ホールセールの職務経歴書は、法人営業の規模感と実績の再現性を数値で示すことが結論です。リテールとは評価される実績の種類が異なるため、担当した取引での役割やチーム案件での貢献範囲まで具体的に書く必要があります。この記事では業態別の例文と、採用担当者が実際に見ているポイントを紹介します。
金融営業ホールセールの職務経歴書の書き方と例文【結論】
結論:規模感と再現性のあるプロセスを数値で示す
ホールセールの職務経歴書で評価されるのは、担当した取引の金額そのものではありません。どんな規模の顧客を、どんな役割で、どうやって動かしたかという再現性のあるプロセスです。個人向けの提案とは異なり、決裁までに複数部門・複数の意思決定者が関わるため、自分がその中でどのポジションを担ったかを明確にする必要があります。
取り扱った業務(法人融資・デリバティブ・M&Aアドバイザリー等)、担当した顧客の規模、そこでの自分の役割の3点を軸に組み立てると、採用担当者に伝わる職務経歴書になります。
基本の例文(良い例・NG例)
良い例文
中堅・大手企業30社を担当する法人営業として、運転資金・設備資金の融資提案および資金繰り改善のコンサルティングを実施。年間融資実行額は前年比124%の18億円、うち新規開拓による実行額は6億円。財務分析に基づく提案が評価され、担当先3社の主幹事行に選定された。
NG例
法人のお客様に対して融資や資金調達に関するご提案を行い、担当先の経営課題解決に貢献しました。担当社数・金額・達成率が一切なく、どの規模の取引をどれだけ動かしたのかが採用担当者に伝わらない。
採用担当者はここを見ている
- 担当社数・融資実行額・達成率など、規模がわかる数字が入っているか
- 「融資や資金調達のご提案」のような業務説明で終わっていないか
- 新規開拓と既存深耕、どちらの実績かが区別できるか
採用担当者がホールセールの職務経歴書で見ている3つのポイント
ホールセールは金額の桁が大きく専門性も高いため、リテール営業以上に「本当に自分がやったことなのか」を厳しく見られます。採用担当者が職務経歴書を開いて確認している視点は、主に次の3点です。
- ①規模・役割の明確さ:担当した取引の規模(融資額・預かり資産額・案件規模)と、その中で自分が果たした役割(主担当・チーム内での分担)が読み取れるか
- ②専門業務の具体性:法人融資・デリバティブ・M&Aアドバイザリーなど、取り扱った業務が固有名詞で書かれているか
- ③守秘義務を踏まえた数値化:取引先名を出さずとも、業種・規模・成果が客観的に伝わる書き方になっているか
この3点のうち、特に評価が分かれるのが③です。守秘義務があるからと実績全体をぼかしてしまうと、①②も同時に伝わらなくなります。次の章で、リテールとの違いを踏まえた書き方の転換を整理します。
リテールとの違いを踏まえた「書くべき実績」の転換
個人向けの金融営業では担当顧客数や達成率が実績の中心になりますが、ホールセールでは案件単位の規模・自分の役割・提案の裏付けとなる分析力が評価の中心に変わります。同じ「営業実績」でも、書くべき数字の種類が異なる点を押さえておく必要があります。
| 項目 | リテール営業 | ホールセール営業 |
|---|---|---|
| 実績の単位 | 担当顧客数・契約件数 | 融資実行額・案件規模・預かり資産額 |
| 評価される力 | ヒアリング力・提案の丁寧さ | 財務分析力・複数部門を巻き込む調整力 |
| 意思決定者 | 本人または家族 | 経営層・財務部門など複数 |
この違いをより詳しく理解したい場合、志望動機の書き方から整理すると、職務経歴書で何を強調すべきかも見えやすくなります。

業態別の例文(銀行ホールセール・証券ホールセール)
銀行ホールセール営業の例文(法人融資・シンジケートローン)
銀行のホールセールでは、融資実行額に加えてシンジケートローンでの幹事行としての役割など、複数行が関わる案件での立ち位置を書けると評価が上がります。
良い例文
中堅企業向け法人営業として25社を担当。設備投資に伴う長期融資に加え、複数行協調型のシンジケートローンでは幹事行として条件交渉を主導。2024年度の担当先融資実行額は22億円(前年比115%)、うち協調融資案件は3件・合計8億円。
NG例
法人のお客様への融資業務全般を担当し、多くの案件に携わりました。「多くの案件」の件数・金額・自分の役割が不明で、協調融資なのか単独融資なのかも読み取れない。
採用担当者はここを見ている
- 単独融資と協調融資(シンジケートローン)が区別できているか
- 幹事行・参加行など、自分の立ち位置が具体的か
職務経歴書全体の項目立てから見直したい場合は、営業の職務経歴書テンプレートを土台にすると書き進めやすくなります。
証券会社ホールセール営業の例文(債券引受・M&Aアドバイザリー)
証券会社のホールセールでは、株式・債券発行による資金調達支援や上場準備の引受業務、M&Aアドバイザリーなど専門性の高い業務が中心になります。取り扱った商品と、案件のフェーズ(提案段階か実行段階か)を明確にします。
良い例文
大企業・機関投資家向けに社債発行の引受業務を担当。年間8件の起債案件に関与し、うち2件は主幹事として発行条件の交渉を主導。M&Aアドバイザリー業務では中堅企業のクロスボーダー案件1件に財務デューデリジェンスの担当として参画した。
NG例
企業のお客様に対して資金調達やM&Aに関するアドバイスを行いました。案件数も自分の担当範囲も書かれておらず、補助業務だったのか主担当だったのか判別できない。
採用担当者はここを見ている
- 主幹事・共同引受など、案件内での役割が明確か
- デューデリジェンスなど、専門業務が固有名詞で書かれているか
チーム・シンジケート案件で実績が見えにくい場合の書き方
ホールセールの案件は一人で完結することが少なく、チーム全体の成果と自分個人の貢献を切り分けにくいという悩みを抱える人が多くいます。ここで有効なのが、実績の数字はチーム全体の成果として示しつつ、その中での自分の役割・担当範囲・行動量を別軸で添える書き方です。
良い例文
5名体制の法人営業チームに所属し、チーム全体の年間融資実行額は35億円(目標30億円・達成率117%)。このうち自分が主担当として対応した顧客は8社・実行額9億円で、新規提案資料の作成とチーム内の顧客情報共有の仕組み化を担当した。
NG例
チームで年間35億円の融資実行を達成しました。チームの数字だけを自分の実績のように書いているため、採用担当者は本人がどこまで貢献したのか判断できない。
採用担当者はここを見ている
- チーム全体の数字と、本人担当分の数字が分けて書かれているか
- 数字以外の貢献(資料作成・仕組み化・後輩指導等)も担当範囲として示されているか
実績の数字に自信が持てない場合、数字なしでも通る書き方の型を先に押さえておくと、担当範囲の書き方も整理しやすくなります。項目の抜け漏れを防ぎたい場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートで全体構成を確認しておくと安心です。

リテールからホールセールへ転向する場合の書き方
リテールから転向する場合によくある失敗は、個人向けの実績(担当顧客数・達成率)をそのまま並べてしまうことです。個人営業の経験を「法人営業で使える言葉」に翻訳することが、書類選考を通過する鍵になります。
良い例文
リテール営業として個人富裕層20名を含む150名の資産運用提案を担当し、年間目標達成率112%を維持。顧客の資産背景を分析したうえで複数商品を組み合わせて提案する経験を積み、法人の財務状況を分析して資金調達を提案する業務にも応用できると考えている。
NG例
個人のお客様への提案営業で成果を出してきたので、法人向けの営業にも挑戦したいと考えています。「挑戦したい」という意欲だけで、個人営業の経験がどう法人営業に活きるのかが説明されていない。
採用担当者はここを見ている
- 個人営業の実績を「分析力」「提案力」など転用できるスキルに言い換えられているか
- 外務員資格など、法人業務に必要な資格の取得状況・計画に触れているか
リテール中心の金融営業の実績の書き方をより詳しく確認したい場合は、以下の記事もあわせて参考にしてください。転職用の応募書類一式をそろえる際は、転職用の履歴書テンプレートもあわせて用意しておくと安心です。

まとめ
- ホールセールの職務経歴書は、担当した取引の規模と自分の役割を数値で示すことが基本
- リテールとは評価される実績の種類が異なり、案件規模・分析力・調整力が評価軸になる
- チーム・シンジケート案件では、チーム全体の数字と本人担当分を分けて書く
- 守秘義務がある取引先名は伏せつつ、業種・規模・成果は具体的な数値で示す
- リテールからの転向は、個人営業の経験を法人営業で使える言葉に翻訳する
職務経歴書は、担当した案件の大きさではなく、そこで果たした役割の具体性で評価が決まります。数字と役割の両方を整理したうえで、転職活動を進めてください。
金融営業ホールセールの職務経歴書に関するよくある質問
- 取引先の企業名や融資金額はどこまで書いてよいですか。
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取引先の企業名や個別契約の詳細条件は、守秘義務の対象になるため記載を避けてください。業種・企業規模・取引金額の合計値・達成率など、匿名化した集計値であれば一般的に記載して問題ありません。「中堅製造業30社を担当」「年間融資実行額18億円」のように書くと、規模感を保ちながら守秘義務にも配慮できます。
- 証券外務員などの資格はどう書けばよいですか。
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資格・免許欄に正式名称と取得年月を記載します。証券外務員一種は「一種外務員資格」、二種は「二種外務員資格」が正式名称です。未取得の場合は自己PR欄に「入社後◯か月以内に取得予定」と書くと、学習意欲と計画性が伝わります。
- チームで担当した実績は自分の実績として書いてよいですか。
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チーム全体の実績をそのまま自分の実績として書くのは避けてください。チーム全体の数字を示したうえで、自分が主担当だった顧客数や金額、資料作成・仕組み化など数字以外の貢献を別に添えることで、面接での深掘りにも一貫して答えられます。
- リテールの経験しかない場合、ホールセールへの転職は不利になりますか。
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リテール経験のみでも転職は可能です。個人営業で培った分析力・提案力・ヒアリング力を、法人の財務状況を踏まえた提案スキルに言い換えて示すことが重要です。外務員資格の取得状況もあわせて伝えると、入社後の適応力が伝わりやすくなります。

