訪問看護師の職務経歴書は、担当した疾患・ケアの具体性と、訪問件数やオンコール対応回数などの定量的な実績を数字で書くことで通過率が上がります。訪問看護は一人で利用者宅に向かう仕事のため、採用担当者は書類の時点で「一人で対応を任せられるか」を判断しています。病棟からの転職・訪問看護経験者の転職、それぞれの状況別の例文と、採用担当者が落とすNG例を解説します。
訪問看護師の職務経歴書の書き方と例文【結論】
結論:担当した疾患・ケアと定量的な実績を数字で示す
訪問看護師の職務経歴書で最初に押さえるべき結論は、担当してきた疾患・ケアの内容と、訪問件数やオンコール対応回数などの定量的な実績を具体的に書くことです。訪問看護は病棟と異なり、一人で利用者宅に向かい、その場で判断・対応することが日常になります。採用担当者は書類を読みながら「この人を一人で送り出せるか」を常に考えています。
採用担当者はここを見ている
- 担当してきた疾患・ケアの内容(認知症・がん末期・精神疾患など)
- 定量的な実績(訪問件数・担当利用者数・オンコール対応頻度)
- 多職種連携の経験(ケアマネ・医師・介護スタッフとの協働実績)
- 転職理由の一貫性(なぜ訪問看護なのか・なぜこのステーションなのか)
病棟から訪問看護へ転職する場合の例文
病棟経験しかない看護師が訪問看護に応募する際、採用担当者が最も気にするのは「一人で対応できるか」という点です。病棟での急変対応・判断経験、多職種との連携経験、退院支援経験を具体的に書くことで、この不安を払拭できます。
良い例文(病棟→訪問看護)
【勤務先】〇〇総合病院 内科・神経内科混合病棟(60床)
【期間】20XX年4月〜20XX年3月(3年間)
【担当業務】
・入院患者の日常的な観察・処置・投薬管理(常時担当患者数:8〜10名)
・認知症患者のせん妄対応・家族コミュニケーション支援
・退院前カンファレンスへの参加、ケアマネ・訪問看護師との連携
・急変時の一次対応(CPR・緊急報告)を月2〜3件経験
NG例
【勤務先】〇〇総合病院 内科病棟
【期間】20XX年〜20XX年
【担当業務】患者の看護全般を担当
→「看護全般」は情報として機能しません。何をどれくらい担当したかがわからず、採用担当者は次の候補者に目を移します。
訪問看護経験者が別のステーションへ転職する場合の例文
訪問看護の経験がある場合は、件数・疾患種別・対応ケアの実績を具体的に書けることが強みです。採用担当者は「自分のステーションで即戦力になれるか」という視点で読んでいます。
良い例文(訪問看護経験者)
【勤務先】〇〇訪問看護ステーション(常勤スタッフ8名)
【期間】20XX年4月〜現在(5年間)
【担当業務】
・1日4〜5件、週5日の定期訪問を担当(延べ担当件数:約5,000件)
・常時担当利用者数:30〜40名
・主な対応疾患:認知症(中等度〜重度)、COPD、ALS、がん末期
・在宅看取り支援:年間10〜15件
・月5〜8回のオンコール対応を担当
・新人訪問看護師2名のプリセプターとして指導を担当(2年)
NG例
【勤務先】〇〇訪問看護ステーション
【期間】20XX年〜現在
【担当業務】訪問看護業務を担当
→ 経験者であっても件数や疾患名の記載がなければ、未経験者と同じ評価になってしまいます。

採用担当者が職務経歴書で確認する3つのポイント
訪問看護ステーションの採用担当者が職務経歴書を見るとき、以下の3点を軸に評価しています。この3点に対してきちんと答えられている職務経歴書は、書類選考を通過する可能性が高まります。
①どんな利用者・ケアを担当してきたか
訪問看護師に対する最初の問いは「どんな人を担当できるか」です。採用担当者は、自分のステーションの利用者層と応募者の経験が重なるかを確認しています。「さまざまな疾患に対応してきました」という表現は情報として機能しません。
- 認知症(軽度〜重度)の生活支援・服薬管理
- がん末期の疼痛管理・看取りケア
- 精神科疾患(統合失調症・うつ病など)の地域生活支援
- 医療的ケア(経管栄養・インスリン管理・気管カニューレ管理・吸引など)
- 小児訪問看護(医療的ケア児の支援)
上記のような具体的なキーワードで経験を明記することが、採用担当者の印象に残る職務経歴書につながります。
②定量的な実績があるか
採用担当者が「即戦力」と判断するもう一つの軸が、数字です。「多くの利用者を担当してきました」ではなく、具体的な数値を示すことで信頼度が上がります。
| 実績の種類 | 書き方の例 |
|---|---|
| 訪問件数 | 「1日4〜5件、週5日の訪問を担当(計約1,000件以上)」 |
| 担当利用者数 | 「常時担当利用者数:30〜40名」 |
| オンコール | 「月5〜8回のオンコール対応を担当」 |
| 管理職経験 | 「スタッフ5名のシフト管理・OJT指導を担当(2年)」 |
| 在宅看取り | 「在宅看取り支援を年間10〜15件担当」 |
③転職理由と志望動機に一貫性があるか
訪問看護の採用担当者が「この人はすぐ辞めないか」を見極めるために必ず確認するのが、転職理由と志望動機の一貫性です。特に病棟から訪問看護への転換の場合、「なぜ訪問看護なのか」の説明が抽象的だと通過しにくくなります。
「患者さんの生活を長期的に支えたいから」という志望動機だけでは、他の候補者と差がつきません。「外来での〇〇の経験から、退院後の生活支援の必要性を実感した」「病棟で〇〇患者の退院支援を担当した経験から訪問看護に興味を持った」のように、具体的なきっかけに落とし込むと説得力が増します。
訪問看護師の職務経歴書 基本構成と項目別の書き方
職務経歴書に決まったフォーマットはありませんが、一般的に以下の項目で構成されます。各項目で採用担当者が見るポイントを整理します。
職務要約(サマリー)の書き方
職務要約は採用担当者が最初に読む部分で、全体の印象を左右します。3〜5行程度で「看護師歴〇年、訪問看護経験〇年、主な専門領域・実績」を簡潔にまとめます。ここで印象が良ければ、その後の詳細も前向きに読んでもらえます。
良い例文(職務要約)
看護師歴10年、うち訪問看護経験5年。急性期病棟での3年間で処置・急変対応の基礎を習得後、訪問看護に転換。認知症・精神科疾患の利用者支援を中心に、在宅看取り支援も年間10件以上担当。現在は常時担当利用者30名のケアを担っています。
業務経歴(施設情報・業務内容)の書き方
施設情報の欄には、採用担当者が規模感を把握できる情報を記載します。「〇〇病院 内科病棟 勤務」という記載だけでは情報が不足しています。以下の情報を盛り込むことで、採用担当者がすぐに判断できる職務経歴書になります。
- 施設名・病床数(病院の場合)またはステーション規模(常勤スタッフ数)
- 配属部署・専門科
- 主な担当業務(対応疾患・医療的ケアの種類)
- 実績数値(担当患者数・訪問件数・オンコール頻度など)
訪問看護ステーションでの実務内容をどう書くか迷った場合は、医療業界の職務経歴書テンプレートが参考になります。
保有資格・免許の書き方
訪問看護師として転職する際、採用担当者が注目する資格があります。看護師免許のほか、以下の資格・認定は積極的に記載してください。
- 認定看護師(皮膚・排泄ケア、認知症看護、緩和ケアなど)
- 普通自動車免許(訪問看護では必須のステーションが多い)
- ケアマネジャー資格(管理職候補として評価される)
- 喀痰吸引等研修修了証
資格の正式名称や記載方法に迷ったら、看護師の職務経歴書テンプレートで書き方例を確認できます。ケアマネジャー資格の取得やキャリアアップを考えている場合は、資格欄の書き方も職種によって変わります。

自己PRの書き方
訪問看護師の自己PRは「私は〇〇が得意です」という能力紹介ではなく、「〇〇という経験から、こんな場面で力を発揮できます」という形で具体的な実績と結びつけます。採用担当者が自己PRに求めているのは、以下の3点です。
- 訪問看護特有の状況(一人対応・緊急判断・多職種連携)への対応力が伝わるか
- 自分のステーションで活躍できるイメージが湧くか
- 長く働いてくれそうか(訪問看護は利用者との継続ケアが前提のため)
良い例文(自己PR)
訪問看護師として5年間、認知症や末期がんの利用者を中心に担当してきました。一人での訪問では「その日の状態変化をどう家族に伝えるか」を意識し、記録の工夫と家族への説明方法を継続的に改善してきました。月5〜8回のオンコール対応経験から、緊急時の判断・連絡体制にも自信を持って対応できます。地域の多職種チームとの連携も積極的に行い、担当ケアマネや主治医との情報共有を密にした支援を心がけています。
NG例
「患者さんのことを第一に考え、真摯に仕事に取り組んでいます。チームワークを大切にし、多職種と協力しながら看護を提供することが得意です。」
→ 誰でも書ける抽象的な自己PRです。「どんな経験から」「どのような場面で」という具体性がなく、採用担当者の記憶に残りません。
訪問看護未経験・ブランクがある場合の書き方
訪問看護未経験でも通過できるか
訪問看護の経験がなくても、書類選考の通過は可能です。病棟での急変対応経験・退院支援・多職種連携の経験を具体的に書くことで、「訪問看護でも通用する素地がある」と採用担当者に伝わります。病棟での業務経験しか書かれておらず、なぜ訪問看護に転換したいのかが伝わらない職務経歴書は、「なんとなく応募したのでは」という印象を与えてしまいます。訪問看護への志望理由は、自己PR欄または志望動機欄に必ず記載してください。
訪問看護は医療保険と介護保険の両方に関わる仕事のため、介護業界の職務経歴書テンプレートで使われている実績の見せ方も参考になります。資格や実務経験が少ない状態からのアピール方法は、無資格・未経験の立場で書類を突破する視点として役立ちます。

ブランクがある場合の書き方
育児・介護・体調不良などでブランク期間がある場合、職務経歴書でそのブランクをどう書くかは悩む方が多いポイントです。採用担当者は「ブランクそのもの」よりも「今どんな状態か」を見ています。
ブランクありの場合の書き方のポイント
- ブランク理由は簡潔に1行で記載(「育児のため一時休職」など)
- 復帰に向けた準備(看護師向け研修・復職支援講座への参加など)があれば明記
- 「現在、再就職に向けて〇〇を受講中」のように前向きな現状を添える
採用担当者が落とす職務経歴書のNG例
訪問看護師の採用現場で実際に見かける、書類選考で落とされやすい職務経歴書のパターンをまとめました。心当たりがある場合は提出前に修正してください。
NG①:業務内容が「看護業務全般」だけで終わっている
「〇〇病棟で看護業務全般を担当しました」という記載は、採用担当者には「何もアピールしていない」と映ります。何の疾患を、何件、どんな役割で担当したかを具体的に記載してください。
NG②:数字が一切ない
「多くの利用者を担当してきました」「オンコールも対応できます」という表現は、定量的な信頼を得られません。担当件数・担当利用者数・オンコール頻度など、数字で実績を示すことが書類選考を突破するための基本です。
NG③:修正液・鉛筆書きの箇所がある(手書きの場合)
手書きの職務経歴書では修正液の使用は厳禁です。書き直す場合は、二重線と訂正印を使うか、再作成します。訪問看護の現場では記録の正確性が求められるため、修正液や鉛筆書きは「現場でも同じことをするのでは」という懸念を生む可能性があります。
NG④:ネガティブな転職理由が書かれている
「残業が多くて辞めた」「人間関係が悪かった」などのネガティブな理由を職務経歴書に書くことは避けてください。採用担当者は「うちでも同じ不満を抱くかもしれない」と判断します。転職理由はポジティブな言い換えを徹底します。「残業を減らしたい」→「利用者一人ひとりにより時間をかけたケアを提供できる環境を求めて」のように、前向きな表現に言い換えることが採用に近づく書き方です。
まとめ
- 訪問看護師の職務経歴書は「一人で対応できるか」を採用担当者に伝える書類
- 採用担当者が見るポイントは①担当疾患・ケアの具体性 ②定量的な実績 ③志望動機の一貫性
- 業務内容は「看護全般」でなく、疾患・件数・役割を具体的に記載する
- 病棟からの転換の場合は「急変対応経験・連携実績・退院支援経験」をアピールポイントに
- 自己PRは「経験×具体的な場面×訪問看護への活かし方」の形で構成する
職務経歴書は「書いた」で終わりではなく、採用担当者に伝わるかどうかを意識した書類です。本記事の例文とNG例を参考に、通過率を上げる職務経歴書に仕上げてください。
訪問看護師の職務経歴書に関するよくある質問
- 訪問看護師の職務経歴書は手書きとPCどちらが良いですか?
-
PC作成が一般的です。手書きを否定する採用担当者は少ないですが、修正しやすいPC作成の方が完成度を高めやすい利点があります。
- 訪問看護師の職務経歴書は何枚が適切ですか?
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A4で1〜2枚が標準です。経験が豊富でも3枚以内にまとめます。採用担当者が30秒〜1分で流し読みすることを前提に、情報を絞り込んで記載してください。
- 訪問看護の経験がない場合でも書類選考を通過できますか?
-
可能です。病棟での急変対応経験・退院支援・多職種連携の経験を具体的に書くことで、訪問看護でも通用する素地があると採用担当者に伝えられます。志望動機に一貫した訪問看護への動機を添えることも欠かせません。
- オンコール対応の経験がない場合はどう書けばいいですか?
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経験がない場合は無理に書かず、緊急時対応マニュアルの整備や急変時の一次対応など、判断力・対応力が伝わる別の実績で補ってください。面接では「オンコール対応への意欲」を伝えられるよう準備しておくと安心です。

