退職届の「私儀」は、私的な事柄で恐縮ですがという意味でへりくだって使う書き出しの言葉です。読み方は「わたくしぎ」で、本文の一行目にやや小さめの文字で書くのが基本の位置になります。「私事」「私議」との違いや、退職届でも書くべきか迷う方に向けて、意味と正しい使い方を状況別の例文とあわせて解説します。
退職届の「私儀」とは?意味と書く位置を結論から解説
結論:「私儀」は「私的な事柄で恐縮ですが」という意味のへりくだった言葉
「私儀(わたくしぎ)」は、「私個人の事柄で恐縮ですが」という意味を持つ、へりくだった書き出しの言葉です。退職届や退職願、就任・退任の挨拶状など、自分の身の上について正式な文書で述べる際の冒頭に使われます。
「儀」という字には、具体的な内容をあえてぼかしながら謙遜する働きがあります。「私儀」の一言を置くだけで、「これから私事について申し上げます」という前置きの役割を果たせるため、退職届のような一方的な通知文書でも、相手への配慮を示す言葉として広く使われています。
書く位置|縦書きは行の下、横書きは行の右端
「私儀」を書く位置は、縦書きと横書きで変わります。
良い例文
- 縦書き(手書き):本文1行目の書き出しに、周囲の文字よりやや小さく「私儀」と書く
- 横書き(パソコン作成):本文1行目の右端に、他の文字と同じ大きさで「私儀」と書く
NG例
「私儀」を本文の書き出しと同じ大きさ・同じ高さで揃えて書いてしまうのはNGです。強調されすぎてしまい、へりくだった印象が伝わりにくくなります。
漢数字の使い分けや在職年数の書き方など、縦書き退職届の詳しい配置ルールは退職届の縦書きは漢数字が正解|私儀の位置で差がつく書き方で詳しく解説しています。
「私儀」「私事」「私議」の違い|同じ意味・誤字を整理
「私儀」を調べていると、似た読み方の「私事」「私議」が出てきて混乱する方も少なくありません。3つの言葉の違いを整理すると、退職届で使ってよいものと避けるべきものがはっきりします。
| 表記 | 読み方 | 意味 | 退職届での可否 |
|---|---|---|---|
| 私儀 | わたくしぎ | 私事で恐縮ですがという意味のへりくだった表現 | 使用OK(最も一般的) |
| 私事 | わたくしごと | 私儀とほぼ同じ意味。ややくだけた印象 | 使用OK |
| 私議 | しぎ | 自分の意見・私的な議論という別の意味 | 誤字・使用NG |
「私儀」と「私事」はどちらを使っても間違いではありません。一方、「私議」は音が同じなだけの別の言葉のため、変換ミスや思い込みでそのまま使ってしまうと誤字として扱われます。
上司・総務はここを見ている
- 「私議」のような誤字がないか(意味を調べずに書いた印象を与えやすい)
- 「私儀」と「私事」が書類の中で混在していないか
「私儀」は書かなくてもいい?退職届と退職願での必要性の違い
結論から言うと、「私儀」を書かなくても退職届としての効力に影響はありません。退職届は会社への一方的な通知であり、承認を求める書類ではないためです。一方、退職願は退職の許可を求める「お願い」の書類のため、へりくだった「私儀」がなじみやすいとされています。
| 項目 | 退職届 | 退職願 |
|---|---|---|
| 性質 | 会社への一方的な通知 | 退職の許可を求めるお願い |
| 承認 | 不要(提出した時点で効力を持つ) | 会社の承認を経て成立 |
| 私儀の必要性 | 本来は不要だが慣例で使われることが多い | へりくだった表現がなじみやすく一般的 |
退職届と退職願の性質の違いや、提出後に撤回できるかどうかは退職届と退職願の違い|撤回できるかで使い分けで詳しく解説しています。
上司・総務はここを見ている
「私儀」の有無そのものより、退職日・所属・氏名・宛名が正しく揃っているかを重視する担当者がほとんどです。書くかどうかで迷う時間があるなら、基本情報の抜け漏れがないかを見直すほうが実務上は重要です。
【状況別】「私儀」を使った退職届・退職願の例文
一般的な自己都合退職の場合
良い例文
退職届
私儀 このたび一身上の都合により、令和八年九月三十日をもって退職いたします。
令和八年八月十八日
営業部 山田 太郎
株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿
NG例
退職届
私議 このたび一身上の都合により退職します。
令和八年八月十八日
山田 太郎
「私議」の誤字、退職日の未記載、宛名の欠落がNGポイントです。急いで書くときほど、書き出しの一文字を見落としがちです。
退職願として提出する場合
退職願は「お願い」の書類のため、文末を退職届のように言い切らず、「〜お願い申し上げます」で結ぶのが基本です。
良い例文(退職願)
退職願
私儀 この度、一身上の都合により、勝手ながら令和八年九月三十日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
令和八年八月十八日
営業部 山田 太郎
株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿
「私儀」の書き方でよくある失敗と上司・総務が見ているポイント
「私儀」は短い一言ですが、清書の段階で以下のような失敗が起こりやすい箇所です。提出前に見直しておきましょう。
- 「私儀」を「私議」と書いてしまう(変換ミス・思い込みによる誤字)
- 私儀の位置を本文の書き出しと同じ高さ・大きさで揃えてしまう
- 「私儀、私事ながら」のように二重に使ってしまい、意味が重複する
- 私儀のあとに読点や空白を入れず、本文と詰めて書いてしまう
上司・総務はここを見ている
訂正液や二重線での修正は、正式な書類では避けたほうが無難とされています。「私儀」の書き損じに気づいたら、修正せずに新しい便箋へ書き直すのが基本です。
書き損じたときの具体的な対処法やペン選びは退職届の手書きの書き方|書き損じ・ペン選びまでで確認できます。
退職後の転職準備も並行して進める
退職届を提出したあと、続けて転職活動に進む方も多いはずです。応募先ごとの準備に慌てないよう、転職用の履歴書テンプレートを早めに用意しておくと、退職日が決まり次第すぐに動けます。
応募書類の形式に迷う場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートのように公的な基準に沿ったものを選ぶと安心です。
企業によってはJIS規格に沿った履歴書テンプレートを指定される場合もあるため、複数の形式を手元に用意しておくと迷いません。
まとめ
- 「私儀」は「私事で恐縮ですが」という意味のへりくだった書き出しの言葉
- 縦書きはやや小さく行の下、横書きは同じ大きさで行の右端に書く
- 「私事」は同じ意味で使用OK、「私議」は別の意味の誤字
- 退職届では書かなくても効力に影響はないが、慣例として書くのが一般的
「私儀」は意味さえ押さえておけば難しい言葉ではありません。正しい位置と表記で、落ち着いて退職届を仕上げましょう。
退職届の「私儀」に関するよくある質問
- 「私儀」の読み方は何ですか?
-
「わたくしぎ」と読みます。「私事で恐縮ですが」という意味で、退職届や挨拶状などの書き出しに使われる言葉です。
- 「私儀」と「私事」はどちらを使っても大丈夫ですか?
-
どちらも同じ意味を持つ言葉のため、どちらを使っても間違いではありません。会社の指定テンプレートがある場合はそちらの表記に合わせましょう。
- 退職届に「私儀」を書かなくても受理されますか?
-
私儀を書かなくても退職届としての効力に影響はありません。ただし慣例として記載するのが一般的なため、迷った場合は書いておくと無難です。
- 「私儀」を「私議」と書いてしまった場合はどうすればいいですか?
-
「私議」は「自分の意見」という別の意味の言葉のため、訂正せず新しい便箋に書き直しましょう。同じ読み方のため、清書前に見直しておくと安心です。

