この記事では、秘書の職務経歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。担当役職の明記・業務の数値化・自己PRの組み立て方から、書類選考で落とされる書類のNGパターンまで、完成例文とあわせて紹介します。
採用担当者が最初の30秒で見ているもの
秘書の採用担当者は、書類を手にした最初の30秒で「次の面接に呼ぶかどうか」をほぼ決めています。どこを見ているかを知らずに書くと、どれだけ丁寧に書いても印象が薄い書類になります。
担当役職と人数を最初に明記する
採用担当者がまず確認するのは、「誰の秘書だったか」です。「役員秘書」「社長秘書」といった言葉だけでは不十分で、担当した役員の役職・社内での立場・同時サポートした人数まで書くことで、業務のレベル感が一目でわかります。
採用担当者はここを見ている
- 担当役員の役職(代表取締役・専務・常務・執行役員など)
- 担当人数(1名専属 / 3名兼任など)
- 会社規模(従業員数・業種・上場・非上場)
これらが書かれていないと、「どの程度の秘書業務をやってきたか判断できない」として書類の評価が保留になります。
業務の「レベル感」が伝わるかどうか
「スケジュール管理・来客応対・電話対応」と書かれた職務経歴書は、採用担当者が何百枚も目にしています。問題は、その中身がどの程度のものかまったく伝わらないことです。
例えば「スケジュール管理」なら、月に何名・何件の調整を担当していたか、「出張手配」なら国内・海外・何名分かを書くだけで、読む側の解像度が一気に上がります。業務名だけでなく「規模感」を一言添えることが、他の書類との差をつくる最初のポイントです。
秘書の職務経歴書の書き方【項目別】
秘書の職務経歴書は、①職務要約、②職務経歴、③保有スキル・資格、④自己PRの4つで構成するのが基本です。それぞれの項目で採用担当者に何を伝えるかを意識して書きます。
①職務要約(3〜4行で印象を決める)
職務要約は採用担当者が最初に読む箇所で、「続きを読むかどうか」を決めさせる役割があります。3〜4行(150字程度)に収め、経験年数・担当役員の役職・主な業務・強みを端的にまとめます。
良い例文
「〇〇株式会社(従業員500名・製造業)にて代表取締役専属の秘書を5年間担当。スケジュール管理・国内外の出張手配・来客応対のほか、役員会資料の作成を担当。TOEIC 850点、英語での取引先対応経験あり。」
NG例
「秘書として事務作業全般を担当してきました。コミュニケーションを大切にしながら丁寧に業務を行ってきました。」
→ 具体性がゼロで、どの企業の秘書か・何をしてきたかが伝わりません。採用担当者は「書くことがないのか、書き方を知らないのか」と感じます。
②職務経歴(業務内容を具体化する方法)
職務経歴の欄には、在籍企業・期間・業務内容を記載します。業務内容は箇条書きが基本ですが、ポイントは「何を・どの程度の規模で・どう対応したか」まで書くことです。
以下のように、業務名の後ろに規模を添えるだけで情報量が大きく変わります。
- スケジュール管理:月30〜40件の社内外アポイントを調整。外部との日程変更に伴う関係者(平均10名)への連絡・フォローも担当
- 出張手配:国内・海外を合わせて月10件以上の出張手配。航空券・ホテル・ビザ取得まで一括対応(渡航国:米・英・シンガポール等)
- 来客応対:月平均20件の経営幹部向け来客対応。接待先の選定から手土産の手配まで一括担当
- 電話対応:役員宛の電話取次(日次20〜30件)、重要度・緊急度の判断と適切なルーティングを担当
電話対応業務の具体的な書き方については、職務経歴書における電話対応の書き方も参照してください。

採用担当者はここを見ている
- 業務の「量」が見えるか(件数・人数・頻度)
- 担当業務の「範囲」が明確か(スケジュール管理だけか、出張・接待・資料作成まで含むか)
- 特定スキルを発揮した場面が1つ以上書かれているか
③保有スキル・資格欄
秘書の採用担当者が資格欄で確認するのは、主に語学力・秘書関連資格・PCスキルの3点です。資格名はすべて正式名称で記載します。
| スキル・資格 | 記載のポイント |
|---|---|
| TOEIC | スコアと取得年を明記。5年以内が有効とされる |
| 英検 | 取得級を正式名称で。「英語実務対応経験あり」を補足するとより伝わる |
| 秘書技能検定 | 「秘書技能検定○級(公益財団法人実務技能検定協会主催)」と正式名称で記載 |
| MOS(Word/Excel/PowerPoint) | 取得バージョンと科目を明記 |
| PCスキル | 使用ソフト・ツール名を具体的に列挙(Googleカレンダー、Concur、kintoneなど) |
TOEICスコアが古い場合は、「英語メール対応・海外取引先との電話応対経験あり(日常会話〜ビジネスレベル)」と実務実績で補足することができます。
秘書技能検定を医療機関で活かしたい場合は、医療秘書技能検定の記載方法も確認しておくとよいでしょう。医療秘書技能検定の履歴書への書き方で正式名称を確認できます。

④自己PR
秘書の自己PRでありがちなのが、「気配りができます」「コミュニケーション能力に自信があります」という、誰でも書ける内容で終わるパターンです。
採用担当者が評価する自己PRは、具体的なエピソード+自分が取った行動+生まれた成果がセットになっています。以下の例文を参考に、自分の経験に置き換えてみてください。
自己PR 良い例文
「役員の出張スケジュールが週3〜4回変更になる状況の中、関係者全員への連絡漏れを防ぐためフローをシステム化しました。Googleカレンダーの権限設定を見直し、変更があれば自動的に関係者へ通知が届く仕組みを整備。連絡漏れによるトラブルをゼロにした結果、役員から『スケジュールのことで心配したことがない』と評価をいただきました。」
「実績がない」は思い込み|秘書ならではの実績の出し方
「秘書の仕事は補佐が中心で、数字で表せる実績がない」と感じている方は多いですが、実は見逃している数値化できるポイントがあります。採用担当者が見たいのは「完璧な実績」ではなく、「具体的に何をしていたか」です。
スケジュール管理を数値で表す方法
スケジュール管理は秘書の代表的な業務ですが、職務経歴書では「担当しました」で終わっていることがほとんどです。以下のように数値を加えるだけで、具体的な業務量と難易度が伝わります。
| 抽象的な書き方 | 数値を加えた書き方 |
|---|---|
| スケジュール管理 | 月40件のアポイント管理(社内外)、役員3名のスケジュールを同時調整 |
| 出張手配 | 月10件の国内外出張手配、渡航先10カ国以上の経験あり |
| 来客応対 | 月20件の重役クラス来客対応、年間接待費予算300万円の管理 |
| 会議設営 | 月2〜3回の役員会・取締役会の会場手配・議事録作成 |
| 名刺管理 | 役員の名刺データベースを管理・更新(登録件数1,200件) |
数値が正確に思い出せない場合は、「月平均〇件程度」と概算でも問題ありません。「ゼロか完璧な数値か」ではなく、「おおよその規模感を伝えられるかどうか」が重要です。
業務改善の実績として書ける事例
秘書業務の中には、自分が主導した「改善」が眠っていることがあります。規模が小さくても、「問題を発見し、自ら動いて解決した」プロセスが書かれていれば十分なアピールになります。
- 名刺管理をデジタル化し、役員の人脈情報をすぐに引き出せる仕組みをつくった
- よく使う手土産・贈答品をリスト化し、発注ミスをゼロにした
- 来客対応フローを整備し、新任秘書に引き継げるマニュアルを作成した
- 英文メールのテンプレートを整備し、海外取引先への返信時間を半減させた
- 出張手配の定番ルート・ホテルをリスト化し、手配時間を1件あたり40分から15分に短縮した
これらは「実績として書くほどではない」と感じやすい改善ですが、採用担当者にとっては「主体性」と「問題解決力」を示す最もリアルな証拠になります。
秘書の職務経歴書【完成例文】
ここでは、役員秘書(社長付き)とグループ秘書の2パターンの例文を紹介します。自分の状況に近い方を参考に、数値や業務内容を実際の経験に置き換えてください。
役員秘書(社長付き)の例文
職務要約 例文
「〇〇株式会社(製造業・従業員800名・東証プライム上場)にて、代表取締役1名の専属秘書を7年間担当。スケジュール管理(月50件)・国内外出張手配(月15件)・役員会議の設営・議事録作成を担当。英語対応(TOEIC 880点)により、海外取引先との事前調整も一部担当。突発的なスケジュール変更への即対応と情報管理を強みとしています。」
職務経歴 例文
期間:20XX年4月〜現在|担当役員:代表取締役(社長)1名
- スケジュール管理・調整(社内外アポイント月50件、関係者10〜20名の調整)
- 国内外出張手配(月15件、渡航先:米・英・中・シンガポール等)
- 役員会・取締役会の会場手配・参加者調整・議事録作成(月2〜3回)
- 来客応対・接待設定(月25件、年間接待費管理 500万円)
- 役員への情報収集・業界ニュースサマリー提供(週次)
- 名刺管理・人脈データベースの維持(登録件数 1,200件)
自己PR 例文
「役員スケジュールが週3〜4回変更になる状況の中、関係者への連絡漏れを防ぐためフローをシステム化しました。Googleカレンダーの権限設定を見直し、変更が自動通知される仕組みを整備。連絡漏れによるトラブルをゼロにした結果、役員から「スケジュールのことで心配したことがない」と評価をいただいています。情報の正確性と先回りの対応を一貫して大切にしてきました。」
部門秘書・グループ秘書の例文
グループ秘書(複数の役員を担当)の場合、「何名の役員を同時にサポートしていたか」が最も重要なポイントです。担当人数が多いほど、優先順位の判断力と業務管理力が問われる仕事であることが伝わります。
職務要約 例文(グループ秘書)
「〇〇株式会社(IT・従業員300名)にて、執行役員3名・部長級5名のグループ秘書を4年間担当。スケジュール管理・出張手配・来客応対を複数名同時並行で対応。役員間の日程調整を調整数ベースで管理し、重複・漏れをゼロに維持。優先順位の判断と複数タスクの同時処理を強みとしています。」
職務経歴書全体の基本的な構成・書き方については、職務経歴書の書き方(共通ガイド)も合わせて確認してください。

採用担当者が落とす秘書の職務経歴書のNGパターン
競合他社の書類と比較したとき、採用担当者が「通過させたくない」と判断する書類には共通したパターンがあります。自分の書類と照合しながら確認してください。
業務の羅列で終わっている
最も多いNGパターンが、業務内容を箇条書きで並べただけの職務経歴書です。
NG例
- スケジュール管理
- 来客応対
- 電話対応
- 出張手配
- 会議設営
→ どの程度の規模で・どれだけの頻度で・どう対応してきたかがまったくわかりません。「秘書として働いていた事実」は伝わっても、「採用したいかどうか」を判断する材料がない書類です。
担当役職の情報がない
「役員秘書を担当していました」という記載だけでは、担当していた役員の役職・権限レベル・会社規模が不明です。「部長秘書」と「代表取締役秘書」では業務の難易度も信頼レベルも大きく異なります。
採用担当者はここを見ている
- 担当役員の役職名(代表取締役 / 専務 / 常務 / 執行役員 / 部長など)
- 会社の規模(従業員数・業種・上場・非上場)
- 同時サポートした役員人数(専属 or 複数担当)
スキルが抽象的すぎる
「コミュニケーション能力」「気配り」「臨機応変な対応」は、秘書の職務経歴書の定番フレーズです。しかし、そのままでは採用担当者の記憶には残りません。
抽象的なスキルを書く場合は、必ずそれを発揮した具体的な場面・行動・結果をセットで書くことが必要です。
抽象的なスキル → 具体化した書き方
NG:「臨機応変な対応が得意です。」
OK:「突発的なスケジュール変更(月15件程度)に対し、関係者全員への連絡を30分以内に完了させる体制を整備しました。関連部署との信頼関係を事前に構築し、役員不在時も情報収集が途絶えない仕組みをつくっています。」
まとめ
- 採用担当者が最初に見るのは「担当役員の役職・人数・業務のレベル感」
- 業務内容は件数・頻度・規模を数値で添えるだけで説得力が変わる
- 自己PRは「問題→自分の行動→成果」の流れで書くと差別化できる
- 「実績がない」は思い込み。業務改善・効率化の工夫が十分な実績になる
- 資格欄は正式名称を使い、TOEICは取得年・スコアをセットで記載する
書類選考を通過するための秘書の職務経歴書は、「書いた量」ではなく「伝わる中身があるか」で決まります。担当役職・業務規模・改善実績を軸に、自分の経験を見直してみてください。
秘書の職務経歴書に関するよくある質問
- 秘書の職務経歴書は何枚で書くべきですか?
-
A4用紙2〜3枚が一般的な目安です。経験が豊富な場合でも3枚を超えると読みにくくなるため、担当役員数・業務規模・特筆すべき実績に絞って記載するとよいでしょう。担当人数・役職・業種ごとに経歴を分けて整理すると、採用担当者が読みやすい書類になります。
- 秘書技能検定を持っていない場合、資格欄に何を書けばいいですか?
-
秘書技能検定がなくても、TOEICスコア・MOS(Microsoft Office Specialist)・英検など、業務で活かせる資格はすべて記載してください。資格がない場合は「スキル欄」に使用ツール(Googleカレンダー・Concur・kintoneなど)や語学対応の実務実績を書くことでカバーできます。
- 在籍期間が短い場合、職務経歴書にどう書けばいいですか?
-
在籍期間が短い場合は、その期間で担当した業務の具体性と、転職に至った背景を簡潔に添えることが有効です。「担当役員の異動により業務内容が大きく変わったため」など、ネガティブな印象を与えない理由を書いておくと、採用担当者の疑問を先回りできます。
- 英語を使った業務経験があるが、TOEICを受けていない場合はどう書きますか?
-
TOEICスコアがなくても、「英語メール対応(週10〜15件)」「海外取引先との電話応対経験あり(日常会話〜ビジネスレベル)」のように実務の内容と頻度で書くことができます。具体的な業務実績がある場合は、資格よりも実務記録の方が採用担当者に伝わりやすいケースもあります。


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