エントリーシートの敬語は、である調ではなく「です・ます」調で統一し、尊敬語と謙譲語を混同しないことが基本です。二重敬語や「貴社」「御社」の使い分け、である調との違いなど、就活生がつまずきやすいポイントを採用担当者の視点も交えて詳しく整理し、そのまま使える例文や提出前のチェック手順まであわせて紹介します。
エントリーシートの敬語は「です・ます調」で統一するのが正解
結論:迷ったら「です・ます」で統一する
エントリーシートに文体のルールはありませんが、「です・ます」調で丁寧に統一するのが無難です。エントリーシートは初対面の採用担当者が読む書類のため、である調よりも丁寧で読みやすい印象を与えられます。
である調を選ぶ就活生もいますが、である調でも尊敬語・謙譲語は正しく使う必要があります。文体を選んだら、1つのエントリーシート内で「です・ます」と「だ・である」を混在させないことが大切です。
尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分け早見表
敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に分かれます。相手(企業・面接官)を高めるのが尊敬語、自分をへりくだらせるのが謙譲語、語尾を丁寧にするのが丁寧語です。エントリーシートで混同しやすい動詞を一覧にまとめました。
| 普通の言葉 | 尊敬語(相手の動作) | 謙譲語(自分の動作) |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 聞く | お聞きになる | 伺う・拝聴する |
| 会う | お会いになる | お目にかかる |
| する | なさる | いたす |
| 行く・来る | いらっしゃる | 伺う・参る |
企業側の動作には尊敬語、自分の動作には謙譲語を使います。この対応を取り違えると、企業を下に見ているような失礼な文章になってしまいます。
正しい敬語を使った例文
良い例文
貴社の説明会に伺った際、社員の方が現場の課題について率直にお話しになっていたことが強く印象に残りました。入社後は、自ら課題を見つけて改善提案ができる人材を目指します。
NG例
貴社の説明会に行かせていただいた際、社員の方が現場の課題について率直に言われていたことが印象的でした。「行かせていただいた」は過剰な謙譲、「言われていた」は尊敬語として弱く曖昧で、丁寧に見えても敬語としては不正確です。
敬語と合わせて、履歴書もセットで準備する場合は新卒用の履歴書テンプレートを使うと、フォーマットで迷う時間を減らせます。
エントリーシートで間違えやすい敬語表現とNG例
敬語のミスには一定のパターンがあります。よくある3つの失敗例を押さえておくだけで、多くの間違いは防げます。
二重敬語になっていないか
NG例
貴社に入社させていただけましたら、全力で業務に取り組みます。
良い例文
貴社に入社したら、全力で業務に取り組みます。
「させていただく」自体がすでに謙譲語のため、そこに「けましたら」を重ねると敬語を二重に使ったことになります。1つの動作に敬語表現は1回までが原則です。
「〜のほう」「〜になります」などのぼかし表現
- 「〜のほう」:「志望動機のほうを説明します」→「志望動機を説明します」。対象が1つしかない場合、「ほう」は不要です
- 「〜になります」:「以上が自己PRになります」→「以上が自己PRです」。すでに確定している事実に「なります」を使うのは誤りです
- 「了解しました」:目上の相手には使わない表現。「承知しました」「かしこまりました」に置き換えます
採用担当者はここを見ている
- 敬語の完成度そのものより、同じ文章内でルールが統一されているかを見ている
- 二重敬語1つで即不採用にはならないが、複数箇所で崩れていると「見直しをしていない」印象につながる
- 「〜のほう」「〜になります」のような口語的なぼかし表現が多いと、社会人としての言葉遣いへの意識が薄いと受け取られやすい

「貴社」と「御社」の正しい使い分け
エントリーシートなど書き言葉では「貴社」、面接や電話など話し言葉では「御社」を使います。エントリーシートは文書として提出するものなので、原則として「貴社」で統一するのが正解です。
- 貴社:エントリーシート・履歴書・メールなど、文字で書く場面
- 御社:面接・電話・説明会など、声に出して話す場面
採用担当者は、書き言葉の中に「御社」が1箇所でも混ざっていると「口頭の話し言葉をそのまま書いてしまった」と受け取ります。提出書類の中に「御社」が混ざっていると口語的に見えてしまうため、書き終えたあとに全体を見直し、表記が揃っているか確認してください。訂正が必要な場合の具体的な直し方や業界・団体別の呼び方の違いは、以下で詳しく解説しています。

ですます調とである調、どちらが正解か
結論として、就活生の多くは丁寧な印象を与える「です・ます」調を選び、社会人経験のある人が実績を簡潔に伝えたい場合に「である」調を選ぶ傾向があります。どちらも間違いではありませんが、文体が変わると読み手に落ち着かない印象を与えるため、エントリーシート全体で統一することが重要です。
文字数制限が厳しく1文字でも削りたい場合に、である調で簡潔にまとめる判断もあります。採用担当者は文体そのものより、ですます調とである調が1つの書類の中で混在していないかを見ています。それぞれのメリットや、迷ったときの選び方の基準は以下で詳しく解説しています。

文体を統一した状態で書類全体を仕上げたい場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと、履歴書側の項目立てにも迷わずに済みます。
採用担当者はここを見ている|敬語より重視されるポイント
敬語のミスに神経質になりすぎる就活生は多いですが、採用担当者が本当に見ているのは敬語の正確さだけではありません。
敬語より優先して見られる3つのポイント
- 内容の一貫性:志望動機と自己PRの間に矛盾がないか。敬語が完璧でも内容がちぐはぐだと評価は下がる
- 伝わりやすさ:難しい敬語を無理に使うより、簡潔で意味が明確な文章のほうが読み手には好印象
- 見直しの跡:誤字脱字や文体の混在がないかで「提出前にどれだけ確認したか」が伝わる
敬語に自信がないからと難しい表現を無理に詰め込むと、かえって不自然な文章になり読みにくくなります。まずは基本の尊敬語・謙譲語を正しく使い、あとは内容の一貫性を優先するほうが、結果として評価されやすい書類になります。
複数の企業に提出する場合、資格の記載欄など細かい項目でも表記ルールを揃えておくと安心です。JIS規格に沿った履歴書テンプレートもあわせて確認しておくと、書類全体の統一感を保ちやすくなります。
敬語に自信がないときの対処法
採用担当者は完璧な敬語よりも見直しをした形跡を見ています。提出前に次の対処法を1つでも実践しておくと、ミスに自分で気づける確率が上がります。
- 声に出して読み返す:敬語が不自然な箇所は、声に出すと違和感で気づきやすい
- 大学のキャリアセンターや就活エージェントに添削を依頼する:第三者の目で見てもらうと、自分では気づけない誤用が見つかる
- 敬語に自信がない表現は言い換える:正しいか不安な敬語を無理に使うより、平易で確実な言い回しに変える
- 提出前に一晩置いて読み直す:書いた直後は気づけない文体の乱れも、時間を置くと見つけやすくなる
志望動機の書き方に自信がない場合は、書き出しのパターンだけ先に決めてしまうのも一つの方法です。志望動機なしの履歴書テンプレートを使い、構成を先に組んでから敬語を整える順番で進めると効率的です。
まとめ
- エントリーシートの敬語は「です・ます」調で統一するのが基本
- 企業の動作には尊敬語、自分の動作には謙譲語を使う
- 「入社させていただけましたら」のような二重敬語に注意する
- 「貴社」は書き言葉、「御社」は話し言葉で使い分ける
- 敬語の正確さ以上に、内容の一貫性と見直しの跡が評価される
敬語のルールを一通り押さえたら、あとは書き上げたエントリーシートを声に出して読み返し、文体と表記の統一を確認してください。
- エントリーシートは敬語を使わないと不採用になりますか。
-
敬語の間違い1つだけで不採用になることは基本的にありません。ただし、二重敬語や文体の混在が複数箇所にわたると「見直しをしていない」という印象を与え、内容の評価にも影響することがあります。
- 「である調」で書いても大丈夫ですか。
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である調自体は問題ありません。ただし尊敬語・謙譲語は「です・ます」調と同じように正しく使う必要があり、文章全体でである調に統一することが前提です。
- 「貴社」と「御社」を間違えて書いてしまいました。訂正できますか。
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提出前であれば書き直して問題ありません。手書きで提出済みの場合は、二重線を引いて訂正印を押すか、可能であれば書き直したものを再提出できないか企業に確認するのが安全です。
- 「させていただく」は使ってはいけませんか。
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相手の許可が必要な場面での使用は問題ありません。ただし、自分の意思だけで行う動作にまで多用すると回りくどい印象になるため、1つの文章で1回程度にとどめるのが目安です。

