退職届と離職票は発行元も目的もまったく違う別の書類です。退職届は自分が会社に提出する書類、離職票は退職後に会社を経由してハローワークから届く失業給付の申請書類です。この記事では両者の違いと、離職票が届くまでの流れ、届かない時の対処法、退職届の書き方が離職票の内容に影響するケースまで、人事・総務担当者が実務で確認しているポイントも交えて解説します。
退職届と離職票は別物です|違いを先に確認
結論:発行元も目的もまったく違う書類
退職届は、退職者本人が会社に対して退職の意思を通知するために作成し提出する書類です。一方、離職票(雇用保険被保険者離職票)は、会社が退職の手続きをハローワークに申請したあとにハローワークが発行し、会社を経由して退職者に渡される公的な書類です。作る人・渡す人・使う目的がすべて異なるため、「退職届を出したから離職票も自然に手に入る」という認識は誤りです。
【比較表】退職届・離職票・退職証明書の違い
| 項目 | 退職届 | 離職票 | 退職証明書 |
|---|---|---|---|
| 作成者 | 退職者本人 | ハローワーク | 会社 |
| 提出・受取先 | 本人が会社へ提出 | 会社経由で本人が受取 | 会社が本人へ発行 |
| 目的 | 退職の意思を通知する | 失業給付を申請する | 退職の事実を証明する |
| 公的書類か | 私文書 | 公的書類 | 私文書 |
| 受け取る時期 | 退職の意思を固めた時点 | 退職後おおむね10日〜2週間後 | 本人が請求した時 |
退職届を出せば自動的に離職票がもらえるわけではない
離職票は、会社が退職者の被保険者資格喪失の手続きをハローワークで行い、あわせて離職証明書を提出することで初めて発行されます。退職届の提出はあくまで会社への意思表示であり、離職票の発行手続きとは別の作業です。転職先が決まっていて失業給付を使う予定がない場合、会社によっては本人から申し出ない限り離職票の発行手続きが後回しになることもあります。失業給付を受ける予定がある人は、退職届の提出時に「離職票を発行してほしい」と一言添えておくと確実です。

離職票はいつ届く?退職届提出後の流れ
離職票が手元に届くまでは、退職日からおおむね10日〜2週間が目安です。退職届を出したその日にもらえるものではないため、あらかじめ流れを把握しておくと不安になりにくくなります。
- 会社がハローワークへ書類を提出:退職者の被保険者資格を喪失した翌日から10日以内に手続き
- ハローワークが離職票を発行:書類の受理から1〜5日程度で会社宛に交付
- 会社から本人へ発送:郵送の場合は1〜3日程度で自宅に到着
会社が手続きを後回しにしていたり、退職者本人の住所変更が反映されていなかったりすると、この目安より遅れることもあります。退職から2週間を過ぎても届かない場合は、次の章の対処法を確認してください。

離職票が2週間待っても届かない時の対処法
退職から2週間を過ぎても離職票が届かない場合は、まず会社の担当部署に確認の連絡を入れます。感情的に問い詰めるのではなく、手続きの進捗を確認するという姿勢で連絡するとスムーズです。
良い例文
お世話になっております。〇月〇日付で退職いたしました〇〇部の山田太郎です。離職票の発行状況についてご確認させていただきたくご連絡いたしました。お手数をおかけしますが、発送予定などわかりましたらお教えいただけますでしょうか。
NG例
離職票がまだ届いていないんですが、いつまでほっとくつもりですか。早く送ってください。
感情的な言い方は、担当者の対応を後回しにさせる要因になります。退職後も会社とのやり取りは残るため、事実確認の形で連絡するほうが結果的に早く動いてもらえます。
人事・総務担当者はここを見ている
- 退職者からの連絡が、進捗確認か催促・苦情かで対応の優先度を判断している
- 住所変更や氏名変更が退職前に正しく届け出られているかを確認する
- 離職票の要否をあらかじめ伝えてもらえているかで、手続き着手のタイミングが変わる
会社に連絡しても改善しない場合や、そもそも連絡が取りづらい場合は、ハローワークに相談する方法もあります。ハローワークから会社へ状況確認や手続きの催促をしてもらえることがあります。また、退職日から12日が経過しても離職票が届かない場合は、退職証明書など退職日がわかる書類を持参してハローワークで求職者の仮登録を行うことも可能です。
離職票の離職理由が退職届の内容と食い違うとどうなる?
退職届に書いた退職理由の表現は、離職票の離職理由欄にも影響します。自己都合退職か会社都合退職かで、失業給付を受け取れるまでの期間が変わるため、退職理由の書き方は軽く扱えません。
| 離職理由 | 待機期間後の給付制限 | 対象になりやすいケース |
|---|---|---|
| 会社都合退職 | なし(7日間の待機のみ) | 解雇、倒産、雇い止めなど |
| 自己都合退職 | 原則1ヶ月(2025年4月改正) | 一身上の都合による転職・独立など |
| 自己都合退職(過去5年で3回以上) | 3ヶ月 | 短期間での自己都合退職を繰り返している場合 |
良い例文(会社都合退職の場合)
退職届
私儀
この度、貴社の業績悪化に伴う人員整理により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
令和〇年〇月〇日
〇〇部〇〇課 山田太郎 印
株式会社〇〇 代表取締役〇〇〇〇殿
NG例
実際は会社都合の退職なのに、退職届に「一身上の都合により退職いたします」と書いてしまう。
会社側がこの表現をそのまま離職理由として処理すると、離職票にも自己都合と記載され、本来なら給付制限を受けずに済むはずの手続きで、1ヶ月分の給付制限がついてしまう可能性があります。
離職票を受け取った際は、離職理由欄の記載が実際の退職経緯と合っているかを必ず確認してください。内容に納得できない場合は、離職票に異議ありの欄へ記入したうえで、ハローワークの窓口で申し出ることができます。会社に直接確認を求めることも可能です。
離職票を受け取った後にすべきこと
離職票が届いたら、内容を確認したうえで速やかに失業給付の手続きに進みます。ハローワークでの求職申込みには、離職票のほかにマイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類、証明写真、預金通帳が必要です。
✅ 失業給付の手続きに必要なもの
- 離職票(1・2):会社から受け取った原本
- 本人確認書類:マイナンバーカードまたは運転免許証など
- 証明写真:縦3cm×横2.5cm程度のもの2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
並行して次の転職活動を進める人も多くいます。求職活動の実績づくりも兼ねて、応募書類の準備を早めに始めておくと落ち着いて動けます。ハローワークで求職活動をする場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートを使うと様式で迷わずに済みます。転職活動全体の応募書類には転職用の履歴書テンプレートもあわせて活用してください。
公的な書式で応募書類を整えたい場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレート、レイアウトの整った書類が欲しい場合はJIS規格に沿った履歴書テンプレートを参考にすると、体裁で迷う時間を減らせます。

まとめ
- 退職届は本人が会社へ提出する書類、離職票は会社を経由してハローワークから届く失業給付の申請書類で、まったく別の書類
- 退職届を出しても離職票は自動発行されない。失業給付を使う予定があるなら発行を会社に依頼しておく
- 離職票が届くまでの目安は退職から10日〜2週間。2週間を過ぎたら会社へ確認、12日経過後はハローワークでの仮登録も可能
- 退職届の退職理由の書き方は離職票の離職理由に影響し、自己都合・会社都合で給付制限の有無が変わる
それぞれの書類の役割を理解して手続きを進めれば、退職後の失業給付や転職活動でつまずくことを防げます。
退職届と離職票に関するよくある質問
- 退職届を提出すれば、離職票は自動的に届きますか?
-
自動的には届きません。離職票は会社がハローワークで手続きをして初めて発行されるため、失業給付を受ける予定がある場合は退職届の提出時に発行してほしい旨を伝えておくと確実です。
- 離職票と退職証明書は同じものですか?
-
別の書類です。離職票はハローワークが発行する失業給付申請のための公的書類、退職証明書は会社が退職の事実を証明するために発行する私文書です。用途がまったく異なります。
- 転職先が決まっている場合、離職票は必要ないですか?
-
すぐに転職先で働き始める場合は不要なケースが多いですが、内定が取り消しになったり入社時期が延びたりする可能性もあるため、念のため発行してもらっておくと安心です。
- 離職票の離職理由に納得できない場合はどうすればいいですか?
-
離職票の「離職理由に異議あり」の欄に記入したうえで、ハローワークの窓口で事情を説明できます。会社に直接、記載内容の確認を求めることも可能です。

