営業の職務経歴書は、「商材・顧客層・営業スタイル・実績」の4点を冒頭で示すのが正解です。売上金額だけを並べても、採用担当者はその数字を評価できません。この記事では、営業スタイル別の例文、予算未達や数字が弱いときの書き方、書類選考で落とされるNG例を整理します。
営業の職務経歴書の書き方|最初に押さえる4項目
結論:商材・顧客層・営業スタイル・実績の4点を冒頭で示す
営業職の書類選考は「この人が自社でも同じ成果を出せるか」を判断する場です。判断材料になるのは売上の金額そのものではなく、その売上がどんな条件下で生まれたのかという背景情報になります。
| 項目 | 書く内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| 商材 | 何を売っていたか・単価帯 | 業務用空調機器(1件80万〜400万円) |
| 顧客層 | 誰に売っていたか・担当エリア | 中小製造業の総務部門/神奈川県内 |
| 営業スタイル | 新規/既存・手法 | 新規7割・既存3割/テレアポと紹介 |
| 実績 | 相対値で示す成果 | 年間目標達成率112%(部内3位/12名) |
この4項目が揃っていない書類は、経歴を読んでも人物像が像を結びません。単価400万円の設備を年間10件売る営業と、単価3万円の消耗品を月200件売る営業では、必要な能力がまったく違うためです。フォーマットに迷う場合は営業職向けの職務経歴書テンプレートに沿って埋めていくと、4項目が自然に収まります。
職務要約の例文|最初の5行で決まる
採用担当者が最初に読むのは冒頭の職務要約です。ここで人物像がつかめないと、以降の詳細は流し読みになります。200〜250文字程度で、4項目を圧縮して入れてください。
良い例文
大学卒業後、株式会社〇〇にて業務用空調機器の法人営業に5年間従事しました。神奈川県内の中小製造業を中心に、新規開拓7割・既存深耕3割の比率で担当し、1件あたり80万〜400万円の設備更新提案を行っています。設備の老朽化時期から逆算した提案手法を確立し、直近2年は年間目標達成率112%・部内3位(12名中)を維持しました。現在は後輩2名の同行指導も担当しています。
NG例
大学卒業後、株式会社〇〇に入社し、営業職として5年間勤務してまいりました。お客様のニーズを第一に考え、誠実な対応を心がけることで信頼関係を築いてきました。年間売上は3,000万円を達成しています。今後もこの経験を活かして御社に貢献したいと考えております。
何をどこに売っていたのかが最後まで書かれていません。「3,000万円」も、目標がいくらだったのかが不明なため達成なのか未達なのか判断できません。
採用担当者はここを見ている
- 売上金額の隣に「目標」または「前年」があるか(比較対象のない数字は読み飛ばされます)
- 新規と既存の比率が書かれているか(採用後に任せる仕事と噛み合うかの判断材料になります)
- 「誠実」「responsibility」のような姿勢の言葉だけで要約が埋まっていないか
【営業スタイル別】職務経歴書の例文
同じ営業でも、評価される軸はスタイルごとに変わります。自分の経歴に近いものを土台にして、固有名詞と数字を差し替えてください。
法人営業(BtoB)の例文
法人営業で見られるのは、決裁までの道筋をどう設計したかです。契約までの期間、関与した部署、提案の切り口を具体的に書きます。
良い例文(法人営業)
- 担当商材:勤怠管理システム(初期費用50万円+月額8万〜25万円)
- 担当顧客:従業員100〜1,000名規模の物流・小売企業/東京都・埼玉県
- 営業スタイル:インサイドセールスからの引き継ぎ商談8割、既存顧客の追加提案2割
- 取り組み:現場責任者から先に課題をヒアリングし、人事部への提案書に現場の残業実データを添付する進め方に変更。平均商談期間を4.5カ月から2.8カ月に短縮
- 実績:2025年度 目標達成率118%(新規契約23件/部内2位・15名中)
個人営業(BtoC)の例文
個人営業は商談数が多いぶん、1件ごとの深さより「母数をどう作り、どう歩留まりを上げたか」が評価されます。集客経路と成約率をセットで書いてください。
良い例文(個人営業)
- 担当商材:戸建住宅リフォーム(1件平均180万円)
- 担当顧客:築15年以上の持ち家世帯/千葉県北西部
- 営業スタイル:反響営業6割・OB顧客への再提案4割/月間商談30〜40件
- 取り組み:初回訪問時の見積提示をやめ、現地調査後に3プラン提示する流れへ変更。成約率を14%から22%へ改善
- 実績:2025年度 年間売上4,320万円(目標4,000万円・達成率108%)
ルート営業・既存深耕の例文
ルート営業は「売った」実績を作りにくく、書くことがないと感じやすいスタイルです。売上の代わりに、維持した数字と、自分が動いたことで変わった数字を出してください。継続率・取引額の伸長率・解約阻止件数は、いずれも立派な実績になります。
良い例文(ルート営業)
- 担当商材:食品包装資材(月間取引額30万〜300万円)
- 担当顧客:食品製造業42社(うち上位10社で売上の7割)
- 取り組み:上位10社に対し、原材料価格の改定情報を月1回まとめて共有する運用を開始。値上げ交渉のたびに発生していた失注を減らし、担当区域の継続率を91%から98%へ改善
- 実績:担当区域の年間取引額を前年比114%(1億2,000万円→1億3,680万円)
採用担当者はここを見ている
- 取り組みの前後で数字がどう動いたか(施策と結果が線でつながっているか)
- 担当顧客数と売上の集中度(少数大口型か、多数小口型かで適性が分かれます)
- 会社の仕組みで出た数字を、自分の手柄として書いていないか
営業実績の書き方|絶対値より相対値で見せる
実績欄に入れる4つの数字
売上3,000万円という数字は、それ単体では大きいのか小さいのか判断できません。採用担当者は他社の事情を知らないため、社内の基準と比べた位置づけがないと評価できないからです。
| 数字の種類 | 書き方 | 効果 |
|---|---|---|
| 目標達成率 | 目標4,000万円に対し4,320万円(108%) | 会社の期待値に対する立ち位置が伝わる |
| 社内順位 | 部内3位/12名中 | 組織内での相対的な力量が伝わる |
| 前年比 | 担当区域を前年比114% | 着任後の伸ばし幅が伝わる |
| 行動量 | 月間商談30〜40件、架電1日60件 | 数字が弱くても稼働の実態が伝わる |
4つすべてを書く必要はありません。自分にとって最も見栄えのする1〜2種類を選び、粒度を揃えて書くのが実務的です。達成率だけの年と順位だけの年が混在すると、都合の良い数字を選んだ印象を与えます。
予算未達・成績が下位の場合の書き方
未達を隠す必要はありません。営業経験者を採用する企業は、常勝の人材だけを求めているわけではないためです。むしろ未達の年をどう扱ったかは、入社後に苦戦した場面での動き方を推測する材料になります。
良い例文(未達の年がある場合)
2024年度は主要顧客の設備投資凍結により、年間目標達成率82%と未達に終わりました。要因を大口依存と特定し、翌年度は月間の新規アプローチ数を40件から70件に引き上げ、単価100万円未満の小口案件も対象に加えています。結果として2025年度は達成率106%、顧客数を18社から27社へ増やしました。
NG例
2024年度は市場環境の悪化により目標未達となりましたが、諦めずに努力を続けた結果、翌年は目標を達成することができました。この経験から粘り強さを学びました。
原因を市場環境だけに置き、自分が変えた行動が書かれていません。この書き方だと、同じ状況になったときに再び環境のせいにする人物だと受け取られます。
数字そのものを思い出せない場合は、給与明細のインセンティブ額、社内表彰の記録、当時のスケジュールから逆算すると概算値を作れます。概算で書くときは「約」を付け、断定を避けてください。
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採用担当者が落とす営業の職務経歴書のNG例
営業の書類で落ちる理由は、実績の低さより書き方の問題であることが少なくありません。頻出する4パターンを挙げます。
| NGパターン | なぜ落とされるか | 改善の方向 |
|---|---|---|
| 売上金額だけを列挙 | 目標も順位もなく評価軸がない | 達成率か順位を併記する |
| 商材・顧客層が書かれていない | 自社で再現できるか検証できない | 単価帯と顧客の業種・規模を明記 |
| 会社の実績を自分の実績にしている | 面接の深掘りで矛盾が出る | チーム実績は「チーム〇名で」と明示 |
| 職務経歴書が4枚以上 | 読み切られず要点が埋もれる | A4で1〜2枚に収める |
4枚以上になる人の多くは、全職歴を同じ密度で書いています。応募先で活かせる直近の経験を厚く、それ以外は在籍期間と担当業務のみに削ってください。異業種から転職する場合の書き分けは事務職向けの職務経歴書テンプレートのように、応募職種のフォーマットを基準にすると迷いません。
採用担当者はここを見ている
- 履歴書の職歴欄と職務経歴書で、社名・在籍期間がずれていないか
- 数字の単位(円・件・%)が統一されているか
- 応募先の商材・顧客層に近い経験が、探さなくても目に入る位置にあるか
営業の自己PRは「再現性」を1行で示す
自己PRで書くべきは人柄ではなく、成果を出した手順です。営業の採用では「その勝ち方をうちでも使えるか」が判断されるため、状況・行動・結果を1本の線でつないでください。
良い例文(自己PR)
私の強みは、決裁者に会う前に現場の課題データを揃える提案設計です。前職では人事部への直接提案が通らない状況が続いていたため、先に現場責任者から残業時間の実データを預かり、提案書の冒頭に現場の声として掲載する流れに変えました。この進め方に統一してから平均商談期間は4.5カ月から2.8カ月に縮まり、2025年度は目標達成率118%となっています。御社の製造業向け商材でも、現場と決裁部門の温度差は同様に存在すると考えており、同じ手順で立ち上げが可能です。
NG例
私の強みは行動力とコミュニケーション能力です。どんなお客様とも打ち解けることができ、社内でもムードメーカーとして周囲を明るくしてきました。この強みを活かして御社でも貢献したいと考えております。
営業職の応募者のほぼ全員が同じことを書きます。行動力とコミュニケーション能力は、具体的な場面と数字が伴って初めて情報になります。
自己PRと志望動機の書き分けに迷う場合は、自己PRを「過去の再現性」、志望動機を「応募先を選んだ理由」と役割で分けると重複を防げます。

提出前チェックリスト
書き終えたら、提出前に次の項目を確認してください。内容を作り込むより、この確認のほうが通過率に直結します。
提出前に確認する7項目
- A4で1〜2枚に収まっているか
- 商材・顧客層・営業スタイル・実績の4項目が冒頭にあるか
- 売上金額に目標・順位・前年比のいずれかが添えられているか
- 履歴書の職歴欄と社名・在籍期間が一致しているか
- チーム実績と個人実績が区別されているか
- 前職の社名や顧客名で、公開できない情報を書いていないか
- ファイル名が「職務経歴書_氏名_日付」の形式になっているか
ハローワーク経由で応募する場合は指定の様式を求められることがあるため、事前に窓口へ確認してください。様式が決まっている場合はハローワーク用の職務経歴書テンプレートが使えます。履歴書もあわせて用意するなら転職用の履歴書テンプレートと形式を揃えておくと、書類全体の印象がまとまります。

まとめ
- 営業の職務経歴書は、商材・顧客層・営業スタイル・実績の4項目を冒頭で示す
- 売上の絶対値ではなく、目標達成率・社内順位・前年比といった相対値で見せる
- ルート営業は継続率・取引額の伸長率・解約阻止件数を実績として書ける
- 未達の年は隠さず、原因の特定と変えた行動をセットで書く
- 自己PRは人柄ではなく、成果を出した手順を再現可能な形で書く
手が止まっているなら、まず直近1年の担当商材と顧客層をメモに書き出してください。数字はそのあとで埋まります。
営業の職務経歴書に関するよくある質問
- 営業の職務経歴書は何枚が適切ですか?
-
A4で1〜2枚が目安です。3枚以上になる場合は、応募先で活かせない過去の職歴を在籍期間と担当業務だけに削ってください。枚数を増やすより、直近の経験を厚く書くほうが評価されます。
- 営業成績が社内で下位でも書類選考は通りますか?
-
通ります。採用担当者が見ているのは順位そのものではなく、成果を出すために何をどう変えたかという手順です。順位が低い場合は、行動量(商談数・架電数)や改善した工程を数字で示してください。
- 売上金額を正確に覚えていない場合はどうすればいいですか?
-
概算で問題ありません。給与明細のインセンティブ額、社内表彰の記録、当時のスケジュールから逆算して算出し、「年間約4,000万円」のように「約」を付けて記載してください。面接で聞かれた際に説明できる根拠を持っておくことが前提です。
- 前職の顧客名は書いてもいいですか?
-
具体的な企業名は避けてください。守秘義務に触れる恐れがあるうえ、情報管理に無頓着な人物という印象を与えます。「従業員500名規模の食品製造業」のように、業種と規模で表現すれば十分に伝わります。

