新卒の履歴書は、企業から指定がなければ手書きでもパソコンでも合否に影響しません。ただし新卒特有の事情で、手書き以外の選択肢が消えるケースが3つあります。この記事では、どちらを選ぶかを迷わず決めるための判断の順番と、採用担当者が形式より先に見ている項目を整理します。
新卒の履歴書は手書きとパソコンどちらでも問題ない【判断の順番】
結論:企業指定がなければ作成方法で合否は決まらない
募集要項やメールに「手書きで提出」「所定様式に記入のうえ」といった記載がなければ、どちらで作っても構いません。選考で見られているのは作成方法ではなく、書かれている中身と読みやすさです。
参考データとして、マイナビ転職が2025年9月に中途採用担当者352人へ行った調査の結果を挙げます。
| 採用担当者の回答 | 割合 |
|---|---|
| パソコン作成のほうが良い | 46.9% |
| どちらでも良い | 29.8% |
| 手書きのほうが良い | 23.3% |
出典:マイナビ転職「履歴書は手書きとパソコンどっちがいい?」(2025年9月・中途採用担当者352人)
上位2つを合計すると、約77%が手書きを求めていないことになります。
ここで一つ注意があります。この数字は中途採用の担当者に聞いたものであり、新卒採用の現場にそのまま当てはまるとは限りません。新卒採用では大学のキャリアセンター経由の慣習が残っていたり、説明会での手渡し提出があったりと、中途とは事情が違います。競合記事の多くはこの区別をせずに数字を引用していますが、新卒の皆さんは次の項目で自分のケースを確認してください。
迷ったら「どの用紙を使うか」から逆算する
手書きかパソコンかを先に悩むと答えが出ません。順番を逆にして、先に使う用紙を決めれば、作成方法は自動的に決まります。大学指定の履歴書は紙で配布されるものが大半で、その時点で手書き一択になるからです。
| あなたの状況 | 使う用紙 | 作成方法 |
|---|---|---|
| 大学から指定用紙を配布された・使うよう指導された | 大学指定 | 手書き |
| 企業が「自筆」「所定様式」と明記している | 企業指定 | 手書き |
| 説明会や面接の当日に会場で記入する | 企業配布 | 手書き |
| データ(PDF)で提出するよう案内された | 市販・無料様式 | パソコン |
| 指定がなく、応募社数が多い | 市販・無料様式 | パソコン推奨 |
| 指定がなく、応募社数が数社に絞られている | どちらでも可 | どちらでも可 |
指定がない場合に使う様式は、新卒用の履歴書テンプレートのように学生向けの項目が揃ったものを選んでください。志望動機や学生時代の取り組みを書く欄が十分に確保されています。
採用担当者はここを見ている
- 手書きかパソコンかではなく、空欄が残っていないか
- 学歴の年次と卒業見込みの記載が正確か(ここのミスは事務処理能力の判断材料になります)
- 読み進めるのに苦労しない文字量と余白のバランスか
新卒で手書きが実質必須になる3つのケース
「どちらでもいい」という一般論では判断できないのが、新卒就活の実情です。次の3つに当てはまる場合、パソコンという選択肢は事実上ありません。
ケース1:大学指定の履歴書を使う場合
大学指定の履歴書は、ゼミ・研究テーマ・課外活動・学業で力を入れたことなど、学生ならではの記入欄が広く取られているのが特徴です。市販の様式にはない項目が並ぶため、その大学の学生を採り慣れている企業ほど読み慣れています。
配布形態は紙が中心で、データ版が用意されていないことも珍しくありません。大学が指定用紙の使用を指導している場合は、その指示に従ってください。判断に迷ったらキャリアセンターに確認するのが最短です。
ケース2:説明会や面接の当日に会場で記入する場合
会社説明会の後にそのまま履歴書を書かせる企業や、面接前の待ち時間に記入させる企業があります。この場合は当然すべて手書きです。持参用の履歴書を用意していても、別途その場で書かされることがあります。
対策は一つで、志望動機と自己PRの文面をスマートフォンのメモに入れておくことです。その場で一から考えると内容が薄くなり、時間内に書き切れません。
ケース3:企業が「自筆」と明記している場合
募集要項に「自筆」「直筆」とある場合は、迷わず手書きにしてください。ここを読み落としてパソコン作成で提出すると、内容以前に指示を確認していないと受け取られます。
NG例
募集要項の「所定の様式に自筆でご記入ください」を見落とし、市販様式にパソコンで入力して郵送。書類の中身は問題なくても、応募条件を読んでいない人という第一印象がつきます。エントリー前に募集要項の提出書類欄を最後まで読む習慣をつけてください。
手書きで作成するメリットとデメリット
手書きを選ぶ理由は「熱意が伝わるから」と語られがちですが、実際の利点はもう少し具体的です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 大学指定用紙・当日記入にそのまま対応できる | 1枚あたり60〜90分かかり、応募社数が増えると回らない |
| 丁寧に書かれた文字は、手書きを重視する担当者に好印象を与える | 書き損じると原則書き直しになる |
| 使い回しができないため、企業ごとに内容を考えることになる | 文字の印象が内容の評価に混ざる場合がある |
最大の負担は書き直しです。修正テープや修正液は使えないため、志望動機の最終行で一字間違えれば最初からやり直しになります。予備の用紙を最低2枚は確保してから書き始めてください。
パソコンで作成するメリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 共通部分を使い回せるため、企業ごとの調整に時間を割ける | 使い回しの跡が残ると志望度を疑われる |
| 文字の巧拙が評価に混ざらない | 紙で提出する場合は印刷環境が必要 |
| 誤字脱字を提出前に修正できる | 大学指定用紙・当日記入には使えない |
パソコン作成で気をつけたいのは、使い回しが透けることです。前に応募した企業名が残っている、業界がまるで違うのに志望動機の文面が同じ、といったミスは選考の初期で弾かれます。企業名と志望理由の段落は、提出のたびに必ず読み直してください。
様式にこだわりがなければ、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートが無難です。2021年4月に公表された様式例で、性別欄は任意記載、通勤時間や配偶者に関する4項目は設けられていません。従来の書式に慣れた企業に出すならJIS規格に沿った履歴書テンプレートを選んでも問題ありません。

採用担当者が新卒の履歴書で本当に見ているポイント
形式より先に確認される3項目
新卒採用では、一人の担当者が短期間に数百枚の書類に目を通します。1枚にかけられる時間は限られており、その中で最初に確認されるのは次の3つです。
- 空欄がないか:本人希望欄や資格欄が白紙のままだと、面倒だから飛ばしたと解釈されます
- 学歴欄が正確か:入学・卒業年のずれや「卒業見込」の書き漏れは、確認を怠る人という評価につながります
- 志望動機がその会社のものか:業界研究の跡がない文面は、手書きでもパソコンでも同じように見抜かれます
履歴書の書き方だけでなく、志望動機や自己PR、業界研究などの準備もあわせて進めたい方は、ベンチャー就活ナビの記事も参考にしてみてください。就活準備に関する情報をテーマ別に確認できます。
新卒で最も間違いが多いのが、2つ目の学歴欄です。在学中に提出する履歴書には「卒業見込」と書きますが、記入できる条件や留年した場合の扱いは意外と知られていません。提出前に確認しておいてください。
手書き・パソコンそれぞれのNG例
NG例(手書き)
- フリクションなど消せるボールペンを使う(熱で文字が消えるため、書類として認められません)
- 修正テープ・修正液・二重線と訂正印で直す
- 下書きの鉛筆線が残ったまま提出する
- 途中でインクが変わり、文字色が2種類になっている
NG例(パソコン)
- フォントが本文と見出しでばらばら(明朝体で統一し、本文は10.5〜11ptが目安)
- 色文字・太字・下線での装飾を加える
- 前の応募先の企業名が残っている
- Wordのまま送信する(指定がなければPDFに変換します)

字に自信がない新卒がとるべき現実的な対処法
手書きを避けたい理由として最も多いのが、字が汚いという悩みです。ここは事実として押さえておいてください。採用担当者は字の美しさではなく、丁寧に書かれているかを見ています。達筆である必要はありません。
読みやすい文字にするための4点
- ペンを替える:0.5mm以上の黒のゲルインクボールペンにすると線が安定します
- 枠の8割を使う:小さすぎる字は読みにくく、大きすぎると行が乱れます
- 下敷きを敷く:筆圧が均一になり、裏写りも防げます
- 楷書で書く:崩さずに一画ずつ止めるだけで、読みやすさは大きく変わります
それでも不安が消えないなら、指定がない企業にはパソコンで提出してください。自信のない手書きを無理に選ぶより、読みやすい書類を出すほうが選考では有利に働きます。アルバイト応募で手書きが求められる場面もありますが、その場合はアルバイト用の履歴書テンプレートのように記入欄が少ない様式を使うと負担が減ります。
新卒が手書き履歴書を書くときの基本ルール
手書きを選んだ場合に、提出前へ確認しておきたい項目をまとめました。
| 項目 | 正しい対応 |
|---|---|
| 筆記具 | 黒のボールペン(消せるタイプ・鉛筆・水性ペンは不可) |
| 日付 | 郵送は投函日、持参は面接当日の日付を記入 |
| 年号 | 西暦か和暦のどちらかに統一する |
| 学校名 | 「〇〇大学〇〇学部〇〇学科」と正式名称で書く |
| 書き損じ | 修正せず新しい用紙に書き直す |
| 写真 | 3ヶ月以内に撮影したものを、裏に氏名を書いてから貼る |
手書きで作成した履歴書をデータで提出するよう求められた場合は、スマートフォンで撮影したまま送らないでください。傾きや影が入った画像は読みづらく、印象を落とします。

まとめ
- 企業指定がなければ、新卒の履歴書は手書きでもパソコンでも合否に影響しない
- 迷ったら作成方法ではなく、先に使う用紙を決めると自動的に決まる
- 大学指定用紙・当日記入・「自筆」の明記、この3ケースは手書き一択
- 担当者が先に見るのは、空欄の有無・学歴欄の正確さ・志望動機の中身
- 字に自信がなくても、楷書で丁寧に書けば評価は下がらない
作成方法で悩んでいた時間は、志望動機を1社分深めるほうに使ってください。選考で差がつくのはそちらです。
新卒の履歴書の手書きに関するよくある質問
- 新卒でパソコン作成の履歴書を出すと、熱意がないと思われますか?
-
指定がなければ問題ありません。中途採用担当者352人への調査では約77%が手書きを求めておらず、内容と読みやすさで判断するという回答が大半でした。新卒採用でも、志望動機がその企業に向けて書かれているかのほうが重視されます。
- 大学指定の履歴書とパソコンで作った市販の履歴書、どちらが有利ですか?
-
有利・不利の差はありません。ただし大学指定用紙は研究テーマや課外活動の記入欄が広く、学生時代の取り組みを伝えやすい構成になっています。大学から使用するよう指導されている場合は指定用紙を使ってください。
- 手書きで最後の行を書き間違えました。修正テープで直してもいいですか?
-
修正テープ・修正液・訂正印はいずれも使えません。公的な応募書類として扱われるため、書き損じた場合は新しい用紙に書き直します。予備の用紙を2枚以上用意してから書き始めると安心です。
- エントリーシートが手書き指定の場合、履歴書も手書きに揃えるべきですか?
-
揃える必要はありません。エントリーシートと履歴書は別の書類で、それぞれの指定に従えば十分です。ただし同じ封筒で郵送する場合、片方だけ極端に読みにくいと差が目立つため、手書き側は特に丁寧に書いてください。

