履歴書では、接客の場面は「お客様」、実績や数字を書く場面は「顧客」と使い分け、書類の中で表記を統一するのが正解です。この記事では、職歴欄・自己PR・志望動機・職務経歴書それぞれの「お客様」の書き方を良い例とNG例で示し、採用担当者が違和感を覚える過剰敬語や表記ゆれの直し方、業界別の呼び方まで整理しています。
履歴書で「お客様」はどう書く?結論と使い分け
結論:接客の場面は「お客様」、実績・数字は「顧客」
履歴書に「お客様」と書くこと自体はマナー違反ではありません。目の前の相手にどう対応したかを伝える文では「お客様」が自然で、担当件数や売上などの成果を客観的に示す文では「顧客」がなじみます。
欄ごとの目安は次のとおりです。
| 書く場所 | おすすめの表記 | 理由 |
|---|---|---|
| 職歴欄 | 原則書かない(業務名で表す) | 職歴欄は「会社名・配属・業務」を1行で書く欄のため |
| 自己PR欄 | お客様 | 接客姿勢や人柄が伝わりやすい |
| 志望動機欄 | お客様(応募先の表記に合わせる) | 応募先の言葉に寄せると理解の深さが伝わる |
| 職務経歴書の実績 | 顧客・取引先 | 数字や属性を客観的に示す書き言葉のため |
「お客様」と「顧客」の違い
2つの言葉は指す相手がほぼ同じでも、文章に出たときの印象が異なります。
| 項目 | お客様 | 顧客 |
|---|---|---|
| ニュアンス | 敬意を込めた呼び方。初めての来店者も含む | 継続的に取引・利用している相手を客観的に指す |
| 向いている文 | 対応・会話・感謝など相手との関わり | 担当数・満足度・売上などの実績や分析 |
| 使われやすい職種 | 飲食・販売・ホテル・サービス | 法人営業・企画・マーケティング |
| 例 | お客様の要望を聞き取り商品を提案 | 担当顧客数60社、継続率90%を維持 |
迷ったら応募先の表記に合わせる
どちらを使うか決めきれないときは、応募先の求人票や企業サイトで使われている言葉に合わせるのが確実です。「お客さま」とひらがなで書く企業もあれば、「顧客」「ゲスト」「利用者」と呼ぶ企業もあります。
採用担当者はここを見ている
- 表記の統一:同じ書類の中で「お客様」「お客さま」「お客さん」が混ざっていないか
- 自社の言葉との一致:自社が「ゲスト」「利用者様」と呼んでいるのに、応募者が別の呼び方をしていないか
- 書き言葉かどうか:「お客さん」のような話し言葉が混ざっていないか
【欄別】履歴書の「お客様」の書き方と例文
同じ接客経験でも、書く欄によって「お客様」を入れるべきかどうかが変わります。欄ごとの良い例とNG例を確認してください。
職歴欄:「お客様」は書かず業務名で表す
職歴欄は入社・退社と所属、担当業務を簡潔に記載する欄です。お客様への対応姿勢は自己PR欄や職務経歴書に回し、職歴欄では「接客販売」「ホール業務」など業務名で表します。
良い書き方(職歴欄)
令和〇年 4月 株式会社〇〇 入社
〇〇店に配属され、婦人服の接客販売業務を担当
令和〇年 3月 一身上の都合により退社
NG例(職歴欄)
令和〇年 4月 株式会社〇〇 入社 お客様一人ひとりに笑顔で接し、満足していただける接客を心がけました
職歴欄に心がけや感想を書くと、経歴が読み取りにくくなります。アピールは自己PR欄に分けて書きます。
アルバイト経験を書く場合は、アルバイト用の履歴書テンプレートを使うと、職歴欄と自己PR欄の配分を迷わずに済みます。
自己PR欄:「お客様」で対応の中身を伝える
自己PR欄は「お客様」がいちばん活きる欄です。ただし、「お客様のために」で止めず、どんなお客様に何をしたかまで書きます。
良い例文(自己PR欄)
私の強みは、お客様の言葉にならない要望をくみ取る力です。家電量販店で販売を担当していた際、「どれがいいかわからない」と話すお客様には、まず使う場面と予算を3つの質問で確認してから候補を2つに絞って提案していました。その結果、担当フロアの延長保証の加入率が店舗内で上位になりました。御社でも、お客様が迷う時間を短くする提案で貢献します。
NG例(自己PR欄)
私は常にお客様第一を心がけ、お客様に喜んでいただけるようご対応させていただきました。お客さんからありがとうと言われることがやりがいでした。
「お客様」「お客さん」が混在し、「ご対応させていただきました」は敬語の重ねすぎです。行動が書かれていないため、強みも伝わりません。
志望動機欄:応募先の呼び方に合わせる
志望動機では、応募先が使っている呼び方に寄せると「企業のことを調べている」と伝わります。ホテルなら「ゲスト」、介護施設なら「利用者様」と呼ぶ企業もあるため、求人票を確認してから書きます。
良い例文(志望動機欄)
貴社の店舗で、スタッフの方がお客様の体型や好みを聞きながら試着を勧めている様子を見て、売ることより選ぶ時間を楽しんでもらう接客に共感しました。前職のアパレル販売で身につけたコーディネート提案の経験を活かし、お客様が再来店したくなる店づくりに携わりたいと考えています。
NG例(志望動機欄)
お客様の笑顔のために働きたいと思い、貴社を志望しました。
どの会社にも当てはまる内容で、応募先を選んだ理由が見えません。「お客様」という言葉を入れるだけでは志望動機になりません。
転職で提出する場合は、転職用の履歴書テンプレートのように志望動機欄が広めの様式を選ぶと、応募先に合わせた内容を書き込めます。
職務経歴書:実績は「顧客」で数字とセットにする
職務経歴書は業務内容と実績を客観的に示す書類です。担当数や成果を書く行では「顧客」「取引先」を使い、数字と組み合わせると読みやすくなります。
良い書き方(職務経歴書)
【担当業務】中小製造業向けの業務用資材の提案営業
【担当顧客】既存取引先40社、新規開拓月5社
【実績】顧客ごとの発注周期を一覧化し、欠品前の提案を徹底した結果、継続取引率95%を維持
NG例(職務経歴書)
たくさんのお客様を担当し、お客様からの信頼を得ました。
「たくさん」「信頼」では規模も成果も伝わりません。担当数や継続率など数字に置き換えます。
営業職の実績の並べ方は、営業の職務経歴書テンプレートの項目に沿って埋めると整理しやすくなります。
採用担当者が「お客様」の書き方で見ているポイント
「お客様」と「顧客」のどちらを選んだかだけで合否が決まることはまずありません。採用担当者が見ているのは、その言葉のあとに何が書かれているかです。
「お客様のために頑張った」で止まる履歴書が埋もれる理由
接客経験のある応募者の多くが「お客様の立場に立って」「お客様に喜んでいただけるよう」と書きます。言葉としては正しくても、ほかの応募者と同じ文章になり、採用担当者の記憶に残りません。
表記に迷って手が止まっている人ほど、実は言葉選びよりも先に「自分はお客様の何を見て、何をしたか」を書き出すほうが、書類の印象は大きく変わります。
採用担当者はここを見ている
- どんなお客様か:年齢層・来店目的・法人か個人かなど、相手の姿が浮かぶか
- 何をしたか:質問の仕方、提案の手順、クレーム時の対応など、再現できる行動があるか
- どうなったか:リピート・指名・売上・アンケート評価など、結果が示されているか
- 言葉の丁寧さの加減:敬語を重ねすぎず、ビジネス文書として読みやすいか
伝わる型:お客様の状況→自分の行動→結果
「お客様」を使った文章は、次の3段階で組み立てると具体的になります。
- お客様の状況:「初めて来店し、何を選べばよいか迷っているお客様が多かった」
- 自分の行動:「用途を聞く質問を3つに決め、候補を2つに絞って説明した」
- 結果:「購入までの時間が短くなり、再来店時に指名されることが増えた」
この型で書けば、「お客様」が何度か出てきても抽象的な印象になりません。
履歴書の「お客様」でよくあるNG例と直し方
提出前に、次の表と照らし合わせて確認してください。とくに過剰敬語と表記ゆれは、本人が気づきにくい失敗です。
| NG例 | 直し方 | 理由 |
|---|---|---|
| お客様にご対応させていただきました | お客様の対応を担当しました | 敬語を重ねすぎて読みにくい |
| お客さんの声を聞き | お客様の声を聞き | 「お客さん」は話し言葉 |
| 「お客様」と「お客さま」が混在 | どちらかに統一 | 表記ゆれは見直し不足に見える |
| 1文の中で「顧客」と「お客様」が混在 | 文ごとに役割を決めて使い分ける | 同じ相手か別の相手か迷わせる |
| 顧客を処理した/さばいた | 顧客に対応した | 相手を物のように扱う印象を与える |
| お客様第一を心がけました | 具体的な行動を1つ書く | 誰でも書ける内容で差がつかない |
提出前のチェックリスト
- 「お客様」「お客さま」「顧客」の表記を検索して、書類全体で統一されているか
- 「させていただく」が1つの欄に2回以上出てきていないか
- 応募先の求人票と同じ呼び方になっているか
「させていただく」や二重敬語の見分け方は、次の記事で例文つきで確認できます。

業界・職種別「お客様」の呼び方と書き方の例文
業界によって、相手の呼び方の定番は異なります。応募先の業界で一般的な呼び方を把握しておくと、書類の言葉選びで迷いません。
| 業界・職種 | よく使われる呼び方 |
|---|---|
| 飲食・小売・販売 | お客様、来店客 |
| ホテル・旅館 | お客様、ゲスト |
| 法人営業・商社 | 顧客、取引先、得意先 |
| 広告・IT・コンサル | クライアント、ユーザー |
| 介護・福祉 | 利用者、ご利用者様 |
| 医療 | 患者、患者様 |
※呼び方は企業ごとに異なるため、最終的には応募先の求人票・企業サイトの表記を優先してください。
飲食・販売・サービス(アルバイト・パート含む)
対人の場面が中心なので、自己PRでは「お客様」で統一します。混雑時の対応や常連のお客様との関わりなど、現場の場面を1つに絞ると伝わりやすくなります。パート応募ならパート用の履歴書テンプレートが書きやすい構成です。
良い例文(飲食店ホール)
ランチタイムの混雑時、待ち時間を気にされるお客様が多かったため、案内時に目安の待ち時間をお伝えし、メニューを先に渡すことを店長に提案しました。待ち時間への苦情が減り、お客様アンケートの「接客」の評価が前年より上がりました。
法人営業
法人営業では、相手を「顧客」「取引先」と書くのが一般的です。商談相手個人に触れる場合は「ご担当者様」ではなく「担当者」と書けば十分で、書類全体が引き締まります。
良い例文(法人営業)
既存顧客30社を担当し、各社の担当者と月1回の定例訪問を行いました。訪問時に在庫状況を確認する仕組みをつくり、追加発注の提案件数を前年比1.4倍に伸ばしました。
介護・医療
介護では「利用者」、医療では「患者」と呼ぶのが一般的で、「お客様」と書くと業界の理解が浅く見えるおそれがあります。敬称の有無は応募先の表記に合わせます。
NG例(介護職への応募)
お客様一人ひとりに寄り添った介護をしたいと考えています。
介護の現場では「利用者」と呼ぶのが一般的です。「利用者様の生活リズムに合わせた声かけ」など、業界の言葉で具体的に書きます。
「お客様に寄り添う」以外の表現を探している場合は、言い換えの例文集が使えます。

販売経験を職務経歴書にまとめる場合は、売上目標がない職場でも実績を示す書き方を確認しておくと手が止まりません。

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まとめ
- 基本の使い分け:接客の場面は「お客様」、実績や数字は「顧客」
- 職歴欄:「お客様」は書かず「接客販売業務」など業務名で記載
- 自己PR・志望動機:お客様の状況→自分の行動→結果の順で書く
- 表記:「お客様」「お客さま」を混在させず、応募先の呼び方に合わせる
- NG:「ご対応させていただきました」などの過剰敬語と「お客さん」は避ける
言葉選びで迷ったら、まずお客様に対して自分がした行動を1つ書き出すところから始めると、欄が埋まりやすくなります。
履歴書の「お客様」の書き方に関するよくある質問
- 履歴書に「お客様」と書くのは失礼ですか?
-
失礼ではありません。自己PRや志望動機で接客の場面を書くときは「お客様」が自然です。ただし、担当数や売上などの実績を書く場面では「顧客」のほうが客観的に読めます。
- 「お客様」と「お客さま」はどちらが正しいですか?
-
どちらも誤りではありません。応募先の求人票や企業サイトで使われている表記に合わせ、書類の中ではどちらか一方に統一してください。混在していると見直し不足の印象を与えます。
- 同じ履歴書の中で「お客様」と「顧客」を両方使ってもいいですか?
-
文の役割で使い分けるのであれば問題ありません。たとえば、自己PRの対応場面は「お客様」、職務経歴書の実績欄は「顧客」とします。1つの文の中で両方を混ぜるのは避けてください。
- 「お客様に対応させていただきました」は使えますか?
-
意味は通じますが、書類では「お客様の対応を担当しました」「お客様に対応しました」と簡潔に書くほうが読みやすくなります。「ご対応させていただきました」は敬語を重ねすぎた表現なので避けてください。

