履歴書に「留年」と書く欄やルールはないため、入学・卒業年月を正しく書けば、留年をわざわざ記載する必要はありません。ただし、留年は年月から読み取れるので、完全に隠すことはできません。年月をずらしてごまかすと経歴詐称になります。この記事では、留年した人の学歴欄の記入例、採用担当者が見ているポイント、面接で理由を聞かれたときの答え方を、理由別の例文付きで紹介します。
履歴書で留年は隠す必要なし|書かなくていい範囲と記入例
結論:「留年」の文字は書かず、入学・卒業年月を正確に書く
一般的な履歴書の学歴欄は、学校名と入学・卒業の年月を書く欄です。留年した年を1行ずつ書き足す決まりはなく、「〇年次に留年」と書かなくてもルール違反にはなりません。
ここで線を引いておきたいのは、「書かない」と「隠す」の違いです。留年を文字にしないことは問題ありません。一方、在学期間を短く見せるために入学年や卒業年を書き換えるのは、事実と異なる記載です。この2つは扱いがまったく違います。
- 書かなくてよいこと:「留年」「〇年次を2回履修」などの文言
- 必ず正確に書くこと:入学年月・卒業(見込み)年月・学校名・学部学科
- やってはいけないこと:入学年を後ろにずらす、卒業年を前に早めるなど、年月の書き換え
留年した場合の学歴欄の記入例
4年制大学に5年在学した場合の例です。新卒の就活なら「卒業見込み」、既卒・転職なら「卒業」と書きます。年月の表記は、和暦・西暦のどちらかに履歴書全体で統一してください。
良い書き方(大学で1年留年・新卒の場合)
2018年 3月 〇〇県立△△高等学校 普通科 卒業
2018年 4月 〇〇大学 経済学部 経済学科 入学
2023年 3月 〇〇大学 経済学部 経済学科 卒業見込み
※入学から卒業まで5年。「留年」の文言は書かず、実際の年月をそのまま記載しています。
NG例(年月をずらして留年を隠す)
2018年 3月 〇〇県立△△高等学校 普通科 卒業
2019年 4月 〇〇大学 経済学部 経済学科 入学
2023年 3月 〇〇大学 経済学部 経済学科 卒業見込み
実際は2018年入学なのに1年遅らせて書き、在学4年に見せています。入学年月の虚偽記載にあたり、証明書と照合されれば発覚します。高校卒業から1年空くので、浪人と見なされて別の質問を受けるきっかけにもなります。
新卒向けの書式で年月を整理しながら書きたい場合は、新卒用の履歴書テンプレートを使うと、学歴欄の行数や並び順で迷いにくくなります。
留年・休学・浪人・中退の書き分け
在学期間が標準と違うケースは留年だけではありません。休学と中退は書き方のルールが変わるので、自分がどれにあたるかを先に確認してください。
| ケース | 学歴欄への記載 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 留年 | 不要 | 入学・卒業年月を事実どおりに書く |
| 浪人 | 不要 | 予備校は学歴に書かない。高校卒業と大学入学の間が空く |
| 休学 | 書くのが一般的 | 期間と理由を1行添える(例:留学のため1年間休学) |
| 中退 | 必ず書く | 「中途退学」と書き、入学と退学の年月を残す |
留年と休学が重なっている場合、休学の期間は書き、留年の文言は書かないのが基本です。大学の学部・学科の正式名称や、浪人・編入をあわせて確認したい人は、次の記事も参考になります。

履歴書で留年を隠してもばれる3つの理由
「書かなければ気づかれないのでは」と考える人は少なくありません。実際には、採用担当者は書類を受け取った時点で在学年数に気づきます。理由は次の3つです。
理由1:入学・卒業年月から在学年数がわかる
4年制大学なら、入学から卒業まで4年が標準です。学歴欄の年月を引き算すれば在学年数が出るため、「留年」と書かなくても、5年在学なら1年多いことは一目で伝わります。生年月日の欄とあわせて見れば、浪人と留年のどちらで年齢がずれているかもわかります。
理由2:内定後に卒業証明書・成績証明書と照合される
新卒採用では、内定後や入社手続きのときに卒業(見込み)証明書や成績証明書の提出を求める企業が多くあります。記載項目は大学ごとに異なるものの、次のような情報が載るのが一般的です。
- 卒業証明書:卒業(修了)年月日、学部学科、学位。大学によっては入学年月日も記載
- 成績証明書:科目ごとの評価と単位、修得年度。入学年月日が載る大学もある
成績証明書には修得年度が並ぶので、同じ学年の科目を2年続けて履修していれば、そこから留年が読み取れます。履歴書の年月をずらしていた場合は、この照合で食い違いが表に出ます。
理由3:年月をずらすと経歴詐称になる
留年の文言を書かないことは問題ありません。しかし、年月を書き換えて在学期間を偽ると、それ自体が経歴詐称になります。多くの企業は、就業規則で「重要な経歴を偽って採用された場合」を懲戒事由に定めています。学歴を偽った社員の懲戒解雇を有効とした裁判例もあります。
採用担当者はここを見ている
- 留年そのものより、年月が証明書と一致しているかどうかを重く見る。1年の留年より、1年分のごまかしのほうが信用を失う
- 大学の履歴書様式などには「記載内容に虚偽があれば採用取消となる場合がある」という誓約欄が設けられていることがあり、提出書類はその前提で読まれる
- 年月のつじつまが合わない履歴書は、ほかの欄の内容まで疑われる
学歴を書かない・偽ることが法的にどう扱われるかは、中退のケースで判例とあわせて整理しています。

採用担当者は履歴書の留年をどう見ている?
留年の事実だけで落とすとは限らない
就活支援各社の解説では、留年を理由に一律で不採用とする企業は減っている、という見方が多く見られます。特に1年程度の留年で、理由を説明できる場合は、書類の段階で大きな減点になりにくい傾向です。理系の学生や転職の場面では、在学年数がほとんど問われないケースもあります。
ただし、評価の基準は企業ごとに違います。2年以上の留年や、理由を聞かれて言葉に詰まる状態は、印象を下げやすいのも事実です。不利かどうかは留年の年数より、説明の準備ができているかで変わります。
見ているのは「理由」と「その期間の過ごし方」
面接で留年の理由を聞くのは、応募者を責めるためではありません。入社後に働くうえで気になる点がないかを確かめるためです。
採用担当者はここを見ている
- 体調面:病気やケガが理由なら、今は働くうえで支障がないか
- 人柄:留年を他人や環境のせいにせず、自分の課題として受け止めているか
- 学び:留年した1年で何を立て直し、何を身につけたか
この3点に答えられる準備があれば、留年は「隠したい過去」から「説明できる経歴」に変わります。採用担当者が警戒するのは、留年した人より、留年について話そうとしない人です。
留年を不利にしない履歴書の書き方のコツ
補足を一言添えるなら本人希望記入欄・備考欄
学歴欄を事実どおりに書いたうえで、在学年数について先回りして伝えたい場合は、本人希望記入欄や備考欄に短く添える方法があります。必須ではありませんが、留学や病気など前向きに説明しやすい理由なら効果的です。
良い書き方(備考欄に添える場合)
大学3年次に体調不良により単位を取得しきれず、在学期間が1年延びました。現在は完治しており、業務に支障はありません。
NG例
サークル活動とアルバイトが忙しく、授業に出られなかったため留年しました。
書類に書くと言い訳に見える理由は、欄に書かず面接で伝えます。書面では改善の過程まで伝えきれず、マイナスの部分だけが残ります。
転職で使う履歴書は、書式によって備考欄の有無が違います。補足を書く欄がある書式を選びたい場合は、転職用の履歴書テンプレートから欄の構成を比べてみてください。
留年期間の経験を自己PR・ガクチカで使う
留年した1年に取り組んだことがあるなら、学歴欄ではなく自己PRや「学生時代に力を入れたこと」の欄で、経験として書けます。資格の勉強、長期インターン、留学などは、留年を「時間を使って得たもの」として見せる材料になります。
良い例文(自己PR欄)
私の強みは、立てた計画を最後までやり切る力です。大学3年次に単位不足で留年したことをきっかけに、週単位の学習計画を作り、毎週末に進み具合を見直す習慣をつけました。その結果、翌年は必要単位をすべて取得し、並行して日商簿記2級にも合格しました。入社後も、目標から逆算して進み具合を管理する姿勢で業務に取り組みます。
応募先の様式で付記を求められたら従う
市販の履歴書や、厚生労働省の履歴書様式例には、留年を書く欄はありません。一方、公的な申請書類の中には「休学、留年、中退等で本来の修業年限と異なる場合はその旨を付記すること」と注記した様式もあります。
- 応募先が独自のエントリーシートで「在学期間が標準と異なる理由」を聞いている場合は、正直に記入する
- Webエントリーで「留年の有無」を選ぶ項目がある場合は、事実どおりに選ぶ
- 指定がない市販の書式やJIS規格の履歴書なら、年月を正確に書くだけでよい
面接で留年理由を聞かれたときの答え方【理由別例文】
答え方の型は「結論→経緯→改善→入社後」
履歴書に留年を書かなくても、在学年数を見た面接官から理由を聞かれることはよくあります。その場で考えると言い訳が長くなりがちなので、次の順番で30秒〜1分に収まるよう準備しておいてください。
- 結論:留年の理由を一言で言う
- 経緯:何が原因だったかを、自分の課題として説明する
- 改善:そのあと何を変え、どんな結果が出たかを話す
- 入社後:その経験を仕事でどう生かすかで締める
面接官は多くの応募者を見ているため、作り話は話の細部で見抜かれやすく、ばれた時点で評価は大きく下がります。理由は事実のまま、伝え方の順番だけを工夫するのが安全です。
単位不足(学業不振)で留年した場合
良い例文
単位が足りず、1年留年しました。アルバイトの時間を増やしすぎて、試験前の準備が追いつかなかったことが原因です。翌年はシフトを週3日に減らし、科目ごとの学習スケジュールを作って管理した結果、残りの単位をすべて1年で取得できました。仕事でも、優先順位を決めて時間を割り振る習慣を生かしたいと考えています。
NG例
教授の評価が厳しく、必修科目を落とされてしまいました。
原因を他人に置くと、入社後も同じ考え方をする人だと受け取られます。
病気・ケガで留年した場合
良い例文
大学2年次に体調を崩して通院が続き、出席日数が足りず1年留年しました。現在は完治しており、医師からも就業に制限はないと言われています。復学後は体調管理のために生活リズムを整え、それ以降は授業を一度も休んでいません。
病名まで詳しく話す必要はありません。採用担当者が知りたいのは「今、働くうえで支障があるか」なので、現在の状態をはっきり伝えます。通院が続いている場合は、勤務に影響する範囲だけを正直に伝えておくと、入社後の配慮も受けやすくなります。
留学・就活のやり直しで留年した場合
良い例文(就活のやり直し)
昨年の就職活動では業界研究が足りず、入社後に働く姿を具体的に描けないまま内定先を決めかけました。納得して働ける会社を選びたいと考え、卒業を1年延ばしました。この1年は2社で長期インターンに参加し、営業の現場を経験したうえで、御社を志望しています。
留学による留年は、学んだ内容と帰国後の変化をセットで話せば、そのまま強みになります。就活のやり直しでは、「なぜ前回は決めなかったのか」と「今回なぜこの会社なのか」がつながっているかを、面接官は確認しています。
部活・課外活動に打ち込んで留年した場合
良い例文
体育会の主将として練習と遠征の運営を任され、学業との両立ができずに1年留年しました。両立できなかったのは自分の時間管理の甘さだと受け止めています。翌年は練習の運営を副主将と分担し、自分が抱える仕事を減らしたうえで、単位を取り切りました。
採用担当者はここを見ている
- 活動の成果を語るだけで終わらず、学業を落とした点への反省があるか
- 「次に同じ状況になったらどうするか」まで答えられるか。深掘りの質問で聞かれやすい
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留年した年の入学・卒業年月を数え間違えたまま提出すると、意図がなくても「年月をごまかした」と受け取られる恐れがあります。手書きで何度も書き直すより、入力した内容から履歴書を作れるツールを使うと、年月の確認と修正に時間をかけられます。
まとめ
- 「留年」は書かなくてよい:入学・卒業年月を事実どおりに書けば足りる
- 年月から留年は伝わる:在学年数と証明書で確認できるため、完全には隠せない
- 年月の書き換えは経歴詐称:内定取消や懲戒の対象になり得る
- 休学・中退は書く:留年とはルールが違うので混同しない
- 面接の準備が評価を分ける:「結論→経緯→改善→入社後」の順に、事実のまま話す
留年は隠すものではなく、聞かれたときに説明できれば十分な経歴です。学歴欄の年月を確認したら、面接で話す理由を一度声に出して練習してから選考に臨んでください。

履歴書の留年に関するよくある質問
- 2年以上留年していても、履歴書に「留年」と書かなくていいですか?
-
年数にかかわらず、学歴欄に「留年」と書く決まりはありません。入学・卒業年月を事実どおりに書けば問題ありません。ただし、留年が長いほど面接で理由を聞かれる可能性は高くなります。年数ごとに何があったかを説明できるよう準備しておいてください。
- 留年と浪人は、履歴書から見分けられますか?
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見分けられます。浪人は高校卒業から大学入学までの間が空き、留年は大学の入学から卒業までの期間が標準より長くなります。学歴欄の年月を見れば、どちらで年齢がずれているかはわかります。
- エントリーシートで留年の有無や理由を聞かれたら、どう書けばいいですか?
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応募先が項目として聞いている場合は、事実どおりに記入します。理由欄があれば「単位不足により1年留年。翌年に残りの単位をすべて取得」のように、原因と改善の結果を1〜2文で書くと、面接での説明ともつながります。
- 留年を隠すために年月をずらして提出してしまいました。どうすればいいですか?
-
気づいた時点で、応募先の採用担当者へ連絡し、正しい年月を伝えてください。証明書の提出後に発覚するより、自分から訂正したほうが不利益は小さくなります。対応は企業の判断によりますが、放置しても在学期間の食い違いは消えません。

