履歴書の特記事項に書くことがない場合は、「特になし」ではなく「貴社規定に従います」と書くのが正解です。空欄も避けます。この記事では、その理由と記載例、通院や入社日など「貴社規定に従います」で済ませてはいけないケース、状況別の例文までをまとめます。
特記事項に書くことがないときは「貴社規定に従います」と書く
結論:この一文だけで問題ありません
伝えたい希望や事情が何もないなら、特記事項欄には「貴社規定に従います。」と一文だけ記入すれば足ります。文字数を稼ぐ必要も、無理にアピールを詰め込む必要もありません。
この一文は「勤務地も勤務時間も待遇も、御社の条件で受け入れます」という意思表示です。採用担当者からすると、条件面での確認が不要な応募者だと判断できるため、選考を進めるうえでむしろ扱いやすい回答になります。
特記事項の記載例
良い例文
貴社規定に従います。
句点まで含めて、欄の中央付近にバランスよく収めます。枠が大きい場合でも一文のままで構いません。
NG例
特になし
間違いではありませんが、突き放した印象が残り、書類を丁寧に仕上げていない応募者に見えます。同じ「希望はありません」を伝えるにしても、言い換え一つで受け取られ方が変わります。
採用担当者はここを見ている
- 条件面で調整が必要な応募者かどうかを、面接前に把握したい
- 枠を最後まで埋めているかで、書類全体への丁寧さを推し量っている
- 希望が書かれている場合は「入社の条件」として読むため、内容と書き方を細かく見る
そもそも欄の枠が極端に大きい様式を使っていると、一文だけでは間延びして見えます。応募先や雇用形態に合った様式を選ぶことも大切で、迷う場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと欄のバランスで悩まずに済みます。
「特になし」と空欄が避けられる本当の理由
「特になし」がマイナスに働く理由は、よく言われる「意欲が低く見えるから」だけではありません。実務上の問題は別のところにあります。
| 書き方 | 採用担当者の受け取り方 | 評価 |
|---|---|---|
| 空欄 | 記入漏れなのか、希望がないのか判別できない | 確認の手間が発生する |
| 特になし | 希望はないと分かるが、事務的で素っ気ない | 印象が残らない、もしくは軽く減点 |
| 貴社規定に従います | 条件を受け入れる意思表示として明確 | 問題なく通過する |
採用担当者にとっては「判別できない情報」になる
空欄が最も避けられるのは、意図的に空けたのか、単に書き忘れたのかを採用担当者が区別できないためです。区別できなければ、面接で改めて確認するか、判断を保留するしかありません。応募者が多い求人では、この一手間が敬遠の理由になります。
「特になし」は判別はできますが、他の応募者が「貴社規定に従います」と書いている中では、書類への向き合い方の差として目に留まります。書類選考は減点方式で見られることが多く、単独で不合格になるほどの要素ではないものの、わざわざ選ぶ理由もありません。
そもそも特記事項欄とは何を書く欄か
本人希望記入欄・備考欄との違い
「特になし」と書いてしまう原因の多くは、この欄を「特別なことを書く欄」だと思い込んでいる点にあります。実際には呼び名が違うだけで、用途は同じです。
| 欄の名称 | 主に使われる様式 | 用途 |
|---|---|---|
| 本人希望記入欄 | 厚生労働省の様式例 | 勤務条件の希望・伝達事項 |
| 特記事項 | 市販・企業指定の様式 | 同上 |
| 備考欄 | アルバイト・パート用の様式 | 同上 |
| 通信欄 | 旧JIS規格系の様式 | 同上 |
つまり特記事項欄は、「特筆すべき実績」を書く欄ではなく、勤務条件のすり合わせに使う欄です。自己PRや資格の補足を無理に押し込む場所ではありません。書くことが思い浮かばないのは自然なことで、その場合に「貴社規定に従います」で締めるのが定型の作法になっています。
特記事項に書いてよい内容
- 入社可能日や、在職中で退職日の調整が必要な事情
- 勤務時間・勤務地・勤務曜日に制約がある場合の具体的な条件
- 通院や体調面で配慮が必要な事項(業務への影響範囲とセットで)
- 連絡が取りにくい時間帯がある場合の希望連絡手段
- 転居予定や、複数職種の募集に対する希望職種
備考欄という名称で同じ悩みに当たった場合の書き分けは、次の記事にまとめています。

「貴社規定に従います」で済ませてはいけない5つのケース
ここが多くの記事で抜け落ちている部分です。「貴社規定に従います」は希望がない人にとっての正解であって、伝えるべき制約がある人が使うと、入社後に自分の首を絞めます。書いた以上は「どんな条件でも働けます」と申告したことになるためです。
1. 定期通院・持病で配慮が必要な場合
良い例文
月に1度、平日午前に通院しております。半日の休暇取得で対応可能であり、業務遂行に支障はございません。
制約だけを書くと不安材料になります。「どの程度の配慮で足りるか」まで書くことで、受け入れ可否をその場で判断してもらえます。
2. 育児・介護で勤務時間に制約がある場合
良い例文
育児のため、平日9時から16時までの勤務を希望いたします。土曜日は隔週で終日勤務が可能です。
できないことだけを並べず、対応できる範囲を添えます。これがあるかどうかで、シフトを組む側の印象が大きく変わります。
3. 入社可能日に制約がある場合
良い例文
現在在職中のため、内定後1か月程度で入社が可能です。時期についてはご相談に応じます。
4. 近日中に転居予定がある場合
良い例文
2026年9月に、貴社最寄りの〇〇市へ転居予定です。転居後の通勤時間は約20分となります。
現住所が遠方だと、それだけで通勤面を懸念されます。転居予定は書いておかないと損をする情報の代表格です。
5. 連絡が取りにくい時間帯がある場合
良い例文
在職中のため、平日は18時以降のご連絡ですと確実です。日中はメールにて随時確認しております。
採用担当者はここを見ている
- 制約を隠していないか。入社後に判明する制約は、選考時に申告された制約よりはるかに問題視される
- 制約に対して、応募者自身が代替案を出せているか
- 希望が「相談ベース」か「絶対条件」か、語尾から読み取っている
連絡可能な時間帯の伝え方は、在職中かどうかで書き方が変わります。

状況別|特記事項の書き方と例文
在職中で退職日が確定していない場合
良い例文
現在在職中のため、退職日は調整中です。内定をいただいた場合は1〜2か月程度で入社が可能です。その他の条件は貴社規定に従います。
制約を1点だけ書き、残りは「貴社規定に従います」で締める形が最も収まりが良い書き方です。転職者向けの様式は転職用の履歴書テンプレートから入手できます。
パート・アルバイトで勤務時間に希望がある場合
良い例文
週3〜4日、10時から15時までの勤務を希望いたします。繁忙期は勤務日数の追加にも対応可能です。
NG例
週3日、10時から15時まで。土日祝は勤務できません。時給1,200円以上を希望します。
条件を並べただけで、譲歩の余地がまったく見えません。とくに給与額の指定は、応募段階では条件重視の応募者と受け取られやすくなります。
応募先に合わせた様式は、アルバイト用の履歴書テンプレートやパート用の履歴書テンプレートをそのまま使えます。
新卒・第二新卒で書くことがない場合
良い例文
貴社規定に従います。全国どの勤務地でも対応可能です。
複数拠点を持つ企業では、この一言が配属検討の材料になります。転勤に抵抗がないなら書いておく価値があります。
新卒向けの様式は新卒用の履歴書テンプレートを利用してください。
ブランク・短期離職を補足したい場合
良い例文
2025年4月から半年間は、家族の介護に専念しておりました。現在は介護の体制が整い、就業に支障はございません。
ブランクは事実だけを短く書き、現在は解消していることを添えます。長い言い訳を書くほど、かえって問題が大きく見えます。
希望条件全般の書き分けは、次の記事で状況別にまとめています。

特記事項に書くと評価を下げる内容
書けば書くほど良いわけではありません。次の内容は、応募段階で特記事項欄に書くと不利に働きます。
- 給与・賞与・昇給に関する具体的な希望額
- 休日日数や有給休暇の取得しやすさに関する要望
- 残業をしたくない、転勤は絶対に不可といった一方的な拒否
- 前職への不満や退職理由のネガティブな説明
- 志望動機や自己PRの続き(欄の用途が違うため)
NG例
残業のない職場を希望します。年収450万円以上、完全週休二日制を条件とさせていただきます。
すべてが「絶対条件」の書き方になっており、交渉の余地がありません。待遇面は面接や内定後の条件提示の場で確認する内容で、書類段階で持ち出すものではありません。
どうしても譲れない条件がある場合も、書類には書かず面接で相談する順序が無難です。書類は通過してこそ意味があり、条件のすり合わせはその後に持ち越せます。
まとめ
- 特記事項に書くことがなければ「貴社規定に従います。」と一文だけ記入する
- 空欄は記入漏れと区別できず、「特になし」は素っ気ない印象が残る
- 特記事項欄は本人希望記入欄・備考欄と同じ用途で、勤務条件を伝える欄
- 通院・育児介護・入社日・転居予定・連絡時間の制約がある人は、「貴社規定に従います」で済ませない
- 制約を書くときは、対応できる範囲をセットで添える
- 給与額・休日・残業の要望は書類段階では書かない
この欄で悩んで手が止まっているなら、伝えるべき制約が自分にあるかどうかを先に確認してください。何もなければ一文で終わり、あるなら制約と対応範囲を一組にして書く。判断はこの二択だけです。
履歴書の特記事項に関するよくある質問
- 特記事項に「特になし」と書いたら不合格になりますか
-
「特になし」だけで不合格になることはほとんどありません。ただし他の応募者が「貴社規定に従います」と書いている中では書類への丁寧さの差として目に留まるため、あえて選ぶ理由はありません。
- 「貴社規定に従います」と「御社規定に従います」はどちらが正しいですか
-
履歴書などの書き言葉では「貴社」を使います。「御社」は面接など話し言葉で使う表現です。応募先が病院なら「貴院」、学校法人なら「貴校」、団体なら「貴団体」に置き換えます。
- 特記事項欄が大きくて一文だけでは余白が目立ちます
-
無理に文字を増やす必要はありません。欄の中央付近に一文を配置すれば余白は不自然になりません。書けることがあれば、対応可能な勤務地や入社可能日を一行添えると自然に埋まります。
- 特記事項に自己PRや資格の補足を書いてもいいですか
-
用途が違うため避けます。特記事項は勤務条件を伝える欄で、アピールは志望動機欄や自己PR欄で行います。取得予定の資格など応募先に関係する情報であれば、一行程度の補足にとどめてください。

