職務経歴書でコミュニケーション能力を伝えるときは、「傾聴力」「調整力」など具体的な力に言い換え、仕事の場面と結果をセットで書くのが通過する書き方です。「コミュニケーション能力が高い」の一文だけでは、採用担当者の印象に残りません。営業・事務・介護など職種別の例文10本と、読み飛ばされるNG例の書き直し方を紹介します。
職務経歴書でコミュニケーション能力を伝える書き方と例文
「コミュニケーション能力」は5つの力に分けて書く
「コミュニケーション能力」は意味の幅が広く、人によって思い浮かべる中身が違います。営業職の採用担当者は「交渉して契約をまとめる力」を、事務職の採用担当者は「部署間の調整を滞らせない力」を想像するかもしれません。
そこで職務経歴書では、自分のコミュニケーション能力がどの種類なのかを先に決めてから書くのが近道です。次の表から、自分の経験に近いものを1つ選んでください。
| 力の種類 | 職務経歴書での言い換え例 | 伝わりやすい職種 |
|---|---|---|
| 聞く力 | 傾聴力 / ヒアリング力 / 要望を引き出す力 | 販売・接客、コールセンター、介護、看護 |
| 伝える力 | 説明力 / 専門用語をかみ砕いて伝える力 | エンジニア、営業、講師・教育 |
| 調整する力 | 調整力 / 関係部署との連携力 / 段取り力 | 事務、施工管理、企画、人事 |
| 交渉する力 | 交渉力 / 提案力 / 合意形成力 | 営業、購買、不動産 |
| 関係を築く力 | 信頼関係の構築力 / チームをまとめる力 | リーダー・管理職、ルート営業、介護 |
例文の基本構成は「強み→場面→工夫→結果→活かし方」
力の種類を決めたら、次の5つの順番で文章を組み立てます。職務経歴書の自己PRは200〜400字程度が目安です。応募先に文字数の指定があれば、そちらに合わせてください。
- 強み:「〇〇力があります」と言い換えた力を1つだけ書く
- 場面:誰と、どんな業務で発揮したのか
- 工夫:その場面で自分が具体的に何をしたのか
- 結果:数字や周囲の評価など、行動の後に変わったこと
- 活かし方:応募先の仕事でどう使えるか
基本の例文とNG例
同じ経験でも、構成に沿って書くかどうかで伝わり方が大きく変わります。まずは良い例とNG例を比べてください。
良い例文(基本形)
相手の要望を正確に聞き取り、関係者に伝わる形に整理する力があります。前職では社内システムの問い合わせ窓口を担当し、月平均120件の質問に対応してきました。回答が伝わらず同じ質問が繰り返される状況を改善するため、よくある質問を画面写真付きの手順書にまとめ、社内ポータルに掲載しました。その結果、3か月で問い合わせ件数を約3割減らすことができました。貴社でも、利用者の声を拾い上げて業務改善につなげる役割を担いたいと考えています。
NG例
私の強みはコミュニケーション能力です。誰とでもすぐに打ち解けることができ、前職でも周囲と良好な関係を築いてきました。この力を活かして貴社に貢献したいと考えています。
どんな場面で、何をして、どうなったのかが一つも書かれていません。応募者の誰もが書ける内容のため、採用担当者の記憶に残りません。
採用担当者はここを見ている
- 「コミュニケーション能力」の中身が、応募職種で使う力と一致しているか
- 本人の行動(工夫)が書かれているか。「周囲と良好な関係」は結果ではなく状態にすぎない
- 入社後に同じ行動を再現できそうか
【職種別】職務経歴書のコミュニケーション能力の例文10選
ここからは職種・状況別の例文です。数字や固有の業務内容は自分の経験に置き換えて使ってください。例文をそのまま写すと、面接で深掘りされたときに話が続きません。
営業職の例文(交渉力)
良い例文(営業職)
顧客の課題を聞き出したうえで、双方が納得できる条件を提案する交渉力があります。法人向けに事務機器のリース営業を担当し、値下げ要望の強い既存顧客に対して、保守内容の見直しで総額を抑えるプランを提示しました。価格だけでなく運用面の不安を一つずつ解消したことで、担当40社のうち38社と契約を更新しています。貴社でも長期的な取引につながる提案を続けたいと考えています。
営業職では「話がうまい」より「相手の事情を聞いて条件を組み立てられる」ことが評価されます。自己PR以外の欄の構成は営業の職務経歴書テンプレートを見ながら埋めると、全体の書き漏れを防げます。
事務職の例文(調整力)
良い例文(事務職)
複数部署の要望を整理し、業務を滞らせずに進める調整力があります。総務事務として備品発注を担当していた際、各部署からの依頼がメールや口頭でばらばらに届き、発注漏れが月に数件起きていました。そこで依頼フォームを作成し、締め日を各部署の責任者と合意したうえで運用を切り替えました。切り替え後の半年間、発注漏れはゼロです。貴社でも部署間の橋渡し役として事務の正確さを高めていきます。
事務職は「誰とでも話せる」より、ルールを決めて関係者に合意をとった経験のほうが仕事ぶりを想像してもらえます。書式に迷う場合は事務の職務経歴書テンプレートが参考になります。
販売・接客職の例文(傾聴力)
良い例文(販売・接客職)
お客様の言葉にならない要望をくみ取る傾聴力があります。アパレル店で接客を担当し、「なんとなく見ている」というお客様にも、着用シーンや手持ちの服を質問しながら提案することを心がけてきました。セット購入率は店舗平均の1.4倍となり、指名で来店されるお客様も増えました。貴社の店舗でも、お客様が再来店したくなる接客を続けます。
介護職の例文(信頼関係の構築力)
良い例文(介護職)
利用者様やご家族と信頼関係を築く力があります。特別養護老人ホームで、入浴を拒否されることが多い利用者様を担当しました。拒否の理由を日々の会話から探り、好きな歌の話題から声かけを始める方法をチームで共有したところ、週2回の入浴を継続できるようになりました。ご家族への面会時の報告も欠かさず行い、施設への要望を早めに聞き取ってきました。貴施設でも利用者様の小さな変化に気づける介護を実践します。
介護職は数字の成果が出しにくい仕事です。その場合は「利用者様の行動がどう変わったか」を結果として書けば十分伝わります。職歴欄の書き方は介護業界の職務経歴書テンプレートで確認できます。
看護師の例文(多職種との連携力)
良い例文(看護師)
医師やリハビリスタッフなど多職種と情報を共有し、退院支援を円滑に進める連携力があります。急性期病棟で退院調整を担当した際、カンファレンスで患者様の生活背景を具体的に伝えることを徹底し、ソーシャルワーカーとの面談日程も早めに組むようにしました。その結果、担当患者様の退院延期を前年より減らすことにつながりました。貴院でもチームの中で患者様の声を届ける役割を担います。
看護師の職務経歴書は、配属科や病床数などの基本情報も合わせて読まれます。看護師の職務経歴書テンプレートに沿って記入すると、必要な項目がそろいます。
コールセンターの例文(説明力)
良い例文(コールセンター)
電話だけで相手の状況を把握し、わかりやすく説明する力があります。インターネット回線のサポート窓口で、機器操作に不慣れなお客様からの問い合わせに対応してきました。専門用語を使わずに「左側の緑のランプ」のように見たままの言葉で案内する工夫を重ね、1件あたりの平均対応時間を2分短縮しました。貴社でもお客様の不安を早く解消できる対応を目指します。
エンジニアの例文(専門外の人への説明力)
良い例文(エンジニア)
技術的な内容を、専門外の関係者にも判断できる形で説明する力があります。業務システムの改修案件で、営業部門から追加要望が相次ぎ、納期が圧迫される状況になりました。要望ごとに「工数」「影響範囲」「後回しにした場合のリスク」を一覧にして説明し、優先順位を営業部長と合意しました。予定どおりの納期でリリースし、残りの要望も次期開発に組み込んでいます。貴社でも開発側と利用部門の認識のずれを埋める役割を果たします。
リーダー・管理職の例文(チームをまとめる力)
良い例文(リーダー・管理職)
メンバー一人ひとりと対話し、チームの目標に向けて力をまとめる力があります。8名の営業チームのリーダーとして、週1回15分の個別面談を始め、目標の進み具合と困りごとを聞き取りました。成約の多いメンバーの商談の進め方を共有する場も設けた結果、チームの目標達成率は前年の85%から104%に向上しました。貴社でもメンバーが成果を出しやすい環境づくりに取り組みます。
未経験職種へ転職する場合の例文
良い例文(飲食店スタッフから営業職へ)
相手の反応を見ながら提案を変える力があります。飲食店のホールスタッフとして、常連のお客様の好みや来店の目的を覚え、季節のおすすめを個別に提案してきました。追加注文につながる提案を重ねた結果、私の担当テーブルの客単価は店舗平均より約1割高くなりました。業界は異なりますが、相手の話から次の一手を考える姿勢は営業職でもそのまま活かせると考えています。
未経験職種への応募では、前職の経験を応募先の仕事の言葉に置き換える一文を最後に入れると、採用担当者が活躍する姿を想像しやすくなります。
経験が浅い第二新卒の例文
良い例文(第二新卒)
わからないことを早めに確認し、報告・相談で仕事の手戻りを防ぐ力があります。入社1年目に経理課で請求書処理を担当した際、処理方法に迷う案件はその日のうちに先輩へ確認し、内容を自分用のメモにまとめました。半年後には課内の処理手順書の改訂を任されました。経験はまだ浅いですが、周囲と情報を共有しながら早く戦力になれるよう努めます。
社会人経験が短い場合は、大きな成果よりも「報告・相談の習慣」のような基本動作を具体的に書くほうが信頼されます。自己PR全体の組み立て方は、こちらの記事でも例文付きで確認できます。

採用担当者は職務経歴書の「コミュニケーション能力」をどう読んでいるか
企業がコミュニケーション能力を重視していること自体は、データにも表れています。経団連が2018年度に実施した新卒採用に関するアンケート調査では、選考で特に重視した点として「コミュニケーション能力」が82.4%で、16年連続の1位でした。新卒採用の調査ですが、中途採用でも「一緒に働きやすいか」は必ず見られます。
ただし、重視されているからこそ多くの応募者が同じ言葉を書きます。採用担当者にとって「コミュニケーション能力があります」は、何十枚と読んできた見慣れた一文です。差がつくのは言葉そのものではなく、その裏付けの部分です。
採用担当者はここを見ている
- 職務経歴書そのものの読みやすさ:要点が先に書かれ、1文が短い書類は、それだけで「伝える力がある人」と判断される
- 相手が誰か:顧客なのか、社内の他部署なのか、部下なのか。相手によって求められる力が変わる
- 面接との一貫性:書類で「傾聴力」と書いた人が、面接で質問を最後まで聞かずに話し始めると評価が下がる
見落とされがちなのが1つ目のポイントです。自己PRで説明力を強調していても、職務経歴書全体が読みにくければ説得力はなくなります。提出前に、職務要約が3〜5行に収まっているか、箇条書きで業務が整理されているかを見直してください。
評価されないNG例と書き直し方
書類選考で読み飛ばされる自己PRには、いくつか共通する書き方があります。自分の下書きに当てはまるものがないか確認してください。
| NGな書き方 | 評価されない理由 | 書き直しの方向 |
|---|---|---|
| 「コミュニケーション能力が高いです」 | 自己評価だけで根拠がない | 傾聴力・調整力など具体的な力に言い換える |
| 「誰とでも仲良くなれます」 | 仕事の成果と結びつかない | 関係を築いた結果、業務がどう進んだかを書く |
| 飲み会の幹事や社内イベントの話 | 業務外の経験は評価の対象になりにくい | 同じ力を発揮した業務上の場面を選ぶ |
| 「聞く力」「伝える力」「交渉力」を全部並べる | 強みがぼやけて記憶に残らない | 応募職種に合う1つに絞る |
| 「売上を大幅に伸ばした」 | 規模が伝わらず、誇張にも見える | 期間・人数・件数など確認できる数字を添える |
特に多いのが、2つ目の「誰とでも仲良くなれる」です。人柄としては魅力的でも、採用担当者が知りたいのは「その力で仕事がどう良くなったか」です。
NG例
人見知りをせず、誰とでもすぐに仲良くなれます。職場では飲み会の幹事を任されることが多く、部署の雰囲気づくりに貢献してきました。
業務とのつながりがなく、応募先でどう役立つのかがわかりません。
良い書き方(書き直し後)
初対面の相手とも早く関係を築く力があります。新規顧客の担当になった際は、初回訪問の前に相手企業の事業内容を調べ、雑談のきっかけになる話題を準備してきました。2回目の訪問で具体的な相談を受ける割合が高まり、提案までの期間を短くできました。
「調整力」のように一言では伝わりにくい力は、言い換えの選択肢を増やしておくと書き分けがしやすくなります。

職務経歴書のどこに書く?自己PR・職務要約・活かせる経験の使い分け
コミュニケーション能力は自己PR欄だけに書くものではありません。職務経歴書の各欄で役割を分けると、同じ話の繰り返しを避けながら強みを印象づけられます。
| 欄 | 書く内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 経歴の概要と、強みの種類を一言で示す(例:「顧客折衝を中心に5年間従事」) | 1〜2文 |
| 職務内容・実績 | 交渉・調整した相手や件数を、業務内容の一部として箇条書きにする | 業務ごとに1〜2行 |
| 活かせる経験・知識 | 「関係部署との調整」「顧客ヒアリング」など、スキルの名前として並べる | 2〜4項目 |
| 自己PR | エピソード・工夫・結果・活かし方まで書き切る | 200〜400字 |
ポイントは、職務要約や実績欄で「調整」「折衝」といった言葉を先に出しておき、自己PRでエピソードを詳しく書く流れにすることです。採用担当者が書類を上から読み進めたとき、強みが一貫して見えます。
良い書き方(職務内容・実績欄の記載例)
・法人顧客40社のルート営業(契約更新・追加提案)
・値下げ要望への条件交渉、保守プランの再設計
・社内の技術部門と連携し、導入時の不具合対応を調整
履歴書にも自己PR欄がある場合は、履歴書には要点を短く、職務経歴書にはエピソードを詳しく、という書き分けが基本です。

エピソードが見つからないときの棚卸し3ステップ
「自分には数字で語れるような成果がない」と感じて、手が止まる方は少なくありません。実際には、コミュニケーション能力のエピソードは「大きな成果」より「日常業務の小さな工夫」から見つかることがほとんどです。次の3ステップで書き出してください。
- 関わった相手を書き出す:顧客、上司、他部署、取引先、後輩など、仕事でやりとりした相手をすべて挙げる
- 相手ごとに「困ったこと」を思い出す:話が伝わらなかった、依頼が遅れた、クレームを受けたなど
- そのとき自分が変えた行動を書く:確認の回数を増やした、資料を作った、伝え方を変えたなど。結果は「ミスが減った」「感謝された」程度でもかまわない
数字がない場合は、「上司から後輩の指導を任された」「お客様から名指しで問い合わせが来るようになった」のように、周囲の評価や任された役割の変化を結果として書けます。
採用担当者はここを見ている
- 成果の大きさより、困りごとに対して自分で考えて行動したかどうか
- 面接で「そのとき具体的にどう声をかけたのか」と聞かれても答えられる、実体験に基づいた話か
書き出したメモがそろったら、それを例文の構成に当てはめるだけで自己PRの下書きができます。白紙の画面を前に悩み続けるより、入力欄に沿って書き進められるツールを使うほうが早く仕上がります。
まとめ
- 言い換える:「コミュニケーション能力」は傾聴・説明・調整・交渉・関係構築のどれかに絞って書く
- 構成で書く:強み→場面→工夫→結果→活かし方の順に、200〜400字でまとめる
- 職種に合わせる:応募先の仕事で使う力を選び、最後の一文で入社後の活かし方を示す
- 欄を使い分ける:職務要約・実績欄で強みを予告し、自己PRでエピソードを詳しく書く
- 小さな工夫で十分:数字がなければ、周囲の評価や任された役割の変化を結果として書く
書類全体が読みやすく整理されていること自体が、あなたの説明力の証明になります。
職務経歴書のコミュニケーション能力に関するよくある質問
- 職務経歴書に「コミュニケーション能力」という言葉を使ってはいけませんか?
-
使うこと自体は問題ありません。ただし、その一言だけで終わると具体性に欠けるため、「顧客の要望を聞き出すヒアリング力」のように中身を補足してください。冒頭で具体的な力の名前を出し、エピソードで裏付ける書き方がおすすめです。
- 自己PRの文字数はどのくらいが適切ですか?
-
職務経歴書の自己PRは200〜400字程度が目安です。履歴書の自己PR欄より少し長めに書けるため、エピソードの工夫と結果まで入れられます。応募先から文字数の指定がある場合は、その指定に従ってください。
- 数字で示せる実績がない場合はどう書けばいいですか?
-
「後輩の指導を任された」「お客様から名指しで問い合わせが来るようになった」など、周囲の評価や役割の変化を結果として書けます。事務職や介護職など数字が出にくい職種では、業務がどう改善されたかを具体的に書けば十分評価されます。
- 学生時代やアルバイトのエピソードを書いてもいいですか?
-
転職での職務経歴書は、原則として社会人になってからの業務経験から選びます。社会人経験が1〜2年程度の第二新卒で、業務上のエピソードが少ない場合は、アルバイト経験を補足として添える程度にとどめると、職務経歴書としての説得力を保てます。

