結論、助産師職務経歴書のポイントを先に押さえましょう。この記事では、助産師の職務経歴書の書き方を採用担当者の視点で解説します。基本構成・職務要約の書き方・分娩介助件数の数値化のコツに加え、転職パターン別の例文と自己PRのポイントを紹介します。



職務経歴書と履歴書は何が違うのか
転職活動で必要になる書類は主に「履歴書」と「職務経歴書」の2種類です。同じように見えますが、採用担当者がそれぞれの書類で確認する内容はまったく異なります。アルバイト用の職務経歴書テンプレートもあわせて確認しておくと安心です。
助産師が転職で提出する書類の役割分担
履歴書は学歴・職歴・資格を時系列で証明する書類です。「事実の記録」という性格が強く、フォーマットも統一されています。
職務経歴書はそれとは異なり、「何をやってきたか、どんな役割を担ったか、どんな成果を出したか」を具体的に伝える書類です。フォーマットに決まりはなく、書き方次第で採用担当者への伝わり方が大きく変わります。
採用担当者はここを見ている
- 履歴書で「どこで何年働いてきたか」を確認し、職務経歴書で「その期間に何ができるようになったか」を評価する
- 職務経歴書の内容が薄いと、履歴書の経歴年数が長くても高評価にはつながりにくい
- 採用担当者が職務経歴書を読む時間は平均1〜2分。冒頭の「職務要約」で興味を持たれるかどうかが最初の分岐点
採用担当者が職務経歴書で確認したいこと
採用担当者が助産師の職務経歴書でチェックする項目は多岐にわたります。単純に「分娩介助○件」という数字を見ているだけでなく、現場でどんな役割を担えるか、すぐに独り立ちできるかどうかを総合的に判断しています。
| 採用担当者が確認したいこと | 職務経歴書で伝えるべき内容 |
|---|---|
| 分娩介助の経験値 | 件数・種類(正常分娩・ハイリスク・帝王切開等) |
| 担当できる業務の範囲 | 外来・NICU・母親学級・保健指導の経験有無 |
| 施設規模・体制の経験 | 病床数・年間分娩件数・夜勤・オンコール体制 |
| リーダーシップ・指導力 | 後輩指導・リーダー経験・委員会活動の有無 |
| 即戦力かどうかの判断 | 独り立ちしているか、研修が必要な段階か |
助産師の職務経歴書の基本構成
職務経歴書はA4用紙1〜2枚が標準的なボリュームです。WordまたはPDFで作成し、フォントサイズ10〜11pt、余白は上下左右20mm程度を目安にすると読みやすくなります。構成は以下の4ブロックに分けるのが基本です。エンジニアの職務経歴書テンプレートもあわせて確認しておくと安心です。
①職務要約(最初の関門)
職務要約とは、3〜5行で自分のキャリア全体を凝縮した文章です。採用担当者が最初に目を通す箇所であり、ここで興味を持たれなければ職務経歴欄を詳しく読んでもらえないこともあります。
書くべき内容は「どんな施設で」「何年間」「どんな業務を担当し」「どんな強みがあるか」の4点です。具体的な数値や施設の特徴を盛り込むと、採用担当者が即座にあなたの経験をイメージできます。
良い例文
○○総合病院(年間分娩件数850件)で8年間助産師として勤務しました。LDRでの正常・ハイリスク分娩介助、NICU業務、産後病棟ケアを経験し、直近3年間は夜勤リーダーとして後輩5名の指導を担当しています。母乳育児支援に特に注力しており、入院中の母乳育児確立率の向上に継続して取り組んできました。
NG例
病院で8年間、助産師として勤務してきました。分娩介助や産後ケアなど助産師業務全般を担当しました。「助産師業務全般」という書き方では施設規模も実績も伝わりません。どこで何を担当したかが不明なため、採用担当者はイメージできず読み飛ばされやすくなります。
②職務経歴(施設ごとに具体的に記載)
職務経歴は勤務先ごとにまとめて記載します。時系列順(古い順または新しい順)に統一してください。各施設について以下の項目を盛り込みます。
- 施設名・所在地(任意)と在籍期間(○年○月〜○年○月)
- 施設概要:病床数・年間分娩件数・NICU有無などの特徴を1行で
- 担当業務:箇条書きで5〜8項目程度(LDR担当・外来補助・保健指導等)
- 実績・役割:数値を含めた具体的な成果や担った役割
採用担当者はここを見ている
- 施設概要(病床数・年間分娩件数)の記載で、どの規模・レベルの現場を経験しているかが即座に伝わる
- 「分娩介助 担当」より「年間850件規模の施設でハイリスク分娩を月3〜4件担当」の方が評価の根拠になる
- 退職理由がにおう書き方(「一身上の都合」以外の詳細な理由)は職務経歴書には書かない
③保有資格・スキル
助産師免許・看護師免許は取得年月とともに必ず記載します。それ以外にも以下のような研修・スキルを記載しておくと、採用担当者への安心感につながります。
- NCPR(新生児蘇生法)認定資格(Aコース・Bコース)と最終更新年
- BLS(一次救命処置)修了
- IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)やCLC(認定ラクテーション・コンサルタント)など母乳育児支援関連の資格
- 使用経験のある電子カルテシステム名(例:「○○システム 使用経験あり」)
- 産後ケア施設・助産院でのデイサービス対応経験など
④自己PR
自己PRは職務経歴欄と異なり、「なぜあなたなのか」を採用担当者に訴える部分です。構成の基本は「経験→具体的なエピソード→応募先への貢献」の3ステップです。詳しい例文は後半の「場面別例文」セクションで紹介します。
採用担当者が「通過させたくなる」書き方の3原則
書類選考を通過する職務経歴書と通過しない職務経歴書の差は、事実の量ではなく伝え方にあります。採用担当者が実際に評価する3つのポイントを押さえてください。ハローワーク用の職務経歴書テンプレートもあわせて確認しておくと安心です。
①分娩介助件数には「+α」を添える
「年間○件の分娩介助を担当しました」という記述は、多くの職務経歴書に共通する書き方です。しかし採用担当者にとって数字だけでは「どんな分娩を担当できるのか」が判断できません。
件数に加えて、以下のいずれかの情報を添えることで、経験の「質」が伝わります。
- ハイリスク分娩(双胎・前置胎盤・GDM・高齢初産など)の対応経験の有無と概数
- 緊急帝王切開移行時の手術室介助・麻酔導入補助の経験
- 夜勤・オンコール体制でのオンコール呼び出し対応実績(月○回程度)
- 吸引分娩・鉗子分娩の介助経験
良い例文
年間850件規模の施設で分娩介助を担当。そのうちハイリスク分娩(双胎・GDM合併・高齢初産等)を月2〜3件担当し、緊急帝王切開移行時の手術室介助にも対応してきました。夜勤はオンコール体制で、月平均5〜6件のオンコール対応経験があります。
②勤務施設の特徴を必ず1行で補足する
同じ「○年間の助産師経験」でも、年間分娩件数1,200件の周産期母子医療センターと、年間150件の個人クリニックでは経験の内容がまったく異なります。施設名だけでなく、施設の規模・特徴を1行で補足するだけで、経験の文脈が採用担当者に伝わります。
| 施設タイプ | 補足すべき特徴の例 |
|---|---|
| 総合病院・大学病院 | 病床数・年間分娩件数・NICU設置・ハイリスク対応施設かどうか |
| 産婦人科クリニック | 年間分娩件数・自然分娩方針・LDR有無・助産師外来の有無 |
| 助産院 | 年間分娩件数・規模・提携病院との連携体制 |
| 産後ケア施設 | 入所型・日帰り型の区別・担当業務(ケア・指導・支援) |
③役割の変化(後輩指導・委員会活動)を書く
経験年数が長くなるほど、採用担当者は「ただこなしてきただけ」なのか「役割が広がってきたのか」を確認します。後輩や学生の指導経験、リーダー業務、委員会活動は必ず記載してください。
これらは経験年数に見合った成長の証拠として、採用担当者が高く評価する項目です。「実務をこなしてきただけ」の印象から「組織に貢献できる人材」へと評価が変わります。
- 後輩助産師・看護師・学生の臨床指導担当(○名)
- 夜勤リーダー・チーフ担当(担当開始時期)
- 院内委員会への参加(感染対策・医療安全・母乳育児委員会等)と担った役割
- 新人研修や勉強会の企画・運営
よくあるNG例と書き直しパターン
転職経験が少ない方ほど陥りやすいNG例があります。3つの典型例と改善パターンを確認してください。パート用の職務経歴書テンプレートもあわせて確認しておくと安心です。
NG①業務内容を羅列するだけ
NG例
担当業務:分娩介助、産前産後ケア、母乳育児支援、新生児ケア、外来業務→「どこで」「何件」「どんな役割で」が一切不明。施設規模も実績もわからないため、採用担当者は評価できません。
改善例
担当業務:LDRにおける正常・ハイリスク分娩介助(年間850件規模)、産後病棟における褥婦・新生児ケア・退院指導、外来での妊婦健診補助・保健指導(週2回担当)、月1回の母親学級運営補助
NG②数字を並べるだけで文脈がない
NG例
実績:分娩介助1,200件・NICU勤務2年・後輩指導5名→ 数字が並んでいるだけで、採用担当者はその背景(どんな施設で、どんな役割で)を想像できません。
改善例
実績:5年間の総合病院勤務でNICU(6床)・分娩室を兼務し、分娩介助累計1,200件を経験。後輩助産師5名の臨床指導を担当するとともに、最終年度は夜勤リーダーとして新生児蘇生対応のシミュレーション研修を企画・実施しました。
NG③ブランク・産休育休後に空白を作る
産休・育休中や、育児のために一度退職した期間を「何も書かない」状態のまま提出するケースが多く見られます。空白があると「この期間は何をしていたのか」と採用担当者が疑問を持ち、面接でも確認が必要になります。
空白を作らず、育休取得の事実とあわせて復職準備の取り組みを一言添えるだけで印象が大きく変わります。
良い書き方
育児休業取得(2021年4月〜2022年9月)
育休中にNCPR(新生児蘇生法)Aコース更新受講(2022年7月)を実施し、復職に向けた準備を継続しました。
育休・産休以外のブランクがある場合も同様です。「育児のため一時退職」と明記したうえで、ブランク期間中に取り組んだことを一言添えてください。
【場面別】職務経歴書の例文
転職パターン別に、職務経歴書の具体的な記載例を紹介します。自分の状況に近い例文をベースに、施設名・件数・担当業務を実際の内容に置き換えて使用してください。
総合病院から産婦人科クリニックへの転職
職務要約の例文
○○総合病院(400床、年間分娩件数750件)で7年間助産師として勤務しました。LDR・産後病棟・助産師外来を経験し、ハイリスク分娩(双胎・GDM・胎盤早期剥離等)への対応実績があります。直近3年間は夜勤リーダーを担い、後輩助産師5名の臨床指導にも携わってきました。
職務経歴欄の記載例
○○総合病院(2018年4月〜2025年3月)
施設概要:400床、年間分娩件数750件、NICU設置(6床)
担当業務:
・LDRにおける正常・ハイリスク分娩介助
・産後病棟における褥婦・新生児ケア(退院指導・母乳育児指導含む)
・妊婦健診外来補助・保健指導(週2回)
・NICU新生児ケア(カンガルーケア支援・栄養管理補助)
・月1回の母親学級運営補助
実績・役割:
・分娩介助累計約850件(うちハイリスク分娩:月3〜4件)
・直近3年間、夜勤リーダー担当
・後輩助産師5名の臨床指導担当
・院内感染対策委員会委員(2022年〜)
ブランク・産休育休後の職場復帰を目指す場合
職務経歴欄の記載例(産休育休あり)
○○病院(2016年4月〜2021年3月)
施設概要:250床、年間分娩件数400件
担当業務:分娩介助、産後病棟ケア(褥婦・新生児)、外来補助
実績:分娩介助累計約450件、夜勤月5〜6回担当
育児休業取得(2021年4月〜2022年9月)
※NCPR Aコース更新受講(2022年7月)、復職準備継続
○○クリニック(2022年10月〜現在)
施設概要:自然分娩中心のクリニック、年間分娩件数180件
担当業務:分娩介助、産後入院中の母乳育児外来、骨盤底筋ケア外来補助
実績:分娩介助累計約200件
自己PRの例文
自己PRは採用担当者が「この人と働きたい」と思うかどうかを左右します。「経験→エピソード→応募先への貢献」の3ステップで組み立ててください。
自己PR例文①(総合病院からクリニックへの転職)
総合病院での7年間を通じて、ハイリスク分娩への対応から母乳育児指導まで、周産期ケアの多様な場面を経験しました。その中で実感してきたのは、お母さんの安心感は分娩当日だけでなく、産前から産後・育児期にわたる継続的なかかわりによって生まれるという点です。クリニックの環境でお母さんと家族一人ひとりの状況に合わせたケアに向き合いながら、これまでの経験を継続的なサポートの実践に役立てたいと考えています。
自己PR例文②(育休後の復職)
育休中に自身が母になる経験を通じて、産後の孤独感や授乳への不安が想像以上に大きいことを実感しました。育休前の助産師経験(分娩介助450件・産後病棟担当)に加え、育休後はNCPR更新も完了しています。当事者として感じた不安を助産師としての知識・技術と組み合わせることで、お母さんの気持ちに沿ったケアが実践できると考えています。復職後も継続して学び、チームに貢献していきます。
まとめ
- 職務経歴書は「採用担当者への営業資料」と位置づけて設計する
- 分娩介助件数は「+α(ハイリスク経験・オンコール実績)」を添えて経験の質を伝える
- 施設概要(病床数・年間分娩件数・NICU有無)を1行明記して経験の文脈を示す
- 後輩指導・リーダー経験・委員会活動で役割の変化と成長を証明する
- ブランク・産休育休は空白のままにせず、NCPR更新などの復職準備を記載する
- 自己PRは「経験→エピソード→応募先への貢献」の3ステップで組み立てる
書類選考を通過するためには、事実を書くだけでなく、採用担当者が「この人に会いたい」と感じる構成に仕上げることが欠かせません。
助産師の職務経歴書に関するよくある質問
- 職務経歴書のページ数はA4何枚が適切ですか?
-
経験年数に応じてA4で1〜2枚が目安です。経験が浅い場合(3年未満)は1枚にまとめ、経験が豊富な場合は2枚まで使って詳細に記載してください。3枚以上になると読みにくくなるため、内容を絞ることをおすすめします。
- 分娩介助件数が少ない場合でも記載した方がよいですか?
-
はい、件数が少なくても必ず記載してください。件数よりも「どんな施設でどんな役割を担ったか」の方が採用担当者には伝わります。「少数精鋭のクリニックでお母さん一人ひとりに向き合う環境で経験を積みました」のように施設の背景と合わせて説明すると印象が良くなります。
- 産休・育休の取得期間は職務経歴書に書くべきですか?
-
記載することをおすすめします。空白のままにすると採用担当者が疑問を持つ場合があります。「育児休業取得(○年○月〜○年○月)」と明記し、「育休中にNCPR更新受講を実施」など復職準備の取り組みを一言添えると好印象です。
- 職務経歴書はWordとPDFどちらで提出するべきですか?
-
提出方法は応募先の指定に従うことが優先です。指定がない場合はPDFで提出するとレイアウトが崩れにくく、どの環境でも正確に表示されます。転職エージェントを利用する場合は専用テンプレートが提供されることがあるため、担当者に確認してみてください。

