事務職へ転職する履歴書は、職歴欄に担当業務と件数を書き添え、資格・志望動機・自己PRを「正確さ」と「段取り力」に結びつけて書くのが正解です。一般事務は求人1件に対して求職者が3人以上いる職種で、書類の段階で絞り込まれます。欄ごとの記入例を未経験・経験者別に示し、採用担当者が履歴書のどこで事務の適性を判断しているかもあわせて紹介します。
事務職に転職する履歴書の書き方【欄別の記入例】
結論:履歴書全体を「事務処理の見本」として仕上げる
事務職の採用担当者は、履歴書を「応募者が作った最初の書類」として読みます。日付の表記、社名の正式名称、数字の書き方がそろっているかどうかが、そのまま入社後の書類作成の精度として見られます。
内容面では、事務の仕事に直結する情報を欄ごとに配置します。各欄に何を書くかは次の表のとおりです。
| 欄 | 事務職への転職で書くこと |
|---|---|
| 学歴・職歴 | 社名・配属部署に加え、担当業務と件数・人数などの数字を1行で添える |
| 免許・資格 | MOS・日商簿記・秘書検定など事務に関係する資格を正式名称で書く。勉強中のものも書ける |
| 志望動機 | 「なぜ事務職か」と「なぜこの会社か」を分け、前職の経験との接点を書く |
| 自己PR・特技 | ミスを減らした・作業時間を短くしたなど、正確さと効率化の実績を数字で書く |
| 本人希望記入欄 | 職種名と「貴社規定に従います」を書く。勤務地や時間の制約がある場合のみ理由を添える |
用紙は、事務職への応募なら職歴欄と志望動機欄が広い転職用の履歴書を選ぶと、業務内容まで書き込めます。
職歴欄:社名のあとに担当業務と数字を1行添える
職歴欄は「入社・退職」だけを並べる人が多い欄です。事務職へ転職する場合は、入社の行の次に何の業務を、どれくらいの量こなしていたかを1行加えるだけで、ほかの応募者との差が出ます。
良い書き方(職歴欄)
令和〇年 4月 株式会社〇〇 入社
営業部に配属 既存顧客約40社の受発注・見積書作成を担当
令和〇年 3月 一身上の都合により退職
令和〇年 4月 〇〇商事株式会社 入社(現在に至る)
総務部にて備品管理・請求書処理(月約150件)を担当
NG例(職歴欄)
令和〇年 4月 (株)〇〇 入社
令和〇年 3月 退職
「(株)」の略記と、業務内容の記載なし。何をしていた人なのかが職歴欄から読み取れず、事務の経験や適性を判断する材料がありません。
職歴欄の行の分け方や、転職回数が多い場合の書き方は個別の記事で例文付きでまとめています。

免許・資格欄:事務に関係する資格を正式名称で書く
事務職の書類選考では、パソコンや会計の基礎知識を客観的に示せる資格が評価の材料になります。資格名は合格証や認定証に書かれた正式名称で書き、取得年月の順に並べます。
- パソコン系:Microsoft Office Specialist(MOS)、日商PC検定など
- 会計系:日商簿記検定(経理事務・一般事務の両方で評価されやすい)
- ビジネスマナー系:秘書技能検定(電話・来客対応の基礎があることの証明になる)
良い書き方(免許・資格欄)
令和〇年 6月 日本商工会議所簿記検定試験3級 合格
令和〇年 11月 Microsoft Office Specialist Excel 365 合格
現在、日本商工会議所簿記検定試験2級の取得に向けて勉強中(令和〇年〇月受験予定)
NG例(免許・資格欄)
簿記3級、MOS取得
略称のみで取得年月もない書き方。どの団体の簿記か、MOSのどの科目かが伝わらず、記載の正確さに欠ける印象になります。
志望動機欄:「なぜ事務職か」と「なぜこの会社か」を分けて書く
事務職の志望動機で落ちやすいのは、職種を選んだ理由と会社を選んだ理由が混ざり、どの会社にも出せる文章になっているケースです。前職での経験 → 事務職を選んだ理由 → その会社で活かせることの順に並べると、200〜300字の欄に収まります。
良い例文(志望動機欄)
前職の営業では、受注後の見積書・納品書の作成を自ら担当してきました。書類の不備で取引先を待たせない仕組みづくりにやりがいを感じ、営業を後方から支える事務職として専門性を高めたいと考えるようになりました。貴社は法人向けの受注件数が多く、営業経験を持つ事務担当として、受発注の流れを理解したうえでの書類作成で貢献できると考え、志望いたしました。
NG例(志望動機欄)
人をサポートする仕事が好きで、事務職を志望しました。パソコンが得意なので、貴社でも活かせると思います。
事務職を志望する応募者の多くが書く内容で、応募先を選んだ理由もない。「得意」の程度もわからず、評価の材料になりません。
一般事務・営業事務・経理事務など職種別の志望動機の例文は、次の記事にまとめています。

自己PR欄:正確さと段取り力を数字で示す
事務職の自己PRで採用担当者が知りたいのは、「ミスなく、期限どおりに処理できる人か」です。性格の説明より、ミスや作業時間をどれだけ減らしたかを数字で書くほうが伝わります。
良い例文(自己PR欄)
私の強みは、作業の手順を見直してミスを減らす工夫ができることです。前職の店舗では、手書きだった発注表をExcelに置き換え、在庫数から発注量が自動で出る表を作成しました。その結果、月に5件ほどあった発注ミスがほぼなくなり、発注作業の時間も1日30分ほど短くなりました。事務職でも、日々の定型業務を正確に回しながら、手順の改善に取り組みたいと考えています。

本人希望記入欄:条件を並べず「貴社規定に従います」が基本
本人希望記入欄に給与や休日の希望を並べると、条件を優先する人という印象を与えます。応募職種を書き、ほかは会社の規定に合わせる旨を書くのが基本です。介護や通院など勤務条件に制約がある場合だけ、理由を一言添えます。
良い書き方(本人希望記入欄)
一般事務職を希望いたします。
勤務条件につきましては、貴社の規定に従います。
NG例(本人希望記入欄)
残業なし、土日祝休み、年収350万円以上を希望します。
選考の前から条件を並べる書き方。条件の確認は面接や内定後の面談で行うのが一般的です。
採用担当者が事務職の履歴書で見ている3つのポイント
一般事務の求人倍率は約0.3倍、書類で絞られる
事務職は人気が高く、求人の数に対して応募したい人が大きく上回る職種です。厚生労働省「一般職業紹介状況」の職業別データでは、全職業平均との差がはっきり出ています。
| 区分 | 有効求人倍率 | 読み方 |
|---|---|---|
| 全職業(2026年8月・季節調整値) | 1.18倍 | 求職者1人に約1.2件の求人 |
| 一般事務の職業(2026年夏時点・常用(パート除く)) | 0.29倍 | 求人1件に求職者が3人以上 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」および同参考統計表をもとに作成
応募が集まる求人ほど、採用担当者は面接に呼ぶ人を書類で決めます。履歴書の段階で「事務を任せられそう」と思わせる材料を入れておかないと、面接で話す機会そのものがなくなります。
表記ゆれ・誤字は「入社後のミス」の予告と受け取られる
営業職や販売職の選考なら見逃されるような小さな不備も、事務職では評価に直結します。事務の仕事そのものが、正確な書類を期限どおりに作ることだからです。
採用担当者はここを見ている
- 年号の統一:和暦と西暦が混ざっていないか。提出日・学歴・職歴・資格の全欄でそろっているか
- 正式名称:「(株)」「高校」などの略称を使っていないか
- 数字の書き方:全角と半角、「約」の有無などの表記がバラバラになっていないか
- レイアウト:PC作成の場合、フォントや文字サイズ、行頭の位置がそろっているか
提出前に、上の4点を1欄ずつ指でなぞって確認してください。印刷して読むと、画面では気づかない表記ゆれが見つかります。
「サポートが好き」だけでは他の応募者と同じ文章になる
事務職を志望する人の多くが「人を支える仕事がしたい」「コツコツ作業が得意」と書きます。気持ちとしては本当でも、同じ言葉が並ぶ履歴書の中では印象に残りません。
差がつくのは、「支えたい」を、前職で実際に支えた場面に置き換えて書くことです。「営業担当3人分の見積書作成を引き受けていた」「シフト表を作成して欠員を月2回以内に抑えた」のように、場面と数字が入ると、同じ志望理由でも読み手が業務を想像できます。
【未経験・経験者別】事務職への転職で使える履歴書の例文
前職によって、事務職に結びつけやすい経験は変わります。自分に近い状況の例文を選び、数字と業務内容を自分のものに差し替えて使ってください。
営業職から事務職へ転職する場合
営業経験者は、受発注・見積・顧客管理など営業事務と重なる業務を経験していることが多い立場です。「営業がつらいから事務へ」と読まれないよう、事務の側から営業を支えたい理由を書きます。
良い例文(営業職から事務職へ)
法人営業として4年間、約40社の既存顧客を担当し、見積書・契約書の作成から請求までを一貫して行ってきました。営業事務の方が受注データを整えてくれたことで商談に集中できた経験から、今度は自分が営業担当の時間を生み出す側に回りたいと考えています。営業の進め方を知っている事務担当として、確認の手戻りが少ない書類作成で貢献いたします。
販売・接客職から事務職へ転職する場合
販売・接客職は事務と縁が遠いと思われがちですが、レジ締め・在庫管理・シフト作成は事務の作業と同じ性質の業務です。電話や来客対応で使える接客経験とあわせて書きます。
良い例文(販売・接客職から事務職へ)
アパレル店舗で5年間勤務し、副店長として売上日報の作成、在庫データの入力、スタッフ12名のシフト作成を担当してきました。数字の入力と確認を毎日欠かさず行い、レジ締めの差異を3年間ゼロに保ちました。接客で身につけた言葉づかいを電話・来客対応に活かしながら、正確な事務処理で社内の業務を支えたいと考えております。
NG例(未経験からの転職)
事務職は未経験ですが、やる気は誰にも負けません。一から勉強させていただきたいです。
「教えてもらう」前提の書き方。未経験でも前職の経験から事務に使えるものを示さないと、育成に時間がかかる人と判断されます。
事務経験者が別の会社の事務職へ転職する場合
経験者は「事務ができること」は前提として見られます。差がつくのは、処理していた量・使っていたシステム・自分で改善したことの3点です。
良い例文(事務経験者)
一般事務として6年間、月約200件の請求書発行と経費精算、来客・電話対応を担当してきました。経費精算では申請書の書式を統一し、差し戻し件数を月20件から5件程度まで減らしました。貴社では管理部門の体制を拡充されていると伺い、これまでの定型業務の経験に加え、手順の標準化でも貢献できると考え志望いたしました。
派遣・パートで事務経験がある場合
派遣やパートでの事務経験も、職歴として書けます。派遣の場合は派遣元に登録した事実と、派遣先・業務内容を分けて書くと経歴が正確に伝わります。
良い書き方(派遣の職歴欄)
令和〇年 4月 株式会社〇〇スタッフに派遣登録
株式会社△△へ派遣 一般事務(データ入力・書類作成・電話対応)に従事
令和〇年 3月 派遣期間満了により退職
派遣先ごとの業務を細かく書きたい場合は、履歴書には要点だけを残し、派遣向けの職務経歴書の書式で詳細を補うと、履歴書の職歴欄が詰まりすぎません。
事務職の転職履歴書でよくあるNG例と直し方
事務職の応募書類で見かけることの多い不備をまとめました。提出前のチェックリストとして使ってください。
| NG例 | 直し方 | 理由 |
|---|---|---|
| (株)〇〇 入社 | 株式会社〇〇 入社 | 略称は正式な書類では使わない |
| 令和と西暦が混在 | どちらかに統一する | 統一できていないと書類作成の精度を疑われる |
| パソコンが得意です | Excelで関数(VLOOKUP等)を使った集計表を作成できます | 「得意」の程度が伝わらない |
| 志望動機を全社共通にする | 応募先の事業や部署に合わせて1文以上書き換える | どの会社でも通る文章は採用担当者に見抜かれる |
| 本人希望欄に給与・休日の条件を列挙 | 職種名+「貴社規定に従います」 | 選考前から条件優先の印象を与える |
| 修正テープで書き直した手書きの履歴書 | 新しい用紙に書き直す、またはPCで作成する | 書類の扱い方そのものが評価される職種のため |
企業の指定がない場合は、厚生労働省の様式例に沿った履歴書を使うと、欄の過不足で迷うことがありません。
事務職の転職は履歴書と職務経歴書の役割分担で決まる
転職では履歴書と職務経歴書の両方を求められることが一般的です。同じ内容を両方に書くと、どちらも中途半端になります。履歴書は「要点と人柄」、職務経歴書は「業務の中身と実績」と役割を分けると、採用担当者が読みやすい書類になります。
| 書類 | 事務職への転職で書く内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 経歴の流れ、資格、志望動機の要点、担当業務を1行で | 各欄200〜300字程度 |
| 職務経歴書 | 担当業務の詳細、処理件数、使用ソフト・システム、改善の実績 | A4で1〜2枚 |
職務経歴書を一から作るのが難しい場合は、事務職向けの職務経歴書の書式を土台にすると、一般事務・営業事務などの記入例に沿って埋められます。
思わず通過させたくなる書類の共通点
- 履歴書の職歴1行と、職務経歴書の業務説明の内容が食い違っていない
- 志望動機で触れた経験が、職務経歴書の実績欄で数字付きで確認できる
- 2つの書類の日付・氏名・年号の表記がそろっている
スマホで最短3分!履歴書作成ツール【サクレキ】で今すぐ履歴書を作成
まとめ
- 職歴欄:社名の次の行に担当業務と件数を1行添える
- 資格欄:MOS・簿記・秘書検定などを正式名称と取得年月で書く。勉強中の資格も書ける
- 志望動機:「なぜ事務職か」と「なぜこの会社か」を分け、前職の場面に置き換えて書く
- 自己PR:ミスや作業時間を減らした実績を数字で示す
- 書類全体:一般事務の求人倍率は約0.3倍。年号・正式名称・数字の表記をそろえ、履歴書そのものを事務処理の見本にする
書き終えたら、印刷して年号と社名の表記を1欄ずつ確かめてから提出してください。
事務職への転職の履歴書に関するよくある質問
- 事務職に転職する履歴書は手書きとパソコン作成のどちらがよいですか?
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企業から手書きの指定がなければ、パソコンでの作成で問題ありません。事務職ではWordやExcelでの書類作成が日常業務になるため、レイアウトや表記がそろったPC作成の履歴書は、それ自体が操作スキルの証明にもなります。手書きを指定された場合は指示に従ってください。
- 事務の資格を持っていなくても書類選考に通りますか?
-
資格がなくても応募できる事務職の求人は多くあります。その場合は、前職でExcelを使って作成した表や、書類のミスを減らした経験など、実務で使えるスキルを自己PRや職歴欄で具体的に書いてください。勉強中の資格がある場合は「取得に向けて勉強中」と資格欄に書けます。
- 前職の退職理由は履歴書に書く必要がありますか?
-
自己都合で退職した場合は「一身上の都合により退職」と書けば足ります。会社都合の場合は「会社都合により退職」、契約満了の場合は「契約期間満了により退職」と書きます。詳しい理由は面接で聞かれたときに、事務職を志望する理由とつなげて説明できるよう準備しておいてください。
- 転職回数が多い場合、事務職の書類選考で不利になりますか?
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転職回数の多さを気にする採用担当者はいますが、すべての職歴に事務に関係する業務が含まれていれば、経験の幅として読まれることもあります。職歴を省略すると経歴詐称と受け取られるおそれがあるため、すべて書いたうえで、各社の担当業務を1行ずつ添えて一貫性を示してください。
- 一般事務と営業事務で履歴書の書き方は変わりますか?
-
欄の書き方のルールは同じですが、強調する経験が変わります。一般事務ではデータ入力・書類作成・電話対応など幅広い業務の正確さを、営業事務では受発注・見積書作成・顧客対応など営業との連携を、職歴欄と志望動機で前に出してください。

