障害者雇用の職務経歴書には専用の指定様式は存在せず、ハローワークのジョブ・カードやdodaチャレンジなどの無料テンプレートを編集して使うのが正解です。この記事では信頼できるダウンロード先と、一般の職務経歴書との違い、配慮事項をどこにどう書けばいいかを採用担当者の視点から解説します。
障害者雇用の職務経歴書はどこでダウンロードする?結論と記載例
結論:専用フォーマットはハローワークかエージェントの無料テンプレートを使う
職務経歴書はもともと自由形式の書類で、障害者雇用向けの公的な統一様式もありません。まず選ぶべきは「職務経歴」「活かせるスキル」「自己PR」に加えて配慮事項を書く欄があるテンプレートです。この欄がないテンプレートを使う場合は、自分で1項目追加して構いません。
- ハローワークのジョブ・カード(職務経歴シート):厚生労働省が無料公開するPDF・Word形式
- 障害者専門の転職エージェント:企業の人事担当者の意見を反映した実用フォーマットをExcel・PDFで配布
- 就労移行支援事業所:訓練の一環で経歴を整理するワークシートを配布していることが多い
良い例文(職務要約+配慮事項)
良い例文
物流倉庫にて検品・梱包業務を3年間担当し、1日あたり平均300件の出荷対応でミス報告ゼロを継続しました。作業手順が明文化されている環境を得意としており、貴社の標準作業書に基づく体制に強く惹かれ志望いたしました。聴覚過敏があるため、始業前の朝礼内容は口頭に加えて掲示物での共有をお願いできますと、指示の抜け漏れなく作業に取り組めます。
NG例
NG例
物流業務に3年間従事しておりました。障害者手帳3級を所持しており、体調に配慮いただける職場を希望します。無理のない範囲で頑張ります。担当業務の内容・数字・配慮の具体策が一切なく、採用担当者は働く姿を想像できません。
採用担当者はここを見ている
- 職務経歴に数字(処理件数・期間・ミス率)が入っているか
- 配慮事項が「無理のない範囲で」ではなく、実行できる具体策として書かれているか
- 障害の説明より先に、担当できる業務の話が来ているか
パソコンでの作成手順やファイル形式の選び方は、職務経歴書をパソコンにダウンロードする方法で詳しく解説しています。

障害者雇用の職務経歴書と一般の職務経歴書はどこが違う?
結論として、書類の骨格そのものは一般の職務経歴書と同じです。異なるのは「配慮事項」という項目が加わる点だけで、職務要約や実績の書き方は変わりません。
| 項目 | 一般の職務経歴書 | 障害者雇用向け職務経歴書 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 経験年数・担当業務・実績 | 同左(変更なし) |
| 職務経歴 | 会社名・業務内容・実績 | 同左(変更なし) |
| 配慮事項 | 欄なし | 独立欄として追加し、具体的な配慮を記載 |
| 様式 | 自由形式・A4縦1〜2枚 | 同左(統一様式なし) |
検索の過程で「ナビゲーションブック」という言葉を見かけて混同する方も多いですが、これは職務経歴書とは別の書類です。ナビゲーションブックは障害の特性・体調の波・必要な支援を整理した資料で、主に就労移行支援事業所が作成をサポートし、入社後の職場定着や面談で使うものです。応募時に提出する職務経歴書とは役割が異なるため、求人票に「ナビゲーションブック提出」の指定がない限り、無理に用意する必要はありません。
信頼できる職務経歴書テンプレートのダウンロード先
インターネット上には障害者雇用向けをうたうテンプレートが多数ありますが、出所不明のサイトはマルウェア混入のリスクもあります。実績のある次の3系統から選ぶと安全です。
| ダウンロード先 | ファイル形式 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハローワーク(ジョブ・カード) | PDF・Word | 厚生労働省が公式公開。窓口で紙のパンフレットも入手可能 |
| 障害者専門の転職エージェント | Excel・PDF | 企業人事の意見を反映し、配慮事項欄をあらかじめ用意 |
| 就労移行支援事業所 | Word・紙 | 訓練内で経歴整理のワークシートとして配布 |
ハローワーク経由で応募する場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートをベースに配慮事項欄を追加する方法が手早く進められます。

配慮事項の書き方|職務経歴書のどこにどう書くか
配慮事項をどこに書くか迷う原因は、応募書類全体に情報を書く場所が複数あることにあります。役割を分けて考えると整理しやすくなります。
| 記載場所 | 書く内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| 職務経歴書「配慮事項」欄 | 業務遂行に関わる具体的な配慮の依頼 | 3〜5行 |
| 履歴書 志望動機欄 | 貢献したいこと、自分で行っている対処 | 200〜300字 |
| 本人希望記入欄 | 通院頻度、勤務可能時間 | 3〜5行 |
配慮事項の書き換え例
- 「体調に波があるので配慮してほしい」→「月1回の通院日に半日休暇を取得したい」
- 「静かな環境を希望します」→「イヤーマフの着用を許可いただきたい」
- 「わかりやすく指示してほしい」→「複数の指示は口頭とあわせてメモでいただきたい」
採用担当者はここを見ている
- 配慮事項が「実現できるかどうか」を読んだ側が判断できる書き方になっているか
- 職務経歴の実績と配慮事項の分量のバランスが取れているか(配慮事項だけで欄が埋まっていないか)
- 「特になし」で済ませていないか(配慮なしなら一般雇用枠での応募になるため、かえって疑問が残る)
志望動機欄との書き分けは、障害者雇用の志望動機の例文もあわせて確認しておくと、書類全体で内容が食い違うのを防げます。
状況別の職務経歴書の書き方
置かれている状況によって、職務経歴書で強調すべき点は変わります。自分の状況に近い例を参考にしてください。
就労移行支援を利用している場合
良い例文
就労移行支援事業所に1年半通所し、直近6か月は週5日・1日6時間の通所を欠席なく継続しました。訓練ではデータ入力とビジネス文書作成の実務課題に取り組み、月平均150件の入力を誤入力ゼロで完了しています。疲労のサインを自分で記録し、早めに休憩を取る訓練を重ねてきたため、就労後も同様のペース管理で安定して勤務できます。
職歴として扱いが分かれる訓練期間は、事務職向けのテンプレートで実務を棚卸しすると書きやすくなります。事務の職務経歴書テンプレートには項目ごとの記入例が入っており、訓練内容を実績に変換する際の参考になります。
一般雇用から障害者雇用に切り替える場合
良い例文
前職では一般雇用で経理業務を6年間担当し、月次決算の早期化を5営業日から3営業日に短縮しました。障害を開示せずに働くなかで繁忙期に体調を崩した経験から、はじめから特性を共有したうえで力を発揮する働き方に切り替えることにしました。現在は主治医と相談のうえ残業を月20時間以内に抑える運用を続けており、この範囲であれば繁忙期も安定して勤務できます。
職歴が浅い・ブランクがある場合
NG例
体調不良のため2年間療養しておりました。現在は落ち着いています。回復の経過や現在の生活リズムが数字で示されておらず、今の状態を採用担当者が判断できません。
良い例文
体調の回復に専念するため2年間離職しておりましたが、直近1年は通院を月1回まで減らし、週4日のパート勤務を継続できるまでに安定しました。前職の販売経験で身につけた接客対応は、貴社の窓口業務でも活かせると考えております。
パート・時短からの再スタートを考えている場合は、パートの職務経歴書テンプレートのように勤務時間・シフトを明示できる形式を選ぶと、実際に働ける条件が伝わりやすくなります。福祉分野への就職を考えている場合は福祉業界の職務経歴書テンプレートも参考になります。
採用担当者が職務経歴書で見ている3つのポイント
2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率は2.5%から2.7%に引き上げられました。対象企業の範囲も従業員37.5人以上に広がり、障害者雇用の求人自体は増えています。ただし採用枠が広がったことと、選考が緩くなることは別の話です。
- ①続けられる見通しがあるか:体調管理の工夫や勤怠の安定性が、実績と一緒に書かれているか
- ②配慮の内容が実現できる範囲か:抽象的な希望ではなく、企業側が即答できる具体的な依頼になっているか
- ③自社を選んだ理由が書かれているか:求人票の業務内容と自分の経験が結びついているか
職務経歴書の内容が似通いやすいからこそ、求人票の業務内容を1行引用して自分の経験と結びつけるだけで、他の応募者との差がつきます。
まとめ
- 障害者雇用の職務経歴書に専用様式はない。ハローワークやエージェントの無料テンプレートに配慮事項欄を加えて使う
- ナビゲーションブックは職務経歴書とは別の書類。求人票に指定がなければ無理に用意しなくてよい
- 配慮事項は職務経歴書の独立欄に3〜5行、実現できる具体策として書く
- 法定雇用率は2026年7月から2.7%。枠は広がったが、企業が見ているのは定着の見通し
手が止まっているなら、まずは前職か訓練で数えられる実績を1つ書き出すところから始めてください。
- 障害者雇用の職務経歴書は一般用のテンプレートを使ってもいいですか?
-
問題ありません。職務経歴書自体に法定の様式はなく、一般的なテンプレートに「配慮事項」の欄を1つ追加すれば障害者雇用の応募にそのまま使えます。項目の構造や職務要約・実績の書き方は一般の職務経歴書と変わりません。
- 職務経歴書とナビゲーションブックは同じものですか?
-
別の書類です。職務経歴書は応募時に実績・スキルを伝える書類で、ナビゲーションブックは障害特性や必要な支援を整理し、主に入社後の職場定着や面談で使う資料です。求人票に提出指定がなければ、応募段階で無理に用意する必要はありません。
- 配慮事項は職務経歴書に書かないと不利になりますか?
-
書かないこと自体が即不利になるわけではありませんが、「特になし」とだけ書くと、配慮なしで働けるなら一般雇用枠での応募になるのではという疑問が残ります。実現できる具体的な配慮を3〜5行程度で簡潔に書くのが基本です。
- 職務経歴書のテンプレートはどこからダウンロードするのが安全ですか?
-
厚生労働省のハローワークインターネットサービスが公開するジョブ・カード、または障害者専門の転職エージェントが配布するテンプレートが安全です。出所不明のサイトからのダウンロードはマルウェア混入のリスクがあるため避けてください。

