広報IRの職務経歴書は、業務の羅列でなく開示実務の経験値と発信力を1つの要約で両立させることが通過の鍵です。広報経験者がIRを兼務するケースと、財務・経理・総務からIR未経験でキャリアチェンジするケースの両方について、採用担当者が実際に見ているポイントと、開示実務・投資家対応の具体的な例文をあわせて紹介します。
広報IR職務経歴書の書き方【結論】と例文
結論:広報IRは「発信力」の実績と「財務・IR知識」を1つの要約で両立させる
広報IRの職務要約では、メディア対応や情報発信の実績と、有価証券報告書や決算説明会など開示実務の経験を、どちらも欠けることなく短い文章に凝縮することが最優先です。片方だけでは「広報寄り」「経理寄り」という印象になり、複合職種としての適性が伝わりません。
採用担当者は職務要約の数行で、広報とIRのどちらの実務をどこまで担ってきたかを判断します。前半に開示実務の経験、後半にメディア対応の実績という構成にすると、両方の専門性が同じ重みで伝わります。
広報IR職務要約の例文(広報経験者がIRを兼務するケース)
広報として入社し、上場準備または上場後にIR業務を兼務するようになったケースの例文です。
良い例文
上場企業のコーポレート広報として3年間勤務後、IR業務を兼務。決算説明会の運営(年4回・機関投資家参加者平均40名)と適時開示資料の作成を担当し、プレスリリース配信(年間35本)によるメディア掲載も継続して獲得しています。財務諸表を読む力とメディア対応経験の両方を活かし、投資家・株主・メディアに一貫したメッセージを発信できます。
NG例
広報とIRの業務を兼任しておりました。プレスリリースの作成やIR資料の準備、株主総会の対応などを行っておりました。業務名を並べただけで、それぞれの実務レベルや規模が伝わらない。
採用担当者はここを見ている
- 決算説明会・株主総会の運営規模(参加者数・開催頻度)が具体的に書かれているか
- 適時開示や有価証券報告書の作成にどこまで関与したか(補助か主担当か)
- メディア対応と投資家対応、どちらの実績も併記されているか

採用担当者が広報IRの職務経歴書で必ず見る3つのポイント
広報IRの書類選考では、財務知識と対外コミュニケーション力のどちらか一方に偏っていないかが真っ先に確認されます。以下の3点は、職務経歴のどこかに必ず盛り込んでおきたい要素です。
- 開示実務の経験:決算短信・有価証券報告書・適時開示資料の作成にどの程度関与したか
- 決算説明会・IRセミナーの運営規模:開催頻度、参加した機関投資家・アナリストの人数
- 機関投資家・アナリスト対応の経験:個別面談や質問対応をどの立場で担当したか
この3点がすべて揃っていなくても問題ありません。現時点でどこまで担当しているかを正直に書くほうが、実務レベルを誤解されずに評価されます。メディア対応の経験が長い場合は、その専門性を職務経歴の前半に厚く配置してください。

広報IRの実績を数値化する5つの指標
「IRの成果は数字にしにくい」と感じる方は少なくありませんが、意識すれば多くの業務が数値化できます。以下の指標を参考に、過去の業務を見直してみてください。
| 業務の種類 | 数値化の例 |
|---|---|
| 決算説明会・IRセミナー | 開催回数、参加者数(機関投資家・アナリスト別)、質疑応答件数 |
| 適時開示・有価証券報告書 | 年間の開示件数、作成から提出までの主担当領域 |
| 個人投資家向けIR | 説明会参加者数、株主優待制度の企画・運営実績 |
| プレスリリース・メディア対応 | 年間配信本数、掲載獲得件数、取材対応件数 |
| 統合報告書・アニュアルレポート | 制作関与範囲、外部評価機関からの評価向上実績 |
数字が出しにくい場合でも、対象人数や開催頻度といった「規模感」を書くだけで、業務の実態が伝わりやすくなります。経理・財務出身で数字の扱いに慣れている方は、経理の職務経歴書テンプレートの実績欄の書き方も参考になります。
状況別|広報IRの職務経歴書の例文
広報IRを志望する背景は人によって異なります。ここでは「財務・経理からIR未経験でキャリアチェンジする場合」と「上場準備中(IPO準備)企業の広報IR求人に応募する場合」の2パターンを紹介します。
財務・経理・総務からIR未経験でキャリアチェンジする場合
IR一本で経験を積んだ人材は少数派で、財務・経理・総務からの転身は珍しくありません。この場合は財務知識をIR業務にどう転用できるかを明確に書くことが評価につながります。総務出身で株主総会の運営に携わった経験がある方は、人事の職務経歴書テンプレートの項目立ても、社内調整力の書き方の参考になります。
良い例文
経理部門にて5年間、決算業務および有価証券報告書の作成補助を担当。決算数値の集計・分析に加え、監査法人対応の窓口も務めました。財務諸表を読み解く力と社内外の関係者との調整経験を活かし、投資家に向けた正確でわかりやすい情報発信に貢献したいと考えています。
NG例
経理として働いてきましたが、数字を扱う仕事が得意なのでIRにも興味があります。「興味がある」だけでは、財務経験がIR業務にどう活きるかが伝わらない。
上場準備中(IPO準備)企業の広報IR求人に応募する場合
IPO準備企業の広報IRは、開示体制の構築を一から担うケースが多く、仕組みづくりの経験そのものが評価対象になります。前職での立ち上げ経験があれば、業種を問わず具体的に書いてください。
良い例文
広報担当として、社内広報体制の整備をゼロから主導(社内報の新設、経営層メッセージの発信フロー構築)。この経験を活かし、IPO準備企業では投資家向け説明資料のフォーマット設計や開示スケジュールの管理体制構築など、仕組みづくりから携わりたいと考えています。
採用担当者はここを見ている
- 前例のない業務を自分で設計・構築した経験があるか
- 限られた人員・情報の中で優先順位をつけて動けるか
ハローワーク経由の求人など、指定フォーマットでの提出を求められる場合もあります。その際はハローワーク用の職務経歴書テンプレートを使うと、項目の抜け漏れを防げます。

自己PR欄の書き方と例文
自己PR欄は、職務要約と実績欄では伝えきれない「広報IRとして何を大事にしているか」を補完する場所です。300〜400文字を目安に、実務での判断軸まで書くと説得力が増します。
良い例文①(広報経験者・IR兼務)
広報とIRの両方に携わる中で意識してきたのは、メディア・株主・投資家という異なる受け手に対して、同じ事実を一貫したメッセージで伝えることです。決算説明会の資料作成では、専門用語をそのまま使うのではなく、投資家の疑問を先回りして構成を組み立ててきました。新しい環境でも、正確な情報開示と信頼構築の両輪で貢献します。
良い例文②(財務・経理からのキャリアチェンジ)
経理として数字の裏付けを取る仕事を続けてきた経験から、「数字に根拠があるか」を常に確認する姿勢が身についています。この姿勢は、投資家に開示する情報の正確性を担保するIR業務にそのまま活かせると考えています。財務の知識を土台に、対外的な発信力を磨きながら広報IRとして貢献したいと考えています。
NG例
コミュニケーション能力があり、数字を扱うことにも抵抗がないため、広報IRの仕事に向いていると思います。抽象的な自己評価だけで、具体的な経験や判断軸が書かれていない。
まとめ
- 広報IRの職務要約は、発信力の実績と開示実務の経験を同じ重みで書く
- 採用担当者は開示実務の経験・決算説明会の運営規模・投資家対応の経験を見ている
- 実績は「開催回数」「参加者数」「掲載件数」など具体的な数字で示す
- 財務・経理からのキャリアチェンジは、数字を扱ってきた経験をIR業務への転用として言語化する
- IPO準備企業では、仕組みづくりの経験そのものが評価対象になる
広報とIR、それぞれの実務経験を切り分けて書くのではなく、両方が交わる部分を意識して構成することで、複合職種としての強みが伝わりやすくなります。
広報IRの職務経歴書に関するよくある質問
- 広報IRの職務経歴書は何枚が目安ですか?
-
A4用紙で2〜3枚が目安です。広報とIRの両方の実績を書くと分量が増えやすいため、応募先の求人が重視する領域(社外広報寄りかIR寄りか)を見極めて、その実績を前半に厚く配置してください。
- IR実務が未経験の場合、何をアピールすればいいですか?
-
財務諸表を読む力、対外的な資料作成の経験、社内外の関係者との調整経験など、前職の業務からIRに転用できる要素を具体的に書きます。経理・財務・総務・広報のいずれの出身でも、数字の正確性を担保してきた経験は評価材料になります。
- 英語力はどの程度アピールすべきですか?
-
海外機関投資家との対応が想定される企業では、英語力が選考のポイントになる場合があります。TOEICのスコアだけでなく、英文の決算資料作成や海外投資家向け説明会での対応経験があれば、具体的な業務内容とあわせて記載してください。
- 広報とIR、どちらの実績を先に書けばいいですか?
-
応募先の求人が求めている領域を優先してください。IR比重が高い求人であれば決算説明会や適時開示の実績を先に、社外広報の比重が高い求人であればメディア対応の実績を先に配置すると、採用担当者が求める情報にすぐたどり着けます。

