作業療法士の職務経歴書は、担当疾患・業務量の数字・生活行為の変化の3点を書けば通ります。「毎日リハビリをしてきただけで書ける実績がない」と手が止まる方は多いのですが、それは実績がないのではなく数え方を知らないだけです。この記事では職場別の例文とNG例、数字の作り方をまとめました。
作業療法士の職務経歴書の書き方【そのまま使える例文つき】
結論:3つの数字と「生活行為の変化」を書けば通る
職務経歴書で採用担当者が知りたいのは、経歴そのものではありません。「このOTが入職したら、どの患者・利用者に、何ができるのか」の一点です。それを伝えるために必要な要素は、次の4つに絞られます。
- 担当疾患・対象者:脳血管疾患、認知症、統合失調症、発達障害など、実際に受け持った層
- 業務量の数字:1日の単位数、週または年間の担当件数、施設の病床数・定員
- 生活行為の変化:更衣・入浴・調理・復職など、その人の生活がどう変わったか
- チーム内での役割:カンファレンス、家族指導、実習指導、委員会など
このうち3つ目の「生活行為の変化」が、作業療法士の書類でいちばん抜けやすい項目です。関節可動域や筋力の話だけで終わると、理学療法士の書類と見分けがつかなくなります。作業療法士が評価されるのは、機能の改善そのものではなく、それが生活のどの場面につながったかを説明できる点です。
職務経歴書に必要な6項目
A4用紙1〜2枚に、以下の6項目を上から順に配置します。凝ったレイアウトは不要です。
| 項目 | 書く内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| ①職務要約 | 経験年数・経験施設・得意領域を1段落で | 3〜4行 |
| ②職務経歴 | 施設ごとの規模・在籍期間・担当疾患・業務内容 | 1施設あたり6〜10行 |
| ③保有資格・免許 | 作業療法士免許、認定資格、関連資格 | 1〜3行 |
| ④評価・介入スキル | 使える評価ツール、得意な介入、対応疾患 | 3〜5行 |
| ⑤自己PR | 強み+根拠となる事例+入職後の貢献 | 300〜400字 |
| ⑥活かせる経験・今後の展望 | 応募先で活かせる点(任意) | 2〜3行 |
枠組みから作るのが面倒な場合は、作業療法士向けの職務経歴書テンプレートに沿って埋めていくと、項目の抜けを防げます。
職務要約の書き方と例文
職務要約は冒頭の3〜4行です。採用担当者はここを読んで、続きを読むかどうかを決めます。「作業療法士として勤務してまいりました」という書き出しは、何も伝えていないのと同じ状態です。経験年数・施設種別・得意領域の3つを、最初の1文に詰め込んでください。
良い例文
作業療法士として7年間、回復期リハビリテーション病棟(4年)と介護老人保健施設(3年)に勤務してまいりました。脳血管疾患後の上肢機能訓練とADL再獲得を中心に、1日平均17単位を担当しています。退院前訪問指導と住宅改修の提案を年間30件程度おこなっており、病院から在宅までを一続きで支援できる点が強みです。
NG例
作業療法士として複数の施設で勤務してまいりました。患者様一人ひとりに寄り添い、チームの一員として積極的に業務に取り組んでまいりました。施設種別も経験年数も担当疾患も書かれておらず、読んでも人物像が浮かばないのが問題です。「寄り添う」「積極的に」は全員が書くため、差がつきません。
採用担当者はここを見ている
- 経験してきた施設種別が、自施設と近いかどうか(回復期経験者を回復期が採る、など)
- 冒頭3行に数字が1つでも入っているか。数字がない書類は「詳細も薄い」と判断されやすい
- 「何でもできます」ではなく、領域を絞って言い切れているか
職務経歴・業務内容の書き方と例文
施設ごとに、規模・在籍期間・担当疾患・業務内容・件数を並べます。新しい勤務先から順に書く逆年代順が一般的です。業務内容は箇条書きにして、1行1トピックにすると読み違えられません。
良い例文
医療法人〇〇会 〇〇リハビリテーション病院(回復期リハビリテーション病棟 60床)
2021年4月〜2026年3月(5年0か月)/常勤・作業療法士
- 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)および大腿骨頸部骨折の患者を担当。受け持ちは常時14〜16名、1日16〜18単位
- FIM・MMSEによる評価、上肢機能訓練、更衣・入浴・調理を中心としたADL/IADL訓練を実施
- 退院前訪問指導を年間25〜30件担当し、手すり設置・段差解消などの住宅改修を家族・ケアマネジャーへ提案
- 週1回の多職種カンファレンスにOT代表として参加。自宅退院の可否判断に関する情報提供を担当
- 2024年度より実習指導者として学生を年2名受け入れ
NG例
〇〇リハビリテーション病院 2021年4月〜2026年3月
回復期病棟にて、患者様への作業療法業務全般に従事しました。他職種と連携を取りながら業務を進めてまいりました。「業務全般に従事」は、何をしたか一文も説明していない表現です。この書き方だと、勤務先と在籍期間しか情報がなく、履歴書の職歴欄と内容が重複してしまいます。
病院・クリニック全般に共通する書式の作法は、医療業界向けの職務経歴書テンプレートでも確認できます。
【職場別】作業療法士の職務経歴書 例文5パターン
同じ作業療法士でも、勤務してきた場所によって「書くと評価される内容」は変わります。応募先に近い項目を厚めに書くのが基本です。
回復期リハビリテーション病棟の場合
回復期で評価されるのは、在宅復帰につなげた実績です。FIMの改善、自宅退院の支援件数、退院前訪問の経験を数字で示してください。
良い例文
回復期リハビリテーション病棟(60床)にて、脳血管疾患・運動器疾患の患者を年間およそ80名担当しました。担当患者の約8割が自宅退院となり、うち25名程度は退院前訪問指導と住宅改修提案を通じて在宅生活の環境調整までおこなっています。片麻痺のある方に対しては、利き手交換訓練と自助具の選定により、退院時に食事・整容を自立レベルまで到達させた事例が複数あります。
急性期病院の場合
急性期は「早期離床とリスク管理ができるか」が見られます。介入開始までの日数、リスクのある症例への対応経験を書くと具体性が出ます。
良い例文
急性期病院(350床)の脳神経外科・整形外科病棟を担当し、1日14〜16単位で介入しました。発症・術後48時間以内からの離床を医師・看護師と調整しながら進め、意識障害や循環動態が不安定な症例ではバイタルサインを基準にした中止基準を運用しています。転院・自宅退院の方向性を早期に見立て、回復期病院への情報提供書を年間60件程度作成しました。
老健・訪問リハビリ(生活期)の場合
生活期では、認知症への対応、福祉用具の選定、家族・ケアマネジャーとの連携が評価されます。訪問件数と、自宅環境に手を入れた具体例を入れてください。
良い例文
介護老人保健施設(入所定員100名)で認知症・廃用症候群の方を中心に週45件のリハビリを担当し、あわせて訪問リハビリを月20件受け持ちました。利用者の「またお茶を淹れたい」という希望から調理動作の再獲得を目標に設定し、動線の整理と福祉用具の導入で1年間に自宅内の役割を取り戻した事例を複数経験しています。ケアマネジャーへの住宅改修提案は年20件程度おこないました。
介護施設への応募が中心になる場合は、介護業界向けの職務経歴書テンプレートの項目立ても参考になります。
精神科病院・クリニックの場合
精神科では、プログラムの設計力と地域移行の実績が問われます。対象疾患名と、担当したプログラムの中身を具体的に書いてください。
良い例文
精神科病院(300床)の回復期・慢性期病棟にて、統合失調症・気分障害の方を担当しました。SST(社会生活技能訓練)と調理・園芸を組み合わせた集団プログラムを週5枠設計し、参加者の生活リズムと対人交流の改善を図っています。地域移行支援では相談支援事業所・グループホームと連携し、年間15名程度の退院後フォローに関わりました。
小児・発達支援の場合
小児領域は、保護者支援と外部機関との連携経験が採用の判断材料になります。対象児の疾患・特性と、保護者や学校への働きかけを書き分けてください。
良い例文
児童発達支援・放課後等デイサービス(定員20名)にてASD・ADHD・発達性協調運動症のあるお子さんを1日6〜8名担当しました。感覚統合の視点から遊具・課題を設定し、書字や着替えなど園や学校の場面で困っている動作に的を絞って介入しています。保護者面談を月1回、就学先や保育園への訪問・情報共有を年10件程度おこないました。
就労支援施設や障害福祉サービスへの応募では、福祉業界向けの職務経歴書テンプレートの構成に合わせると読み手が理解しやすくなります。
「書ける実績がない」を数字に変える3ステップ
作業療法士の方から最も多いのが「営業のように数字で語れる仕事ではない」という声です。ただ、実際に書き出してみると、数えられるものは想像以上にあります。次の3ステップで手を動かしてください。
ステップ1:業務量を数える
まず、自分が動かしてきた量を数字にします。診療報酬上のリハビリは1単位20分で計算されるため、1日の単位数はそのまま業務量の指標になります。
- 1日あたりの平均単位数(例:16〜18単位)
- 常時受け持っている人数、年間の担当延べ人数
- 勤務先の病床数・入所定員・1日平均利用者数
- 訪問件数、退院前訪問指導の件数、家族指導の回数
ステップ2:生活行為の変化を1例だけ書き出す
数字の次は中身です。担当した中で印象に残っている症例を1つ選び、「介入前は何ができなかったか」「何をしたか」「退院・終了時に何ができるようになったか」の3点を書き出します。ここが作業療法士の書類の核になります。
個人が特定される情報は書けませんが、「80代女性・右片麻痺」程度の粒度であれば問題ありません。実際の書類では「利き手交換訓練と自助具の導入により、食事動作を自立レベルまで到達」といった形にまとめます。
ステップ3:任された役割を拾う
臨床以外で任された仕事は、経験年数が短い方ほど効きます。実習指導、新人のプリセプター、委員会活動、勉強会の担当、記録様式の見直しなど、「誰かに頼まれてやった仕事」を思い出してください。役割を任されている事実そのものが、職場での評価を示す材料になります。
採用担当者はここを見ている
- 数字は多さを競うものではない。単位数が少なくても、対象者が重度であれば説明がつく
- 経験1〜2年目には成果より「何に集中して経験を積んだか」を求めている
- 正確な統計が手元になければ「およそ」「程度」で構わない。空欄よりはるかに評価される
経験年数が浅く、そもそも書く材料が集まらないと感じる場合は、以下の記事の考え方がそのまま応用できます。

採用担当者が落とす職務経歴書 NG5パターン
書類選考で外されやすいパターンには共通点があります。5つに整理しました。
| NGパターン | なぜ落とされるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「作業療法業務に従事」で終わる | 何をしたのか一文も書かれていない | 担当疾患・評価・介入・件数に分解する |
| 数字が1つもない | 業務量も規模も推測できない | 単位数・担当人数・病床数を1つ以上入れる |
| 機能訓練の話だけ | 理学療法士の書類と区別がつかない | ADL・IADLなど生活場面の記述を足す |
| 略語を説明なしで並べる | 事務担当者が読むと意味が通らない | 初出時は正式名称、以降は略語にする |
| 履歴書の職歴欄と同じ内容 | 提出する意味がなくなる | 職務経歴書には業務の中身だけを書く |
特に3つ目は、作業療法士の書類だけに起きる落とし穴です。「関節可動域訓練、筋力増強訓練を実施」とだけ書かれた書類は、採用担当者から見るとなぜOTを採るのかという理由が読み取れない書類になります。
理学療法士と同じ書き方では埋没する|作業療法士の書き分け
リハビリ職の職務経歴書の書き方を調べると、PT・OT・STをまとめて扱った情報が大半です。そのまま真似ると、作業療法士の強みが消えます。両者の違いを意識して書き分けてください。
| 観点 | 理学療法士が書きやすい内容 | 作業療法士が書くべき内容 |
|---|---|---|
| 介入の対象 | 基本動作・歩行・移動能力 | 更衣・入浴・調理・仕事・趣味などの生活行為 |
| 成果の示し方 | 歩行自立度、移動能力の改善 | その人の生活・役割がどう変わったか |
| 固有の介入 | 運動療法、物理療法 | 自助具・福祉用具の選定、環境調整、住宅改修提案 |
| 対象領域 | 身体機能領域が中心 | 身体・精神・発達・高齢期・就労と幅が広い |
作業療法士の場合、精神科と身体障害領域の両方を経験している方は珍しくありません。この幅は書類上で明確な武器になります。応募先が回復期であっても、認知症や高次脳機能障害への対応経験を1行添えるだけで、他の候補者との違いが出ます。
なお、リハビリ職の共通フォーマットを確認したい場合は理学療法士向けの職務経歴書テンプレートも見ておくと、書き分けるべき箇所がはっきりします。
保有資格・スキル欄の書き方
免許は正式名称で書く
作業療法士は厚生労働大臣の免許を受けて業務にあたる国家資格です。書類では「作業療法士免許」と正式名称で記載します。「OT免許」「作業療法士資格あり」といった略称・通称は避けてください。書類の精度に対する印象が下がります。
| 種類 | 正しい記載例 | NGな書き方 |
|---|---|---|
| 国家資格 | 2019年3月 作業療法士免許 取得 | OT免許取得 |
| 協会認定 | 2025年4月 認定作業療法士 取得 | 認定OT |
| 研修修了 | 2024年10月 福祉住環境コーディネーター2級 取得 | 住環境の資格あり |
認定作業療法士・専門作業療法士がある場合
日本作業療法士協会の認定作業療法士は、臨床経験と協会員歴がそれぞれ通算5年以上あることなどを前提に、所定の研修を修了して取得する資格です。さらにその上位に、福祉用具・認知症・手外科・特別支援教育・高次脳機能障害・精神科急性期・摂食嚥下・訪問・がん・就労支援・脳血管障害の各分野を対象とした専門作業療法士制度があります。
これらを保有している場合は、資格欄に書くだけで終わらせず、取得分野と現場での活用実績をセットで書いてください。「認知症分野の専門作業療法士として、施設内の認知症ケア勉強会を年4回主催」といった一文があると、採用側は配属後の姿を具体的に描けます。
評価ツールは応募先に合わせて並べる
使える評価ツールを列挙する欄では、応募先の領域に関係するものを先頭に置きます。採用担当者は、並び順から「この人の主戦場はどこか」を読み取っています。
- 身体障害・回復期:FIM、Barthel Index、BRS、MMT、ROM測定
- 認知機能・高齢期:MMSE、HDS-R、TMT、行動観察による評価
- 作業に焦点を当てた評価:COPM、興味・関心チェックリスト、生活行為向上マネジメント
- 小児・発達:感覚プロファイル、遠城寺式・新版K式などの発達検査
書類が仕上がったら、提出の手順で減点されないよう確認しておいてください。


まとめ
- 作業療法士の職務経歴書は、担当疾患・業務量の数字・生活行為の変化・チーム内の役割の4点で構成する
- 職務要約の3〜4行で読み進めるかが決まる。経験年数・施設種別・得意領域を最初の1文に入れる
- 「実績がない」のではなく数え方を知らないだけ。単位数・担当件数・訪問件数から着手する
- 機能訓練の記述だけでは理学療法士の書類と区別がつかない。生活場面の記述を必ず入れる
- 免許は「作業療法士免許」と正式名称で記載し、認定資格は活用実績とセットで書く
書き上げた後は、印象に残っている症例を1つ選んで生活行為の変化を書き足せているか、その1点だけ見直してください。そこが埋まっていれば、書類の通過率は変わります。
作業療法士の職務経歴書に関するよくある質問
- 作業療法士の職務経歴書はA4何枚が適切ですか?
-
A4用紙1〜2枚が目安です。経験施設が1か所であれば1枚、複数施設を経験している場合や臨床5年以上であれば2枚に収めます。3枚以上になると読む前に敬遠されるため、応募先の領域に関係の薄い経歴を圧縮して調整してください。
- 手書きとパソコン作成のどちらが良いですか?
-
指定がなければパソコン作成を選んでください。医療・介護分野の転職でもパソコン作成が一般的で、応募先ごとの書き分けや修正がしやすくなります。記録や報告書を扱う職種であるため、書類作成のスキルを示す意味でも不利になりません。
- FIMの改善度など、正確な数値がわからない場合はどうしますか?
-
「およそ」「程度」といった概算で記載して構いません。書けるのは自分が担当した範囲の実感値までで、施設全体の統計を勝手に引用する必要はありません。数値が思い出せない場合は、担当人数や訪問件数など確実に言える数字に置き換えてください。
- 臨床1〜2年目でも職務経歴書は書けますか?
-
書けます。経験年数が短い場合、採用担当者が見ているのは成果ではなく「何に集中して経験を積んだか」と「今後どうなりたいか」です。担当した疾患、身につけた評価ツール、受講した研修、任された委員会や実習補助を具体的に書けば十分な情報量になります。
- 精神科から身体障害領域へ転職する場合、経歴はマイナスになりますか?
-
マイナスにはなりません。精神科での経験は、認知症や高次脳機能障害のある方への対応力として説明できます。応募先の領域に接続する形で、集団プログラムの設計力や行動観察による評価の経験を書き換えてください。領域が変わる転職ほど、この翻訳作業が書類の通過を左右します。

