。
| 資格名 | 正式名称(記載例) |
|---|---|
| 保育士資格 | 保育士 |
| 幼稚園教諭 | 幼稚園教諭一種免許状(二種の場合は二種免許状) |
| 認定こども園(保育教諭) | 幼稚園教諭一種免許状・保育士(両方記載) |
| 子育て支援員 | 認定子育て支援員 |
職務経歴書の作成に時間がかかる場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用する方法もあります。保育士専用フォーマットに対応したものを選ぶと入力の手間を減らせます。

採用担当者が落とす書類・通す書類の違い
採用担当者が30秒で判断する3つのポイント
採用担当者が書類選考で1通あたりにかける時間は30秒〜1分程度と言われています。この短時間で「会って話したい」と思わせるには、読みやすさと情報の密度の両立が必要です。
①担当施設・クラス・年数が瞬時に分かるか
「認可保育所で5年・3〜5歳クラス担任(在籍15名)」のように、数値と施設タイプを明記します。表形式か箇条書きで整理すると、採用担当者が最初の10秒で概要を把握できます。
②具体的な数値・実績が含まれているか
「保育業務全般」では何も伝わりません。「定員90名・3〜5歳クラス・在籍15名担任」のように数値化することで、採用担当者は施設規模と担任経験値を同時に把握できます。
③自己PRに保育観と入職後の貢献が書かれているか
「子どもが好き」は最低限の資質であり、アピールポイントにはなりません。「どんな保育をしてきたか」と「転職先でどう貢献できるか」がセットで書かれていることが通過の条件です。
よくあるNG例と改善案
| NG例 | 改善後の書き方 |
|---|---|
| 「保育業務全般を担当しました」 | 「○○認可保育所(定員90名)にて3〜5歳クラス担任(在籍15名)として業務担当」 |
| 「子どもが大好きです。一生懸命頑張ります」 | 「乳児の個別発達記録を担当した経験を活かし、月齢に応じた丁寧な関わりを実践します」 |
| 「さまざまな業務を経験しました」 | 「行事企画(運動会・発表会)・新人OJT・保護者面談など担任業務以外も担当」 |
| 施設名のみで規模が不明 | 「○○保育園(認可・定員120名)」と種別と定員を必ず明記する |
状況別の職務経歴書の書き方
転職回数が多い場合
保育士は転職が多い職種です。求人数が多く、職場環境が合わずに短期離職するケースも珍しくありません。転職回数より「各職場で何を学び、何に課題を感じたか」の方が採用担当者にとって重要です。
- 在籍1年以内でも省略しない(後から発覚した場合の信頼損失の方が大きい)
- 退職理由は「保育方針と個人の志向の相違」「担当クラスの専門性を深めるため」など前向きな言い換えを使う
- 職務要約で「認可・認可外・企業内など異なる施設タイプの経験を通じて、多様な保育環境に対応できる」と強みに転換する
- 同じ期間でも担当クラスや業務実績が豊富であれば、それを前面に出す
ブランク期間がある場合
産休・育休、介護、体調不良などのブランクがある場合も、隠さずに記載することが前提です。理由を正直に書いた上で、ブランク中の取り組みや復帰への意欲を添えます。
良い例文(ブランク期間の記載例)
2021年4月〜2023年3月:育児休業・育児専念
育休中は自分の子どもの成長を間近で見ながら、乳幼児期の環境と関わりの重要性を改めて実感しました。地域の子育て支援センターにてボランティアスタッフとして月2〜3回参加し、保育士としての感覚を維持しています。
- 「何もしていない」ではなく、育児・学習・ボランティアなど前向きな取り組みに触れる
- 復帰意欲と職場への適応計画を自己PRに盛り込む
- ブランクが3年以内であれば採用担当者の懸念は比較的小さい
医療・介護系の職種でも同様のブランク対応が必要です。看護師の職務経歴書(ブランクあり)の書き方もブランク期間の記載方法の参考になります。

異業種への転職の場合
保育士から一般企業や医療・福祉の別職種へ転職する場合、保育業界特有の用語は読む側が理解できないことがあります。採用担当者が保育現場を知らない一般企業であれば、保育用語をビジネス用語に言い換えることが必須です。
| 保育用語 | ビジネス用語への言い換え |
|---|---|
| 主活動 | プログラムの企画・立案・実施 |
| 環境構成 | 学習環境・活動空間の設計と準備 |
| 個別配慮 | 個別ニーズへの対応・マルチタスク対応 |
| 申し送り | 業務引き継ぎ・チーム内情報共有 |
| 保護者対応 | 顧客・関係者との丁寧なコミュニケーション |
| 指導計画(日案・週案) | 業務計画の立案・進捗管理 |
保育士の自己PR例文【状況別】
自己PRは「これまでの経験 + 強みの具体例 + 転職先での貢献」の3層構造で300〜400文字にまとめます。以下、状況別の例文を参考にしてください。
経験豊富(5年以上)
自己PR例文
認可保育所にて0〜5歳クラスの担任を8年間担当してきました。特に乳児(0〜2歳)クラスでの経験が長く、月齢ごとの発達特性に合わせた個別対応を得意としています。保護者との信頼関係構築では、連絡ノートや面談での丁寧なコミュニケーションを継続することで、家庭との情報共有を途切れさせない環境をつくることを大切にしてきました。2021年度からは新入職員3名の指導担当も経験し、業務の標準化と育成に取り組んできました。転職先でも乳児保育の専門性と保護者対応の経験を活かし、チームの一員として即戦力で貢献します。
第二新卒・1〜2年目
自己PR例文
保育士として1年間、認可保育所の4〜5歳クラス担任を担当しました。在職中は先輩職員の指導のもと、日案・週案の作成から行事準備、保護者向け配布物の制作まで担任業務を一通り経験しました。幼児期の子どもたちの主体性を引き出す保育に強い関心を持ち、研修への参加や書籍での自己学習も続けています。在籍期間は短いですが、環境が変わっても積極的に学ぶ姿勢は変わりません。転職先では一日でも早く職場に慣れ、子どもたちの成長に長く向き合える保育を実践していきたいと考えています。
主任・リーダー経験あり
自己PR例文
10年以上の保育士経験のうち、直近3年間は主任として後輩指導と園全体の運営サポートを担当してきました。新人職員の研修プログラムの見直しや業務マニュアルの整備を主導し、在籍中に年間の離職者数を半減させることに貢献しました。行事では前年の課題をチームで共有・改善する仕組みをつくり、保護者アンケートの満足度向上にもつながりました。新しい職場では、現場保育士としてのスキルとチームをまとめる視点の両方を活かして、職場全体の保育の質向上に貢献したいと考えています。
ブランクあり
自己PR例文
認可保育所で5年間勤務した後、第一子の出産を機に退職しました。育休中は自分の子どもの成長を間近で見ながら、乳幼児期の環境と関わりの重要性を改めて実感しました。復帰に向けて感覚を維持するため、地域の子育て支援センターでボランティアスタッフとして月2〜3回参加しています。子育て経験で得た保護者の視点は、保護者対応においても必ず強みになると感じています。復帰後は即戦力として活躍しながら、育児経験を活かした丁寧な保護者対応を実践していきたいと考えています。
書き方に不安がある場合は、職務経歴書の有料添削サービスや転職エージェントへの相談も選択肢のひとつです。保育士専門のエージェントであれば、書類作成のサポートを無料で受けられるケースもあります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 職務経歴書は「事実の記録」ではなく「実力の証明書」。担当クラス・施設規模・実績を具体的な数値で書く
- 採用担当者は30秒〜1分で書類を判断する。施設情報・担当年数・業務実績は表や箇条書きで整理する
- 「保育業務全般」「子どもが好き」は伝わらない。担当した行事・保護者対応・指導経験を具体的に記す
- 自己PRは「経験 + 強みの具体例 + 転職先での貢献」の3層構造で300〜400文字にまとめる
- 転職回数・ブランクがあっても省略しない。前向きな言い換えと経験の強みへの転換で対処する
書類選考を通過するには「採用担当者に何を知ってほしいか」を軸に構成することが出発点です。
保育士の職務経歴書に関するよくある質問
- 保育士の職務経歴書はA4何枚が適切ですか?
-
原則1〜2枚です。勤務施設が多い場合でも3枚以内に収めるのが一般的です。記載事項が多い場合は、職務要約と直近の職場を優先し、古い経歴は在籍期間・クラス担当・役職のみの概要記載にまとめる方法が有効です。
- 「保育士資格」と「保育士」どちらが正しい資格欄の記載ですか?
-
「保育士」が正式名称です。「保育士資格」「保育士免許」は誤りです。幼稚園教諭の場合は「幼稚園教諭一種免許状(または二種免許状)」と種類を明記してください。取得年月(例:2018年4月)も正確に記載することが重要です。
- 職務経歴書の添削を無料でしてもらえる方法はありますか?
-
保育士専門の転職エージェントでは、職務経歴書の添削サポートを無料で提供しているケースがほとんどです。採用担当者の視点を持つキャリアアドバイザーが、自分では気づきにくい表現の改善や強みの引き出し方を具体的にアドバイスしてくれます。転職活動を急いでいない段階での相談も可能です。
- 保育士試験合格で取得した場合と養成校卒業で取得した場合で、職務経歴書の書き方に違いはありますか?
-
資格欄への記載方法に違いはありません。どちらの取得経路であっても「保育士」と記載します。取得した年月(例:2018年4月)を正確に記載することが重要です。養成校の卒業年と資格取得年が異なる場合は、実際に資格を取得した年月に合わせて記載してください。


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