技術士・技術士補の履歴書は、日本技術士会への登録後に「技術士(〇〇部門)登録」と書くのが正解です。二次試験や一次試験の合格だけでは、その名称は使えません。書き方を誤ると名称独占に抵触するだけでなく、書類の信頼も落ちます。登録済み・未登録・JABEE修了の記載例と、採用担当者が見るポイントをまとめます。
技術士・技術士補の履歴書の書き方【結論と記載例】
結論:登録後に正式名称と部門名を書く
技術士も技術士補も名称独占資格です。公益社団法人 日本技術士会への登録が終わるまで、「技術士」「技術士補」とは書けません。履歴書の資格欄は、登録証に書かれた年月・正式名称・部門名を転記する欄です。
- 技術士:第二次試験合格のあと、登録が完了してから「技術士(〇〇部門)登録」
- 技術士補:第一次試験合格またはJABEE修了のあと、登録が完了してから「技術士補(〇〇部門)登録」
- 未登録:試験名と部門だけを書く。「登録予定」は書かない
資格欄に部門名を書いたら、職歴側でも同じ部門の担当業務が読めるようにします。建設業や建設コンサルタントへの応募では、建設業界の職務経歴書テンプレートに担当フェーズと成果を分けて書くと、履歴書の1行と職歴がつながります。
技術士として登録済みの場合
第二次試験に合格し、日本技術士会への登録が終わっている場合だけ「技術士」と書きます。年月は試験合格日ではなく、登録証の登録年月日を使います。部門名は省略しません。
良い記載例
2024年6月 技術士(建設部門)登録
2025年3月 技術士(総合技術監理部門)登録
NG例
技術士 取得
→ 部門名と年月がなく、専門分野が伝わらない
PE、プロフェッショナルエンジニア
→ 履歴書では和文の正式名称「技術士(〇〇部門)」を使う
技術士法では、名称を使うときに登録を受けた技術部門を明示する必要があります。履歴書でも「技術士」だけでは足りません。選択科目は必須ではありませんが、応募職種と直結する場合は「技術士(建設部門・土質及び基礎)」のように部門のあとに添えても構いません。登録番号の併記は任意です。
技術士第二次試験合格のみ(未登録)の場合
第二次試験に合格しただけでは「技術士」にはなりません。日本技術士会も、合格した時点では有資格者であり、登録前に名称を使うと罰則の対象になると案内しています。資格欄には合格という事実だけを書きます。
良い記載例
2024年11月 技術士第二次試験合格(建設部門)
NG例
技術士(建設部門)
→ 未登録で「技術士」と書くのは名称独占違反になる
技術士(登録予定)
→ 資格欄は取得済みの事実だけを書く欄。「予定」は置かない
技術士補として登録済みの場合
第一次試験合格またはJABEE修了のあと、日本技術士会への登録が終わっている場合は「技術士補(〇〇部門)登録」と書きます。年月は登録証の日付です。
良い記載例
2024年3月 技術士補(建設部門)登録
NG例
技術士補 登録
→ 部門名と取得年月が抜けているため、採用担当者は専門分野を判断できない
- 部門名は「建設部門」「電気電子部門」など、登録証の正式名称を使う
- 「PE補」「技術補」などの略称・造語は使わない
- 英語表記(Professional Engineer Supplement など)も避ける
技術士第一次試験合格のみ(未登録)の場合
第一次試験に合格しただけでは「技術士補」とは書けません。この段階は修習技術者です。資格欄には試験名と部門を書きます。
良い記載例
2023年11月 技術士第一次試験合格(電気電子部門)
NG例
技術士補(電気電子部門)
→ 未登録で「技術士補」と書くのは名称独占違反にあたる
技術士補(登録予定)
→ 資格欄に「予定」は書かない
「試験合格」と書いても、専門知識の証明にはなります。日本技術士会の統計では、令和7年度の第一次試験合格率は全体で33.8%でした。合格の事実を正確に書くほうが、名称を先取りするより評価されます。
JABEE認定プログラム修了の場合
JABEE(Japan Accreditation Board for Engineering Education)は、技術者教育の認定制度です。文部科学大臣が指定したJABEE認定課程を修了すると、技術士第一次試験が免除され、技術士補への登録資格が得られます。記載先は登録の有無で分かれます。
登録済みの場合(資格欄)
良い記載例(登録済み・JABEE修了)
2024年3月 技術士補(機械部門)登録(JABEE認定課程修了)
未登録の場合(学歴欄)
JABEE修了だけで登録していない場合、資格欄には書けません。学歴欄の卒業行に「JABEE認定課程修了」を添えます。
良い記載例(未登録・JABEE修了)
(学歴欄)2024年3月 ○○大学 ○○学部 ○○学科(JABEE技術者教育認定プログラム修了)卒業
「JABEE卒業」だけでは、どの課程かが伝わりません。大学名・学部・学科名を省略せず、括弧内に認定である旨を添えてください。用紙の体裁は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートに合わせると、学歴欄と資格欄のバランスが取りやすくなります。
施工管理技士など、現場系の国家資格も同じように正式名称と級の取り違えが起きやすいです。次の記事で確認できるので気になった方は是非ご覧ください。

試験合格だけでは「技術士」「技術士補」と書けない理由
名称独占のルール
技術士法第57条は、技術士でない者が「技術士」または類似の名称を使うこと、技術士補でない者が「技術士補」または類似の名称を使うことを禁じています。違反した場合は、同法第62条により30万円以下の罰金の対象になります。
第二次試験に合格しただけでは技術士にはなりません。第一次試験に合格しただけでは技術士補にもなりません。履歴書に先取りして書くと、法律上の問題だけでなく、登録証の提出を求められたときに説明がつかなくなります。
採用担当者はここを見ている
- 「技術士」「技術士補」と書かれている場合、登録証の提出を求めることがある
- 「合格」と「登録済み」の違いを理解しているかを、表記から確認している
- 部門名があるかどうかで、担当できる技術分野を判断している
登録状況別の早見表
自分の状況がどれに当たるかを、先に切り分けてください。書き方は登録の有無で決まります。
| 状況 | 登録の有無 | 記載方法 | 記載先 |
|---|---|---|---|
| 第二次試験合格+登録済み | 登録済み | 「技術士(〇〇部門)登録」 | 資格欄 |
| 第二次試験合格のみ | 未登録 | 「技術士第二次試験合格(〇〇部門)」 | 資格欄 |
| 第一次試験合格+登録済み | 登録済み | 「技術士補(〇〇部門)登録」 | 資格欄 |
| 第一次試験合格のみ | 未登録 | 「技術士第一次試験合格(〇〇部門)」 | 資格欄 |
| JABEE認定課程修了+登録済み | 登録済み | 「技術士補(〇〇部門)登録」 | 資格欄 |
| JABEE認定課程修了のみ | 未登録 | 「〇〇大学〇〇学部〇〇学科(JABEE認定)卒業」 | 学歴欄 |
採用担当者が技術士・技術士補をどう評価しているか
技術士は理工系、とくに建設コンサルタントやインフラ設計では、専門性と守秘義務を示す資格として見られます。技術士補は、その手前の段階です。採用担当者全員が制度の細部を把握しているわけではないため、表記の正確さがそのまま理解度の判断材料になります。
採用担当者が履歴書で確認する3つのポイント
採用担当者はここを見ている
- 正式登録の有無と正確な表記: 「試験合格」と「登録済み」では実態が違う。部門名・年月が揃っているかどうかで、資格の扱い方まで見ている
- 部門名と応募職種の整合性: 建設部門を持ちながら機械系職種へ応募する場合、「なぜこの組み合わせか」が問われる。志望動機で補う
- 次の資格への見通し: 技術士補なら技術士、技術士なら総合技術監理部門や選択科目の追加など、先の話ができるかを見ている
OK例・NG例の比較
同じ資格でも、1行の書き方で印象は変わります。次の表で確認してください。
| 記載パターン | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 2024年6月 技術士(建設部門)登録 | OK | 正式名称・部門・登録済みが一目でわかる |
| 2024年11月 技術士第二次試験合格(建設部門) | OK | 未登録であることが明確で、事実に即している |
| 2024年3月 技術士補(建設部門)登録 | OK | 技術士補の正式な書き方 |
| 2023年11月 技術士第一次試験合格(建設部門) | OK | 未登録の一次合格を正確に書いている |
| 技術士(建設部門)※未登録 | NG | 名称独占違反になる |
| 技術士補(建設部門)※未登録 | NG | 名称独占違反になる |
| 技術士 登録(部門名なし) | NG | 専門分野が不明で評価の根拠がない |
| PE、PE補、技術補 | NG | 正式名称ではない |
| 技術士(登録予定) | NG | 資格欄は取得済みの事実だけを書く欄 |
採用担当者が特に落とすのは、「未登録なのに技術士・技術士補と書いた行」と「部門名がない行」です。どちらも書類の段階で、資格の取り扱いを理解していない印象になります。電気工事士など他の国家資格も、級と免状の取り違えが同じ失敗になります。次の記事で確認できるので気になった方は是非ご覧ください。

資格欄だけで終わらせないアピール法
資格欄に正しく書けても、「持っている」だけでは仕事の中身は伝わりません。採用担当者に部門の意味を理解してもらうには、志望動機と職歴側の書き方が必要です。
志望動機に組み込む方法
技術士・技術士補を志望動機で使うときの軸は、専門性の証明と、入社後に担う業務の接続です。「資格があります」で止めず、「この部門で何ができるか」まで書いてください。
志望動機の記載例(技術士)
技術士(建設部門)として、道路橋の補修設計と施工計画の照査を担当してきました。貴社のインフラ保全案件では、劣化診断から補修方針の立案まで、登録部門の範囲で責任を持って進められると考えています。
志望動機の記載例(技術士補)
現在、技術士(建設部門)の取得を目指し、技術士補として実務経験を積んでいます。貴社のインフラ設計部門では、地盤工学の知識を業務に落とし込みつつ、第二次試験に必要な実務経験も積める環境だと判断しました。
- 資格名だけでなく、部門と担当業務の対応を1文で示す
- 技術士補なら、技術士二次試験までの見通しを添える
- 「難関資格です」ではなく、「入社後に何を担えるか」で締める
書類全体の体裁を揃えるなら、転職用の履歴書テンプレートを使うと、資格欄の行数が足りなくなる心配が減ります。
面接で資格の価値を伝えるコツ
面接では、制度を知らない面接官にも分かる言葉で説明します。次の3点を用意しておくと、話がずれません。
- 試験の位置づけ: 技術部門は21。第一次試験の合格率は令和7年度で33.8%、第二次試験は1割前後。難易度の話は短くし、自分の部門で何ができるかに戻す
- 部門と応募職種の対応: 「建設部門です」ではなく、「橋梁の補修設計と照査が担当範囲です」と言い換える
- 次の一手: 技術士補なら第二次試験の予定、技術士なら総合技術監理部門や選択科目の追加など、具体的な次の行動を話す
現場寄りの職種では、施工管理の職務経歴と資格欄を揃える必要があります。施工管理の職務経歴書テンプレートで、工事種別・規模・役割を数字で書くと、技術士の部門名が現場経験と結びます。建設コンサルタント向けの書き方は、次の記事で確認できるので気になった方は是非ご覧ください。

技術士補制度の今後を理解しておく
技術士補は、文部科学省の技術士分科会で見直しが続いています。指導技術士のもとで第二次試験の受験資格を得るルートの利用は、第二次試験受験者の約2%にとどまり、形骸化が指摘されてきました。
ただし、2026年時点で技術士補が廃止された事実はありません。名称変更や指導技術士の部門制限の緩和を含む見直しが検討されている段階です。履歴書には、検討中の制度ではなく、いまの登録状況だけを書いてください。
- 名称が変わっても、第一次試験合格や登録済みという事実の価値は残る
- 採用担当者が見るのは、いま書ける正式名称と、技術士二次試験への見通し
- 制度の議論を履歴書に注釈する必要はない
まとめ
- 技術士・技術士補は名称独占資格。登録を済ませた人だけが「技術士(〇〇部門)」「技術士補(〇〇部門)」と書ける
- 第二次試験合格のみは「技術士第二次試験合格(〇〇部門)」、第一次試験合格のみは「技術士第一次試験合格(〇〇部門)」
- JABEE修了者は、登録済みなら資格欄、未登録なら学歴欄に書く
- 資格欄には正式名称・部門名・年月の3点を入れる。登録番号は任意
- 採用担当者は、部門と職種の対応と、次の資格への見通しも見ている
書き方を正確にしたうえで、志望動機と職務経歴書で部門の中身を補うのが、技術士・技術士補を履歴書で活かす手順です。
技術士・技術士補の履歴書に関するよくある質問
- 技術士第二次試験に合格しましたが、まだ登録していません。履歴書に「技術士」と書いてもいいですか?
-
書けません。第二次試験合格だけでは技術士にはなりません。登録前に「技術士」と名乗ることは技術士法第57条(名称の使用の制限)に違反し、罰則の対象になります。「技術士第二次試験合格(〇〇部門)」と記載してください。
- 技術士第一次試験に合格しましたが、まだ登録していません。履歴書に「技術士補」と書いてもいいですか?
-
書けません。登録前に「技術士補」と名乗ることは技術士法第57条に違反する可能性があります。「技術士第一次試験合格(〇〇部門)」と記載してください。合格という事実だけでも、専門知識の証明にはなります。
- 技術士の登録番号は履歴書に書いた方がよいですか?
-
必須ではありません。年月・正式名称・部門名があれば、資格欄としては足ります。登録番号を書く場合は、登録証の番号をそのまま転記してください。応募先から登録証の提出を求められたときに照合できる書き方にしておきます。
- JABEE認定を受けた大学を卒業していますが、技術士補の登録はしていません。履歴書にはどう書きますか?
-
資格欄への記載はできません。学歴欄の卒業情報に付記する方法が一般的です。「○○大学 ○○学部 ○○学科(JABEE技術者教育認定プログラム修了)卒業」のように、学科名に続けて括弧内へ書いてください。学科名・大学名は省略しないでください。
- 技術士や技術士補の部門名を省略して書いてもいいですか?
-
省略は避けてください。「技術士(建設部門)登録」「技術士補(建設部門)登録」のように部門名まで書くのが正式な書き方です。技術士法でも、名称を使うときに登録部門の明示が求められます。登録証に記載されている部門名を転記するのが確実です。
- 技術士補の廃止が検討されていると聞きました。今から取得する意味はありますか?
-
2026年時点で廃止は確定していません。文部科学省では名称変更や指導技術士の制限緩和を含む見直しが議論されていますが、第一次試験合格や登録済みという実績の価値は残ります。履歴書には現時点の事実だけを書き、技術士第二次試験への見通しと合わせて伝えてください。

